最強の式神…になってしまった男   作:ゴマだれ

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コメントでちらほら意見のあった
ナガンヒロイン案についてアンケートとったら思いの外ナガンヒロイン肯定派が多くてビビった…
という訳でナガンはヒロインとして書かせていただきます


[急募] 原作主人公の育て方

 

1:最強の式神

HELLO(BB(バルーンボーイ)風)

 

2:名無しの転生者

イッチィ!

 

3:名無しの転生者

辞めてくれイッチ、その挨拶は俺に効く

 

4:名無しの転生者

All20…盗塁王…うっ頭が…

 

5:名無しの転生者

やめろぉ!

 

6:名無しの転生者

分からない人は『FNAF2 BB』でググるんだぞ!

 

7:名無しの転生者

>>6

助かる

 

8:最強の式神

思いの外ダメージ受けまくってて草

 

9:名無しの転生者

>>8

キミのせいなんだよなぁ…

 

10:名無しの転生者

それよりもスレ立てたってことは何かあったんか?

 

11:名無しの転生者

取り敢えず近況報告plz

 

12:最強の式神

>>11

おk

ワイ エンデヴァーにストーキングされる

 

13:名無しの転生者

…は?

 

14:名無しの転生者

え、バレた?!

 

15:名無しの転生者

どっちの時だ?!

うずまきかそうじゃない時か?!

 

16:最強の式神

>>15

身バレはしてない

うずまきとして活動中にストーキングされてる

 

17:名無しの転生者

えぇ…

 

18:名無しの転生者

いや、まぁあの世界だと個性の無断使用も犯罪だからイッチがどれだけヴィジランテ活動しとようとも法律的に割り切ればイッチのやってる事はヴィランとして認められるからな…

 

19:名無しの転生者

>>18

そういや本編でも爆豪救出に行ったメンバーは本来、除籍が妥当な処罰だったらしいな

それを見越して考えるとエンデヴァーに追われてるのは分からなくもないんだが…

 

20:名無しの転生者

というかイッチはエンデヴァーとやり合ったんか?

 

21:最強の式神

>>20

うん、とはいえお互いに力をセーブした状況だったけど普通に俺の方が圧倒的に強い

 

22:名無しの転生者

つまりこうか

イッチ(魔虚羅の姿)>梅干し=オールマイト>イッチ(うずまきの姿)>越えられない壁>エンデヴァー>他のプロヒーロー

 

23:名無しの転生者

>>22

何か納得出来る

ただ、うずまきの時でも梅干しとオールマイトには勝てるのでは…?

 

24:最強の式神

>>23

実はヴィジランテの時は身バレ防止の為に方陣は出さないようにしてるから魔虚羅の適応能力を実質縛ってるんだよね

 

25:名無しの転生者

>>24

確かに、あの方陣使ってたら直ぐに足が着くからな

少なくとも梅干しもうずまきについては調べてそうだけどうずまき=魔虚羅という事実に気付いてないのは完全に人前で方陣を封印してるからだもんな

 

26:名無しの転生者

>>24

そう考えるとこの強さ関係は妥当か…?

 

27:名無しの転生者

>>26

めっちゃ妥当だと思う

オールマイトも何やかんやあって戦闘中でも限界突破してPLUS ULTRA して強くなって来るからな

 

28:名無しの転生者

>>27

えぇ…

魔虚羅とは別方向の適応能力(ゴリ押し)やん

 

29:名無しの転生者

>>28

適応能力とは…?

 

30:名無しの転生者

>>29

脳までたっぷりの筋肉なんでしょ

 

31:最強の式神

まぁ、ストーキングされてるって言っても割と一緒にヴィラン退治とかするけどね

 

32:名無しの転生者

ハァ!?

 

33:名無しの転生者

え?

 

34:名無しの転生者

いやいやいや!?

どういう事?!

 

35:最強の式神

>>34

ストーキングというか追われてるというか…

まぁ、逃げてる途中に何も関係ないヴィランとかが出てくることがあるんだよね

 

36:名無しの転生者

…あー、それで2人で共闘して倒すと…

 

37:名無しの転生者

最強のヴィジランテとNo.2ヒーローのデスコンボ…

 

38:名無しの転生者

これエンカした側からしたらクソゲーだろ!

