バ美肉系決闘者お嬢様筋肉おじさんの往く遊戯王VRAINS 作:mazy
今回はちょっと短め。
残念ながら決闘は無しです。
藤木遊作。
言わずと知れた遊戯王VRAINS主人公・LINKVRAINSの英雄Playmakerサマ(予定)である。
そう、
それこそが『UNKNOWN』。目の前の彼が名乗った名前である。
「UNKNOWN君、ですか。 お初にお目にかかりますわね! ワタクシは」
「知っている。霊迷院アリア。LINKVRAINSのカリスマ決闘者であり、ランキング1位の女」
「……自己紹介は要らないようですわね。それで一体その名無しさんが」
「その男──ハノイの騎士をこちらに渡してもらおう」
「……」
なんか…コミュ障の波動を感じる!
我らが主人公・藤木遊作。彼は幼少期の経験から他人との繋がりをあまり持たず、作中でも親兄弟の描写すら一切なく、そのぶっきらぼうな話し方などから、遊戯王歴代主人公の中でもぶっちぎりで、コミュニケーション能力に問題があるのだった……!!
いやでも……ここまでだっけか? いや、そうか。今の彼はPlaymakerではない、つまり、現状はまだ
そんな心に余裕のないUNKNOWN君だが、さて
「──渡せ、と言われて黙って渡すと?」
「ハノイの騎士はLINKVRAINSを滅ぼそうとしている。オレはそれを止める。そのためにそいつから情報を得る必要がある……!」
会話が成立しねぇ!!
「なるほど……まるで正義のヒーローみたいなセリフですわねぇ? ですがそれでは彼をアナタに渡す理由には少々足りなくてよ?」
「お前もLINKVRAINSが破壊されるのは困る筈だ。俺は──俺がそれを止める。だからそいつを引き渡してくれ」
「なるほど、なるほど……。それでは彼をアナタにお渡ししましょう……なんて、言うと思って?」
「っ!!」
もっと会話のキャッチボール、しよう!(コミュ提案おじさん)
「アナタの言葉にはウソがありますわ。いいえ、ウソ、というのは少し違うかしら?ハノイの騎士に目的があって、その情報が必要だというのは本当でしょうね。ですが、それが本当に
「ッ!!? ……何が、言いたい」
「アナタの眼──深い絶望と怒りを湛えていますわね」
「……」
対面してわかったけど、その表情、そして何よりもその眼。とても弱冠14歳前後の少年のものとは思えない。同じロスト事件被害者の風雅もまた、どこか表情に影があるとは思うが、彼は家族も健在だし、目の前の彼のように過去の記憶の欠損などもなく、何よりも親しい友人を持ち、(少なくとも自分の目から見て)決闘を楽しむ心もちゃんと持てている。
それが
「そんなアナタが単なる正義感でハノイを追っているとは、ワタクシには思えませんわね。」
「お前に何が……!」
「ええ、わかりませんわ。ですが、自分の事情すら何も話さずに他人に信用してもらえるだなんてムシのいい話はこの世界にありませんわよ?」
──いや、少しはあるかな…? この間の風雅は割と無条件でこっちのこと信じてくれたし……いやでも、風雅と自分はこれまでに築いた絆が少しはあるから……。つまりは関係性の問題かな……? 現状アリアとしてUNKNOWNを信用する客観的な根拠は何も無いし。
「……それは」
「言えないなら別に言えないで
「……クッ」
まぁ、言えないよなぁ。SOLテクノロジーのことも信用出来ないだろうし、それと繋がってるのが濃厚な
「ならば、決闘で……!」
「おやめなさい。──
「何っ……?」
多分今の彼のデッキは《フォトン・スラッシャー》や《切り込み隊長》等の横並べしやすいモンスターを使って《電影の騎士ガイアセイバー》等を出して《リミッター解除》等のコンバットトリックで相手を倒すシンプルな【リンク召喚】デッキと考えられる。
正直ロスト事件経験者のデュエルタクティクス込みだとしてもあまり負ける予感はしない……いやコレ負けフラグだな!?
