「……」
「社長……顔を上げてください」
スミスが俯いている……ニャルラトホテプの言葉に堪えているのだろう。
ラビが必死に励ましているが動かない。
ニャルラトホテプがゆっくりとスミスへ近づく。
「相棒!」
「ああ、やらせるものかよ」
「じゃましないでもらおうか」
俺と陽介が行手を阻む。
ジョーカー達をはじめとした怪盗団は集結してすぐに散会した。
ニャルラトホテプではなく、シン・タルタロスの隣に産まれた怨みの塔へ向かっている。
「ペルソナチェンジ、アジ・ダハーカ!」
『脳味噌くれぇぇえええ!』<メガトンプレス>
巨大な蛇龍が落下して衝撃波と瓦礫を飛ばして妨害してくる。
ニャルラトホテプは手刀をジョーカーに叩き込むが、短刀(パラダイスロストR)で受け止める。
「へえ、庇い立てするんだ」
「俺はスミスを信じている。
お前の悪意に負けない……アイツは世界の悪意から俺達を守り続けていた!」
俺が聞いたところによると、ジョーカーは獅童正義に冤罪をかけられ、様々な悪い大人に立ち向かい改心をしてきたらしい。
スミスは、一般人の仮面をかぶって正体を隠しながら支援していたそうだ。
「子供が大人に裏切られ、大人は子供を嘲笑う。
子供がロクな大人はいないと絶望し、自分も大人になれば憎んだ大人になる事を憎むことがないように……
スミスは『大人になっても良いことはあるぜ、ちっとはな』って言ってやれる大人を目指していた!」
「へえ、かっこいいな」
「アイツが俺達を守ったように俺達もスミスを守る!
ニャルラトホテプ!
お前が世界を滅ぼす為に集めた歪んだ悪意……この怪盗団が頂戴する!」
「所詮は無駄な事を……!
助けても逆恨みでお前らを害するだけだろうに……!
美学に殉じて死ぬが良い!
ペルソナチェンジ・ジョカ」<土偶発破>(※ 敵全体に大威力の衝撃属性攻撃。3ターンの間、攻撃力と防御力を1段階低下させる)
髪が蛇の身体のようになっている女性が召喚され、無数の土偶が地面から生まれ、俺達に群がっていく。
ジョーカーが拳銃を撃って命中した土偶は自爆した。
無数の土偶が自爆した土偶の残骸を踏み越えて俺達に殺到する。
「皆、ワガハイ達はヤツの塔の力の源……オタカラを奪う!
そうすれば奴の力も制限できるはずだ!」
「了解した……総員、怪盗団を援護する!」
「そうは言うけどこんだけの自爆する土偶の群れはきついっすわ……」
「弱音を言わない、純平!」
純平さんは、岳羽さんにどやされているが、力任せに無数の土偶を薙ぎ払っている、
自爆に巻き込まれても持ち前の頑強さと自己再生能力で怯まない。
怪盗団が怨みの塔に近づこうとする度にニャルラトホテプはペルソナを変えながら強力無比な攻撃をしかけてきて妨害する。
偶に拳銃でナビゲーションをするりせや山岸さん、ナビを狙い撃ちしてくる。
常に俯いているスミスへ視界に入れながらニャルラトホテプは怪盗団達に直接攻撃を繰り返す。
ニャルラトホテプはスミス……いや全ての人類を嘲笑いながら攻撃してくる。
だが皆、スミスが立ち上がるのを信じて反撃している。
俺だって手をこまねいているわけにはいかない!
「シヴァ!」<プララヤ>
俺は、戦いの中でカンを取り戻し、最強クラスのペルソナの技を使う。
破壊神の破壊の力が具現化し、土偶達をまとめて吹き飛ばす。
……奴がいない!?
「集団戦の基本は目をつぶせってね!」
「山岸!」
一番遠くにいた彼女の元に爆発のどさくさで接近していたのか!?
