バ美肉系決闘者お嬢様筋肉おじさんの往く遊戯王VRAINS 作:mazy
久しぶりのお嬢。
「──さぁお食らいなさいな!
「イワァアアアアク!!!」LP0 ピー
『決まった!!』『墓地の罠は5種…攻撃力4000でワンターンキゥ…』『頭に「お」を付ければお嬢様になると思ってる精神異常お嬢様』『成功率50%しかなさそうな技名で草』『今日も絶好調やね』
魔神像が振り下ろした大剣の風圧で吹き飛んでいく挑戦者。
初手で《手札抹殺》を使ってきたから何事かと思ったが、単純に事故っていただけだったようだ。更に引いた手札も出せるモンスターがいなかったようで…ライフ4000の決闘はこういう自体が稀によくある(どっちだよ)のが恐ろしいよホントに……一瞬の隙を突いて相手を倒す構築をするのか、とにかく事故っての即死を避けるために安定を目指した構築をするのかは、この世界での大きな悩み所さんだ。(尤も、カリスマと呼ばれるような一定レベルの決闘者は安定の初動と一か八かの隠し球を入れても事故らずにデッキを回せてしまうのが実のオカルトである)
「オーホッホホホホホ!!お好きにコメなさいな愚民の皆様!! ワタクシはいつでも! 我が城に挑む勇気ある挑戦者をお待ちしておりますわ~!!」
風雅と『共犯者』の関係になってから早くも二ヶ月が経ち、季節はもう夏真っ盛りである。
その間自分が何をしていたかというと……実は、これまでと特に大きな変化も無いまま、LINKVRAINSにログインを繰り返しての連日連夜の決闘三昧である。
こんな時は、筋肉と決闘の腕さえあれば大体なんとか出来そうな他の遊戯王世界が羨ましくなる……なるか?……いや、美少女アバターでバ美肉生活出来るというそれ一点で遊戯王VRAINS世界一択だな!!(彼は狂っていた)
さておき、なかなかいい眺めを見せてくれそうな金髪の決闘者君は敗北のショックで意識が飛んでシステムの安全機構が働いたのか、倒れたままログアウトしてしまった。
今の時刻は夜の11時。夜配信をスタートしたのが8時からだったから、なんだかんだ三時間経っていたか。今日の挑戦者は今の彼で七人目、体力的には全然余裕だが(というかここ数年体力消費が原因で何かをやめたという覚えがない)、どうしたものか……。
駄弁りながら、人気の無くなった路地裏を歩く。夏休みシーズンとはいえ、この時間になるとログインしている人間は少なくなってくるか。
「愚民の皆様~? 今宵はもう挑戦者はおられませんの~? ワタクシ少々、退屈でしてよ~? ……皆様方が、弱いから……!!」
『この底無しの決闘馬鹿!』『いててててて』『こっちにも衝撃が来たぁ!』『決闘馬鹿じゃない者だけがスパチャを投げよ』『そしてイエスだけがスパチャを投げた』『毎日連戦してんのによくもまぁ疲れねぇよなぁお嬢』『知れば誰もが望むだろう!お嬢のようになりたいと!!』
こんな時は視聴者と戯れるのも楽しいものだ。自分以外のDentuberはそもそもコメントビューを開かなかったり、開いてたとしても強めにフィルター設定をかけてるのが多いが、自分は顔が見えないからこその言いたい放題の闇鍋状態も、これこそネット!という感じで結構好きだ。……まぁ、たまに出てくるR-18なアレコレは流石に若年の視聴者のことを考えて弾くようにしてるけども。
「皆様、ちゃんとワタクシの決闘講座は観てくださってますの? ドローの修行よりも先にデッキの事故率を下げるために出来ることは沢山ありましてよ~」
『観てるよ~』『寝る前に観ると良く眠れるんだ』『マンツーマン形式のASMR講座いいゾ~コレ』『せーの
っ。いらっしゃ~#運営に削除されました』『いにしえの無茶しやがって……』『真面目に勉強になるから観てます』『デッキ構築のツボいいよね』『知ろう!リンク召喚以外のエクストラデッキ活用法!!もタメになるぞ(なおリンクモンスターすら持ってない)』『俺の最強リンクモンスターのリンクルベルを分けてや』
「……あら?」
急にコメントビューの読み上げが止まった。おかしいな……どこも操作してないはずだが?
立ち止まり、仮想コンソールを立ち上げようとする。しかし、何故か立ち上がらない。不具合か?しかもそれどころかいつの間にやら配信ウィンドウも閉じてしまっている……?
「──霊迷院アリアだな?」
「……そういうアナタはどなたかしら? 残念ながらサインは基本的にお断りしてますのよ」
背後からの問いかけにこちらからも問いを重ねつつ、振り返る。さて誰だろう……声は聞き覚えがないが……なんて、しらばっくれてもしょうがない。
顔の上半分を覆う、左右非対称な奇妙な
自分はコイツ──正確にはコイツという個人では無いだろうが──を知っている。いや、
──以前にも話したが、遊戯王VRAINSは大きく分けて三つのストーリーで構成されており、その一つ目のストーリーでは、主人公達の前に敵として立ちはだかるとあるハッカー組織が存在する。
彼らはリーダーである一人の男と、"三騎士"と呼ばれる幹部以外は全員、同じ姿のアバターを共有している。そんな一山いくらのやられ専門のザコ(狂った独裁者並みの形容)扱いの彼らの内の一人が今自分の目の前に立っていた。
「……
「何を……」
「──"ハノイの騎士"」
「ッ!!!」
「最近噂になっていますわよ、アナタ方?
大物風に現れた所申し訳ないが──誰が呼んだか"モブハノイ"──目の前に居る男が狼狽する。
「
「……ふ、ふん……噂か。否ァ!
こっちが何も知らないと思ってか、随分と口が軽い。実に量産型のサンシタ・ハノイらしい物言いで、こちらも助かる。この調子でどんどん気持ち良く喋らせて情報を吐いてもらうとするか。あ、そうだそうだ、視界録画ONっと。
「破滅……ですって!?」
おっ、我ながらなかなか真に迫った声が出た。
「その通ォーり!! そしてその手始めとして、いずれ計画の障害になるだろう貴様をこの私が!倒し!!そしてリボルバー様にお褒めいただくのだ!!クク
……フフフ、フゥ~ハハハハッ!!!!」
ハイ、上司のお名前いただきました、と。にしてもちょっと乗せすぎたか? なぁんか妙にテンション高いなコイツ……。
現実とは異なる優れた存在としてのアバターを被ることでその役に人格を飲まれてしまうというのは、発達したデジタル技術のもたらした弊害だな。全く実に嘆かわしいことだ。そうだろう?(彼は狂略)
「計画だかなんだか存じ上げませんが、売られた決闘は定価で買うのがこの霊迷院アリアの矜持!! 受けて立ちますわよ、
「ほざくな小娘ェ……!! リボルバー様から授かったこの最強デッキで、私こそが真に優れた騎士であることを証明してやる!!」
「「
ARIA VS 縺翫°繧翫s
「アレが霊迷院、アリア……」
──そんな二人の様子を物陰から伺う人影が、一つ。彼の正体は、
というわけで短めですが、モブハノイ戦スタート+αです。
多分サックリ終わると思います。
本編スタート前に主人公以外の視点からの番外編を入れようと思うのでアンケートにお答えいただくと嬉しいです
-
血に染まらぬ猟犬
-
悩み多き番犬
-
風を追う少年
-
未だ英雄ではない二人
-
悪魔に闘志を燃やす天使
-
燃える闘魂と筋肉