シン/機動戦士ガンダム   作:すしさむらい

22 / 72
もし宇宙に愛する人がいなければ、それは大した宇宙ではない

――スティーブン・ホーキンス博士


第二二話 0083 強襲阻止限界点(下)

 

 

 より高次の存在となったワイアットは、真っ白な海岸で海の向こう側を見つめていた。

 これはイメージであり、実際にどこかに存在する地形ではない。

 海の向こう側には蒼穹の空があり、そこにシン大尉たちの死闘が映し出されている。

 

 伝わらないか、とコミュニケーションの断崖に立ちながら、ワイアットは静かにシン大尉たちの姿を見守る。

 

「――高次存在の思索は、低次元の存在に対して理解を促せない。その情報の次元が違うため、思考展開できないのだ」

 

 ギレン・ザビが空いていたワイアットの隣のベンチに座った。アロハシャツを着てリラックスした様子で寝そべるギレン・ザビの姿に、ワイアットは高次幾何学存在であることを見出した。

 

「先に来ていたのかね、ギレン・ザビ総帥」

「随分と前にな」

 

 ワイアットにギレンのヴィジョンが走る。キシリア・ザビに頭を撃ち抜かれて即死するところだった。あの間際、どこぞの銀河の超新星爆発が起き、付近にいた恒星間ネットワーク型高次幾何学存在の意識がネットからはじき出された。バックアップのネットワークに再接続する際に、ジャンクデータ化しつつあったギレン・ザビの意識が、偶然クレンジングなしでそのネットワークに取り込まれた。

 

「面白い記憶だ。我々の宇宙を一つの量子状態として見ている我々にとって、これは一つの観測結果に過ぎない」

 

 ワイアットはディラックのブラ=ケット記法で量子状態が遷移する経路積分を示す。もはやワイアットとギレン・ザビの間に自然言語は不要であった。

 ある特殊解を導き出し、その式のブラベクトルとケットベクトルにより、多元宇宙論を描いて見せるギレン・ザビ。

 

「直交条件を満たす限り、ケット宇宙からブラ宇宙を好きなように初期設定できるわけか。深みにはまるわけだよ、ギレン・ザビ総帥。やめたほうがいいのではないかい?」

 

 ギレン・ザビの七つの並列思考が出現する。量子状態における幾何学存在である七つの並列回路は、相互に影響されながらも独立した解と歴史を生み出す。

 演算結果はデコヒーレンスにより短時間しか保持されなかったが、積層フェルミ粒子により記録済みである。

 

「ギレン。やめておきたまえ。彼らに理解できぬ形で助言を送っても無駄だ。我々はただ見ていることしかできんよ」

「では式を組みなおす。ソリトンが9+1次元時空で発生し、それがブレーンという膜になったものが、彼らの住まう3+1次元時空だよ」

 

 ワイアットがギレンの数式を翻訳し、海の向こうに広がる大空へと投影する。

 

「つまり、二枚のブレーンが衝突することでビッグバンが起きる」

 

 イデを使った強制的なブレーン同士の衝突こそが、宇宙リセットだ。

 ビューティ・メモリは決して人類史の記録を集約したDBなどではなく、むしろ宇宙を計算するアルゴリズムを集約した演算装置であると理解したほうが適切なのだ。

 

「宇宙の膨張を表す方程式は、時間に正負がある。ブレーン同士のそれが膨張と収縮を表す」

 

 ギレンは大空の向こうでシン大尉がキメラビグザムに刺し貫かれる姿を見ながら言った。

 シャニーナ少尉が半狂乱になって暴れるのをヤザンやほかの者たちが止めて、シン大尉の最後の命令である脱出を図らんとしている。

 

「悪趣味だな」

 

 ワイアットがブレーンを収縮させ時間を巻き戻す。収縮と膨張を繰り返すサイクリック宇宙ではエントロピーが1サイクルごとに蓄積される。次のサイクルでは宇宙全のエントロピーがその分だけ増加する。無限に繰り返される宇宙の中で、シン大尉は幾百幾千とあがき続ける。

 ギレンとワイアットはイデを使い何度もシン大尉たちの時空を繰り返させる。

 その途中の彼らの意志はイデに。判断と決心はすべてビューティ・メモリに記録され、コクーンはその量子封印装置として繰り返しその時空に埋め込まれる。

 

 どの宇宙でも、シン大尉は戦い続けていた。

 無限にも続く戦いの中で、シン大尉は挑み続け、そして敗れ続ける。

 

「面白いと思わんかね?」とギレン。

 

 低次存在にとっては一度きりの人生を、我々は悪趣味にも繰り返す無限の世界として参照し続けることができる。

 

「確かに、面白い」とワイアットも大空の死闘を凝視する。

 

 知的生命体が観測すれば、揺らぎは固定される。

 いわゆる人間原理である。

 人類は自分たちがそうであると主張したかったらしいが、いまやワイアットはそれが勘違いであることを理解していた。

 人類を上回る高次存在がそれを観測すれば、その揺らぎは固定される。

 

