都内に存在する桐条グループ傘下のとある病院にて……
二人の医療研究者が論文を書きながら雑談をしていた。
「先輩、あの患者達は?」
「変化なしだよ、ずっとね……童話眠り姫みたいにな」
2010年、3月……昏睡状態の男女が運ばれた。
いや正確に違う。
心肺機能が停止しているのだ…だが死亡していない。
細胞が一切劣化せず体温があるのだ……いや、メスすら体に入れられない。
研究者の仮説では体組織がこの世に存在しない…というのは語弊がある。
三次元空間に時間軸が存在しない(時間の流れがないため絶対破壊不可能)のではないかと考えられるが証明する術はない。
もし原理を解明し再現できれば革命的な技術進歩が見られるだろう……。
「しかしなんだって会長殿は、彼をここに置いているです?」
「高校時代の後輩だってさ……男の方…… 『有里 湊』は会長のお気に入りだったしな。
(先代会長が亡くなり、一番の心の支えだったが……。
俺達みたいな大人はペルソナ能力は持たないでアイツらが無事である事を祈ることしかできなかった……。
くそ、幾月の奴め……よくも俺達を騙しやがって!
何が闇の皇子になるだ、この妄想狂が……!)」
「先輩?」
「ああ、すまんな……嫌なことを思い出してね。
すまんな、データを纏めてくれて」
「いいえ!勉強になりますし。
尊敬している武見先輩に見せるんで気合いいれているんですよ!」
武見妙……大学病院で難病の新薬開発に打ち込んでいた熱意ある優秀な医師だった。
だが上司の嫉妬で開発責任者を下ろされた上に医療ミスの汚名まで着せられた。
更に彼女は都内の四軒茶屋で医院を構えたが、難癖をつけて潰されそうになった程だ。
だが、突然その上司は警察に自首し、名誉が回復された上に、在野で研究していた武見が難病の治療法を確立させたのだ。
……この状況は『心の怪盗団(ザ・ファントム)』が起こしたと思われる。
桐条グループでもペルソナ能力者では?と予想していたが、シャドウワーカーの縮小化や他の事件などに気を取られて調査をする前に獅童正義らの改心を最後に怪盗団の活動はなくなった。
ならば、獅童正義を改心する際に共闘したスミス同盟はどうか?
各国の政府筋は顔色をあからさまに変えて辞めるように忠告されて断念したらしい。
後輩の研究者は、そんな裏の事情などつゆ知らず、カルテの記録をみて
「……何か見つかるといいな……」
「会長さんは有里さんの見舞いをできるだけ時間を作ってきているみたいですねー。
女の子の方は……『汐見 琴音』さんでしたっけ?
定期的に見舞いに来る人がいますね……ええっと『荒垣真次郎』?」
「ああ、会長の幼馴染でな。
患者の恋人だったらしい……会長殿といい彼といい、その想いを持ち続けるなんてな」
「なんか……不謹慎ですけど、そういうの素敵ですよね」
(※555の木場は泣いていいな)
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「荒垣さーん、面会の許可が降りましたよ」
「……ああ」
荒垣と呼ばれた青年は、ナースのかけてきた声に一言だけ反応した。
180を超えた厳つい青年がもう初夏だというのに長袖を着ている。
(※旧作では177、リロードでは182センチ)
荒垣真次郎……かつて、私立月光館学園に通い、現・桐条グループ会長『桐条美鶴』の幼馴染である。
もう一人の幼馴染である真田昭彦と共に、特別課外活動部(S.E.E.S.)……ニュクスが作ったイセカイ『タルタロス』とそこに発生するシャドウと戦う集団に属していた。
だが、戦いの中でペルソナの暴走で一般人を死に追いやってしまった。
ニュクスの作ったイセカイ『タルタロス』は深夜に適性者(主にペルソナ能力者)以外は認識できない影時間という時間を作り、その中での出来事は現実では別の事(誰かを殺した場合、事故で死んだ等)に変わる為、裁かれなかった。
その為に、戦いから離れ…ペルソナ能力の抑制剤を服用していた(尚、身体への負荷が大きく、体温調節が効かなくなっていた)。
そんな彼を戦いへ戻らせた切掛は、後輩である湊と琴音であった。
彼らは…ニュクスのカケラを封印する為に埋め込まれたワイルドであった。
彼らと交流した後に、被害者の息子である天田乾がペルソナ能力であることが発覚し、戦いに志願してきたのだ。
彼の目的が母親の仇である自身の命と確信し、戦いに復帰したのだった。
そして乾の母親の命日に荒垣は呼び出される。
過去に終止符を打とうとした時に乱入者が現れた。
ストレガのタカヤという存在だ。
ネット上に復讐代行サイトを設置し、依頼に応えて影時間を利用し人を襲うペルソナ使いの3人組『ストレガ』……その正体は、桐条グループによって人工的に目覚めさせられたペルソナ使いで、ストレガというのも桐条の人工ペルソナ使いの研究部門の通称だった。