 

39:名無しの転生者

いやまぁ、ヴィランしてる方が悪いけど何か…かわいそうだな

 

40:名無しの転生者

>>39

ホントそれ、同情したくなる

 

41:最強の式神

そのせいか

エンデヴァーのサイドキックとも顔馴染みになっちゃった、キドウさんとかバーニンさんとかオニマーさんとか

 

42:名無しの転生者

>>41

さらっと馴染んでんじゃねぇか!

 

43:名無しの転生者

何だこのイッチの謎コミュ力…

 

44:最強の式神

因みにこの共闘のおかげで

犯罪率が劇的に下がって結果的にエンデヴァーの人気が少し上がりつつある

 

45:名無しの転生者

>>44

そりゃ、そんな理不尽コンビがヴィラン活動中に乱入してきて瞬殺されるとあればヴィラン何てやってられんだろうよ

 

46:名無しの転生者

オールマイトとエンカするより逃走成功率低そう

 

47:名無しの転生者

>>46

最早フロムの負けイベボスよ

 

48:名無しの転生者

>>47

2人「ヴィランよ、卑怯とは言うまいな?」

 

49:名無しの転生者

>>48

踏み躙られそうなエンデヴァーとうずまき

 

50:名無しの転生者

あと他に何かある?

 

51:最強の式神

>>50

私生活とかだと筒美さんが偶に玉犬に抱きつく代わりに俺に抱き着いてくる事くらいかな?

 

52:名無しの転生者

は?(殺意)

 

53:名無しの転生者

あ"??

 

54:名無しの転生者

なんだァ?テメェ…

 

55:名無しの転生者

有罪(ギルティ)没収(コンフィスケイション)死罪(デスペナルティ)

 

56:名無しの転生者

イッチは喧嘩でも売ってんのか!?

 

57:最強の式神

俺に言われても…

 

58:名無しの転生者

ただイッチのパパ黒ボディの胸筋とかやばそう

 

59:名無しの転生者

まぁ、イッチ

ナガンさんを幸せにしろよ

 

60:最強の式神

>>59

まだそういう段階じゃないだろ

 

61:名無しの転生者

は?

 

62:最強の式神

>>61

そもそもな話、まず梅干しの問題が何も解決していない以上、俺が今世を考えるのは梅干しぶん殴ってからだろ

 

63:名無しの転生者

…せやな

ちゃんとケジメはつけないとな

 

64:名無しの転生者

まぁ…何も考えずにやった例が本編にもいますから

 

65:名無しの転生者

転弧ぉ…

 

66:名無しの転生者

あれは…まぁ、うん

 

67:名無しの転生者

あの優しさの空回りよ

 

68:名無しの転生者

で、本題はよ

 

69:最強の式神

実は今回、今までよりも重要かもしれん

 

70:名無しの転生者

ほぅ…?

 

71:名無しの転生者

言ってみろ

 

72:最強の式神

ワイ 原作主人公と出会う

 

73:名無しの転生者

へー主人公かぁ

 

74:名無しの転生者

もうそんな時期かぁ…

 

75:名無しの転生者

 

76:名無しの転生者

 

77:名無しの転生者

 

78:名無しの転生者

 

79:名無しの転生者

待て待て待て待て!!

 

80:名無しの転生者

は?

原作始まったのぉ!?

 

81:最強の式神

いや、小6だったからまだやで

 

82:名無しの転生者

ならなおさら、どういう経緯で出会ったんだよ!

