「で、話し合いはどうだった?」
「俺が使者になり他の部族を束ねることを説得するよう決まった」
「やるじゃないか。どんな交渉術を使ったんだ?」
「…………今回の件、色々考えているんだ」
「ま、そこに俺が口出しするのも野暮だな。俺こそよそ者だし」
「何を言う、お前も村の一員だ」
死の宣告から2時間経過したところ、メルトは会議が終わるまで待っていた。
先ほど現れた魔物のことを、彼は考えていた。わざわざ空模様を変えていたことから『
本来、『
この世界の生き物は、極一部を除いて高くてレベル30あれば英雄と呼ばれる程度のものだ。それはザリュースと共に旅をして知ることはできた。
では先ほどの魔物はどうか?名称は忘れたが少なくともレベル50はあった。
メルト一人で対処は簡単だが、他のリザードマンでは話がかなり違ってくる。
『偉大な御方』と言うのも気になる。恐らく自分と同じかつての世界からの来訪者であるだろう。
では目的はなんだ?リザードマンを滅ぼすなんて大言を吐いたのだ。メルトが戦った六大神のようにギルドごとやってきているのだろう。
もしかしたらプレイヤーも複数いると、流石のメルトも一人では危ない。相手は出来ても裏で動かれてリザードマンを滅ぼされては本末転倒である。
だからこそ負けるとわかっていても戦力を集めて守りを固めるのが一番。故にある種で失っても問題なく、ザリュースがその使者になったのだろう。
「…………すまないがこの戦いでお前は後方に回ってほしい」
「おい、正気か?」
「理由は後で話す」
淡々と言うだけ言ってザリュースは行ってしまった。どこか覚悟を決めているような気がしてメルトはその後を追わなかった。
何か深い理由があるのだろう。そう思い自分を納得させながらロロロの背中で寝ようと歩いていった。
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「…………ん?やっと来たか」
「また寝ていたのか?」
「もう夜だぞ。普通に寝る時間だろうが」
「今から出発だ。遅くなるのは分かっていたんじゃないか?」
「そりゃあ今からロロロの上に乗っていくなら夜じゃないと間に合わないもんな」
夜も更けて眠りについていたメルトだったが、ザリュースが来たことによって体を起こす。
今の世界の住人は、メルトから見るとはっきり言って弱い、弱すぎて話にならないレベルである。だからこそいつでも手を貸すつもりにはしていたのだが、それを断られた。
傲慢ではあるが、相手によっては完封できるかもしれないというのに。
「で、なんで俺に後ろに控えて欲しい訳だ?」
「…………今は魚の養殖に手を出しているとはいえ、後のことを考えたらまだ足りない。このまま冬になると食料が尽きる」
「まさか、口減らしのためか!?」
「あまり大きな声を出すな」
思ってもいなかったことにメルトは叫んだ。ザリュースは自分よりも賢く、そして覚悟が決まっている男だ。
「…………お前ほどの男が言うなら正しいんだろうな」
「ただ残酷な選択をしているだけだ」
この方法を取らなければ将来食糧難になり多くのリザードマンが苦しむ事が見えている彼にメルトは何も言えなかった。
メルトはかつて腐り果てた人間社会の歯車の一つとして生きてきた人間であった。故に、将来のことを考えて犠牲になることを許せずともある種であちらよりは
その一つ、自分が持つアイテムを解放することである。非公式レイドボスと呼ばれたメルト・ダウンには全盛期だとログインするだけで挑戦状をたたきつけられることが毎日のように起こっていた。故に、戦利品は大量に持っているのだ。
しかし、この文明や文字通りレベルの低い世界だと一つ一つが過剰なまでのアイテムとなり世界の均衡を揺るがしてしまう。
自身の存在も間違いなく世界にそぐわないものであることを自覚しており、よほどのことがない限り普段は他のことはこの世界の住人に任せてゆったりと生きるはずだった。
モヤモヤとした気持ちを抱えてザリュースがロロロの背中に乗り、目的地の『
「メルト。俺は
「ちょっと何言ってるか分からない」
冷静で頼れるザリュースが実は中に熱い心を持っていたのはいいとして、流石に一目ぼれして即告白するのはどうかと思ったのはストレートに言うこととなる。
クルシュ「初めまして。この戦いが終わり次第この方の妻になりますクルシュ・ルールーです」
メルト「マジかよ」
クルシュ「一目ぼれとか言われて、最初に求愛されちゃいました」
メルト「マジかよ」
ザリュース「本当だぞ」
メルト「あんたさぁ、ほんとさぁ…………」
先ほどの話との温度差のあまり情緒が安定しないメルト・ダウンさん