俺という存在は相対する存在と不毛な議論を続けている。
「人は完全な存在となり得るか」という命題……
俺は否定派で、奴は肯定派。
ある世界では俺が滅ぼしたので俺が正しいと言いたいが……奴らちゃぶ台返ししたしな。
その妨害は失敗した以上イーブンとも言えるが。
で、この世界は特殊だ。
太古の昔に地球にあらわれた、生命に死を与えた存在ニュクス。
地球に激突した後、肉体は月になり、精神は集合的無意識に封印されることになる。
このニュクスが曲者なのだ。
今までの世界はそんなものがないプレーンな人間だから介入は容易だった。
ニュクスのせいで俺や奴は干渉できない……人々が自在に仮面<ペルソナ>を付け替えれない。
せいぜい奴の小間使いくらいが手助けをするようだが……代わりにワイルドなる人間の枠を超えた力を発揮する者がいるが。
俺からは何もしない……滅びなど人間が勝手に産み出すからだ。
だが、ある時に奴の小間使いが囚われの身になった……奴はなんとかしようと奴の二つになった下僕に雀の涙程度の支援は送ったようだ。
俺は世の中をぼんやりすると異物を見つけた。
他の魂と違う異質な者を……まるで『この世の外から飛び込んできたかのような』。
俺はソイツに興味を持った。
だが力が足りないから奴と二人がかりでこの心の海の底へ招いた。
真に興味深い。
この男……転生者と言うべきか。
人生は平凡な者だがその知識は面白い……この世界の未来も知っていたとは。
だが、それでは面白くない。
だからこの世界の未来の知識を奪い、もがき苦しむ様子を観察することにした。
……正直、予想以上だった。
俺に極めて相性がいいドッペルゲンガーを渡した。
これで能力を得て調子にのって内面と同じ怪物になるか、この微妙な性能でベルベットルームが使えない状況で詰んで無様な最期を期待していたが……。
なんか変身した……いや相手に化けるのがドッペルゲンガーだが……でも何故分身する!?
影は偏在し、どこにでもある?……たまげたなぁ。
なんか、二年程度で国家の諜報機関ですら恐れる存在になってる……。
獅童正義を倒すために世界中を盛大に巻き込んだ時は爆笑ものだった!!
……愉快だ、奴の必死になってもがき苦しむ姿は最上の娯楽だ。
故に遊びたくなった……幸い、奴が力を増したおかげで俺の現世で干渉する力も増えた。
丸喜という奴との闘いが終わって平穏な間に俺は活動を開始した……。
人類という歴史で延々と謀略を紡いだ彼方側と違い、短期間であの男から上前を奴が気が付かない程度に掠め取った力を種銭にして膨らませないといけないのが手間だが……これはこれで面白い…。
奴がEMMAと遊んでいる間に俺も良からぬ事を企むとしよう……
終わったら朝だった……うーん熱い。
電波塔も何事もない様子だし。
俺が御守りを渡した奴以外は記憶がないのが幸いだったが……。
一ノ瀬も無事で一度自宅に戻るらしい……渋谷にあったから渋谷ジェイルに廃棄されていたのかソフィアは。
長谷川刑事もここで別れる事に。
「大和田も近衛も逮捕され、EMMAも停止した…事件は解決したわけだ」
「後始末やら裁判やら面倒なのはこれからですね!」
「頭の痛くなる事言うな、明智!
なんで嬉しそうに言うんだよ」
「スミスも後始末に忙しくなりそうだから嬉しくて堪らないんです」
「え?エネルギッシュで活躍する俺がカッコいいって、照れるぜマイフレンド」
「殺すぞ」
「ははは…」
俺とパケチのハートフルなやり取りを他所に長谷川刑事は蓮に顔を向ける。
「……まぁ俺達の取引は終了だな」
「ああ……だが、取引を終えても俺達は仲間だ」
「おいおい、俺はお前たちを利用しようとしたんだぞ?
速攻で一蓮托生になったがな」
「それはまぁ…仕方なかった事だし、二重の意味で」
「むしろ俺達の助けてくれたはずだ」
「ああ、善吉には世話になったぞ」
「ありがとうよ、お前らに会えて良かったと思ってる。
俺は正直、お前らが妬ましかった。
色々遠回りするしかなかった俺にとってお前らの活躍は反則技といいトコだったからな。
……スミスは、うん……まあ…」
「悪魔ですから!(先輩ですから)」
「いい度胸じゃないか芳澤ぁ……キレちまったぜ、ファッションバトルしよーぜ!