 

83:最強の式神

>>82

おk

あれは、俺がいつも通りヴィジランテ活動をした帰りだった…

 

84:名無しの転生者

ふむふむ

 

85:最強の式神

通りがかった公園のベンチで泣いてる子供がいたのよ

ちょっと見過ごせ無かったから話し聞くことにしたのよ

 

86:名無しの転生者

イッチ優しいなぁ…オイ

 

87:名無しの転生者

>>86

あんな世界でほぼ善意でヴィジランテ活動をする男だ

面構えが違う

 

88:最強の式神

そしたら、何か幼馴染の子に『お前は無個性だからヒーローになれねぇんだよ!(意訳)』的な事を言われたんだってよ

 

89:名無しの転生者

まぁ…無個性だと厳しいよな

 

90:名無しの転生者

こればっかりは爆豪の方が正しいのかもしれない

 

91:最強の式神

それで話聞いて慰めてるうち聞いてきたんだよ

『無個性の僕でもヒーローになれますか?』って

 

92:名無しの転生者

おお!?

 

93:名無しの転生者

これ何て答えるかで大分変わってくるぞ…

 

94:最強の式神

でも、俺正直少しカッチーンて来た訳よ

だから言ってやったんだ

『そんな事を他人に決めさせてるお前は絶対にヒーローにはなれない』ってね

 

95:名無しの転生者

い、意外にも辛口…

 

96:最強の式神

勿論、鳩が豆鉄砲食らったような顔してたから逆に聞き返してみたんだ『君はヒーローになる気はあるのか?』って

 

97:名無しの転生者

そうなんだよなぁ…

 

98:名無しの転生者

実際初期の緑谷ってタダのヒーローオタクで体とか全く鍛えてないから本当にヒーローになる気があったのかさえ怪しいよな

 

99:最強の式神

『そもそも他人にヒーローになれるか聞くって事はお前はなれないって思ってるって事だろ?お前が本当に欲しいのは現実と理想の擦り合わせのできない自分が諦められる理由だろ?』

とか結構キツイこと言ったんよ

 

100:名無しの転生者

超ド正論なんよこれ…

 

101:名無しの転生者

>>99

たびたび

『緑谷はヒーロー科に受かるなんて思ってなくて諦める理由が欲しかった』とか言われてたしホントここの解釈は同じなんだな

 

102:最強の式神

そんで最後に

『ヒーローになれるか否か、それを決めるのは俺じゃない、君自身だ』って言った上で

『君はヒーローになりたいのか?』ってもう一度聞いたんだ

 

103:名無しの転生者

レプリカ先生の言葉やん…

 

104:名無しの転生者

この流れってもしかして緑谷強化フラグでは…?

 

105:最強の式神

そしたら

『無個性の僕でも…誰かを助けられるヒーローになりたいです!』って泣きじゃくりながら言ってたよ

 

106:名無しの転生者

おおお!!

 

107:名無しの転生者

これOFA習得前に筋トレして魔改造されるのでは!?

 

108:最強の式神

でまぁ、ここまで発破をかけたのは俺だし折角だから鍛える事にしたんだ

 

109:名無しの転生者

マジか!?

 

110:名無しの転生者

何この梅干し討伐RTAの最短チャート踏んでいく男

 

111:最強の式神

因みに別れ間際に名前聞いて俺絶句した

そこで初めて原作主人公である事に気付いたわ

 

112:名無しの転生者

そこで気付いたのかよ!!

 

113:名無しの転生者

…て事はあの言葉全部イッチの本心なのかよ!!

あれが何も知らずに口から出てきたという事実が1番ビビったわ!

 

114:名無しの転生者

何だこの無自覚ヒーロー…

 

115:名無しの転生者

イッチ、アンタを尊敬するぜ

 

116:名無しの転生者

イッチ、お前がNo.1だ…!

 

117:名無しの転生者

>>116

ブウ編のベジータ

 

118:最強の式神

因みに別れる前に俺の特製筋トレメニューと連絡先渡しておいた

 

119:名無しの転生者

でかした!

 

120:名無しの転生者

これは歴代個性もすぐに使えるんじゃないか…?

 

121:名無しの転生者

>>120

アレって心操くんの洗脳でOFAの面影自覚して初めて使えるみたいな感じじゃないの?

 

122:名無しの転生者

>>121

だとしても知覚してから直ぐに使えるのはかなりデカい

下手したら第一次決戦ですべての個性が使えるまである

 

123:名無しの転生者

>>122

いきなり発勁使うデクとかマジで無理ゲーやん…

 

124:名無しの転生者

何はともあれ

これかなりの原作ブレイクになるのでは…?

