バ美肉系決闘者お嬢様筋肉おじさんの往く遊戯王VRAINS   作:mazy

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お待たせしましたァー!!




6話 風来①

「──さん?……ーい、ミノさん!聞こえてるッスか?」

 

「──ムッ」

 

 彼の顔を見て、思わず過去を想起してしまっていたようだった……。

 小さくかぶりを振って、怪訝な顔を見据える。

 

「すまない……一年程意識を失っていたようだ」

 

「いやいやいや!十秒くらいだったッスよ!!?」

 

「む、そうか……」

 

「そうッスそうッス……ミノさんもそういう冗談とか言うんスね」

 

「……」

 

 いや、冗談ではなくそれくらい過去回想をしていたような……いや、まあいいか気のせいだろう。

 さておき、こうして自分が風雅とジムで出くわすのは珍しい話ではない。その経緯はまた後で語るとして、こうして出会った以上やることは一つである。

 お互いにトレーニングウェアで向き合い、視線を交差する。

 

「――始めよう」

 

「ウッス」

 

 そう、()()()()()()

 

 遊戯王という作品を語る上で、欠かすことの出来ない一つの要素が存在する。

 それこそが"決闘筋肉(デュエルマッスル)"。

 何故か知らないが、遊戯王においては決闘者というものは現実ではありえない異常な肉体強度を持っていることが多い。例えばとあるキャラはガードマン複数人を相手にして昇竜拳からの回転蹴りで一人で完勝したり、高速で走行するDホイール(バイクのようなもの。空を飛ぶ物も指す)からダイナマイトの爆発に巻き込まれて崖から落下して全身を強かに打ち付けても無事だったりする。それだけでなく、死にかけのよぼよぼの老人であっても強大なカードの力を得て決闘者として再起すると同時に若々しい筋肉ムキムキの肉体を得たりもする。力isパワー。健全なる肉体に健全なる魂が宿るとは限らないが、強力な決闘者の多くは同時に強靭な肉体を持っていることが多い。

 それを指して、誰が呼んだか"決闘筋肉(デュエルマッスル)"。

 決闘者の肉体には、計り知れない身体能力が秘められているのである。それを()()()()()()()()()自分だからこその、これは一つの策である。

 

「今日はこのバーベルを使った訓練を行う」

 

「……ッス!」

 

 ()()()()()()2()0()0()k()g()()()()()()を風雅に渡す。

 それを両手で受け取った風雅は、一瞬表情を歪めるが、すぐに不敵な笑みをこちらに向ける。

 風雅を鍛え始めて二年。もう()()()()()なら体幹を揺らさずに持てるようになった。

 ジムにいる他のトレーニー達の一部がどよめいた。反応しないのは自分たちのことを知っているか、そもそも自分の筋肉との対話にしか興味のない求道者である。

 それに気を良くしたのか、風雅の集中が切れたのを察した自分は、少し彼を試すことにした。

 

「シッ」

 

 全力の()()ほどの力で行う足払い。それでも今の風雅なら辛うじて目で追えるかどうかというスピードである。

 

「えっあっうわッ!?」

 

 ()()()()()()()()()()全力のバックステップでそれを躱した風雅。

 

「あっ、危ないじゃないッスか!!!?」

 

「危険性は無いと判断した」

 

「え~……」

 

「それよりも、気を抜いてはいけない。いつ何が起きても冷静に判断することこそが、風雅には求められているのだから」

 

「それは……まあ、俺自身わかっているッス……」

 

「──それに、あの程度の不意打ちであれば今の風雅には危険性は無いと、自分は判断していた」

 

「……ッス!」

 

 そこで明るく笑みを浮かべるのだから、実に素直でしごき甲斐のある()()である。(チョロいとも言う)

 いざという時に風雅の身を助けられるのは、他でもない彼自身だ。最初はどうなることかと不安ではあったが、彼は素晴らしい決闘者の素質だけでなく、決闘筋肉の素質をも持っていた。それを伸ばすのが、今の自分が彼に出来ることのうちの一つである。

 

「では、今日はバーベルを水平に維持したままトラックフィールド内を駆け巡る障害アクション訓練を……」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

――もう、俺は風に吹かれるように流されて生きたくない――

 

――俺は俺自身が笑いたい時に笑って、怒りたい時に怒って、そして――

 

――自分自身の死に方は、自分で選びたいんだ――

 

