「貴様、何者だ!?」
「なにをかくそう俺はボンド・・・・・・ジェームズ・ボンドさ」
「おのれジェームス!」
「この時代で分からないネタはやめような」
ボブ・マンデンは軽口を叩きながら騎士へ銃弾を叩き込む。
クリアリングしながら少しずつ制圧していく。
ケイが脱出時の話を聞いてキャメロットの構造の一部を知ったので有識者と照らし合わせながら量産型ベイリンの工房を探している……道中のエネミーは口を聞かないか口を割らないかそもそも知らないの三択なので大変だ。
「お……量産型ベイリン13機……クソみたいな数だな」
「あばばばば」
「あいつらが護っている奥が工房っぽいな」
「マスター、急拵えでギフトのかかっている奴はいない。
安心してぶっ飛ばせる」
「じゃあ、全力でぶっ飛ばして!」<令呪全使用>
オッペンハイマーに姿を変えて、初手宝具で吹き飛ばす!
工房の守護を命令されたなら回避はできないし、俺を宝具発動前に殺害を企てても……
「こんちはーーっ!!」
ほら、早撃ちされる。
死ななくても後方に吹き飛んだり、剣を弾かれて体勢が崩れば……
「我は死なり、世界の破壊者なり……」
宝具発動すれば全てを飲み込む。
量産型ベイリンともども工房を飲み込む。
ボブが俺に話しかける。
「ここでリソースを全部注ぎ込んでいいのか?立花のほうは獅子王って奴と戦うんだろ?」
「パー坊、弟子3号、ベディヴィエール君がいるなら大丈夫。
マシュの力を伸ばすならそれ以上が過剰だ」
「スパルタだねえ」
「……後々のことを考えれば甘やかせられないのが辛いぜ。
すまんな、ベイリン。
お前に迷惑をかけてしまった……だがアンタのおかげで獅子王に手傷を負わせたおかげで犠牲者は格段に減った」
宝具でブラックホールを発射し終わると奥には工房の大半が消滅し、最深部に巨大な培養槽が残るのみだった。
中に入った人の残骸……ベイリンが入っている。
もはや意識はないだろうが……俺はベイリンに謝罪と感謝の意を示して装置を停止した。
ベイリンの霊基は崩壊して退去した。
「セカンドマスターはやってくれると信じていますが……ランスロットはどうだろうな」
.
.
.
「えい!今です、ランスロット卿!」
「承知した!」
ガレスがルーン(ワイだけじゃなくて立花が召喚したキャスニキの薫陶を得た)で粛清騎士を拘束して、ランスロットが切り捨てる。
傷だらけで満身創痍のアグラヴェインを守る者はいない。
原作より心身が充実したランスロットとガレスの二人がかりで原作より少ない戦力故に問題なく制圧が進んでいた。
「ここまでだアグラヴェイン卿」
「これ以上、円卓の騎士同士の殺し合いはやめましょう……貴方の理想は叶わない」
アグラヴェインは、絞り出す様に語った。
「私達の母親は狂っていた。
いつかブリテンを統べる王になる、などと。
私は枕言葉に、そんな怨念を聞かされて育った」
「お兄様……」
「私は母親の企みで、お前達の席に座った。
円卓などなりたくもなかったが、それが最短距離だった。
私は、アーサー王から王位を奪い、
母親に渡すための、道具だった」
狂えるモルガンは、アーサー王から王位を奪うために様々な奸計を行った……最後はエクスカリバーを盗むまで至った。
「私は同意した。
ブリテンには強い王が必要だと理解していたからだ。
私の目的はブリテンの存続だけだ。
その為にアーサー王を利用した」
この時空では、マーリンだけでなくアルトリア自身もブリテンを維持できない事を理解していた。
故に最小限の被害になるようにソフトランディング……緩やかにブリテンが滅びながらも『次』へ繋げる為に奔走したのだ。
「———利用、したのだ」
渾身の力を込めてランスロットへ横薙ぎに剣で切り付ける。
ランスロットは後方へ下がって回避する。
「私が求めたのは上手く働く王だ。
ブリテンをわずかでも長らえさせる為の王だ。
私の計画に見合う者がいればいい。
誰が王になるなど、私にはどうでもいい」
ただ結果として、アーサー王が最適だっただけだ。
モルガンより、アーサー王の方が使いやすかっただけだ」
アグラヴェインは吐き捨てる様に言った。
「私は女は嫌いだ。
モルガンは醜く、淫蕩だった。
清らかさを謳ったギネヴィアは、貴様との愛に堕ちた。
私は生涯、女というものに嫌悪し続ける。
人間というものを軽蔑し続ける。
愛などという感情を憎み続ける。
その、私が———
はじめて、嫌われる事を恐れた者が、
男性であった時の安堵が、お前に分かるか。
……それが、貴様とグネヴィアのふざけた末路で。
王の苦悩*1を知った時の、私の空白が、お前に分かるか」
「アグラヴェイン卿……」
「———報いを受けろ。
貴様はまた、我が王を裏切った」
以前のランスロットは、その言葉に動揺し、討られるのも已なしと思っただろう。
だが……
「それは違う!!」
狂化したアグラヴェインに執念を上回る剣の冴えで弾き返す。
自分は裏切り者と思っていたランスロットだが、ワイの謝罪と本音を聞き……ランスロットは、こんな自分を信じる者はいるになら卑屈な態度をすることはやめようと心がけた。