 ゆえに、ギレンもワイアットも期待を込めてシン大尉を見守る。

 シン大尉が恐るべきテクノハザードに打ち勝つその姿を観測するために。

 

 

 

 

 

 シン大尉はキメラビグザムに銃口を向ける。

 仲間たちがゾンビMSをひきつけてくれている間に、必ずやこれを始末しなければならない。

 

 シン大尉のジムカスタムが、飛ぶ。

 潰すべきコアを見つけて、物理的に破壊する。

 それだけの話なのだが、一体このキメラのどこにそれがあるのか全く見当もつかない。

 

 マシンガンを撃ちながら、ジムカスタムが敵の攻撃を回避し続ける。

 隙の無い防御。無駄のない移動、そして正確な射撃。

 MSパイロットとして発揮しうるすべての技量をもってしても、せいぜいキメラを構成する残骸MSを破壊して終わりだ。

 主本体たるあの能面のような顔には傷一つつかない。

 

『シン大尉、聞こえるか』

 

 ゴップ閣下からの通信。

 

「聞こえますよ。バケモノ退治で苦戦中です。ただ、こいつがコアなのはなんとなくわかります。自分の勘ですけどね」

 

 繰り返された宇宙を知らないシン大尉は、勘という形で高次存在からのデータをわずかながら読み取っていた。それは極めて無自覚に行われるものであり、ニュータイプのそれのように明敏なものではなかった。

 彼は、しがないオールドタイプなのだ。

 

『シン大尉、君の力だけでは奴は倒せそうにないと私は判断している』

「ひどいですよ。信頼してください」

『信じているからそう判断しているんだ。お前はそうやって戦いながら、どうせ部下のことを心配しているんだろう?』

「……」

 

 シン大尉は見透かされてたことに腹を立てて黙る。

 それの何が悪いんだよ、と。

 自分にとって、仲間は本当に大事だ。

 生きている感じがする。

 一人じゃないことの良さをこれでもかと教えてくれる。

 あの北海道の寂しさしかない雪原で、一人パワードスーツで戦い続けた世界よりも、ずっとここが温かいんだと。

 

 ジムカスタムはステップを繰り返し、ビームサーベルで襲い掛かる触手を切断する。

 キメラビグザムの気色悪い腕を切り落とし、その顔面にサーベルを突き立てようとするが、Iフィールドではじかれる。

 くそッ、ジムカスタムのビームサーベルだと性能負けしている。

 

『――お前はそれでいい。お前が至らんところは、わたしが何とかしてやる』

 

 ゴップ閣下の声がなんだか乱れている。

 どういうことだ?

 何が起きている?

 

「――閣下?」

『ペガサスはすでに内部侵襲された。以後の指揮はレビルに託したよ』

「ばかなっ! そちらは後方でしょう?」

 

 シン大尉は動揺しながらも、マシンガンで迫りくるマイクロミサイルの雨を打ち落としつつ、繰り返し能面のようなキメラビグザムに蹴りをかます。

 ビームが効かないなら物理で、と思ったが推力と脚部関節強度が足りない。

 

『もう後方などない。連邦艦隊はすべて最前線だ。ジオンとの戦争でもやらなかった、ホンモノの総力戦だよ……』

「閣下、まさかDG細胞に浸食されて?」

『私はガノタだよ。流派東方不敗の心得くらいある。胆力を込めて命を輝かせれば、DG細胞なんぞ弾き飛ばせる。それが感応素材たるDG細胞の弱点だよ――ただ、負傷はしている。すでに乗員と幕僚団は退艦させた』

「――お一人で!? バイタルサインは? 操艦AIだけじゃ長く持ちませんよっ!」

『長くはないな。だから、最後はお前と一緒だ』

 

 ゴップ元帥から強襲揚陸艦ペガサスの突入経路が届く。

 ド派手に主砲とメガ粒子砲を連射しながら、このゲストハウスまで飛び込んでくるそうだ。

 操艦もクソもなく、ただゴップの意地でここまでくるようだ。

 

『シン、あたしと、あんたはガノタでしょ? でも二人とも情けないガノタだから、一人だと弱いから、ガンダムに乗りたいとかいっちゃうけど……ふたりなら、ガンダムになれる』

「二人なら、ガンダムになれるっ!?」

 

 シン大尉はコックピットにて大声で復唱する。

 

『あたしたちで、ガンダムになろう。どこの誰も知らない、機体がないガンダムに』

 

 そのゴップの一言に、ピンときた。

 そうだ。

 いま自分はDG細胞に取り込まれた知的生命体の残留思念と戦っているのだ。

 奴らは、救いを求めている。

 しかし、戦うという手段しか取れずに今に至っている。

 

 シン大尉は、体が熱くなる。

 すべての筋繊維が、神経が、脳細胞が見えぬ透明な炎を噴いている。

 

