「フラウス侍祭に感化されたのかな。正義に目覚めたのかもしれない」
「めでたい事だ、これから毎日異教徒を焼こうぜ」
百の勇者の騙りがヴァリスにも出現……センスイービル使われたらアウトなのになんでこの国でやったのやら……。
「これはこれは、名誉魔神将のドルロス様、この間はドーモ!」
「貴様!私を愚弄する気か!?」
「魔神と戦うワタクシや若を魔神の手下だと誹謗中傷し、魔神に入れ替わった聖騎士に同調するわ、ヴェノン王ハーベイが魔神を相打ちになったばかりで立て直そうとする時に支離滅裂な言いがかりで攻めいる……魔神に与していると思われても仕方がないのでは?」
「黙れ!貴様こそ魔神の王子の手下の分際で!」
「おいで坊や、オモチャの兵隊をつれてくるといい、あやしてあげよう」
かと思ったが、こんなバカ者が次期国王候補ならイケる!と思うわな。
道化の賢者が魔神看破の神器を手に入れるまで……魔神を見破る者がいた。
カノンの港町ルードには鏡像魔神を見破る聖者という人物が魔法を使わずに人間に化けた鏡像魔神を見破るのだ。
聖者と呼ばれる人物は、既に何人もの入れ替わりを必ず見抜いている。
魔神狩りという狂気の矛先にされないように恐れてきた人々にとっては、聖者という人物はまさに救世主と言っていい。
彼はほんの少しの雰囲気や動作の違いで、何となく鏡像魔神を見破れるようになったそうだ。
そんな彼を頼って既に50人もの戦士が集まってきた……ある者は彼を崇拝し、またある者は打算で、聖者の周りはちょっとした傭兵団程度の戦力になった。
これは百の勇者の中で最大の集団であった。
その集団の中で最強の戦士はマーモ出身の傭兵ハサンという。見たところかなり強い、恐らくはカノンの騎士の大会に出ても上位入選は堅いだろう。
彼
ハサンは聖者を……魔術でも神でも精霊でもない力で魔神を見破る聖者に、心底心酔している。
鏡像魔神を討つと聖者の所へ首を持ってきた。
「聖者様、貴方のお陰で魔神を討伐できました。
こちらの賞金をお納めください」
「必要ありませんよ。
貴方方がお使いなさい」
「いえ、そういうわけには」
この問答の末に聖者が仕方がないという態度で受け取るのが常だ。
聖者の『聖者ぶった』尊大な態度は見る人が見れば白々しいものであろうが……。
「聖者様……いつから見分けがつくようになったのですか?」
ハサンの言葉に聖者は頷いてから話し始める。
カノンの山奥の村で『聖者』は村娘に恋をして告白した……だがあっさり振られた。
狩人の男に村娘が恋をしていたからだ。
『聖者』は村娘を『魔神』と告発した。
彼女は両親と顔が似ていないことや、村娘が鶏を絞め殺してシチューの具にして、更に紅をつけていただけなのに生き血を啜ったと主張した。
鏡像魔神への恐怖心で村人は農具や武器をとって娘を殺すために追い回し、狩人の若者が村娘を射殺した……そして人間の死体が残された。
「あの娘は自分を愛したが、ある日を境に淫らになった……そして野蛮な狩人を誘惑しようとした。
私は彼女が魔神に成り代わったと確信しました。
私はその時、生まれ変わりました……魔神を見破れるようになりました。
以前の私は脱皮する前の芋虫であり、現在の彼こそは真の姿なのです。
ただ…… ……何故か彼女だけは……死体が人間のままでしたが」
ハサンは、村娘は本当に人間だったのだと気が付きました。
そして村娘は聖者ではなく狩人の方を愛しており、嫉妬に狂った聖者が追い詰めて死に追いやったのだと。
狂気の精霊に囚われただからこそ魔神を見破れるのだろうとハサンは推測したが、思いつきの言葉を足した。
「その娘はロードスの意思だったんですよ。
聖者様に力を授ける為に犠牲になったのでしょう」
「……そうか、そうですね。
自分こそはロードスの意思を現す選ばれた人間なのです」
「おやおや?オヤオヤオヤオヤ?寝言を言っているボケナス二匹発見〜?」
「ハサンじゃねえか」
「ベルド……」
ドアの方へ視線を向けると珍妙な男たちがいた。
仮面をした道化師が何故か仮面の上からモノクルをつけている。
その後ろには老境に差し掛かった戦士と赤毛の屈強な戦士……ハサンの事を知っていることから同郷の戦士なのだろうか?
