連合軍の袋叩きで押されていく館。
だが、笑みが崩れない。
それどころかテンションを上げていく。
「いいね、いいねええ!」
「コイツ……まだ倒れねえのかよ!?」
「この世界だけではなく、無数の世界の人間の悪意を総体と考えれば、しぶとくもあろう」
フォックスとスカルが愚痴を吐く。
館がペルソナを呼ぶ。
「ペルソナチェンジ、メフィスト」
『“Dream no small dreams for they have no power to move the hearts of men.』(小さな夢を見るな。それには人の心を動かす力はない)< 貫く闘気><マハムドバリオン>
耐性を貫く程の全体呪殺魔法をばら撒く……それも俺達を容易に殺し得る火力だ。
俺達は全力で回避する。
館は懐から瓶を取り出す。
「まんたーんドリンク!(※テッド様ネタ)
あ、これはソーマね」
「ラスボスが全回復は反則かよ……」
隻腕だった館から腕が生える。
それを見た双葉はげんなりした様子だった。
アイギスが銃を構える。
「回復しても力が減っています!
あなたを倒し、二人を取り戻します!」
「まさか怪盗団が囮だったとはね……スミス君に一本とられた」
奴の戦意は衰えていない。
奴の悪意は増しているように思える。
「そろそろ受けてもらおうか、俺の本当のファンサービスを。
希望を与えられ、それを奪われる。その瞬間こそ人間は一番美しい顔をする。
それを与えてやるのが、俺のファンサービスさ
お前たちとの決闘は素晴らしかった!
コンビネーションも! 戦略も!
だが !しかし! まるで全然! この俺を倒すには程遠いんだよねぇ!
とくと味わってくれよ……俺のファンサービスを!
ペルソナチェンジ、ラブクラフト!!」
『人類最古で最強の感情は"恐怖"だ。それも、"未知なるものへの恐怖"だ』
ラブのペルソナ『アナンシ』はすべての物語の王であり、空想とリアルをクロスオーバーさせる能力をもっていた。
それを館は奪い、改造したのがラブクラフトだ。
奴はjokerを生み出し、死者の認知存在を実体化させ、シン・タルタロスを作り出した。(※幾月の事は秒で忘れやがったな)
「奴は何をしようとしている!?」
「じ、地震!?」
「ジョーカー、アレを見ろ!!」
美鶴さんが困惑していると地面が揺れ、岳羽さんが思わず声を上げた。
ソフィーが指差す方向を見てジョーカーは絶句した。
「……!!」
「マジかよ」
「聖杯……!!」
東の方向には悪趣味なキンキラキンな黄金の聖杯が空中に浮かんでいる。
スカルとパンサーがその存在に反応した。
それだけじゃない、西の方に視線を向けたウルフが声を上げた。
「聖櫃だと……!!」
「あのペルソナが復活させたというの!?」
クイーンが指摘した通りだろう。
純平さんや陽介が叫ぶ。
「クソ……封印が解けたのか!?」
「相棒、倒した筈の奴が!!」
北の方にはニュクス・アバターが、南の方にはイザナミがいる。
先輩方がかつて倒した大敵だ。
館が出したペルソナ『ラブクラフト』は結晶化して砕け散った。
「一人では多勢に無勢。
だから絆の力で対抗するぜ!(※面識はない)
純平くん、ニュクスは復活はしていないぜ。
この世界の記憶を実体化させただけさ……意思はないけど戦闘力は本物だけどね。
このゲームの勝ち方考えました、君たちを相手にしないで封印を解けば勝ちだなーってね。
本当はクロノスくん(Q)、エンリルくん(Q2)、 サルマエル君(タクティカ)、ミクラタナノカミ君(ペルソナ4d)、ヒノカグツチくん(ペルソナ4U2)呼びたかったけどねー!
