「風と炎の砂漠の部族が一つに纏まりフレイムという国が誕生した知らせは昨日聞きましたよ。
スカードの王子ナシェル様御一行が封印された精霊を解放し、フレイムを襲う魔神を倒し、井戸をたちまちの内に掘っているとか。
それなのにもうライデンに辿り着き、ライデンの危機を救うとは……。
そとの鋼の幻獣はウォート殿の仕業で?」
「生憎、私ではないよ。
ここにいる最も新しく、最も愉快で、最も未知の知識を持った友人の仕業だよ」
「ハハハ、紹介に預かりました『シャネルズ・ラッツスター』でございます。
私の信仰する神が授かりたもうた乗り物にもなる幻獣で、気難しいですが良き仲間でして」
「貴方が精霊を解放をされた『道化の賢者』……その、奇抜な格好ですな」
「ハハハ、くだらぬ戯言ジョークで笑顔にするのが道化師の本文にて。
常々、多くの人々を笑顔にしたいと思っておりまして、つまり楽しくない顔をした方は未来のファン!
私はファン・サービス旺盛をモットーにしてます!!
ジョークで悩みが吹き飛ぶなら何よりですよ。
『お前も会員にならないか?ファンクラブ入会募集中です!』」
「は、はあ……」
俺は、ナシェルの優秀な協力者『シャネルズ・ラッツスター』という『道化の賢者』というキャラクターを演じ始めた。靴墨で肌や髪を塗っているから地球のシャネルズ……後のラッツ&スターから名前を拝借した。
「我々に投資してください。
フレイムというかならず拡大するなにもかも足りない成長する巨大市場へいち早く食い込める。
モスに魔神の攻撃から疎開してきたエルフ達がいます。
ライデンの護衛やフレイムの緑化事業などに振れるから難民がやってきて困るモスへ恩を売れる……エルフには書状を渡しますので必ずきてくれますよ?
大陸へ行くための船を改良した設計図とフレーべの親方に作ってもらった模型も進呈しますよ……あとは画期的な保存食、王宮でも食べたことのない至高のレシピに、それに相応しい食器のサンプル、魔神退治の高額賞金で物入りでしょうから、ねえ……」
「詳しい話を伺いましょうか?」
「ええ、私はファンを大事にしますので損はさせませんよ?」
こうして自由都市ライデンの有力者をナシェルの協力者として引っ張り込んだ。
魔神王より先にシューティングスターをぶっ殺す事は決定事項だし、エイブラもギアスを解除して財宝を確保しないとな……フフフフ。
俺の金儲けの種は108式以上ある。
木から生成する紙、活版印刷、リバーシとか将棋とか、瓶詰め缶詰。
ああ、コンソメスープを振舞ったらライデンの他の評議員もナシェルのタニマチになったアイシグ共々飛んだからな!
アイシグは目玉の瞳が金貨になるのを幻視するくらいに俺の儲け話に乗っかってきた。
まぁ詐欺じゃないし、互いに特になるからwin-winよ。
遠い将来、大陸でカシワモチをばら撒くために世界の経済を侵略する予定だからな。
ある意味自治都市の存続やロードスの統一王よりヤバいがな。
禍根になるかもしれんがアトンや邪神やらを退治できれば多少の混乱もやむなしよ。
で、魔神将は近場にはまだいない……原作ではいたがまだ布陣していない様子なのでハイランドへ向かうことに。
ああフレイムには早馬を飛ばして援助の話は成功したから隊商が来るまで頑張れと伝えておいた。
「ようやくハイランドに着いた」
「若、これからですぞ」
「魔神将がライデンにいなかったが……そろそろやり合いたいもんだ」
「君の道化芝居は大したもんだ。
アラニアでもここまでの名演はなかったよ『シャネルズ・ラッツスター』様?」
「うるせー、今はただの猟師兼冒険者のナロモブだ」
ネコマルを運転して快適な道中だった。
ちなみにネコマル本人ではない……ネコマルは未だカクレンジャーと一緒にいるからな。
正確にいうと脱皮?した抜け殻に女神パワー注入して作成した海賊版(分け御霊)である。
本物のネコマルはサイゾウの元にいるしな……。
昔のはベース車両にはダイムラー・クライスラー製のケータリングバスが使用されていたんだが、第三部『中年奮闘編』では、ベース車両がダイハツ・グランマックスまたはトヨタへのOEM版であるタウンエースかライトエースへと変更している。
ああ、キッチンカーだから冷房やらキッチン、ラジカセも完備しているので食生活はバッチリよ。
ウォートやフレーべはキッチンカーが異世界では割とありふれていると聞いて興味津々だったが……ネコマルはビビっている。
「待て!貴様ら怪しい奴ら!!」
「お前は落ち着け!
