むしろ好きな部類です。
「間に合ったようだ」
「ライダー!!」
人理の請負人は玉座の間にたどり着いた。
開戦前に間に合った様で、マスターの理代が思わず叫んだ。
人理の請負人の姿を視認した魔術王を詐称する者の態度が一変した。
カルデアのマスター達には無関心に近い表情だったのが憤怒に満ちたそれへと変化した。
「貴様……人理の請負人!!
なんら価値の無い人間に肩入れする愚か者!!
疼く……疼くぞ……あの時してやられた古傷が!屈辱が!」
「ハロー、物知りの様で意外と知らないサナダムシ。
人類はカスだ、価値がないのは同意するが、汚泥の中から花が咲く様に人類が滅びるまでに価値あるモノを創造するかもしれないし、何も生み出さずに終わるかもしれない。
お前は何もわかっちゃいない。
人間を否定して人類の歴史を薪にくべてつくろうとする世界は間違いなく醜悪なものになる。
ソロモンの苦しみ……いや、ソロモンの境遇を長く連れ添ったにも関わらず理解できなかった『ソロモンの悪魔』にはわかるわけがない」
「ククク……クハハハ!ソロモン!ソロモンソロモンソロモン!」
その正体を言い当てられた獣は狂気の笑いを発する。
ソロモンの身体に魔神柱を侵食させていく。
「
お前達魔術師の最初の基盤として創り出された最初の使い魔。
ソロモンと共に国を統べるも、ソロモンの死をもって置いていかれた原初の呪い。
ソロモンの遺体を巣とし、その内部で受肉した召喚式。
我が名は———」
ソロモンの姿から異形へと変化する。
「魔術王の名は捨てよう。
もはや騙る必要はない。
私には名は無かったが、称えるならこう称えよ。
真の叡智に至るもの、その為に望まれたもの。
貴様らを糧に極点に旅立ち、新たな星を作るもの。
72の呪いを束ね、一切の歴史燃やすもの。
即ち、人理焼却式———ゲーティアである」
ゲーティアの名乗りに拍手をする人理の請負人。
それを褒め称えるのではなく嘲る様に、王へ韜晦する道化のように。
「姿を変えてくれて助かるよ、友人知人の類と同じ顔を殴るのは忍びなかったのでね!
セカンドマスター、マシュ。
これは所謂一つの『意識高い系』というバカです。
俺は凄い!他と違う!俺は苦労した!俺は頑張った!だから他の意見は糞だ!と社会でなまじ能力があるだけタチが悪い害悪というやつです、こんなのが人類が越えるべき悪たる『人類悪』とは片腹痛いね!
叡智を極めた者なら他者の意見を聞く度量はある筈なのに『自分の立てた一人よがりな考え』に固執し、結論づけて話を聞かない!
歴史やら本を焚書する共産主義じみた事をするのも愚かしいよね。
より良い環境でやりたいならコンピューターの世界でやることをお勧めするよ。外宇宙は君すらノミ扱いするくらい強大な存在が徘徊する危険な場所だからね!
真の叡智に至っているなら愚民どもに授けてやれよ!ってね」
「「「(辛辣ゥ!!!)」」」
手厳しい塩対応に思わず引いてしまうマスター達であった。
人理の請負人はゴロツキのように拳を鳴らす。
「奴の『ネガ・サモン』のせいで生半可なサーヴァント運用は困難だ。
作戦は単純にいきましょう。
マシュが死ぬ気で二人を守ってください。
そして、自分が全人類、この場にいる全サーヴァントを代表して殴ります」
「はい!」
「姜子牙、頼んだよ!」
「ライダー、負けないで!」
「貴様ご」
ゲーティアが喋り出す前に人理の請負人は姜子牙から武田物外へ変化して強烈な当て身を喰らわせる。
ゲーティアはサーヴァントに対する絶対的な対抗手段を持っている。
デミサーヴァントであるマシュならともかくそれ以外には効果がある筈なのに……
「何故だ……なぜ……送還されない!?」
「簡単だ、もう俺は『サーヴァントじゃない』」
物外からアウストラロピテクス・プロメテウスに変化して燃え盛る松明と石器で殴りつける。
第四特異点でもゲーティアへの攻撃が成功したのは一時的にサーヴァントの枠組みを外した為だ。
本来ならその時点で霊基が霧散するのだが……
「馬鹿な!サーヴァントの枠を外せば消え去るはず!」
「その為の策だ」
「策だぁ!?」
「それは……気力だあああ!」*1
ロンドンでは攻撃の瞬間のみ枠を外して攻撃して成功したが、反動で霊基が多大な損傷を受けた。
そしてここでは……
「(感謝するぜ、アンリマユ。
お前のくれた聖杯で霊基のダメージは回復させ続けられる。
この世界で霧散しないように戦い続けるには
人理の請負人がマスター達を先にいかせたのは、ゲーティアへの弱体化を試みるだけでは無かった。
サーヴァント達にパスを繋いで存在形成の補助をしてもらうと共に魔力供給をしてもらう為である。
バッタモンの始まりは古代中国の殷王朝の時代であったが……過去は原始時代、未来は20世紀まで人理の中を彷徨い続けた……その仕組みは呪いじみた物であり、太古の歴史が概念の重さとして打撃に乗っているのだ。
人類の歴史全てを光帯にして燃料にしたゲーティアの総量と比べれば微々たるものかもしれないが、ゲーティアにとってその打撃は甚だ苦痛であった。
戦いの中でもゲーティアはマシュへ話しかける……彼女だけがゲーティアが執着する対象となっている。
彼女の寿命は尽きかけている事を知っており、彼女だけを生かしたい、この星の最後の思い出を悲劇にしたくないと。*2
だがマシュは、永遠など望んでいなかった。自分の生きる世界はここであり、たとえ瞬きの命だとしても1秒でも長く世界の未来を見たいと望んだ。
「先輩、もう一度手を握ってくださいますか?」
「ああ、もちろん」
マシュと立花は、最初のカルデアの爆発の時の様に強く互いの手を握る。
ゲーティアは不快な戦い打ち切るべく、マスターへ向けて光帯の熱量を差し向ける。
「——残念だ。
では、この時代と共に燃え尽きよ。
第三宝具展開。
惑星を統べる炎を以て、人類終了を告げよう。
お前達の探索は、ここに終末を迎える!!」
白い巨大な閃光がマシュ達を飲み込む。
マシュは宝具を展開して懸命になって守る。
人理の請負人はゲーティアの背後から生命を奪わんと攻撃を繰り返す。
人理の請負人とそのマスター、そしてゲーティアは理解していた。
光帯の熱量を防ぐ物体は、地球には存在しないことを。
汚れない無垢であれとデザインされた彼女ならば円卓の騎士ギャラハッドの盾を持つ事ができ、その光を防ぐ事を。
だが……
「マシュ……!!」
立花と理代を守る様に盾だけが立っていた……。
マシュの姿がどこにもない。
彼女の肉体は熱量に耐えきれず蒸発した。
だが、その無垢な心支えた盾は何者にも侵されることなく耐え切った……
昼行灯の次に鑑定屋の世界に行くコテハンは……
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ピーコックニキ
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Zさん