さらに痩せた杖を持った賢者もいた。
聖者が尊大な態度で仮面の道化師へ声をかける。
「貴方は?」
「ハハハハハハ、道化の賢者というエンターテイナーにはいささか相応しくない渾名がついた『シャネルズ・ラッツスター』というケチな道化師でございます。
いやぁ、私は道化失格です!
私以上の道化芝居をなさる方が目の前に!」
「私のことですか?」
聖者は、愚弄されたと思い不快な様子では返す。
だが、それをどこ吹く風とばかりに狂言回しをする。
「知っていますか?
鏡像魔神退治の際に誤認殺害したら賞金の倍額の罰金、隠蔽した場合、人間種の魔神として賞金首になるんです!
アナタの故郷の村の皆様の、無実の村娘は無念でアンデッドになっていましたよ、レイスですよ!レイス!
私が成仏…失敬、『成仏』という言葉はこの世界にないんでした、浄化しました。
それで村の皆様を罰金を支払えないので鉱山の採掘やら砂漠の危険地帯の開拓に従事していただくことになりました!
私たちを殺して隠蔽しようとしたので村長や村娘を射殺した狩人は見せしめにエフリートの薪になってもらいましたがね、ハハハハハハ!
ああ、カノン王家には対価を支払っているので、村人全員連れて行っても犯罪じゃないので!」
「対価、ですか?」
「鏡像魔神を看破し、正体を暴く神器をたくさんお渡ししました!
あとはマーモに渡って戦国時代になっていますが適当にばら撒いてロードス中に魔神看破手段を完備させられます!
……ハサンさん、と言いましたね?
問題でーす!
魔神の看破する方法は?私の魔神看破神器『ダイヤモンド・アイ』以外でなにがあるか知っていますか?」
ハサンは、道化の賢者に問われて、困惑しながら答える。
「神の力ならば可能かと……聖者様なら神に選ばれたのだと思います」
「半分正解ですねー、神様なら見分けられますが。
そこの男にそんな加護なんてないですよ」
「私はロードスに選ばれた存在なのです。
私に対する冤罪はやめていただきたい。
魔神を見破れる私の能力は本物です!
魔神だった彼女を殺した罪を私に問おうとするのですか!?」
「いや、そんなことはしませんヨ?
なにせ死人の墓まで行って裁判をするなんてジャンヌ・ダルクじゃあるまいし、馬鹿馬鹿しい。
こういう事ですよ、『外道照神霊波光線』!」
モノクルから発する光線が聖者に直撃する。
「魔神の見破れるものは神以外にもいる……そう他ならぬ魔神がね!
汝の正体見たり!鏡像魔神ドッペルゲンガー!!」
「聖者様が魔神……そんな馬鹿な!!同族を裏切るなんて」
「人間同士でも殺し合い、裏切るだろうが。
アイツは自分を人間と思い込んだんだろうよ。
だから魔神を見分ける目を使って魔神を殺したんだろうよ」
狼狽するハサンを他所に武器を構えるシャネルズ達。
その戦いも呆気なく聖者……いやドッペルゲンガーを殺した。
「……何故殺したのですか?」
「ハサンさん、魔神看破の神器が出回らない時期ならば生かしておけるでしょう。
ですが、魔神看破の神器が出回れば誤魔化しは効きませんよ?
それに……裏切りの魔神はいずれ粛清に来るでしょうし(原作でもそうでしたし)。
ハサンさん、魔神看破の神器を進呈しますよ。
聖者は魔神と相打ちで死んだことにします。
この神器で今まで通りにするもよし、解散してそれぞれの道を行くもよし、『汝の成したいように成すがよい』ですよ」
「おいおい、恩人。
ファラリスの教義を焚き付けていいのかよ?」
「いや、マーモが地元なら馴染み深い教えでしょうし。
その教え自体は悪じゃないですよ?
