『……まず、拙作『プリンスオブナイトメア』………賞を返上……』
中では夏目安吾が記者会見を行なっている。
記念の場面であるが、改心して賞を返上する旨を伝えている。
ああ、夏目のジェイルの魔王城は崩れたがジェイル自体は健在……あの世界を作ったのはやはり別口か。
「ふむ、やってるやってる…」
「……」
「……」
中では大騒ぎが始まっている。
そのどさくさに祐介と蓮が入り込んだようだ.
『この件を皆様に謝罪………この度は……!!』
『ちょ、ちょっと先生!何を勝手な……!』
『……中止……!!……解散!!』
中で編集者が誤魔化そうとするが、夏目の意思は堅い。
『…おい!…俺は許さないぞ…』
『君たちは…パーティーの時の……あの時は本当にすまなかった……』
祐介の声が不思議と聞こえるな。
夏目は謝罪するが……
『逃げることは許さないぞ、夏芽安吾。帰ってくるんだろうな?』
『…え?』
『文壇に戻った時は…他でもない、『夏芽安吾の作品』を読めるんだろうな!
次は皆に誇れるような小説を読ませてくれるんだろう!?』
『待っている』
『…ありがとう…ありがとう、ございます……!』
……これで夏目が業界にカムバックできるかはわからない。
自主出版してでも出すのか,この経験を糧に文壇を駆け上がるのか、それともただの燃え尽きた抜け殻になるのか?
だが、次の夏目安吾の作品は必ず買おう……今度は新品でな。
「……なあ、まおー」
「なんだ?」
「丸喜先生は一旦東京に戻らせたぞ。
奥さんにも会いたいだろうし、『多々良・カフカ・スミス』が会社の仕事の関係で北海道に行くことになっているからな。
北海道に関しては芳澤とともに大っぴらに行動できる」
「そうじゃなくて……」
「……」
「まおー、疲れない?その格好」
「……(もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふ)」
双葉よ、お前の言いたい気持ちはわかる。
俺の現状は子猫に変化して春に抱きしめられながらモフモフされている。
全身がフワフワしている状態だ。
ずっと離れている反動で無言でモフる春。
「家族サービスの一環だから」
「そ、そうなのかー(あのおっぱい埋まっている状態について聞きたいけど……春に怒られそう)」
……あとで長谷川刑事や蓮達と合流した。
俺を見て長谷川刑事は奇妙な者を見ている視線だったが、家族サービスと言ったらなんか納得したようだが。
……そういえば『もうすぐ』だったが、北海道の案件を解決して間に合う様に戻れるかな、長谷川刑事?
『娘さん』、難しい年頃だしな……。
夏目の一件は片付いたから仙台の七夕祭りを気楽に楽しめそうではあるが……生憎俺は楽しめそうに無い。
何故かと言えば……
(※7月30日まで遡る!)
「蓮、モルガナに話しておくことがある」
「どうしたスミス?」
「札幌のジェイルの王のことか?」
「蓮には察しがついていたか」
「丸喜先生との取引の賜物……それにそれなりの付き合いだからな」
俺は……夜に蓮の休む屋根裏で事情を切り出す。
「……北海道のジェイルの王は北海道中央市の市長『氷堂鞠子』。
俺や春が幼少の時に世話になった人物だ」
「……!」
「ハルには言っていないのか?」
「俺は、仕事中に感情乗せずに行えるが……春は間違いなく支障が出る。
北海道に行った時には話すつもりだ」
「ハルが拗ねると思うぞ?」
「後で謝るし、憂さ晴らしには全力で付き合うさ。
それでだ、蓮。
お前のコネを使いたい」
「コネ?」
「ブン屋の大宅一子に氷堂さんの情報を探って欲しいのさ。
仙台に推定ジェイルの王がいそうだし、その案件が片付くまでに情報があると助かるんでな。
それに……」
「それに?」
「柊アリスをはじめとしたジェイルの王はパレスの主ほど悪業を積んでいないからな。
解決後に社会的に追い打ちする馬鹿が当然だと出るからな。
必要以上に叩かれない空気作りをさせるのもある。
……どうせ、帰ってから延々と追求される手間も省けるだろ?」
夏休みに旧交を温める予定が世直しの旅になったんだ。
断りの連絡はしているだろうが……。
三島はいいんだ、雑でも。
吉田先生やモデルガン屋の岩井さんとかも大人の男だから問題無い。
問題は、一緒に遊びたいであろうガンゲームチャンプの織田少年とかさー。
まぁ東京の怪盗団復活で察するだろうけどさー。
それ以上にやばいのは……怪盗団以外の女性陣よ。
湿度高いからねー、対処が大変。
「……わかった、チャットを飛ばしておく」
「氷堂さんはできた大人だった……俺の様な薄気味悪い子供でも偏見なく真っ直ぐ接してくれた存在だった。
それだけに……あの人が狂う要因があったはずだ。
これは俺個人の依頼だ……力を貸してくれ、蓮」
「ああ勿論だ。
お前の様に万人力じゃないがな」
「世界を盗めりゃ十分だろ?」
「水臭いぞ、スミス!
