・クオーラ王国の不穏な噂についての調査依頼をギルドに押し付けられた
帝国領内を移動していたときは順調だった。
なにせ乗合馬車代や宿代が経費として計上できるのだ。
普通の依頼の場合は冒険者の自己負担となるので、いかに帝国がこの件に対して本気かというのが分かるだろう。
肝心の人材を外注していく姿勢は疑問が残るのだが。
なんていった細かなツッコミどころに気づかずリアラは国境にたどり着いた。
いや、厳密には
クオーラ王国は崩壊してしまったのだから。
まあその領土を切り取る事前調査としてこの依頼が出されたということなのだが。
ここまで来ると馬車は通っておらず、商人も不気味がるような噂が多発していた。
元国境を横切った瞬間に異様な魔物が徘徊している様子が見えてしまった。
どういうわけか、この魔物は国境を越えてこないらしい。
明らかになにかあるのだが、リアラは変な魔物だとしか認識せず、メモにも残さなかった。
元国境付近の魔物は小さなワームだったり、足元からいきなり白濁液をぶっかけてくる植物だったり、服を溶かしてくるスライムだったりとある意味乙女にとっての天敵だらけだった。
殺意自体はないのでベテランの斥候としての勘が働かず好き放題にされてしまった結果、靴しかまともな装備が残らなかった。
貞操だけはどうにか守りきったものの、この格好で下手な人間の前で姿を表すわけにもいかず、予定していたよりも補給がおぼつかなくて閉口した。
やけに道中に実のなる植物や、綺麗な水があったおかげで餓死することはなかったのが救いだったが。
っと明らかに都合の良すぎる展開だったがリアラは運が良かったのだろうで済ませてしまった。
道中に点在する村に無警戒に入ったらそれはそれで誰かにとって面白い展開になっただろうが、そこだけは勘が働いたらしい。
それにしても元国境を越えてからやけに気分が盛り上がるときが多くなった。
それを納めようとする回数も自ずと増えてきたが、露出に慣れてないだけだろうでリアラは一蹴してしまった。
リアラは依頼以外の植物にも魔物にも興味がなかったためである。
まあ知識があったとしてもここの動植物の生態自体が異常に変化していたのだが……
そのあたりの知識がなかったお陰で精神ダメージを受けずに済んだリアラは一週間以上かけてようやく元王都であろう場所にたどり着いた。
王都らしい大きな建物が見えたあたりで自分の格好を再認識したが、人間の気配はないのでとくに恥ずかしい目には遭わないだろうと思った。
帰ったときに自分の格好が恥ずかしい問題からは逃れられないが完全に現実逃避していたのだ。