自分を卑下することはワイへの侮辱になるからだ。
「きさ……」
「アグラヴェイン!!」
再び、ランスロットに斬りかかろうとするアグラヴェインであったが、ガレスの声で動きが止まる。
いや、ランスロットすらその気迫で立ち止まるほどだった。
ガレスは兄の名を呼び捨てにしながら更に叫ぶ。
「歯を食いしばれ、小僧がぁ!!」
ガレスは義手で渾身のストレートを、アグラヴェインの顔面を抉る。
盛大に宙を舞い、地面に倒れる。
これは本人とワイ以外ではマーリンしか知らない事だが……ワイとガレスは円卓崩壊後もブリテンの大地を実りを齎すために長い生涯を捧げた。
ワイとガレスが老衰でほぼ同時に亡くなったのだ。
そう、ガレスこそが円卓最後の騎士なのだ。
今の姿は円卓崩壊直後だが、長い生涯の記憶はもっているのだ……ワイとマーリン以外は若造扱いできるくらいに老成しているのだ、本来は。
ガレスは闘魂注入ビンタを繰り返しながらアグラヴェインに説教を開始した。
生前や今回のも含めた我慢の限界を超えたガレスは凄まじい怒気を孕んでいた。
「ランスロット卿とグネヴィア様の関係は王黙認のものです!
仮にそうでなくてもあの状況でどちらも切っても問題になります!
そして、それを切るのは部外者の貴方でなく王の問題です!
分限を知りなさい!
貴方の一手が円卓の、ブリテン崩壊の引き金と自覚しなさい!」*2
「そもそも!政治をするなら数字も大事です!
ですが義理……筋を通すこと、つまり自分の都合でなく約束や流れを大切にする姿勢!
人が嫌いでも人と関わる以上は筋を通して信頼される様に努めるべきです!
そして人情……相手の立場や苦しみを思いやる気持ちが大事です!
政治で人の上に立つなら持たなければならない資質です!
師匠から何を学んだのです!?一緒に仕事をしたはずでしょう!!
それなのにどうして人を軽蔑し、人の感情を否定するんですか!
人は泣いたり、笑ったり、悲しんだりする者です!
それができないと人の痛みがわからなくなるんです!
獅子王は、そんな感情がないから非情な愚行を行っているんです!」
「魔術王に勝てない?
勝てないから外道行為をしていい免罪符にするな!
師匠は楽勝で勝てると言ってるぞ!
ブリテンの滅びを完全回避して円卓を繁栄させるほうが無理難題で不可能な事業とすら言っているぞ!」
「そんなに感情を用いないで政治ごっこがしたいなら蟻でも飼育すればいいんです!」
「女が嫌いならば最初に私を斬れば良いのです!」
生前は基本朗らかで天真爛漫な姿しか知らないランスロットは、ガレスの知らない一面を見て思わず声無き乾いた笑いをしてしまった。
それと同時に、小さく未熟だった従者が自分よりも遥かに人生を生き、大きく育ったのを知り感慨深さを感じた。
ガレスの説教が終わる頃にはワイやハサン達と合流した。
天地が揺れる……立花達が守備よく獅子王を打倒したらしい。
「いやぁ、パワフルだね」
「寝台の上で大往生したんだあれ位は当然だ」
「はは、尻に敷かれそうだな」
ボブは、ガレスのパワフルさに口笛を吹いた。
ワイはそれを当然と言い切り、アーラシュは苦笑いした。
「ガレス殿はここまで苛烈とは……」
「なんか逆らいがたい雰囲気がするな」
「幼少のみぎりで弓を勝手に取り出して練習した際に乳母に叱られた事を思い出すな」
呪腕と輝星、俵がガレスを遠目で観察しながら話す。
仏頂面のケイがワイに近づく。
「アーパー」
「ケイ……ベディヴィエールは逝っただろう……返しそびれた聖剣を返してな」
「そうか……」
「カルデアに来たら力を貸してくれ。
人類史そのものを消そうとするんだ、対抗するなら総力戦であって然るべきだ」
「愚妹も来るんだろうな?」
「多分?並行世界のアルトリアしか来ていないが現状」
「そうか」
「円卓並みかそれ以上の問題児が出てくるから制御する人間が必要だ」
「そうか」
返事をする度に渋みが増していくケイ。
ワイは自分が消えた後のカルデアのことも考えてケイに託そうとしている……。
第六特異点が消滅し、いよいよ第七特異点へ差し掛かることになる。
人理の請負人の旅路も終わりに向かいつつある……
第六特異点 神聖円卓領域キャメロット / 逆襲のワイ
<人理修復>
アッ君ごめんね!一番割りを食わせてしまった。
昼行灯の次に鑑定屋の世界に行くコテハンは……
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ピーコックニキ
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エンマニンジャ
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野良勇者
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史上最強の大工
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Zさん