アレは鋼の幻獣……噂で聞いたことがある!
風と火の部族を和解させてフレイム建国に貢献し、フレイムとライデンで魔神を退治しているナシェル一行だ」
「私は、スカードの王子ナシェル。
ハイランド公王マイセンに面会を希望します」
衛兵が警戒していたが隊長っぽい奴が噂を聞いていたようだ。
すぐに案内された。
なおネコマルは空きの竜の飼育古屋に待たされることに。
ああ、鏡の森のエルフは大体がライデンの用心棒になるか、非戦闘要員と長老達をはじめとした老エルフはフレイムで緑化活動に行く傾向にあるが、精鋭はハイランドに来ている。
原作でライデンでベルドと共闘してねんごろになったけど魔神に殺された女エルフのルシーダもハイランドで傭兵をしている….正確には窮地を救った俺に恩を感じているようだが。
原作では非公式でひっそり訪問したが今回はあえて派手にやった!
公王マイセンは、ナシェルを歓迎した.…亡き末の妹の忘れ形見の甥っ子だからな。
本来ならクソなヴェノンより竜騎士を輩出し、人格も王の器も上なハイランドに擦り寄りたかっただろうなブルークは。
マイセン王の顔色は悪いが……ああ、竜騎士の宿命と言える病気
竜騎士はドラゴンと共に行動するがドラゴンは火の精霊力が強い。
そんな存在に騎乗して戦い続ければ人間の精霊力が火に傾き徐々に衰弱していく。
神聖魔法では治らない不治の病であり、竜騎士の誇りと捉えているがな。
マイセン王が謁見の間に俺達を謁見の間に案内した。
「歓迎しようナシェル王子。
お前の活躍は噂に聞いている。
砂漠の争いを止め、魔神を倒しまわっているようだ」
「はい、事実です」
「ナシェル王子、三つ問おう。
何故スカードを併合させたのか?
何故ヴェノンを出奔したのか?
そして魔神復活の原因の流言の数々……どれが真実だ?」
まぁ最初の二つは原作でも問われていたな。
最後の問いは、ナシェルが活躍すると同時に流れているから発信源はナシェルとであると気がつくのは当然か。
「スカードを併合したのは、ヴェノンにスカードを守る義務を作り魔神が来る前に領民を救う為です。
ヴェノンを出奔したのは魔神と戦う為です。
暗殺から命を惜しんだのは魔神と戦うという誓いがあるからです。
わたしは、彼らを見捨てたのではありません。たとえ、同じ場所にいなくても、同じ苦労と困難とを共有しているつもりでおります」
まぁメンツだけこだわるなら城に篭って、有志だけを募って討ち死にすればいい。
しかしそれでは無駄死になる…ただ死にたいなら自害すればいい。
生き恥を晒すより死を選ぶより、無様でも生きて使命を果たす道を選んだのです。死ぬ事は容易く、使命を果たす事は難しい。
戦神マイリーならこういう姿勢は評価するだろうがな。
「そして……最後の問いはウォート氏とシェネルズから止められています。
『まだ明かすべき時ではない』と」
「ほう……」
ナシェルの返答にマイセンがウォートと俺に視線を向ける。
ウォートより俺が対応すべきだろう。
道化師らしく戯けて話す。
「恐れながら……マイセン王が気になるのはごもっともでございます。
ですが、真実とは苦い劇薬でございます。
上から押さえつけると反発が予想されます。
魔神と『それ以外にも』」
俺を値踏みするように見るマイセン……いやぁ怖い怖い。
引き続き俺は喋る。
「情報の開示には順序がございます。
お薬だって食事前に飲むか食後に飲むか食間に飲むかで効果的なモノが違うようにね!