怨みの塔を丸喜先生ことラビ先生が無力化したからねー!かー!」
聖杯と聖櫃は変形巨大化してヤルダバオトとデミウルゴスに変化した。
仮に館をぶち殺してもコイツら放置すれば封印ごと二人を殺害するだろう。
俺は皆に言った。
「……コイツは俺が引き受ける。
S.E.E.Sはニュクス・アバターを、自称特別捜査班はイザナミを。
怪盗団とラビとラビリスが屑鉄供の始末を頼む」
「……やれるのか?」
「持ち堪えるなら一人の方が都合がいい」
ジョーカーが俺に問いかけるが……最適解はこれしかあるまい。
敵を討ち取って他に援軍に行けば戦局は改善するだろうしな。
「わかった……頼むぞスミス」
「スミス君、すぐに助けに行きます」
「なるはやでな。
じゃないと、コイツを先にぶちころがしておくがな」
ノワールの不安を和らげるように俺は強がった。
俺の様子を察したノワールは、無言で走り出す。
聖櫃にはソフィー、ウルフ、ラビリス、ノワール、ヴァイオレットが向かい、残りが聖杯解体に向かったようだ。
館がわざわざ待っていたようだが……。
「確かにそれしかないよねえ……そうしないと負けるくらいの戦力で呼び出したんだし。
でもお前一人で俺に生き残れるかなぁあ!?
ペルソナチェンジ、サマエル」
『異界の転生者よ、消え去るがいい』<カディシュトゥ召喚>
サマエルのしもべであるカディシュトゥ(ナアマ、エイシェト、アグラト、リリス)の影を呼び出す。
「いやぁスミスは数で今まで押していたからね……俺もそれに倣わせてもらおう」
絶望的な戦いが始まった。
ナアマが呪詛を、エイシュトが爪による斬撃、アグラトは使い魔を俺にけしかけ、リリスは疾風魔法を飛ばす。
館はサマエルを呼び出したままで毒を撒き散らす。
エリザベスとテオドアとの戦いを経験していなければ間違いなく死んでいるだろう。
リリスが回復を行う為に真っ先に首を刎ねるが館のサマエルがまた呼び直す。
徐々に俺が押されていく……。
『界剣・天叢雲剣』を使えばカディシュトゥは一掃はできるが、館は仕留めきれない以上……増援がない限り詰みだ。
「ああ、パケチ君の所と、統志郎君所には笑う顔けしかけたから万一にも助けは来ないよ!
一ノ瀬ちゃんみたいな負け方は嫌だしね!!」
このままでは俺が死ぬのが早そうだが……。
———抗え、滅びから。
俺の意識が……
.
.
.
スミスは、戦場だった場所からいつの間にか暗闇の中にいた。
まだ殺されていない筈だと体の状態を確認して周囲を見ると……夢で見た無数の光景が現れる。
這い寄る混沌の玩具にされた周防達也の物語を。
異界化した南極の旅路の果てで宇宙の卵を勝ち取った冒険譚……未来の警鐘を受け取り、孤高の観測者になった只人もいた。
人修羅が創生を目指した結末を、悪魔になり創生の道を閉ざされた結末を、明けの明星に魅入られ至高天たる神に挑む結末を。
東のミカド王国のサムライが選び変革した社会を、全てを消去したこともあった。
ダグザと共に未来を切り開く……孤高の超越者か友と共に歩む道……。
神の知恵を持った人間が悪魔と合一して至高天を目指す戦いを、あるいは本来で出てくる事のない魔女との戦いの果てを見た。
山手線が封じられ、悪魔が現れ出すサバイバル……
世界が虚無に飲まれている死の予言を覆す戦いを……
夢では朧げだった光景が今は鮮明に見える。
———選択の時だ。
デモニカスーツを着た戦士が宇宙の卵を手のひらに乗せている。
人修羅の掌の上にはマガタマがひくひくと動いている、
ナホビノの少年が手のひらの上に輝く光が浮かんでいる……スミスの中に眠る知恵に相応しい神格なのだろう。
「………」
スミスには『それぞれが持つ力は本物』だと感じた。
間違いなく今の戦局を覆すものであった。
———選択の時だ。
スミスは動かない。
———抗え、滅びから。
そして、スミスは決断した。
昼行灯の次に鑑定屋の世界に行くコテハンは……
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ピーコックニキ
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エンマニンジャ
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野良勇者
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史上最強の大工
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Zさん