 自分は何をごちゃごちゃ考えていたのだ、と。

 ベテラン兵士として、すべてのスイッチを切って冷静に戦っていても意味はない。

 

 敵はGガンダムの世界線の延長にいるそれだ。

 敵はGの影忍の延長にいるそれでもある。

 

 ならば、ガノタとしてすべてをさらけ出すのが、本来の在り方、向き合い方というもの。

 島本版Gガンダム、そしてGの影忍。

 いずれも最後は、ソウルの輝きがものをいう。

 

 俺が、ガノタだ。

 俺が、ジムカスタムだ。

 

 そして、おれたちがガンダムだ。

 

 なんたること。

 ガンダムに乗りたいなど頭がどうかしていた。

 真のガノタであるならば、真っ先に心に誓うは、自身がガンダムたらんことだ。

 ガンダムに乗りたいなど全くの未熟ッ!

 

 それは己がガンダムになっていない、修行の足りぬガノタのたわ言である!

 

 シン大尉のジムカスタムの歩法が変わる。

 兵士としてのそれではない。

 明らかにガノタファイターとしての、軽妙なるダンスステップに変わっている。

 長らくフジオカ技術中尉と積み上げてきた、愛の結晶たるGマニューバである。

 

「――閣下、お待ちしております。一緒に、ガンダムになりましょう」

『ええ、楽しみね』

 

 しかし、そこに通信が割り込んでくる。

 

『きーっ! なに元帥といちゃいちゃしてるんですかっ! ずるいですっ! 隊長がガンダムになるなら、わたしだってガンダムですっ! そして……そして……ドッキング・ゴーしちゃいますっ!』

 

 シャニーナ少尉が鼻息をフンスフンスと鳴らしている。

 そうか――君もガンダムだっ!

 コアファイターが変形して合体するときのアムロの掛け声を知っているなんて、間違いなく、君はガンダムだっ!

 

『なら、オレもガンダムだな。いや、それだと同じで面白くねぇな。ガンダムMkⅡだっ! オラァっ! くたばれやっ!』

 

 ヤザンもがっはっはとゾンビMSをシールドで殴り倒しながら言った。

 そうか、ヴァースキ大尉がそんなの乗ってましたね。

 けど、そんなの関係ねぇっ!

 ヤザン、お前もガンダムだ!

 

『俺は最初からガンダム野郎だからな。音楽の趣味が悪いザク野郎とは違う』

 

 イオ中尉が弾幕でゾンビMSたちを吹き飛ばしながら告げる。

 そうだよ、その通りだ。

 俺もお前も、グルーヴをキメたガンダムだっ!

 

『悪いが俺はゲルググだ』

 

 ハードボイルドなゲルググJを巧みに操り、BANG!BANG!BANG!と敵を冷酷非道に殺しまくるフレデリック・ブラウン中尉さんは、たしかにゲルググですね。

 わかります。

 でも、自分はあなたのお姿に、近藤ガンダムを感じていますっ! とシン大尉は敬意をこめてブラウン中尉もガンダムだということにする。

 

 そう、ここにいる皆がガンダムだ。

 ジムに乗ってようが、ザクに乗っていようが、誰だってガンダムになれる。

 それが、ガノタのマインドってもんだ。

 

『――ガノタ語りとは余裕だな、シン大尉』

 

 突如、ホールの天井が割れる。

 DG細胞によるシルバーの破片をまるで紙吹雪のようにして舞い降りるは、ボロボロのノイエ・ジールだ。

 その肩に描かれるは、王冠のエンブレム。

 

『公共の電波で恥ずかしいことをぺらぺらと……思わず、熱くなって来てしまったぞ!』

 

 もはや動くこと能わず、といった体のノイエ・ジールだが、その乗り手の覇気はビンビンに伝わってくる。

 

「そうだな。お前も、ガンダムだよな」

『貴様だけにいいところを持っていかれてたまるか。私も、ガンダムだっ!』

 

 どうみてもボロボロのノイエ・ジールですがさすがはクラウン。

 拡散メガ粒子砲をばらまいてくれて、一気にホールのMSゾンビ共が消し飛ぶ。

 だが、本体たるキメラビグザムにはIフィールドではじかれて効果なし。

 せっかく格好良く登場したなら、トドメまで刺してくれよ、とベストフレンズのおマヌケなてへぺろ要素を殴りつけたくなる。

 

『クラウン大尉、よくやった』

 

 クラウンがぶち抜いてきた天井から、手足が青く塗られたギャンクリーガーが降り立つ。

 アナベル・ガトー大先生のご登場に、シン大尉の士気が跳ね上がる。

 いまなら無限力とほぼ同じ程度だろうとすら思える。

 

 ガトーのギャンクリーガーが、こちらのやられかけている部下を次々と救っていく。

 感謝と歓喜の合掌をしつつ、シン大尉は主敵をどう倒すべきか思案する。

 

