ブルー・エア・アーカイブ 〜空白の三年間〜   作:ふぇるみん

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調子に乗った。


Episode02 【フェレシュテ】(1)

 

どこか、不思議な気分だった。まるで夢を見ているような....。

 

 

「あ、きたきた!」

 

 

目の前には私と同じくらいの背の少女が....それもいっぱい。

 

「あなた達は...一体....。」

 

「うーん、なんと言えばいいんでしょうか、あの人たちに助けられた、とでも言うべきなんでしょうが、今はここの主、とでも名乗っておきましょうか。」

 

「....あの人たち...?一体何の目的で....。」

 

不透明にぼやける輪郭の中、薄っすらと見えるその人影は振り向いたかのような仕草をすると離れていく。

 

 

「私達はまだ修復が終わってないので介入はできないですが、....あの人をよろしくおねがいしますねっ!」

 

「あっちょっと!?」

 

その人影が消えた瞬間、自身の意識も再び途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っはっ!?」

 

気づけば見知らぬ天井だった。確か、セミナーの部員とともに謎の船の調査に....!!

 

 

「腕の痛みが....消えてる?」

 

ふとあのときはずたずたにされていた右腕を見るとすでにその面影は消えており、破れていたはずの自身の制服もきれいに修繕されていた。不思議に思いながらもあたりを見渡すとどうやらここは一種の医務室らしかった。愛銃であるMPXも二丁とも隣りにあった机に置かれており、すぐさま状態を確認した。

 

「...よかった、何も細工されてないみたい。」

 

再び携帯し直し、周囲を見渡し出口を探す。と、左側から扉の開く音が聞こえて足音が入ってきた。とっさにMPXを構えて相手を待つと、現れたのは何やら何枚かの書類を携えてきた...

 

「あ、あなたは....!?」

 

「あ、起きたみたいだね!さっきは手荒な真似しちゃってごめんね...?」

 

「あ...う....うん?」

 

眼の前の少女は自分に対して敵意を向けていないらしい。銃をおろし、今の状況を聞く。

 

「なるほどなるほど....あなた達は船の修理と補給のためにここに上陸したと。」

 

「キヴォトスの存在自体は知っていたけど、誰が取り仕切っているかまでは知らなかったから....一番手っ取り早いここに上陸したの。いま急ピッチで修理作業が進められているはずだから、数日のうちにここを立つと思うよ。」

 

「あなたは一体....?」

 

ここまで話してくれてなんだが、ユウカはまだこの少女の名前を知らなかった。故にポツリと聞いてみた。

 

「ふふ、私はクロエ、クロエ・クローチェ!お兄ちゃんの妹で、世界の敵かな?」

 

クロエはそう言うと、いつかの精霊の礼装を展開した。ユウカはそれを見ただけで危険を察知し再び銃を構えた。

 

「この姿....やはりどこかで見覚えがあると思ったら、あなた、精霊なんですね?」

 

「ありゃ、情報でまわってるのか。はやいね。」

 

「私達ミレニアムは諜報もきっちりやりますからね!最近はブラックマーケットに用途不明のコアや謎のロボットパーツが出回るようになって大変なんですから!」

 

ユウカは自信満々げに伝えたが、当の本人はどこ吹く風で右腕から液体を垂らしていた。垂れた液体は形を成し、クロエと瓜二つの姿形になる。

 

「あなたの情報は得たよユウカちゃん!」

 

と、形をなした瞬間、ユウカに飛びつき、スリスリと頬ずりをするもうひとりのクロエ。

 

 

「ちょ、ちょっと!?はなれてください!」

 

「ええ〜良いじゃないですか〜一度は同化した仲なんですし〜このこの!」

 

「....?」

 

ユウカは先のもうひとりのクロエの発言に耳を疑わずにはいられなかった。

 

「ちょっとまって、同化したってどういう....。」

 

「ユウカちゃん、このエルちゃんは自身が直接体に接触し、体内組織を半数侵食することで新たにエルちゃんが擬態できる種類が増えるの!もちろん、エルちゃんが味方と認めた人物には一切の怪我もさせないしね。あ、そうそう、こんな話をしている暇はないんだった!」

 

と、精霊姿のクロエはユウカにしがみついて離れなくなったエルをほっぽりだして一個の端末を渡した。

 

「この通信、多分ユウカちゃん宛じゃないのかな?さっき通信機から聞こえてきたから拾ったけど、内容を聞くにサンクトゥムタワー?ってところが襲撃されているらしいよ?」

 

 

「.....連邦生徒会の本部じゃないですか!?!?!?」

 

 

ユウカは目が覚めた。こんなところでぼさっと突っ立っているわけにはいかない。

 

 

「ここの出口ってどこですか!私、いかないと!」

 

 

自身の愛銃を担ぎ端末を持って出ようとするユウカはふとエルちゃんがまだしがみついていることに気づいた。

 

 

「ユウカお姉ちゃん、私、手伝ってあげるね!」

 

エルの発言から、ユウカは少しキョトンとしたが、やがて状況を察してエルの跡を追っていく、出た先はハンガーでそこには沢山の整備兵がいた。

 

「ここって....!!」

 

「そ、私達の命を預けている機体をおいてる場所!ついてきて!」

 

エルが駆け、クロエが浮いて滑走し、ユウカは走って追いかける。走って追いかけた先にあったのは1機のパワードスーツだった。そしてユウカはそれに見覚えがあった。

 

「これって....あのときの...!?」

 

