トカゲさんはポカポカしたい   作:蓮太郎

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生きてる……生きてる……

原作とほとんど同じところはばっさりカットさせていただきます。


5. トカゲさん見守る

 

 メルトとザリュース、そしてクルシュを新たに加えた一行は、数ある部族を訪れた。

 

 途中で何故かザリュースとゼンベルが一騎打ちするという奇妙な展開を眺めることになったが、メルトと鍛錬を行いレベルを底上げしていたため苦も無く勝利で来ていた。

 

 一騎打ちの後、ついでと言わんばかりに回復作業をしたメルトに一騎打ちを行うも軽くあしらわれ(・・・・・)、自分の強さに自信を持てなくなってきたゼンベルをフォローすることになる。

 

 そして、決戦まで時は進む。

 

「メルト、ここにいたのか」

 

 そう呼ばれた彼は眼前に広がる沼地を眺めていた。その視線の先には目の前を埋め尽くすほどのアンデッドの兵、それもこちらを舐めているのか下級しか見当たらない。

 

 それらのアンデットをリザードマン達がなぎ倒している。各々が磨いた武技で攻撃を退け、それどころか前線を押し出す勢いまで付いている。

 

 現在、総大将である部族の長たちとザリュースは後方で待機している。そしてメルトは設置された高台から戦場を眺めていた。

 

「今のところは優勢だな。向こうが舐め切ってる分、生き残っていると言えるわけだ」

 

「…………その根拠はあるのか?」

 

「ああ、わざわざ戯れに天気を変える魔法を使えるのに出てきている兵士はお粗末。俺の予想じゃあデスナイトの軍勢くらい来るかと思っていたんだが」

 

「いくらなんでもそこまでできる相手とは思わない」

 

「それは向こうが手加減してるからだ。もしかしたら力を持て余しているだけの奴らかもしれない」

 

 実際、その予想はある程度当たっていると言える。

 

 この世界の力の基準はかなり低い。リザードマンの中でも最強格のザリュースでもユグドラシルからやってきたメルトからすると吹けば飛ぶような存在である。

 

 いくらメルトが非公式レイドボスと呼ばれようと末期のユグドラシルではレベルアップアイテムを配布するような終末環境にあり、多少レベルを上げていたらこの世界では生きていくことはできる。

 

 もしかしたら敵は主将だけの一強かもしれない。だが、自分が居るようにレベルカンストしたプレイヤーが欲望のままに侵略してきた可能性もある。

 

 そうなったらメルトの出番があるかもしれない。

 

 そうならないことを願いながら戦況を見守っていると、リザードマンの兵士たちが突如火に包まれる。

 

「っ!すまない、おしゃべりはここまでのようだ」

 

「そうみたいだな。死なない様に行ってこい」

 

「妻もいるんだ、生きて帰ってくるさ」

 

 ザリュースは高台から飛び降り、駆け足で族長らの下へ駆けていった。

 

 メルトは動かなかった。何故なら今のところ、未だにどこの部族にも属さない正体不明の身であり信頼されていると言っても全戦力を前へ出すわけにはいかない。

 

 何かあった時のための戦力として待機しているのだ。

 

「もう結婚の段階まで言ってるのかよ…………」

 

 そんなメルトのザリュースから醸し出された覚悟と幸せを壊されんとするオーラを感じた彼の呟きは戦場へ吸い込まれるように消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勝負は決した。ザリュースがエルダーリッチを『氷の苦痛(フロストペイン)』で切り裂き、その体が崩れていくところを眺めていた。

 

 どうやら一度目(・・・)の危機を乗り越えたようだ。

 

 正直なところ、自分が出てアンデットらをなぎ倒してもよかったのだが、手を出すなと言われて我慢したものだった。

 

 この強敵に勝利したリザードマンたち、主に戦わず見守っていた者らが歓声を上げる。この調子だと宴でも始めそうだとメルトは苦笑した。

 

 確かに死地から帰ってきた戦士たちへの労いは必要だ。そこに口を出すほど野暮なリザードマンではない。

 

 それでもこれからのことを考えると気は全く抜けない。

 

 アンデットを率いていたエルダーリッチも十中八九誰かに造られた存在だった。ならばその背後に誰かいるのは間違いない。

 

 その『誰か』に見られている視線を感じながら、暗くなり始めた空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではコキュートスよ、その力を持ってリザードマンらを占領せよ」

 

 不死王の声が響く。偉大なる御方の一声は命よりも重い。

 

 彼らはアインズ・ウール・ゴウン至高の41人から創られた存在。そして髑髏の椅子に座るは唯一残ってくださった偉大なる『モモンガ』…………いや、アインズである。

 

 リザードマンを殲滅から占領へと切り替えた彼ら。ひと時の勝利を祝う祝宴を『遠隔視の鏡』で覗いていた。

 

 何ともめでたい頭をしているのだろうか、後にその顔が絶望に歪むと信じている彼らにとって茶番でしかない。

 

 その中で結ばれたように二人で座るリザードマンが居て「うらやましい…………」と妬んでいるサキュバスはほっておいて、その宴から外れるように一人、上位者たる彼らからすれば一匹のリザードマンが未だに高台に居座っていた。

 

「これは警戒しているんだろうね。用心深いことだ」

 

 嗤うは悪魔であるデミウルゴス、宝石の瞳にはいずれ来る第二波のアンデットを警戒しているのだろうと推測している。

 

 無論、次は士気を折り叩き潰すための全力の軍隊を出す予定だ。一人で警戒したところで出撃したら隠すつもりもない。

 

「そういえば、このトカゲは戦場にはいなかったでありんすね?」

 

「恐らく、村を守るために残った兵士なのだろうね。それかあの程度で臆病風を吹かせた雑魚か」

 

「あえて残った奴じゃないの?私だって出向くときにはシモベを残したりするし」

 

「まあなんにせよ、大した兵じゃないのは確かだ」

 

 くすんだ緑のリザードマンのことは置いておき、『遠隔視の鏡』の機能を切る。

 

「あれ…………?」

 

「どうしたのマーレ」

 

「い、いま、あのリザードマンがこっちを見ていたような…………」

 

「気のせいよ。下等生物が認識できるはずないわ」

 

 オッドアイでオドオドしたダークエルフの弟にサキュバスはそう言った。

 

 …………もし、ここであのリザードマンのことを調べておけばあんなことにならなかったかもしれない。

 

 その後悔をすることになるのは翌日のことになることを、彼らは知らない。

 





メルト「今の『遠隔視の鏡』だよなぁ」

ばっちりみられてましたよアインズさん(出番小)

でも次の話でいっぱい喋っていっぱい驚いていっぱい後悔することになるよ!

次回、「コキュートス大ピンチ!」

たった一人でレイドボス(Lv100団体推奨)に挑まされる何も知らないコキュートスの心境はいかに。
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