 

 

 あの日、彼が誓ったその言葉を彼自身が守護れるように。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「死ぬ、かとおもった……ッス……」

 

「ム、今日はこんな所でいいだろう。よく、頑張った」

 

 トレーニングを終え、息も絶え絶えの風雅に特製のプロテインドリンクを渡す。

 

「あ……ありがとうござい……ッス。うわ、相変わらずうまっコレ……甘いとかしょっぱいとかそういういろんな味がこう……渾然一体となって"うまい"という感想しか出てこない……ッス」

 

 自分も風雅に渡したものよりも()()()()()()それを飲む。うむ、美味い。決闘筋肉養成液ver.14.4は成功だ。シジミエキスが効いたな。当然ながら自家製である。ちなみに旧バージョンのドリンクはこのジムのネットショップに行けば買えるゾ!

 何故そんなことが可能かって?そりゃあこのジム……というか()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。

 だから自分専用(別にそういうつもりで設置してはいないが誰も使ってるのを見たことがない)の特注のトレーニングマシンもあるし、特製のプロテインを持ち込んで飲めるし、何より前世の常識どころかわりと価値観がリアル寄りのこのVRAINS世界でも異常なトレーニングを行うことも出来るってわけだ。なお、これは別に風雅を鍛えるためにわざわざ作ったわけではない。情けは人の為ならず、自分のためにやっていた設備投資が思わぬ効果を生んだというわけである。

 

「あっそうだミノさん」

 

「どうした」

 

 自己紹介が遅れたが、自分の今世の名前は美濃川照雄(みのがわ てるお)と云う。その名字から取って風雅は自分を"ミノさん"と呼ぶ。前世の某大物司会者を思い出してちょっと微妙な気持ちになるが、当然この世界には思いきりTVは存在しないため仕方ないね。ちなみに自分が超人気Dentuber(自画自賛)霊迷院アリアであることは当然のごとく彼には秘密にしている。というか言っても信じないだろう。

 

「――霊迷院アリアのことなんスけどね」

 

「ッ……ゴホッ!!?」

 

「うわー!?ミノさんの口から赤と黒の入り混じった液体がー!!?」

 

 思わずむせてしまった。いや、色は薄いけど君も同じもの飲んでるからね風雅君?

 

「何でも無い……」

 

「いやいや大丈夫ッスか…?」

 

「少し気管にな……問題は無い。Dentuberの霊迷院アリアがどうした?」

 

「あっ、やっぱ知ってるんですね?いやー俺ってネット関係はあんまり触れないようにしてるじゃないッスか?でもやっぱ学校の話題とかだとDentubeの話って多くって。で、オフラインでも見れるよってダチに教えてもらって動画見たんスよ!"アリアのお悩み決闘教室"ってヤツ!」

 

「ほう……」

 

 なかなかいいチョイスだ。"アリアのお悩み決闘教室"は霊迷院アリアの動画コンテンツでも人気を誇るものの一つ。視聴者の悩める決闘者からの質問に実際の決闘を通じて答えるという体感型レッスン番組だ。遊戯王Wikiなど存在しないこの世界では地味にこういった需要が高かったようで、ソフトの売り上げなども実に素晴らしい収益に……いや、なんでもないです。

 

「そんで霊迷院アリアについて色々ダチに教えてもらって、最新のデュエル動画なんかも見せたもらったんですけど、それでミノさんにちょっと教えてもらいたいことがあったんス」

 

「ほう?」

 

「ミノさん、この後は何か御用あるッスか? 何もないんならちょっと――久々に俺とデュエル、してもらえないッスかね?」

 

 

 

 

 





リアルで真面目な社会人に擬態したり液タブ買ってデジ絵修行したりカオスソルジャーが当たったりビッグウェルカムが一枚減らされたりしてるうちに気付けば連載放置して一年以上経ってしまいました…誠に申し訳ありません。

これからもスローペースになるとは思いますが続けていきたいと思っていますのでどうかお嬢にお付き合いください…!

本編スタート前に主人公以外の視点からの番外編を入れようと思うのでアンケートにお答えいただくと嬉しいです

  • 血に染まらぬ猟犬
  • 悩み多き番犬
  • 風を追う少年
  • 未だ英雄ではない二人
  • 悪魔に闘志を燃やす天使
  • 燃える闘魂と筋肉
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