「――クラウン、そのボロボロの機体でやれるのか?」

 

 敵にすると恐ろしいが、味方になるならこれ以上のものはない友に声をかける。

 

『こいつはMSアンサンブル仕様でな』

 

 クラウンのノイエ・ジールの装甲版がパージされる。

 中にはハイザックが入っていた。さすがガノタ。フィギュアシリーズの設定もしっかり織り込んで設計させていたのか。

 

 降り立ったハイザックが構えるは、ザクマシンガン改。

 シン大尉のジムカスタムも、ジムライフルを主敵たるキメラビグザムに向ける。

 

『――プランは?』

「わかっているくせに」

 

 ジムカスタムとハイザックは、飛び道具を腰に片づけてしまった。

 そして二人の機体は、この世界の誰も知らぬ構えを見せる。

 

 ゆらりと流水のたおやかさを見せつけるガノタ必殺の構え。

 不思議とジムカスタムも、ハイザックも透き通った赤い炎に燃えているかのように感じられる。

 

『流派っ! 東方不敗はっ!』

「王者の風よ!」

 

 まるで長年組んできたバディのように、呼吸と丹田の気迫が揃う。

 モビルトーレスシステムを持たぬ宇宙世紀MSである両機のコックピットでは、大量のMODコードが走っている。二人ともHUD上に無数に表れるファンクションウィンドウを神速で実行していく。

 ガノタならば夜な夜なプログラムを組む、あの動きを実現するコードである。

 両腕の残像が残るほどの各種機器操作は、もはや操縦ではなく、武術における散打にしか見えない。

 

『全新!』

「系列!」

 

 そして、二人の呼吸が揃う。

 

【天破侠乱!】

【見よっ! 東方は、赤く燃えているっ!!】

 

 二人の裂帛の気合がブチあふれた雄叫び。

 ジムカスタムとハイザックが、まるで練達の武術家のような動きをみせて、互いにキメラビグザムに襲い掛かる。

 

 コンマのずれもない、揃った拳打。

 二人合わせての鋭いダイブ蹴り。

 

 瞬間、心重ねて、である。

 

『――マジかよっ? なんの戦術的意味もねぇ、バケモノみたいな動きじゃねぇか』

 

 冷静と情熱を併せ持つヤザンのあきれた声が飛び込んでくるが、シン大尉もクラウン大尉も、もはやキング・オブ・ハートと化しているため、そのような冷静な声は耳に届く前に心の炎で蒸発させてしまっている。

 

『あれ、でもなんか……効いてるような気がしません?』

 

 シャニーナ少尉が目を疑うように言った。

 

『ちょっとへこんでるぞ』とイオ中尉。

『先ほどまでは無傷だった。どういう原理かはわからんが、有効なら続けさせればいい』とブラウン中尉。

『うむ、見事だ。まるで連邦とジオンの魂が形になったかのようだ』

 

 ガトー少佐が、MSゾンビを瞬時に五体もバラしながらうんうんと頷いている。

 いやいや、ガトー少佐も敵にあたればいかがでしょう? などとサンダース曹長が差し出がましいことを言いそうになったようだが、MSゾンビの群れに襲われたのでマシンガンで対応している。

 

 

 ジムカスタムとハイザックによる一糸乱れぬ乱撃は続いている。

 途中から乗り手の体力が尽きたらしく、謎の武術家のような動きではなくいつものジムとザクの動きになってしまっていたが、それでも洗練された動きであることに変わりはなかった。

 

『シン大尉、行けるぞっ』

 

 クラウンからズーム映像が届く、

 画質が悪いのは、クラウンのハイザックのメインモニタがすでにやられているからだ。

 

「あの能面は、砕いたな」

 

 キメラビグザムの異様に硬い外殻をついに破砕した。

 能面が割れて、その向こうにある柔らかそうなDG細胞うごめく巨大な脳が見える。

 

『石破ラブラブ天驚拳は――使えんな』

「ああ。俺たちはガンダム愛こそあれど、互いにはそういう関係じゃない」

 

 ホントにそうなんですか? とシャニーナ少尉がなぜか疑義を挟んでくるが、ヤザン少尉がこっちを手伝えといって連れて行った。

 

「互いに技量で何とかしているが、そもそも手持ち火器がマシンガンしかない」

『兵装火力が決定的に不足している。Iフィールドがあるからビーム兵器は有効打にならない。このままだと弾切れで敗北待ったなしだぞ』

「喝っ!」

 

 シン大尉が吠えた。

 

「何たる弱気っ! クラウン、お前ほどの男が……っ! お前に敗北の二文字はないだろうがっ! ハマーンはどうするんだよ!」

『様をつけろっ! このデコ助野郎っ!』

 

 発破をかけたつもりだったが、地雷を踏み抜いてしまったシン大尉であった。

 

『うそ、この期に及んで選ぶ言葉間違えるなんて……本当にダメなひと……わたしが何とかしないと……』

『嬢ちゃんっ! こっちこいっ! てめぇの部下の御守をしやがれっ!』

 