タカヤと諍いが発生し、荒垣は、銃で撃たれ暴行を受け、さらに狙われた天田を庇い銃で撃たれ、瀕死の重症を負った……更に、抑制剤の常用で余命も幾許もなかったのだが……。
2010年、1月31日……多くの人が知らない世界の命運を分ける戦いがあった。
桐条グループの研究で生み出された最強のシャドウである「デス」。
そのシャドウ(湊と琴音に封印されていた)の封印が解かれ、ニュクスを覚醒させようとしていた。
ニュクスは『死』そのものであり、覚醒すれば人類は死に抗うことはできない。
タルタロスの頂上で決戦が行われ、湊と琴音という二人のワイルドが命をかけた封印でニュクスの覚醒を防いだ。
荒垣はその日に夢を見た……ほんの短い時間であったが恋人であった琴音の声…。
『生きて』
荒垣の意識が覚醒し急速に容体が回復したのだ。
(なお、ニュクスとの戦いで影時間が消滅し、3月になるまで記憶が消去されていたが)
だが、その代償は大きかった。
3月5日……二人のワイルドは倒れた。
心肺機能は停止したまま体温が維持され、死に瀕しながらも生き続けた状態になった。
桐条グループで総力を結集して対処を行ったが何もわからなかった。
桐条グループ総帥・桐条美鶴はタルタロスの監視と、シャドウ関連の事件の対策チーム「シャドウワーカー」を設立した。
彼らが生命をかけて護った世界を彼らの分まで護るため、そして、シャドウ関連の事件を研究して彼らを救う為に。
荒垣は、シャドウワーカーに参加しなかった。
回復したとはいえ、身体のリハビリが必要だった事もあった為だ。
荒垣は、美鶴の援助を受けて月光館学園の近くで小さなレストラン『エウリュディケー』を開いた。
タルタロスの監視を引き受けたのもあるが、高校で過ごした日々が忘れられなかったからだ。
『ガッキー先輩の料理って美味しいね』
『そうかよ』
『この戦いが終わったら、ガッキー先輩がお店開いてー、私が看板娘になるってのはどう?』
『……ああ、悪くないかもな(だが、俺は……)』
『……ッハ!?
これは死亡フラグっぽい!
うおおおおお!
この戦いが終わったら結婚するんだ!
決戦の後のパインサラダは楽しみにしてるぜ!
これは……そうだったのか。だからあいつはあの時……』
『……何遊んでんだよ』
荒垣の過去の出来事が、荒垣の進路を決めたと言っていいだろう。
荒垣は、琴音の病室にやってきた。
「……変わらねえな、お前は。
桐条は相変わらず世界中を飛び回っている……シャドウワーカーは縮小しても桐条グループ自体も活動は変わらねえ……有里の見舞は意地でも作っているがな。
今度も外国で桐条グループの置き土産を案件があって出ていっているがな」
荒垣は、自分のことや周りの近況を話しにやってきている。
琴音と過ごしていた時は、荒垣は琴音の話を聞いていた。
琴音は、何故か怖い話しようとしていたが荒垣にはいい思い出だった。
彼女がしてくれたように、荒垣は話を続ける。
「岳羽は……モデルから不死鳥戦隊フェザーマンの仕事を受けちまっただろ?
今年は歴代戦隊が集結する映画を撮っていて忙しいようだ。
ああいう業界でやってけっか心配だったがよ、久慈川と仲良くやっているらしい」
「伊織は……桐条グループに入社して三年目か。
カミさんを養うならコネでも使うって必死になってよ……シャドウワーカーの仕事が回りやすい警備関係に入ったが上手くいっている。
桐条についていっているが」
「アキは…大学をようやく卒業したのは話したのよな?
シャドウワーカーに入ったが……縮小されたから欲求不満でな。
ようやくマシになるらしいが……置き土産の関係でアキも海外だがな」
「山岸は帝都大学工学部の大学院の勉強は上手くいっているらしい。
医療系の機械の設計やら計画しているがよ……。
まぁ、桐条に引っ張れていったが」
「天田は、大学に進学して単位を落とさないように真面目にやっているようだ、俺のとこでバイトしているが。
アイツは俺と一緒にタルタロスの監視をしている……。
だが、俺にフェザーマンやらハンサムマンやらの視聴マラソンを誘うのは……」
「コロちゃんは相変わらず元気なんだ。
なんかペルソナ能力の影響で老化が遅いらしい……研究者が注射やら検査をしているが……!!
今日もいっぱい食べたんだ」
「アイギスは……たまに黙って俺を覗くのが怖い……。
姉妹に会いにいっていることもあるらしいが……」
取り止めもない話を続けた。
心の怪盗団『ザ・ファントム』の話や最近話題のアプリ『EMMA』なども話した。
あと世界中で謎の行方不明者が起こっている事も話題にあげた。
一通り話した時には、面会時間も終わりになった。
「また来る……また起きて……お前の話を聞きたいんだ。
こっちはあの時から参ってんだ…。
寝ても覚めてもオメエのことばかりで……アタマが一杯なんだ…。」
.
