バ美肉系決闘者お嬢様筋肉おじさんの往く遊戯王VRAINS   作:mazy

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※前話のラストに1シーン追加してあるので読んでない方はチェックお願いいたしまする(2024.02.11)

現実パートはとりあえず一段落。
いいかげんお嬢書きたいんで…。


9話 現実②

「──ミノさんって、霊迷院アリアの関係者ッスか?」

「……!!???」

 

 なん……だと……。

 

「…………」

「あの……ミノさん……?」

 

 れれれ冷静になれ……!!なんとなく歯切れが悪いし、確証があって言ったわけでは無さそうだ。だがだとしたら何故そんな質問を? 先日アリアの動画を観たと言っていたが身バレに繋がるようなセリフや匂わせは一切行っていない筈だ。……筈、だよなぁ?

多分そう、きっとメイビー……!!

 

「……今……何と云った?」

 

 何とか動揺を顔や声音に出さないよう一言口にする。

 もしかしたら何かの聞き間違いかもしれない。

 

「霊迷院アリアッス」

 

 もしかしなくても聞き間違いじゃないかもしれない。

 

「……何故、そんなことを?」

「いやぁ、なんていうか、使ってるデッキにデーモンとか、迷宮とか、なんか類似点あるし、あと相手の戦略を正面から打ち破るスタイルも、ちょっと似てるなぁ……と思ったんスけど……決め手としてはその……()()()()()?」

「なんとなく……」

 

 滅茶苦茶な理屈だと思う。わけのわからんことを言うなと突っぱねることは出来るとは思う。思うが、しかし風雅の言う()()()()()が決して馬鹿に出来るものじゃないことを、自分はこれまでの付き合いで知っている。

 ──以前こんなことがあった。

 あれは風雅と出会って弟子入り?を認めてから少し経った頃のこと。その日もここのジムで()()トレーニングを二人でこなしていたのだが、その途中でふと、風雅がジム内のベンチに置かれていた鞄に目を止めた。

 何事かと思って尋ねたところ返ってきた答えがずばり、「なんとなく」であった。

 ──あの鞄、何かおかしくないッスか?

 その言葉を受けて自分も鞄を注視したが、別におかしな点があるようには見受けられなかった。しかしそれでも風雅は違和感が拭えないようで、仕方なくオーナー権限でその鞄を調べたところ、なんとその鞄の中には遠隔操作の盗聴機が仕掛けられていたのだった。

 その後、DenCity市警に通報し、すぐに犯人は捕まった(トレーニング中の人間の息遣いを録音して聴いて良くないハッスルをするのが趣味の変態だった)が、この件に危機感を覚えた自分は、すぐにセキュリティ部門の人間を新たに雇うことに決めたものだった。(折よく、その頃()()()()()()()()()()()()ので今に至るまで事なきを得られた)

 他にも、色々と細々とした出来事があり、どうやら風雅は何らかの手段で自分にはわからない《何か》を感じ取れるようだと確信したのである。

 

 思うに、これは風雅の持つ一種の『リンクセンス』ではないかというのが自分の考察だ。

 

 リンクセンス。それは遊戯王VRAINS主人公であるPlaymakerこと藤木遊作が持つ『ネットワークを感じとる』能力である。作中では彼一人が持つものであり、その能力の詳細についてはあまり掘り下げがなく、単に主人公の特異性を表現する記号であるという説もあった。とはいえ、自分なりにそこから一歩進んで考えてみたことがある。

 藤木遊作にリンクセンスが発現したのはロスト事件の最中であったと、遊作自身が作中で語っていた。言うまでもなくロスト事件の目的は意思を持つAi・イグニスを産み出すための実験であり、源流(オリジン)である子供たちの決闘等の影響こそが、イグニスを形作ったと考えられる。

 我らが主人公・藤木遊作が産み出したのが闇のイグニス(時間軸的にこう表記するのが正しいと思うのでこう呼ぶことにする)であり、闇のイグニスには他のイグニスには無い特異性があった。

 それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()である。

 作中ではその能力を我らが主人公と共に使い、何度もその危機を乗り越えた。

 そして、データストームへの干渉能力を持つイグニスはもう一人いる。

 それこそが、風雅の産み出した──風のイグニスである。

 しかも干渉どころか、自らの意思でデータストームを発生させることすら出来ていた。これは六人のイグニスの中でも風のイグニスにしか行えていない行為であり、その特異性は際立っていた。

 風のイグニスがその能力を持つ理由は作中では明言されていなかったが、しかし闇のイグニスが遊作と能力を共鳴させる描写などから考えるに、イグニスの能力にはその源流の持つ能力との相関性があるというのは間違いがないだろう。

 つまりそれこそが、今も風雅が言う『なんとなく』の正体であり、リンクセンスないしはそれに類する特殊能力なのだろうというのが、自分なりの結論だ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……ぬぅ」

「あの……ミノさん?? 大丈夫ッスか? 変なこと言ってすみませんです……やっぱ忘れてくださいッス……」

 

 と、いけない。今考えるべきは風雅に何と答えるかだ。とは言え本人も確証があるわけでは無いようだし、このまま無言で『何言ってんだオマエ…?』という目で見ていればこの話題は終わりに出来そうだが……。

 

「風雅、君は何歳になった?」

「えっ? あっ、ハイ、先週15歳になりました。6月1日生まれなんで」

 