様々な噂を流布していくことで色々動きが生じますのでそれに合わせて『真実を処方します』」
「真実とは一つではないのかな?」
「事実は一つですが、それの見方で真実は変わります。
そこの水差しを『事実』とします。
上から見れば丸い円ですが横からみれば四角いですねぇ。
人は往々にして自分の視点を絶対視しがちです。
真実を押し付けるより真実を選び取る方が受け入れやすいモノです」
皆で『共犯』になった方がより纏まりやすいからな。
マイセンが俺に質問を変えた。
「では一先ずその問いは棚上げにしよう。
魔神は何をしてくる?」
「魔神は解放されてロードス中に侵略する為に石の王国のトンネルを狙いました。
そして魔神側に多くの犠牲を出しましたが石の王国を滅ぼして侵略経路を確保しました。
今やっているのは三つ。
散発的な襲撃で恐怖と疲弊を誘発しています……自由都市ライデンで賞金をかけましたので反撃していますがね。
ドッペルゲンガーという人間になり変わる魔神がいます。
基本的に魔神か神でしか識別できません……古代魔法王国でも識別する魔法の道具はなかったので。
ブルーク王はすでに成り代わっており、リィーナ姫は魔神王の器になっていますというのは若の口から広めていますがね。
既にロードス中で成り代わっています……ハイランドでも例外ではないのです」
「だから『まだ明かすべきじゃない』と」
聡明な王はドッペルゲンガーの危険性をいち早く理解できたようだ。
「ええ……ええ!
だから秘密なのです!
誕生日の贈り物を秘密にするように!
待ち遠しいかもしれませんが良い子で待っていただきたい!道化師的に考えて!
三つ目は手堅く失った戦力増強ですな。
まずは異界から召喚する……ケロベロスやヘルハウンド、アザービーストなど召喚しますが召喚魔法は面倒なのです!
古代魔法王国は魔力の塔から無限の魔力を得ていたからジャンジャカ召喚していましたがね!
まぁ大幅な戦力増強にはなりませんがね。
手っ取り早いのはエルフの森の黄金樹を伐採して加工すれば新米騎士を軽く殺せる程度の雑兵を量産できますね!!
なお、鏡の森の黄金樹は前もって誰にも手の届かない場所へ疎開させました、私が!
いやー魔神の困った顔が目に浮かびますなー!
ハイエルフの住む帰らずの森かマーモのダークエルフの森にも黄金樹はありますが、帰らずの森は精霊王エントの結界があるので突破は困難でしょうし、ダークエルフに喧嘩を売ればエフリートを複数召喚できるダークエルフの族長が殺しにかかるので一先ず安全でしょう。
(最悪の可能性は鉄の王国の近くに魔神王がもう一体いるんだよな……原作では出なかったので同格を目覚めさせたくないのだろう、メイビー)」
マイセン王は俺の言葉を聞いて納得して改めて俺たちを歓迎し、滞在を許可した。
ある程度信頼関係築けたらやってみたいことがあるんだよな。
『竜熱』の診察。
神聖魔法では無力だったが、精霊魔法の観点からアプローチをかけたらどうだろうか?