この中で誰がクサダサファッション王か選定してやる!」
「実際眩しくさえ見えた」
「ゼンキチ……」
みんなー、俺の事をスミス悪魔将軍とか思っているの?
ムドオンカレー食べリュ?
長谷川は話続ける。
「だが結局お前らは、茜だけじゃなく、この俺も救ってくれた。
俺が本当にするべき事、見失っていたものに気付かさせてくれた。
いつのまにか俺自身も改心させられていたってとこだな」
「へへっ」
「私たちも貴方に教えられたことが沢山あるわ。
信じる事を全うすることがどれだけ難しくて大変なのか」
「子を持つ親の苦労もな」
「フッ、違いねえ。
だがそれも幸せってモンだ。
……俺は最後の後始末をしていく……と言っても大和田はペラペラ喋るから楽なんだが」
「ジェイル攻略よりも大和田蘇生の方が大変でしたよね、社長」
「大和田が悪いよ、大和田がー」
「まぁ今生の別れでもないだろう。
またいつかどこかで会うこともあるさ」
「ええ、きっと…ううん、絶対に」
「頼むから、取調室で会うようなことは勘弁してくれよ?
それと何かあったらいつでも頼れ、必ず力になる」
「わかった」
「じゃあな怪盗団にスミス同盟……いや、クソガキども」
「行っちゃったね」
「善吉にとってはこれからが勝負なんだろう」
「……俺もなー」
「まぁ大丈夫だろう、あのオッサンなら!
俺達も帰ろうぜ!」
「おう、懐かしの我が家が待っている!
そうじろうのカレーが食べたい!」
「旅もここまでだな、帰るぜ探偵団!」
「丸喜先生は直帰でいいですよ……奥さん待っていますし」
「では社長、お疲れ様でした」
ここで解散し、家路についた。
パケチをスジモンセンター(ムショ)に戻す前に食べ歩きに行ったがな。
パケチを返して家に帰ったら、俺の机の上に『挑戦状』と書かれた古風な書式の書状が置いてあった。
……ラヴェンツァだった……ガチバトルは面倒だしなぁ……言いくるめて適当なゲームへ誘導しよう。
8/30(水)
打ち上げパーティーはルブランの屋根裏……蓮の部屋で行われた。
丸喜先生は奥様との伊豆温泉旅行券を渡したので欠席だ。
ついでに統志郎さんと夏原にも渡しておいた……無理矢理助っ人頼んだからこれくらいはな!
竜司はずっと車上のテントで寝たから普通の寝床に慣れない様子だったが。
パンピーに記憶がないのを微妙にガッカリしていた竜司。
女の子にキャー言われたいって……。
所詮、秘密のヒーローだからな……気持ちはわかるが。
春だけでもキャー言うのはありがたい……クライアントも敵も「ギャー!」とか「ゲェーッ!」しか言わんし…。
蓮は間に合っていると無難な返しをした……色んな子に気を持たせているのにウッカリ竜司に同調していたら……。
明日には蓮も地元に帰るようだし……あっという間に夏休み終わったな。
モルガナに人化トレーニングさせるために遊びにちょくちょく行くつもりではあるがな。
ソフィアは蓮についていくのか…スマホから出れないし。
8/31(木)
ルブランの前で怪盗団の皆が集まった。
マスターも見送っている……そっけない態度をとっているが、その目は優しく、温かい声で別れの声をかける。
「それじゃ気をつけて帰れよ」
「またな、蓮。
楽しかったぜ、ホントに」
「こちらに来る時は声をかけてくれ。
何を差し置いても駆けつけよう」
「連絡待ってるから」
「また先輩に会うのを楽しみにしてますから!」
「次は冬休みか?