 風雅は現在中学三年生。つまり二年前、暴走AIカーに襲われた時はまだ中学一年生で、春だったので年齢も12歳だったということになる。

 ロスト事件被害者の年齢については、実は全員同じ年齢であったかどうかの確証は無い。だが例え年齢差があったとしてもせいぜい一歳程度のものであろうと考えている。

 つまり、現在に()()スタートの兆しが無い以上、来年か再来年の5月に全てが始まると言っていいだろう。

 猶予はもう最短で一年を切っている。ならば自分がすべきことは──。

 

「──風雅」

「はいッス」

「確かに自分は霊迷院アリアの関係者だ」

「……マジッスか!?」

「ああ。どのような関係か、については今は答えられない。だが、確かに自分は霊迷院アリアと関わりを持っている」

「はぇ~……」

 

 風雅は自分自身で言ったことが信じられないといった様子だ。そりゃそうだろうな。これは風雅も知っていたかは不明だが、霊迷院アリアのプライベートに繋がりそうな情報は()()()()()()()によって完全に封殺しているし、そもそもあんな胡乱な質問に真っ直ぐ答えが返ってくる筈も無いとも思っていたのだろう。

 だが、これから起きるだろう事件に風雅も無関係ではいられない以上、ここである程度情報を開示する必要がある。

 

「アリアには、ある目的がある」

「目的……ですか?」

「詳しくはまだ言えない。だが、それは()()()()にも関わってくる」

「……ッ!? 俺の、過去……まさかミノさんそれって……」

 

 何事も察しがよく、素直な性格であるのが風雅の美点だ。

 二年前に出会った時にも、AIカー事件の真相については風雅には語らず、『出来るだけAI操作のものには近付かず、ネットワークへの接続もするべきではない』という、このDen-Cityで住む上では不便極まりない自分の指示を受けた時も、自分の本気の意思を汲んでくれてか、素直にそれを信じて言いつけを守ってくれていた。

 

「ここでは深く語ることはしない。だが、あの二年前の事件も、そして()()()()()()()()、すべてが繋がっていて、アリアの目的もまた、それらに関わっている。──風雅。そう遠くない未来に、君の力が必要になる。その時にどうか私を……そしてアリアのことを信じてくれないだろうか」

 

 彼の善性に期待し、依存している自覚はある。はっきり言って悪い大人のやり方だコレは。助けたんだから助けてくれ、と言ってるようなものなのだから。

 

「──ミノさんは、俺の過去のこと、知ってるんスよね? それは霊迷院アリア……さんも知ってるってことですか?」

「……ああ、知っている。自分とアリアの持っている情報に差は無い」

「そッスか……一つ、質問いースか?」

「……勿論だ」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……っ」

 

 ……そりゃ、気になるよな。自分が命を襲われることになることを知っていて、それを未然に防ぐでも忠告するでもなく、事件が起きてから助けられたなんて、思うところがあって当然だ。下手したらわざと危機感を煽らせて協力させようとしてると取られてもおかしくはない。

 

「それは、無い──とは、言いきれない」

「ッ!!」

「君が命を狙われるだろうことを、自分は知っていた。だが、それを伝えることは出来なかった。君が何処にいるのかが、自分にはわからなかった。だが、あの時の君の恐怖を思えば、自分には罪があると言えるだろう……謝罪する」

「いやいやいやいやちょっと待ってくださいよミノさん!頭上げてくださいッス!!」

 

 椅子から降りて、誠心誠意頭を下げて、必要ならば土下座もしようと思ったのだが、それを大慌ての風雅が止めてくる。

 

「だが……」

「だがじゃないッスよ! てかミノさんみたいなデカイガタイしたスキンヘッドの成人男性がいきなり椅子から降りて跪き始めたら怖いッスから!!」

「む…そう、か……」

「全くもう──そうじゃない……そうじゃないんですよ美濃川さん」

 椅子に座るよう促され、お互いに正面から顔を合わせる。

「そこに何の目的があったにせよ、もしも俺を利用しようしてるにせよ、美濃川さんが俺を助けてくれたのは紛れもない事実です。 そして──()()()()()()()()()。そうでしょう?」

「──ああ。むしろ色々な事件が起きるのは、これからだ」

「なら、それに協力する……いや、俺自身が美濃川さんや霊迷院さんの力を借りたいです。もう二度と流されない。自分の意思で戦い──」

「そして、死にたいか?」

「いやぁ、死ぬのは勘弁ッスね。ただ、今度はちゃんとした()()()()()()。だから、よろしくお願いいします。俺も一緒にその()()、果たさせて欲しい……ッス」

「──有り難う」

 差し出された手を、取る。

 

 こうして自分達は、《共犯者》になることになったのだった。

 

 

 

 

「──あっ! そうだミノさん!! 霊迷院アリアさんのサインって貰えますかね!? 『愚民の風雅君へ♡』って書いて貰えると嬉しいんスけど!!」

 

「あ、あぁ……箔押しの色紙で贈呈しよう」

 

 

 

 

 




とういうわけでこちらも共犯者が出来ました。
次回は久々の(一年三ヶ月ぶり)LINKVRAINS内。お嬢パートです。
とうとう頭にスケボー乗せたような彼の出番があったりなかったり?

本編スタート前に主人公以外の視点からの番外編を入れようと思うのでアンケートにお答えいただくと嬉しいです

  • 血に染まらぬ猟犬
  • 悩み多き番犬
  • 風を追う少年
  • 未だ英雄ではない二人
  • 悪魔に闘志を燃やす天使
  • 燃える闘魂と筋肉
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