同じ紳士としてワガハイも力を貸すぜ!
北海道に着くまではワガハイと蓮は誰にもこの事は黙っているからな」
.
.
.
「(で、今は七夕祭りを一人歩いているわけだ)」
……幸い、昨日は春が禁断症状の如く、俺をモフり続けたわけだが。
(※ああ、スミスニウムの欠乏で精神の制御判定が失敗して……)
今日は単独行動に出るとは伝えている。
昨日のナデボ(撫でてポッする精神攻撃じゃない、物理的にボッと発火するんだ)の様子を見れば皆も納得はするだろうし。
まぁ春と両親に土産に『松笠風鈴』を買っていくがな。
(※ジョージボイス「説明しよう!」
松笠風鈴とは!
1781年~1789年(江戸・天明年間)ごろ,仙台藩主から音色の良い風鈴を所望され,
10代庄衛門が工夫を重ねて風鈴を創作し,献上したのが始まりと言われている。
素材はガラスでなく、銑鉄と砂鉄。
鋳物のざらざらした表面に虫が食いつぶしたような無数の穴を模様にしているのが特徴。
銑鉄と砂鉄で作る材料の配合などの製法,技法は,江田家代々による父子相伝,門外不出の秘伝である)
ガラスでなく鉄の澄んだ音が熱い仙台の空に響く。
「売り声もなくて買い手の数あるは、音にしられる風鈴の徳とはよく言ったもんだ。
すいません、二つ包んで貰えるかな?」
「毎度ー!」
「(武具の職人が太平の世の中になれば武器を作る機会が減るから
こういう風鈴や鉄瓶とかの職人に転向したんだっけな?)」
他にも適当な店を冷やかしたり、時には衝動買いをしながら一人ブラブラしていたが……。
人気のない路地裏でゴミ箱の上に座る少女がいる。
白いワンピースを着ているが,顔色は真っ白で生気がない。
「なぁお嬢ちゃん、一人かい?」
「うん……おじちゃんも?」
「今は一人だな……これやるよ」
「わぁ…アイスだ」
影から収納していたアイスを少女に渡す。
遠慮がちに少女が聞く。
「あの……いいの?」
「食い意地を張ってな、多く買いすぎた。
このまま食べれないで溶かすよりはマシだからな」
「ありがとう」
「……おっと、そろそろ集合時間だ、じゃあなお嬢ちゃん」
「ありがとう、おじちゃん。
私、果歩」
「じゃあな果歩ちゃん、縁があったらまたな」
二学期以降にあるであろうネタ。
蓮が故郷に戻り、いつもの日常に戻ったある日……。
近所のファミレスにて。
偶々遊びに来ているスミス「やっぱT大にいく?
俺は春や真もいるしさー、行くつもりだけどどの学部に行こうかねー」
蓮「手先の器用さを活かすなら工学部か?
人体実験もとい治験を受けたこともあるから医学薬学部も捨てがたいし、
普通に喫茶店開くなら別の学部も……」
(※忙しいのに大学受験余裕な二人ですよ、奥さん!)
???「すいません、雨宮…蓮君ですか?」
蓮「何か?」
???「僕は『白鐘直斗』。
少し聞きたい事が……」
スミス「(無言でパンパンと手を叩いて、数珠を取り出して直斗を拝む)」
直斗「あ、あのすいません、突然拝み始めたら困ります!」
蓮「推しだから仕方ない」
スミス「仕方ないのです、なーむー」
スミスの見た夢……最後にスミスが選ぶ道は?
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マガタマを飲み、人修羅の道へ。
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悪魔と合一し、ナホビノとなる。
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宇宙の卵を確保し、孤独な観測者となる。
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うるさい!(拳銃で返答)