必殺の一撃を与えるべく右腕を彼女に振り下ろす。
だが……銃声がなった。
「ようやく動いたか、スミスぅ」
「……」
草薙剣と奴の腕で鍔迫り合いじみた攻防が起こっている。
スミスの背後でラビがライフルを構えていた。
「俺のスキルハックを警戒して二人がかりで止めたか。
だが、重役出勤にもほどがある」
ニャルラトホテプの腕がスミスの顔面握り潰そうとジリジリと押してくる。
奴のペルソナの力で強化された四肢はまさに凶器なのだろう。
「生憎……俺は正義の味方じゃない。
俺の生きる場所を守る為ならなんでもするさ。
そして踏みつけにしたものの怨みは甘んじて受けよう……実際に害を為すなら殺(ト)るが」
「そうはいうが直接殺したことはないよなぁああああ、killer7を率いているにも関わらず!」
「生憎、日常的に殺しをして選択肢に殺害をいれるような人間では怪盗団に協力できないだろうに。
それにいつでも殺せるくらいに圧倒して制圧する方が恐怖を与えるにはちょうど良い」
「俺のオタカラ盗めない無能の怪盗団に何を期待する!?
お前が動くまで何もできなかった無意味な存在を!」
「意味はあったし……『盗んで』いたぜ、お前の意識をな」
「!?」
スミスが力押しでニャルラトホテプを押し飛ばす。
同時に、奴の右腕が宙を舞い、スミスの後方に落ちた。
圧倒的なペルソナの力で強化された筈の腕を容易く切り裂いたのだ。
「やったっすね!」
「でも最初からなぜやらなかったクマ?」
完二は喜び、クマは首を傾げた。
「お前は棒立ちしていたが…俺に何をしたのか?」
「いいや、なにも…お前はずっと警戒していたな。
俺と怪盗団を警戒していた……」
「え、どういうこと?」
千枝は何もわかっていないようだが……。
「俺はの怪盗団のようなヒーローじゃない。
妨害される可能性が少しでもあるなら、オタカラを盗み出すという予告犯行を明かすと思うか?
怪盗団の予告10分前に実行したよ」
「……まさか!!
ペルソナチェンジ、デモニカもどき!」<至高の魔弾コピー>
バケツ頭の怪人が現れ、ラビに向けてアサルトライフルを発射し、あっけなく脳天撃ち抜かれるが……。
ラビは真っ黒な影になって消えた。
「ラビがあの塔を見た瞬間に俺に突撃を提案したから『救済』してやれと指示した。
わざわざ動揺したふりをして偽物のラビを使った一人芝居がバレやしないかと心配したが……ジョーカー達も上手く動いて意識を逸らしてくれたからな、何も言わなかったのに」
「俺はお前のことを信じていたからな…。だが
即興の作戦で冷や汗ものだったがな」
「パケチを嵌める為に警察に捕まった時のほうが綱渡りだろうが、ジョーカー。
ラビは一遍世界を手中に収めているからな、ああいう歪んだ奴を曲解するのは経験済みだ。
ジョーカーがラビへの意識を逸らすのと『予告』することで恨みの塔の力の中枢がより鮮明に具現化したからな。
ラビ先生の『曲解』の成功率は上がるってもんよ」
ジョーカーとスミス……世界を手玉にとった戦術家としての技量は恐ろしくも頼もしいな。
奴の気配の強さが弱まっている……一気に畳み掛けよう!!
一般視点
ジョーカー「俺はスミスを信じている(悪意に打ちのめされているのから立ち上がるの信じて)!」
怪盗団視点
ジョーカー「俺はスミスを信じている(あんなんで凹むわけがない、何か企んでいる)!』
昼行灯の次に鑑定屋の世界に行くコテハンは……
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ピーコックニキ
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エンマニンジャ
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野良勇者
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史上最強の大工
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Zさん