なんなら早く来てくれてもいいぞ?」
「屋根裏で良けりゃいつでも使え。
ま、店の手伝い込みだがな」
「モルガナも元気でね」
「アン殿…名残惜しいが、ワガハイは蓮のお目付け役だからな」
「またね、モナちゃん。
ちゃんと蓮君の言うこと聞いてね」
「立場が逆!ペットじゃねーし!」
「あーすまん、蓮。
冬休みには俺の要件につきあってくれ」
「要件?」
「ラヴェンツァの姉や兄からの依頼を受けてな……そのタイミングで仕事したいんで。
場所は都内の巌戸台港区だから……すぐに終われば普通に遊べるから」
「ラヴェンツァの……(無数の木像の正体が明らかに……!)」
……とやり取りしていると一ノ瀬からチャットが入った。
会いたいそうなので渋谷に向かった。
渋谷の街頭テレビは大和田逮捕の話題が持ちきりだ……近衛のほうは虐待からの正当防衛的な殺人とかだし、EMMAも法で裁けない部分が多い。
法で裁けない部分が多い。
だが大和田は、葵さん轢き逃げした挙句、秘書に詰腹切らせているし、今回も反社なヤツ動かして茜君誘拐だしな。
不正献金など余罪はもっとあるし……まぁ悪心は浄化したのでゆっくりムショ勤めしな。
一ノ瀬も警察に出頭したが、法で裁けないから相手にしないで放免だ。
長谷川刑事と俺……っていうかガルシアンに相談したんだがまたやばいAI作りそうなら即座に対応するがそれまでは何もしないと説明しておいた。
一ノ瀬は償いと人の心を知るために旅に出るつもりのようだ…その前に怪盗団と俺に謝りたくてここに来たようだ。
「本当にすまなかった。
君達には大変な思いをさせた……スミス君に至っては殺そうとした」
「もういい」
「もう済んだことだもの。
私たちは気にしていない」
「別に構わない……一ノ瀬自身が殺しにきたわけじゃないし。
元は俺が草薙剣叩きつけてAIが発狂して邪悪呼ばわりしたからもう一度叩き込んだだけだし…。
殺されるのは合衆国が空爆や暗殺を皮切りに、世界中から日常的に狙われてるし今更かなーって」
「おい……おい…!!」
「……ありがとう」
「皆、聞いてほしい事がある」
ソフィアは、一ノ瀬と一緒に旅に出たいと言い出した。
俺たちがそれぞれの道を歩むように……ソフィアも『人の良き友人』として人に寄り添いたいと。
……立派に、立派になった……母は嬉しく思う!!
双葉がプログラム解析してスマホから出られるようになったらしいので(昨日は言いそびれたらしい)、
渡りに船のようだ。
双葉は別れが寂しくなって涙目になっているが……笑って送り出してやりたい。
「可愛い子には旅をさせよと言う……ソフィアの決意が堅いならば見送ろう。
ソフィア、何かあったらママに言うんだ。
敵は全て粉砕してやる」
「お、おう…」
「一ノ瀬も連絡先交換しておこう、ママ友として」
「え?」
「お前はソフィアの産みの母、俺は育ての母。
母と母、そこになんの違いはねえ!
故にママ友だ」
「そうかな……そうかも(※惑わされるな!)
でもいいのかい、ソフィア?
せっかく仲間ができたのに」
「うん、もう決めたんだ。
でもその前に…蓮の言葉を聞きたい。
私、行ってもいいか?」
「もちろんだ」
「ありがとう、蓮…。
皆、すまない。
私…何もお礼が出来てないのに」
「何言ってんだよ!
そんなんじゃねーだろ、俺たちは!」
「ワガハイ達は同じ怪盗団の仲間だ!」
「うん、かけがえのない友達」
「共に死線を超えたんだ仲だ。
その絆は決して断ち切れん」
「ソフィアとの思い出は、私たち全員の大切な思い出」
「貴方なら一ノ瀬さんをきっと助けられる」
「私も貴方の夢を応援しています」
「ソフィア……げん゛ぎでな゛!」
「またな」
「みんな……ありがとう
みんなのこと、この旅のこと、私は忘れない」
「ああ」
「また会おう」
「ああ、絶対な!」
「OK、絶対だ!」
「では」
一ノ瀬達は去っていった。
ソフィアからメールが届いた。
件名は『オタカラだ!』
一ノ瀬のスマホからソフィアが撮った俺達の写真だ。
モルガナがカバンから声をかける。
「ワガハイ達もそろそろいくか」
「そうね」
「…またそれぞれの道へ、だな」
「離れちゃうのはちょっと寂しいけど」
「なぁにゼッタイすぐ会える!