 ヤザンのブチ切れボイスが響く。

 シャニーナ少尉から言葉を選ぶような叱責をうけ、シン大尉は赤面する。

 

「す、すまなかった、クラウン」

『いや、私も冷静さを欠いていた。少し待て』

 

 ガサゴソとハマーン様からの手紙を取り出したクラウンは、ヘルメットのバイザーを上げて、それを鼻先にあてて、スーッと深く吸い込んだ。

 モニタに映る恍惚とした表情のクラウンを見て、見てくださいよ、歴戦のガノタは面構えが違う、とゴップ閣下に教えてやりたくなった。

 

『――よし、怨敵退散の祝詞は整えた』

「要するにメンタルドラッグをキメたってことだろ。ガチ勢はすげぇよ」

 

 シン大尉はクラウンのハマーンに対する執着じみた愛情に恐れおののいた。

 

「……ちなみに、その手紙にはなんて書いてあるんだ?」

『ポエムだ。風流を解さぬ私には分からなかったが、ハマーン様の心の機微だけはわかった』

「それ絶対あとでハマーンちゃん恥ずかしくなるやつだから、ほどほどにな」

 

 急に心配になってきた。そのポエムについてクラウンがハマーンに何か言って、恥ずかしさのあまりハマーン闇堕ちみたいな展開がありそうでゾっとした。

 

 が、そうもいっていられない。

 何一つ有効な手立てを閃かぬままに、時間が経過し、推進剤と弾薬がただただ目減りしていく。

 

『シン大尉、何か起死回生の大火力はないのか? そのジムカスタムにハイメガ粒子砲が仕込んであるとかっ!』

 

 迫りくる触手をヒートホークで切り払っているハイザックが叫んだ。

 

「ねぇよっ! ビルドファイターズの世界じゃないんだぞっ!」

 

 ふいにMGのボールVer.Kaを組み立てたくなったシン大尉は、自分の疲労度が限界に近付きつつあることを悟る。

 ストレスがたまったらガンプラを作っていたことを思い出し、いかにいま自分が追い詰められているか把握した。

 

「いや――あるっ」

『なんだって!? こっちは無線機の調子が――』

 

 絡みつかれて浸食されつつある左腕を、ハイザックが自ら切り捨てた。

 

「火力は、ある。もうすぐだ。主敵から離れておけ」

『信じるぞっ!』

 

 クラウンのハイザックが敵から離れる。

 

 そう、火力はある。

 シン大尉は機動戦士ガンダム劇場版Ⅲの、アムロがコアファイターで脱出してくる光景を思い出す。

 カツ、レツ、キッカらが見えぬにもかかわらず誘導し、カウントダウンを始める。

 そして要塞が爆発し、その爆炎のなかから傷だらけのコアファイターが飛び出してくるのだ。

 あの美しい光景を、違った形でシン大尉は目撃できるはずだ。

 

「誘導ビーコン、よしっ!」と口頭チェックする。

『強襲誘導、突入カウント開始』とシャニーナ少尉。

『観測よろし。目標、前方巨大MA、船体送れ』とヤザン。

『強襲上陸まで、10、9、8――』

 

 全員でカウントダウンを始める。

 眼前の敵と取っ組み合いしながら、ひぃひぃと必死になりながら、何一つ格好の良くない、戦争まみれの奇跡が今起きる。

 

――3,2

 

『船体、いまっ!』

 

 全員の声が揃う。

 壁をぶち破って突っ込んできた巨体はベガサス。

 すでに片方の前方カタパルトデッキははじけ飛んで放棄されたらしい。

 だが、その巨体でキメラビグザムに質量の暴力をキメる。

 

『――この一撃こそ、歴史をかえるっ!』

 

 ゴップ元帥の声とともに、気合の入ったペガサスの主砲が吠える。

 一発どころではない。

 連射される主砲の乱打にキメラビグザムの前面装甲が砕け、柔らかなDG細胞脳が露出する。

 

「こ、これを破壊すればいいのか!?」

 

 生々しい巨大な脳を直視したシン大尉たちが一瞬躊躇する。

 

『馬鹿っ! 私たちは、ガンダムだっ! ガンダムは、愛のものがたりなんだっ!』

 

 その場にいた兵たちは、コックピットの中で目を見開いた。

 ノーマルスーツに身を包んだゴップ大将が、艦橋からスラスターをふかして飛び出していったのだ。

 

「閣下っ!?」

『ほんとうに私たちがガノタなら――こうしなきゃいけないんだ』

 

 ゴップ閣下がDG細胞で作られた巨大な脳の前にたどり着く。

 その巨大な脳からずるずると触手の群れが湧き出てくる。

 触手にからめとられていくゴップ元帥の姿をみて、兵たちが武器を構えるが――メガ粒子の一片でも閣下に当たれば蒸発してしまうため、誰もがただ見ているしかできない。

 