「そ、それにもうSOLセキュリティには通報済みですわ。もうじきここにやってくるんではなくって?」
「……SOLテクノロジー、か」
少年らしからぬ重いため息を一つ。
「今は、退く。だが、ハノイの騎士は俺が必ず倒す。その妨げになるようならば……」
「ええ、その時はその挑戦をお受けしましょう、デモンズ・プリンセス・アリアとして!」
こちらに背を向けてゆっくりと路地裏に消えていくUNKNOWN。その孤独な背中を眺めていて、ふと声が出てしまった。
「──UNKNOWN君。今のアナタには必要な物が
「……ッ!?」
「1つ。真に手にするべき"力"
2つ。目的を同じくする"友"
3つ。そして名乗るべき新たな"名"」
「何を……」
思わず、といった風に立ち止まりこちらを振り返る彼に言葉を投げる。
「
「霊迷院アリア……お前は何を……! クッ……」
振り向いてこちらに駆け出そうとしたUNKNOWNだったが、既に近づきつつあったSOLのセキュリティドローンの放つシグナルアラートが聞こえてきたことで浚巡の後、踵を返した。
「御機嫌佳う、孤独な復讐者さん。アナタが一歩を踏み出せることを願っていますわ」
このセリフは彼に果たして聞こえたかな?
まぁ、どっちでもいいか。
「セキュリティデス。ツウホウシャ ノ レイメイイン・アリア様デスネ?」
ドローンが如何にもロボですよーという合成音声で話しかけてくる。この世界ではリアルな合成音声を作るのなんて大して難しくはないのだが、ドローンの音声は生身の人間では無いということを明確に示すために、こういった機械的な音声になるように定められているらしい。
「ええ、ここにいる彼が何やら怪しげなプログラムを使っているようですので、拘束いたしましたの」
「ぐぐぐ……おのれ……」
UNKNOWN登場からすっかり蚊帳の外状態だったがしっかり拘束されたモブハノイをセキュリティに引き渡す。たいした情報は持っていないだろうし現状だと罪状も大したことないだろうからすぐ釈放だろうなぁ。
「ゴキョウリョク、カンシャイタシマス」
ドローンから射出された牽引ロープがモブハノイを拘束ごと縛り上げて、そのまま浮き上がる。
「うっ、うわ……やめろ!ウワぁ~…ッ!!」
あぁ、それでセキュリティの詰所までは空輸なんだ……とんだ晒し者だな。これでモブハノイ君も少しは懲りるといいんだけど…無理かなあ。
ドローンを見送って、ため息を一つ。
「クールなPlaymakerサマ、か」
呆れてしまう。いつぞやもそうだったが、こうして実際に見てしまうまで自分は
クールだなんて、とんでもない。彼はただ、余裕が無いだけだ。
痛ましい、とすら思った。
遊戯王VRAINSは、言ってしまえば暗い物語だ。
主人公はクールな復讐者であり、決闘は常に負ければ全てが終わりの真剣勝負。息抜きの日常回も殆どなく(これは全120話という短い放送期間のせいとも言われてるが)、分かりやすいラブコメはなく、主人公はマイナスからスタートして、そして最後にはこれまでに得たものを失いすらしてしまう。
それでも物語はちゃんと終わりを迎え、完全無欠のハッピーエンドでは無いにしても、ほろ苦いビターエンドくらいには到達していた。
そんな結末も含めて、前世の自分は遊戯王VRAINSというアニメを愛していた。その思い自体は否定する気はない。
だが、そんなアニメの世界に何の因果か転生を果たして、紛いなりにもカリスマ決闘者として物語に関わることが出来る存在になった今、
そんな自分が彼に──
朧気に抱いていた自分の
前日譚としては後2、3話で終わって、本編スタートに行こうと思います。
主人公の
本編スタート前に主人公以外の視点からの番外編を入れようと思うのでアンケートにお答えいただくと嬉しいです
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