.
.
<エウロパ トリステイン国 大統領官邸・エリゼ宮殿>
大統領官邸で話し合いが行われていた。
「なんとしても心の怪盗団の改心のノウハウを我が国の手に……!!」
「……」
「しかし、シドウの認知訶学の資料は押収され、一色若葉の書籍は触り程度しか我が国では研究は進んでいませんよな」
「黄色いサルにできて我々に出来ないはずがない!!
怪盗団の正体を掴んで拉致をしてでも解明するべきだ……!!」
「ですが……『あの』スミス同盟を敵に回しません?
基本、政府のテロリストや国際犯罪シンジケートを単独で対処するあの軍団が共闘するって…どう見ても危険ですって!!」
「奴らに好き勝手させない為にも必要なんだ!!
改心のノウハウを我が国で独占し、世界の主導権を握るのだ!」
「……副大統領!
さっきから黙って笑っていないで何か言いたまえ!」
「……」
突然、大統領官邸前で大爆発が起こる。
副大統領を除く、大統領をはじめとした閣僚は狼狽した。
中東かアフリカのテロ組織の仕業か!?と。
SPが皆を安全な場所へ避難させようとするが…。
「フヘヘへへはははっははははは……」
「なんだ、笑い声が聞こえるが……」
声の方向に銃を向けるが何もいない。
いや……『何かがいる』
突然、SPの前方で爆発が起こり、SP達の全身は粉微塵になり、腕だけが大統領の前に残った。
皆の顔面や背広に赤い血が飛び散る。
「う、うわあああああああ!?」
「何かが隠れている!?
コメリカの研究中の光学迷彩か!?」
「へはははははっはははははははは!」
「ふ、副大統領……?」
皆が恐怖で悲鳴をあげる。
それだけではない…。
副大統領が突然笑い始めた……『爆発の主と同じように』。
恐怖で狂ったのか?と大統領は思った。
だが……副大統領は豹変した。
全身がモザイク状の迷彩……<都市迷彩>を全身に身を包まれた怪人へとかわる。
顔面には目も鼻もない、口のみで奇怪な笑いを発している。
生き残ったSPや閣僚は拳銃で心臓や顔面に発砲するが、身体を仰け反らせるだけでゆっくりと大統領に近づく。
「へははははっはははhっは…!」
「な、なんなn」
爆発が会議室で起こった。
生き残っていたのは爆発現場から離れたスタッフや官僚のみだった。
この日を境に謎の爆発事件が世界中で発生するようになった。
この事件群の真実は報道されることはなく、政府筋や裏社会の一部でしか知らない。
生き残り、怪人を目撃したものは……
killer9 TARGET ex-01 『笑う顔』
『笑う顔』<Heaven Smile>と名づけた。
恐怖劇はここから始まったのだ。
先輩……オリキャラのおっさん。
桐条お抱えの医者で、ペルソナとかの事情を知っている。
キタハムコンビが来る前の真田パイセンの怪我とか診たりしていた。
後輩……新人。
ペルソナとかの事情はさっぱり知らない。
優秀だったのでスカウトされた。
武見先生の後輩。
武見妙……蜘蛛のデザインの服を着ていて恋人を強く束縛するのでは疑惑がある。
蓮をモルモットにした先生。
夏休み、所用で院を離れていたのはキタハムコンビを診察して謎の昏睡(?)を治す糸口はないかと招かれた為。
蓮のことは、年下の彼氏も悪くないかも……とコープレベルはマックス。
なお、特効薬は謎の怪人が処方しているわけだが……一体何ミスなんだ?
荒垣パイセン…… 「制御剤」という本来ペルソナ使いとしての適正が低いものが用いるものだが、常用すると副作用で命を縮めるほどの劇薬を飲んでいた。
ハム子ちゃんが倒れ、再び目覚めることを信じてリハビリを続けて体質改善に成功してしまった。
愛です、愛ですよナナチ(ニュクスの最終決戦で皆が生きる世界をキタハムが祈ったお陰ででもあるんだがね……)
トリステン大統領……レイシスト。
スミスもテロで死亡したと聞いてやったー!となるくらいだったのでその人格はお察し。
色々ちょっかいを受けていたので。
なおEMMAの案件に集中していたので痛恨の見逃しをしていた。
なお、春に何かあったら……スミス直々にトリステンが物理的に地獄に変えます。
スミスの見た夢……最後にスミスが選ぶ道は?
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マガタマを飲み、人修羅の道へ。
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悪魔と合一し、ナホビノとなる。
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宇宙の卵を確保し、孤独な観測者となる。
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うるさい!(拳銃で返答)