 

125:最強の式神

取り敢えず言った手前引けないから強くする事は前提でやって行くぞ

 

126:名無しの転生者

おーー!

 

127:名無しの転生者

ようやく梅干し討伐に向かって本格的に動きた出したな…

 

128:最強の式神

という訳で流石に筋トレだけじゃ心許ないし

何か案を求めに立てたのがこのスレや

 

129:名無しの転生者

でも正直な話筋トレだけでも割と戦えそう

相澤先生も純粋なフィジカルオンリーでヴィラン投げ飛ばしまくってたし

 

130:名無しの転生者

>>129

結論それ

あの世界の人間って普通におかしいよな?

個性という概念があるせいで身体機能の潜在能力がイカれてるレベルで上がりまくってんだよなぁ…

 

131:名無しの転生者

>>130

爆豪の個性使わずに67mも中々だからな

あの世界の一般人のレベルって現実より数段上だからな

 

132:名無しの転生者

>>129

でも相澤先生のアレは経験とか技術も込みであれだから基礎的な戦闘術はあった方がええやろ

 

133:最強の式神

>>132

そゆこと、だから実践的なトレーニング法をくれ

ただし式神の力は使わない方針で頼む

安価>>140

 

134:名無しの転生者

場合によってはこれで梅干しの討伐難易度がグッと下がるかもしれんし真面目にやらんと…

 

135:名無しの転生者

イッチと組手

 

136:名無しの転生者

ヴィジランテ活動に同行させる

 

137:名無しの転生者

扱いやすい武術を教える

 

138:名無しの転生者

実践的な捕縛術を伝授

 

139:名無しの転生者

逮捕術を教える

 

140:名無しの転生者

ある程度武術を学んだイッチの影分身と組手をさせる

 

141:名無しの転生者

ヴィジランテの活動現場を見せる

 

142:名無しの転生者

>>140

これは悪くないのでは?

 

143:名無しの転生者

>>140

これなら戦い方とか使う技も勝手に盗む緑谷相手ならかなりの効果になりそう

 

144:最強の式神

>>140

おk

取り敢えず使えそうな奴とか探してヴィジランテしてる時にマスターしてくるわ

 

145:名無しの転生者

>>144

あ、そっかぁ…

君は実戦でトレーニングできるもんね…

 

146:最強の式神

>>145

流石に習得に少し時間が欲しいし

本格的に組手をやるのは3ヵ月後くらいにしとく

 

147:名無しの転生者

>>146

それがいい

ヒョロヒョロの緑谷にも体力つくにはそこまでやった方がいい

 

148:名無しの転生者

あとイッチ

基本的な応急処置のしかたとか勉強しといた方がいい

 

149:最強の式神

>>148

了解、組手で怪我したら面倒いからね

 

150:名無しの転生者

>>149

イッチが緑谷専属のインストラクターに…

 

151:最強の式神

>>150

やるなら徹底的によ

気合い充分な緑谷くんにも申し訳ない

 

152:名無しの転生者

そう言えばイッチはOFAについてはどこまで聞いてるの?

 

153:最強の式神

>>152

初めてスレ立てた時に少しだけ聞いたけど譲渡可能な超パワー個性としか…

 

154:名無しの転生者

>>153

…まぁ、今のところはその認識で充分や

 

155:名無しの転生者

ここからは時間との勝負だな

 

156:名無しの転生者

雄英入学…いや、オールマイトと出会うまでどこまで強くなれるか…

 

157:名無しの転生者

最低でもエアフォースが使える20%までは行きたい

 

158:名無しの転生者

そこはイッチの手腕にかかってるな

 

159:最強の式神

>>158

プレッシャーやべぇな…

取り敢えず今後はスレ立てることも増えるかもしれんからそこら辺宜しく

 

160:名無しの転生者

おうよ!

 

161:名無しの転生者

任せとけ

 

162:名無しの転生者

梅干しぶん殴る為にも緑谷を強くするんや!