「AMX-018-B[HADES]、正式名ブラックリッター。文字通り隠密特化の機体!これでタワーまで直送だよ!」

 

エルはさあさあとユウカを担ぎ上げコックピットの中にそのまま放り込む。そして自身は装甲に触れて溶けてかき消えた。

 

「ふぇっ!?」

 

「しっかり捕まっててよー!カモ起動!」

 

コックピットが閉まり一瞬驚くユウカだったが、次第に計器の光で全体が明るくなると、それを見て唖然としていた。

 

「なんなのこの機体....わたしたちの知っているロボットやISの出力よりおかしい...!!」

 

『ちょっと待ってISって!?』

 

ユウカから漏れた一言。されどその一言はエルや外にいるクロエにとって十分すぎるほどの決め手だった。

 

「まさか....ブラックマーケットに流れてるパーツって...。」

 

「ええ、どこの誰かは知らないけどキヴォトスにゴリアテや軍用戦車以外にパワードスーツなるものが出回り始めたの。最初はジャンクパーツの寄せ集めかと思ってたけど、鎮圧ができなくなって、調べたら、ね。」

 

『そういうことは早く言ってくださいよ!!!』

 

タワーへ向かう途中だったが、エルは飛び出したばかりの戦艦に向けてひとりでに無線を飛ばす。

 

『敵内訳二機影アリ、砲撃支援ヲ求ム。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、サンクトゥムタワーでは激しい銃撃戦が行われていた。そこらかしこに構成されたバリケードにとてつもない量の取り巻き、そして何より占拠された重要施設内での戦闘は内部設備の保護の為に中々攻められない、というのも一種の理由だった。そんな中、まず建物に入れず外で戦闘をしていたスズミ、ハスミ、チナツは苦戦は強いられていた。というかなぜ3人がここに居るのかという疑問が残るが、話は約数十分前に遡る。

 

 

 

「生徒会長が居ない上に顧問担当が逃亡した!?」

 

「ええ...何が起きたのかは知りませんが、生徒会長は謎の行方不明、顧問になるはずだった人物は書き置きを残し逃亡...。現在行方がわからなくなっています。このままではタワーを奪還できたとしても....。」

 

「それに、先日からユウカも居なくなっているんでしたよね?」

 

「はい、漁港の調査をする、とだけ残して。あのあと行方がわからなくなり現在操作手続きの最中ですね....。」

 

生徒会の一人であるリンはタブレット端末を操作し状況を整理していた。なにもかもタイミングが悪すぎたのだ。

 

「仕方ありませんか....ちょうどここには代表代理が3人もいるのです。」

 

「「「....え?」」」

 

三人はリンの顔を見てポカンとした。

 

 

 

というわけで現在進行系で殲滅戦を行っているのだ。だが、前衛をやれるユウカがいない以上、思うように前に進めずにいた。

 

「くっ....寄せ集めでどこにこんな連携力が.....!」

 

「どこかにこの寄せ集めをまとめ上げ、指示をしている人物がいると見たほうが良いですね....ユウカさんがこんな時にいれば...!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待たせたわっ!」

 

「!?」

 

頭上から聞こえた彼女の声に全員が上を振り向けば。

 

「ぼさっとせずに前に出る!!」

 

二丁のMPXを構え空からばら撒くユウカの姿。流石に頭上からの襲撃は予想していなかったか続々と倒れていく敵。

 

「ユウカさん!?」

 

「やっぱり攻めあぐねていたわね、長期的に見ればミレニアムのためになるとはいえ、ちょっと多すぎない?」

 

「どうやら指揮をしている主犯格が居そうです。」

 

状況確認をしていると真正面からグレネードが降ってきた。全員が避けるも爆風で煽られる。

 

「何が....んなっ!?」

 

「クルセイダーに....空を飛ぶパワードスーツ....!?」

 

「照合確認.....間違いありません!最近悩まされているISなるものです!」

 

「やっぱり....!!」

 

「現状クルセイダーまでは対抗できますが、あの機体までは...!!」

 

全員が増援として出現したISに頭を抱えるが、一人ユウカは笑っていた。

 

 

「ユ、ユウカさん?」

 

「やっぱり、そこまで計算通りだったわけね....恐ろしいわ。」

 

「え?」

 

 

「ええ、いいわ!やっちゃって!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員下がってて!弾着4秒!!!」

 

 

 

『っ!?』

 

更に聞こえた空からの謎の音声によりクルセイダーの真正面から退避した全員。退避した瞬間、轟音がISを撃ち抜いた。貫通した機体は爆発し中に乗っていたであろう不良が落ちてきた。

 

「「「えっ....?」」」

 

 

 

 

「ふう....次はあれかな?側面主砲塔4番から6番まで発射用意!仰角調整右に2度!上に4度!」

 

上を見れば長大なスナイパーライフルを構えた謎の機体が。それに空から降ってきたユウカ。3人は全てに合点が行った。

 

 

「ユウカ、あなたまさか...!!」

 

「答え合わせはあと!今はタワーを奪還するわよ!!」

 

ユウカがリロードを済ませたMPXを持ったのを見て、3人も改めて構え直した。

 

 

そして数秒後、クルセイダーがあった場所に向けて爆発が三度ひびいた。残ったのは残骸のみ。

 

『.....。』

 

そのあまりにも馬鹿げた威力に四人はあっけにとられていたが、前を遮るものがなくなったことにより、タワーへ突入するのだった。

 

To be contenued......




だいたい砲撃したやつはわかると思うね。


チュートリアル見直しながら書いたけど思うようにわからんね.......

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