それまでの間だ!」
「だね!」
「私も次の大会も勝って世界の足がかりにします!」
「まぁ皆も無理せず自分らしく生きなよ」
「ああ」
竜司は無言でサムズアップしてから去っていった……片腕を上げて。
そして各々が散っていく。
自分の道へ。
「スミスくん、帰ろっか?」
「ああ」
.
.
.
<???>
「……こんなもんだな」
一人の男がタロットカードらしきものを弄ぶ。
小柄で小太りだが愛嬌がある顔立ちだ。
睫毛も長く眉が太く意思の強そうだ……だが邪悪で全てを嘲笑う、形容し難い邪悪さに満ちていた。
よく見るとアルカナの示すタロットカードのようで何かが違う……その絵柄も独特であった。
「これでゲームを始められる……」
カードは様々で、怪物だったり、天使だったり、人型の異形だったり様々だ。
カードをシャフルして一枚取り出したのは、目元に濃い影が差した陰鬱な表情の背広の壮年で、カードのラインナップと比べると異質だった。
「ゲームをしよう。
あんな機械仕掛けの玩具<子供騙し>ではない……本当の死と絶望を」
強壮なる使者、暗黒のファラオ、暗黒の男、闇をさまようもの、
無貌の神、夜に吠えるもの、狩り立てる恐怖……様々な姿を持っている。
時には<伯爵>として、時には<総統>として、時には<黒須淳の理想とする父親>として。
<羅喉>という三下であったこともあったし、<聖槍騎士団「ロンギヌス13」>、
戦国武将「澄丸清忠」の首のみの木乃伊<御前>でもあった。
前のお気に入りの玩具<周防達哉>の姿で遊んだ時もあったな。
今回は…。
「スーミスくん、あーそーぼー♩」
はい、ファントムストライカーズ編終了です!
最終戦がスミス汚いではなくボーボボに感想が染まってしまった……。
以降のあらゆる漫画がボーボボに帰結する現代漫画の祖だからしかたないね!!
ソフィーにムドオンカレー食べさせるのが確定事項でした、すまんな、ソフィー!
善吉の胃をもう少しギリギリを責めたかった…。
大和田は普通に逮捕の予定だったけどねー、あのままだと京都ジェイルできないで終わってウルフ覚醒がないので……ジェイルの王になってもらった!!(なお、末路は……)
前作のコープのキャラは全国の旅だから原作ではカットしましたが、出せそうな人はだしました……武見先生は事前に買い物したぜ!で終わったけどさ。三島は怪盗団の本を出すつもりなのでそういうコネは……原作でも絡んだ一子さんの所でバイトしながら修行してます。
吉田先生はやっぱ政治中枢で怪盗団の理解者として抜擢。統志郎みたいな状況なら手を差し伸べるだろうなーと。
すみれは、現役体操女子星なので他の怪盗団より出番が少なくなりました。
その分、最後の事件ですみれの体操しているシーンをサブミナルの如く投下したりしているのでもしかしたら潜在的なファンが増えるかもな!
丸喜先生は最初からワトソンのような助手枠で活躍させる予定で順調に進んでいました…だが、奴は弾けた。多少イカれたセリフ言っても元々のやろうとした所業+スミスに染まったから……。
で、時間から外伝です。
奴が何を企んでいるのか……あとペルソナ3の面々(まあ主に動きやすい奴がメインだけど)の活躍をご期待ください。
どうでもいい話。
ガルシアンは、ハーマンを主人(マイマスター)と呼び、エージェントスミス(多々良)はマイグランドマスターと呼んでいる。
どうでもいい話ソノニ。
何気に春とりせちーは仲が良くLINE交換くらいはしている……主に恋バナで盛り上がっている。
互いに
りせ「先輩みたいに冷静で頼もしい子なんだねスミス君」(なお、ハジケた所は見ていない)
春「その先輩って人はスミス君みたいにカッコいいんだ……でもなんか蓮君に似ているかも」
って感じで。
ゆかりっちはオシャレなバーが好きかどうかでスミスや春ちゃんに会っているかが決まります。
スミスの見た夢……最後にスミスが選ぶ道は?
-
マガタマを飲み、人修羅の道へ。
-
悪魔と合一し、ナホビノとなる。
-
宇宙の卵を確保し、孤独な観測者となる。
-
うるさい!(拳銃で返答)