 

 

 


 

12月某日

肌寒くなり各地で雪が降り始めるこの季節

そんな日も明けて間もない頃にとある少年は駆けていた

 

「ハッ…ハッ…」

 

一定のテンポで刻まれる呼吸音は少年が鍛錬を怠っていないことを暗に示していた

もし、鍛えもせずにこの速さで走っていたら瞬く間に息切れを起こし動けなくなっていただろう

 

そうして少年は目的地でもある公園へと辿り着く

 

「遅くなってすいません!()()!」

 

「気にするな、こんな朝早くに呼んだのは俺だ」

 

少年に師匠と呼ばれた男は動きやすい格好で少年を待っていた、鍛え上げられているその体は只者ではないことを感じさせるには充分だった

 

「あれから1日も筋トレを怠ることなくやり続けてたみたいだな」

 

「はい!お陰様で体力も力も増して、学校で絡まれることも少なくなりました!」

 

3ヶ月前、緑谷が師匠と呼ぶ男こと十種魔虚羅と会ってから緑谷は今まで『憧れ』として見ることしかしていなかったヒーローという夢を明確な『目標』として捉え、決意を新たに筋トレを続けた

 

初めこそ揶揄う者は多く何度も罵倒された

しかし、それでも折れぬ緑谷の決意を目の当たりにしたのかいつの間にか自身の周りで起きていたイジメはほとんど無くなり、緑谷に対して口には出さぬものの心の中で応援する者は少なくなかった

 

「それで…今日は何をするんですか?」

 

「…今までは体作りをメインに筋トレや食事のメニューを変えたりしてきたが、ここからが正念場だ」

 

「正念場…!」

 

今までより真剣な空気に包まれる場に緑谷も少し身構える

 

「緑谷、抹消ヒーローイレイザーヘッドを知ってるか?」

 

「!はい、世間一般からの認知度があまり高くはないけど

視た者の個性を抹消する強力なヒーローですよね!」

 

「そうだ、だが異形型の個性には通用しないという弱点もある」

 

「そうなんですか…あれ?じゃあ…」

 

「気付いたみたいだな」

 

イレイザーヘッドの個性を消す力は万能ではなく異形型の個性には通用しない、ならばどうやって戦っているのか

それはシンプルな徒手空拳でありそこには個性も何も無い、唯一捕縛武器を使用しているが基本は素の力で戦う

つまり…

 

「緑谷にも異形型の個性を倒すことの出来るポテンシャルは十分にある…しかしあれは豊富な実戦経験と戦闘慣れによるものでもある…そこで」

 

「組手…ですか?」

 

戦闘において勝敗を大きく分ける要因は主にふたつ

1つは純粋な強さ

そしてもう一つは経験である

しかし、経験は強さに比べて得づらいものがある

そこで組手を行い相手の『倒し方』つまるところ崩し方を覚える事が緑谷の第一歩である

 

「とはいえ…やるのは俺じゃない」

 

「え?師匠じゃないんですか!?」

 

「俺の『個性』とやってもらう」

 

ズズズ…

 

魔虚羅の足元から出てきたのは緑谷と同じくらいの身長の真っ黒な人型である

 

「コイツは俺の個性で作った影人形

パワーも中々あって倒すにも一筋縄じゃ行かない」

 

「目標は…これを倒す事ですか?」

 

「そうだ、コイツで相手と戦う上でのやり方とかを学んでもらう…だがコイツも考え無しにただ殴ってくるわけじゃない、自立思考を行い最適な手を打って来るから手強いぞ」

 

「問題ないです!」

 

「よし、それじゃあ早速やってみよう」

 

お互いに距離を取り、構えをとる

緑谷は見様見真似の不格好な構えだが影の方はしっかりと相手を正面に捉えいつでも拳を打てる体勢になっている

 

「位置について…始め!」

 

ダッ!

 

(速い…!)

 

合図とともに影は距離を詰め拳を放つ

既のところで躱すが続けざまに飛んでくる拳は止むことは無かった

 

(まずい、このままじゃ防戦一方だ…せめて一撃!)

 

攻撃の合間を縫うように緑谷もカウンターを放つ、しかし

 

ガシッ!

 

(!読まれて――)

 

ドシャッ!