『隊長っ! 絶対ヤバいですって! 助けないとっ!』

 

 シャニーナ少尉の悲痛な声がヘルメットの中に響く。

 だが、シン大尉はゴップの姿をズームで確認し、決心する。

 

「全員、脱出しろ。これは命令だ」

『でも……』

「シャニーナ少尉、自分は言ったはずだ。撤退命令を厳守しろ、と」

『りょ、了解』

 

 シン大尉のつよい口調に、シャニーナ少尉が押し黙る。

 

『シン大尉、私が君の部下を誘導し、責任をもって届けよう』

 

 ガトー少佐が申し出てくれたので「頼みます」と答える。

 

『各機、我に続け』

 

 ガトー少佐を追うように、MS部隊が順次飛び去って行く。

 最後までシャニーナ少尉の機体が残っていたが、ヤザン機とサンダース機に抑え込まれて、無理やり連れていかれた。

 

「行ってくれたか」とシン大尉はジムカスタムのコックピットハッチを開き、そのまま飛び出していく。

 

 ノーマルスーツのスラスタを制御しながら、繊細な触手にからめとられているゴップ元帥のもとにたどり着く。

 

『バカね。一人でよかったのに』

 

 ゴップ閣下からの声が届く。

 宇宙放射線を防ぐべくミラーシールドになっているせいで、表情はわからない。

 ただ、どこか声が震えているような気はした。

 

「閣下、俺たちは、二人でガンダムなんですよね。なら、二人でいないと」

 

 不思議なことに触手はシン大尉のほうには伸びてこない。

 選ばれなかったのか、それとも必要ないということなのかはわからない。

 ただ、シン大尉にそれが伸びてこないという事実だけが明らかであった。

 

『ねぇ、いまあたしが何をみてるか、わかる?』

「悔しいですが、みえません……」

『刻がみえるって、こういうことなのね。あんたにもみせてやりたいな』

 

 ゴップ元帥が手を伸ばしてくれたので、それをしっかりとつかむ。

 

『どう? みえる?』

 

 シン大尉は唇を噛んだ。

 血の味が口に広がる。

 

「みえません……」

 

 なぜだ。

 なぜNTになれない。

 いまだけは、いまだけはNTの感性が欲しくて仕方なかった。

 

『そっか』

 

 シン大尉のヘルメットHUDに表示されているゴップ元帥のバイタルが正常ではなくなりつつある。

 その数字をみて、シン大尉は心が締め付けられる。

 

「ゴップ閣下、あなたのことです。もう義体は用意してあるんですよね?」

『当然よ。フォンブラウンシティの秘密のマンションに置いてあるわ。あんたが迎えに行ってあげてね』

「あなたの心も移してあるのですか?」

『もちろん。あたしの心と願いは、ちゃんと移した』

 

 ゴップがシン大尉の手を強く握る。

 

『でも、記憶だけはダメだった。ゴップとしての記憶と、あたし個人の記憶の融着とリレーションが絡まりすぎて、解けなかった』

 

 シン大尉の口がカラカラに乾く。

 

「ウソですよね? いつもみたいに、単なる心理戦ですよね?」

『バカ、そんなわけないじゃない――……あたしは、ここまでみたい』

 

 ゴップの仮面を脱ぎ捨てた、本来の彼女がそこにいた。

 

『ねぇ、シン。あたし……死んじゃうの。これからあたしは、ここに入っているアンチDG細胞の情報を可哀そうなこいつらにあげちゃうわ。ハッピーエンドのための尊い犠牲、ってやつね』

 

 ゴップが頭を指さした。

 ビューティ・メモリから引っ張り出してきたらしい。

 通常人にはできない、電脳を装備する彼女だからできることだ。

 

『これが、あたしのたった一つの冴えたやり方よ』

「そうかよ、それがあんたの、たった一つの冴えたやり方なんだな」

 

 シン大尉はゴップのまあるい体を抱きしめる。

 

『なによ、年嵩のおっさんを抱きしめちゃって』

「――うるせぇ……くそっ……なんで……」

 

 シン大尉はすがるように、ゴップを抱く腕に力を入れる。

 ゴップの腕が、シン大尉の背中に回る。

 

 

 

 

 あたしを抱きしめる男のことを、あたしはよく知っている。

 情けなくて、どうしようもない、頼りない男。

 

 この世界で、二人で悪だくみばかりしてきた。

 たった三年間の付き合いだったけれど、いままでで一番おもしろい三年間。

 大好きなガンダムの世界を共有できる、シンとの時間は、いくら言の葉をつむいでも語りつくせないと思う。

 

 だってそうでしょ?

 

 二人でこの世界を好き放題してきたんだもの。

 ガノタのあんたならわかってくれるよね。

 

 ねぇ、知ってた?

 あたし、ずっと寂しかったんだよ?