幸いMRIやレントゲンは鑑定屋に担当して貰って、リモートで医師(エンマニンジャ……神の手の弟子だしな)に診察してもらいながら精霊でアプローチするつもりだ。
火水風土のエレメントでアプローチするか、地球の木火土金水の五行理論でアプローチするか……成功すればマイセン王の耐久年数が増えるし、ナシェルがワールウィンドゲットして竜熱になっても安心できる体制を作らねば……!!
その夜、ナシェル達を歓迎する宴などが開かれたぜ!
スカードと違って強国のハイランドでは騎士の練度覇気が違うらしいね。
原作では軽蔑七割同情三割といった感じだったが、こっちでは鳴物入りで入国したからね!
魔神の話やフレイムでの活動とか聞いてくる感じだよ!
ナシェルは、ハイランドの世継ぎのジェスターとその弟の双子とも仲良くなったね。
双子は竜に乗れないが騎士としては優秀だったから原作ではお家騒動にならないようにと、苦境のハイランドを救う一助として、そして堅苦しい王宮暮らしに嫌気をさして騎士の修行と称して諸国漫遊からの百の勇者入りをした。
もっとも、魔神戦争の最終局面で戦死したが。
宴とはいっても、質実剛健なハイランドだけにお貴族様なオーホッホ!な感じではないがね!
音楽もなく躍りもない。宮廷婦人達は着飾るよりも、給仕に専念しています。
それは王族に属するウィラン王妃と娘も同様です。
つまり……!!
(※「Don't Boo!ドンブラザーズ」BGM)
「ファンサービスの時間だ!」
全力ゼンカイでムーンウォークなどのこの世界で未開拓のダンスや歌唱に手品をドーン!
「な、なんだこれは」*2
双子の王子は拍手していたが、お堅い人にはビックリしただろう。
ハイランドでは宮廷魔術師を置いていないからか、*3ウォートを歓迎してないから肩身が狭そうだったので一丁ガツンとしてやろうと思ったんで、つい。
あとネコマルの中にバーテンダーの道具と、自家製で作れる酒がストックされていたあったんでカクテルを披露してやったぜ。
エールかワインか蒸留酒しかない世界で製造過程もエンタメできるコイツを見せないとな!
受け取れ、俺のファンサービス!
物珍しさに白黒するハイランドの皆さん。
甘いカルアミルク等は女性にも評判だったぜ!
酒が飲めない奴にはノンアルコールカクテルもあるでよ。
あと、駒井優@氏ばりのパフォーマンスを披露だ!
氷のカッティングやカウンターでのアルコールに火をつけたパフォーマンス!
「これが道化の賢者……!!」
なんか、マイセン王が驚愕しているが。
「(これだけでお捻りが飛んできそうだな)」
「(顔を売るのに余念がないな……道化師という役割を生かした策か)」
「(キツく酔える火酒の方がいい)」
「(スカードのエール……臣下達はもう口することはできない。
……仇は必ず取る)」
アッシュは酒場でも受けそうだなーって顔をして、ウォートは考えすぎているっぽい。
酒好きのベルドは火酒みたいなアルコール度数がキツいシロモノを決めたそうだからカクテルのウケはイマイチか。
……フレーべの親方は、エールで滅んだ石の王国に想いを馳せているか……。
俺の芸で慰めにならないか……急拵えの道化の芸では仕方ないか……。
じかーい、じかい。
スカードに魔神が現れ、ヴェノンから竜の盟約の発動を要請された!
鏡の森の精鋭のエルフ、ヴァリスの聖騎士ファーン、ファリスの聖女フラウスもやってきた!
「お前らは俺のファンだな、受け取れ俺のファンサービス!」
やがて南から魔神の軍勢がやって来る。
いよいよモス連合騎士団と魔神の軍団との、グレインホールド攻防戦が始まる!!
ドン11話 『せまるまじん』
昼行灯の次に鑑定屋の世界に行くコテハンは……
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