 

「か…はぁ」

 

気付いた時には投げられ、緑谷の視界は空を映していた

一瞬の出来事に受け身も出来ずに肺から空気が出され、しばらく動けなくなる

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい…こんなに差があるなんて…」

 

「怖気付いたか?」

 

「いえ、まだまだこれから!」

 

再び構えを取り、影と合間見える

影も緑谷に合わせて戦闘態勢に入る

 

「…始め」

 

(今度はこっちから…!)

 

次は影ではなく緑谷の方から距離を詰める

しかし、影は少しの動揺も見せずに拳を放つ

 

(初手は右…胴体から顎がガラ空きだ!)

 

拳を避けアッパーを放つ

完全に入るかと思われたが…

 

キィン!

 

「お"…ごぁ…」

 

踏ん張りのために足を開いていたが故に金的を食らう

モロに食らえば男は再起不能になりかねない程の一撃に悶絶する

 

「大丈…ばないなこれは」

 

「ちょっと…休憩…」

 

近くのベンチへと腰をかけペットボトルの水を飲む

少し経ち呼吸も落ち着いてきた頃に魔虚羅が口を開く

 

「まぁ、金的なんてエンデヴァーとかオールマイトにも効く一撃だから…そう落ち込むなって」

 

「はい…」

 

2戦とも一撃すら入れられずに終わっている事実ゆえか緑谷は落ち込んでいた

どうにか場の空気を和ませようと思考を巡らす魔虚羅に緑谷が問う

 

「あの…師匠」

 

「どうした?」

 

「僕…仲の悪い幼馴染がいるんです」

 

「仲直りの仕方か?」

 

「そんな所です…」

 

緑谷はプライドの高い自身の幼馴染『爆豪勝己』の姿を思い浮かべる、自分にはない才能を持つ彼と自分の関係はいいとは言えず緑谷も頭を悩ませていた

 

「喧嘩すればいいんじゃないか?」

 

「喧嘩!?で、でもそれで…」

 

「それじゃ緑谷はそいつと喧嘩した事あるのか?」

 

「それは…」

 

緑谷は今までの幼馴染との関わりを思い返す

確かに喧嘩と呼べるものは今までやっておらず、あるのは一方的なリンチだけだった

 

「別に俺は勝てなんて言ってない、認めさせればいいんだよ」

 

「認めさせる…?」

 

「そう、その感じだとそいつはプライドの高い奴なんだろ?」

 

「う、うん」

 

「なら自分は格下なんかじゃないって相手に示せばいいんだよ、そうすれば緑谷とも仲良くなれるんじゃないか」

 

考えたことすらなかった

自分が幼馴染…爆豪に認められるような人間になること

ヒーローを憧れるものとしてしか見ていなかった頃の自分では想像出来なかった

勝利の権化として追い続けてきたあの背中を超えるという発想は緑谷にはなかった

だからこそ、緑谷を奮い立たせるには充分な言葉だった

 

「そうと決まれば続きだ、やれるか緑谷?」

 

「…はい!」

 

「おー気合入ってるな…それじゃ位置について…始め!」

 

この日、緑谷は影に一撃をいれることはなかったが少しずつ長くなる組手の時間に魔虚羅は確実な成長を感じていた

 

だが、この特訓が未来のNo.1ヒーローの武勇伝として語られるのはまだ先の話である

 

 





・原作主人公
イッチの厳しい言葉に心を入れ替えヒーローを本格的に目指すことにした、多分クソ強くなる
とある幼馴染と拳で語り合って和解する未来が…?

・殴られることが確定した主人公の幼馴染
無個性の幼馴染が頑張り始めて一番驚いてる
この先幼馴染を認める未来が…?

・銭形みたいなエンデヴァー
ヴィラン退治の現場にたまに鉢合わせて追いかけっこをする、そして共闘する
うずまきが善性の人間であることには薄々気づいてる

・ナガンさん
最近主人公に特訓をつけたり連絡を取る姿を見て少しモヤモヤしている人
その結果距離が縮まってボディタッチが増えた


次回『テメェらは俺を怒らせた…』

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