 

 ガノタ系アイドルで売れなくて、病んで死んだらこの世界。

 死んで休めるかと思ったら、あたしゴップよ?

 笑うしかないじゃない。

 未来は絶対兵隊で、さんざん怖い思いをする運命にこれから突っ込んでいくなんて、とてもじゃないけど耐えられなかった。

 

 けど、あたしはガンダムが好きだった。

 もっと言うと、ガンダムの世界に生きているみんなが好きだった。

 さんざん人をコマみたいに使ってきたけれど、それはゴップをやるんだから仕方ないじゃない。

 

 あたしは、ガノタとしてちゃんとゴップをやりきったと思う。

 この世界に失礼がないように、いやな軍政家としてのポジションをちゃんとやれたんじゃないかな。

 同時に、ちゃんとこの世界の人たちが生きて行ける土台も作ってあげたかった。

 連邦の民主主義制度は根本的に穴だらけだったし、歴史を守護できる神としての社会システムをちゃんと用意してあげたかった。

 

「ごめんね、シン。あたし……あたし、もっとうまくやれたような気がするの」

 

 いろいろひどいことしてごめんね、って謝りたかったけど、言葉が出なかった。

 あたしのなかのすべてが、いま悲しい世界に絡め取られた連中のところに流れ込んでいるから、少しずつ、だんだん言いたいことが言えなくなってきた。

 

『お前ほどうまくやったヤツはいねぇっ! 本物のガノタだよ、あんたは』

 

 シンの情けない声に、ちょっとだけ嬉しくなる。

 そっか。

 こいつはあたしのこと、ちゃんと人間扱いしてくれるんだな。

 アイドルやってた時は、全然ダメだったし、ただただ寂しかった。

 ゴップやってるときも、必死に足りない頭使って、やりたくもない悪いことして、なんでもやってちゃんと仕事をこなしてきただけだ。

 

 ずっと、寂しかったな。

 生きてるだけで寂しくて、毎日辛かった。

 この世界に生きるあたしは、ゴップであって、あたしじゃないから。

 求められているのもゴップで、あたしじゃない。

 世界に必要とされないあたしは、世界にないがしろにされているとしか思えなくて、ずっと寂しさを抱えて生きてきた。

 いろんないい人たちとも出会ってきたけれど、それは全部ゴップのもの。

 ゴップとあたしは切り離せないけれど、世界とつながっているのはゴップばかり。

 

「ねぇ、シン。あたしの本当の名前、覚えておいて――宇野サララ。あんたにサララって呼び捨てにする権利もプレゼントしちゃうわ」

 

 ちょっと、何泣いてんのよ、シン。

 そんな泣くようなことじゃないでしょ。

 ちょっと一緒にガンダム世界を変えまくっただけじゃない。 

 ただガンダムが好きだけのあたしに、ちゃんと向き合って、いやいやながらも付き合ってくれてありがとね。

 

 あ、どうしよう。

 だんだんと言葉が思い浮かばなくなってきた。

 あたしの人格が少しずつあいつらのところに流れ出ていっているのがわかる。

 いまのあたしを形作ってきた、大事な記憶が、ちょっとずつこぼれていく。

 ママ、パパ、顔がみえないよ……。

 

『サララっ! サララっ!?』

 

 シン、どうしよう?

 この期に及んで情けない話だけど――

 

「――あたし、死にたくないよ……もっとあんたと、ガンダムの話したかった」

『クソっ! 俺に代われっ! 世界に必要なのはサララのほうだろうがっ! ガノタなら、俺でもいいだろうがっ!』

 

 シンがあたしに絡まっている触手をむりやりナイフで引き裂こうとする。

 けど、ナイフのほうがボロボロになって、小麦粉みたいに散っていった。

 

「ねぇ、シン。あたし、ガンダム大好きなんだ」

 

 どのくらい大好きか、言葉にできないけど。

 毎回新作出たら観ちゃうし、プラモだって買う。

 コミックスだって読みまくるし、富野監督の本だって大好き。

 だから、本当は――

 

「――この世界の続き、みたかったわ。ねぇ、シン。これからエマさんとか、ジェリドとか出てくるのかな? エマさんはヘンケン艦長と幸せになるのかな? あたしが生きてたら、絶対そうなるようにするもん」

 

 ゴップはあの手この手を使ってクリスとバーニィを結びつけたことを思い出す。

 もう、詳細は思い出せなくなってしまったけれど、すごく心が温かくなる。

 

「知ってた? あたし、クリスとバーニィくっつけたんだ。どうやったのか、もう思い出せなくなっちゃったけど……どうだった?」

『最高に決まってらぁ! おい、サララっ!』

 

 そんな激しく揺すられても、もうどうしようもないって。

 体がもういうこと聞かないんだから、楽にさせてよ。

 こいつ、こういうところ、デリカシーないのよね。

 シャニーナが心配だわ。あの子、ちゃんとこのアホを教育できるかしら。

 

「シローとアイナもちゃんと生きてるの。ランバ・ラルとハモンさんも。ガルマとイセリナ、ついでにニナとガトーも。あたし、ちゃんと恋のキューピッドをやったのよ」

 

 そう。

 ガンダムは愛のものがたり。

 ほかのガノタがどう思っているかは知らないけれど、あたしはそう思ってる。

 それが、あたしのガンダム。

 

「愛って、素敵だと思わない?」

 

 悲しいおはなしを、あたしは全部変えちゃった。

 だからかな。

 運命を捻じ曲げすぎたから――こうなったのかも。

 

「シン、寒い……寒いよ……」

 

 もう体の底から冷え切ってしまっている。

 死期が近いのがわかる。

 ああ、どうしよう。

 シンにたくさん言わなくちゃいけないことがあったのに、全然いえないわ。

 

「――最後にお願いがあるの。嘘でいいから、あたしのこと、愛してるって言って」

 

 あたしはこっちに来て愛されたことなんてなかった。

 だって、ゴップだもん。宇野サララなんて子はいないから。

 

『愛してるっ! サララ、愛してるに決まってるだろっ! お前みたいな最高のガノタと会えて――俺は、本当に感謝してる。まるで家族みたいで……』

 

 しかたないなぁ。ギリ合格。

 女の子に対しての愛の告白にしちゃ暑苦しいけど、まぁ合格かな。

 シャニーナ少尉を相手するときは、もっと洗練させないと不合格だぞ。

 

「ほら、遠慮せずにもっといいなさい。サララのことが大好きですって」

 

 だけど、シンは言葉に詰まって、泣いてばかりだ。

 なんて情けないやつなんだろう。

 もっと、傍で支えてやりたかったな。

 

『俺を……俺を、おいていかないでくれ』

 

 シンの心がヴィジョンとして見える。

 そっか。こいつも寂しかったんだ。

 第八八期戦闘チルドレン。訓練所。戦場。焼付記憶。思考ベクトル制御。パワードスーツ。

 村を焼き、街を焼き、敵をたくさん殺した男。

 

 あたしと一緒。可哀そうな奴なんだ。

 

 でも、こっちに来てからは、こいつ笑ってばっかり。

 バカなことばっかりやって、あたしに怒鳴られて――

 そっか、家族か。

 こっちの世界で作れなかったと思ってたけど、あたしにも家族がいたんだね。

 

「――ねぇ、シン。そこにいる?」

 

 もう何も見えない。

 たぶん、すべてが終わるときが来たんだ。

 どうしよう。

 どうしよう。

 どうしよう。

 やっぱり、寂しいよ――

 

 

 

 

 シン大尉はヘルメットの中の涙に邪魔されながら、必死にサララを呼ぶ。

 すでにDG細胞の巨大な脳みそは形象崩壊を起こしつつあり、まるで別の時空にでも吸い込まれるかのように、粉吹雪となってどこかへと消えていく。

 

『――シン、あたしを離さないで……』

 

 とても弱々しく響く彼女の声に、シンは呼びかけることしかできない。

 

「絶対に、絶対に離すもんかっ!」

 

 しかし、シン大尉の想いは通じない。

 DG細胞とともに、彼女もまた、指先から粉吹雪となって形象崩壊を起こしていく。

 

「あぁ……」

 

 必死になって、シンは散っていく彼女を集めようとする。

 しかし、努力もむなしく、彼女は崩れ、消えていく。

 

「あ……」

 

 いつしか、手元には何も残らなかった。

 ただ虚空を抱きかかえるシンは、己が何もできなかったことを否応なく思い知らされた。

 

 UC0083年12月13日 未知の地球外生命体は自己崩壊し、消失した。

 空間に残留物はなく、その正体を検証するすべはなく、人類は恐るべき何かが宇宙にはあるのだということを思い知らされた。

 取り込まれた犠牲者たちの遺体も消失し、軍は遺族に対して困難な対応を迫られることとなった。

 

 同日、地球連邦軍元帥たるゴップの戦死が発表された。

 

 連邦市民の動揺は激しく、連邦政府は軍がいまだ健在であることを示すことを迫られた。

 しかし、地球外生物との戦闘により戦力の大半を失ったゴップ派の戦略機動軍、そしてレビル将軍のエゥーゴは、その軍内プレゼンスを大幅に失っていた。

 

 戦場に遅れて到着したことにより、もっとも損害が少なかったジャミトフ派の戦力を中心に、連邦軍の再編を行う旨をジーン・コリニー大将が政府に具申。

 地球外生命体対策及び制宙圏確保のための特別宇宙軍として、ジャミトフを筆頭とするティターンズが結成された。

 すべては、連邦市民を安心させるための、善意に基づいた強権的宇宙軍の結成であった。

 

 




ねぇ、シン。あたし、ガンダムも大好きだったけど、あんたも大好きだったよ。

――シン大尉が崩れゆく彼女から最後に感じ取った思念
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。