善行をしたいと思えばいい話ですので、悪いのは悪い方向へいく人間ですので」
そう言って道化の賢者達は去って行った。
<モス地方 石の王国>
ナシェルはフレーベとニースと共に石の王国に潜入していた。
魔神王は最も深き迷宮に潜伏していると推測しているが、そこへ踏み込むには死にに行くようなものだ。
だが、滅ぼした石の王国でアンデッドを作り出しているだろうというナロモブの予測を確かめる為に潜入したのだ。
ワールウィンドは近くの山で隠れてもらい、万が一の場合はニースの魔法で撤退するつもりだ。
ワールウィンドは賢いので数日間も呼ばれなかったらハイランドへ帰還するつもりだ。
ニースはいつもの神官服ではなく猟師の格好をしてますが、それでもやっぱり彼女の美しさは滲み出てくる。
フレーベも流石にいつものフル装備ではありません。チェインメイルにバトルアックスであるが、ドワーフ最強の戦士である事には変わりない。
探索を進めるにあたっては松明は灯けている。魔神はドワーフ同様暗視が利くがナシェルとニースは何も見えないからだ。
結局明るくても暗くても魔神には支障がないのなら、灯けないのはこちらに不利なだけ。
構わず灯ける方がマシというものだ。
「これは…ナロモブの危惧した通りだ」
3人は暗闇の中探索を進めた先に白骨化したドワーフの死体を発見する。
それだけでなく、人間の騎士や傭兵の死体も転がっていた。
更に野生のグリフォンやワイバーン等の魔物の死骸も置いてあった。
ドワーフの遺体を見たナシェルは父親の愚行を考えて胸を痛めた。
探索を続けたやがて一行はより強い腐敗臭を嗅いだのでそっちの方へ行ってみると、そこはドワーフ達がかつて働いていたであろう工房であった。
工房の中にいたのは上位魔神1体と下位魔神3体と人間の騎士が2人でした。
ナシェルは騎士のことは2人とも知っていた……かつてスカードに仕えていた騎士だった。
下位魔神は2体がザルバードですが、もう1体は子鬼を大きくした魔神であったがナロモブの書いた魔神の注意書きにはなかった。
最上位魔神は、9レベル上位魔神ギグリブーツ。
4枚羽の魔神で、9レベル古代語魔法を使い、牙や爪を持たない分、魔法の能力に優れている……ナロモブの注意書きでも即死魔法を使う可能性やライトニングバインドなど拘束魔法の危険性を説いてあった。
どうやらギグリブーツは死体を使ってアンデッドを作成していたようだ。
「ナシェル王子、ブルーク王に逆らう以上、死んでいただきます」
「父上は魔神に成り代わっている……それでも魔神側に与するとは!」
「俺は……もう嫌だ!こんなヤツらといたら気が狂ってしまいそうだ!
ナシェル様とは戦えない。それに、魔神にはもううんざりだ!!」
壮年の騎士は、野心に燃えた目でナシェルへ剣を向けるが、若い騎士は嫌気がさしたようで、ナシェル側に味方するようで壮年の騎士に斬りかかった。
下位魔神はナシェルとニースが、ギグリブーツはフレーベが相手にしていく。
魔神は安置していた死体をアンデッドに変えて襲いかかる。
今のナシェルなら上位魔神とも戦えるレベルなので下級魔神複数でも問題ない。
<若ならイケる!仮に死んでも聖女様が優しく蘇生してれますよ?>
潜入前でナロモブ……シャネルズの戯けた喋りを思い出して苦笑するナシェル。
いい感じに自然体になれたナシェルは危なげなく対処していく。
魔神の大ぶりの攻撃を避けながら関節を捻り上げる。
ベルド直伝の体術で拘束し他の魔神の攻撃を拘束した魔神で盾にしながら剣を突く。
魔神の攻撃は盾になった魔神の急所に当たり、ナシェルの突きも魔神の喉を貫く。
ニースはアンデッドを纏めて浄化し、気弾(フォース)を正体不明の魔神に当てた。
当たりどころの悪かった魔神は首が捩れながら壁に激突し、動かなくなった。
フレーベは所々負傷したが、大きな魔術を使わせない猛攻で上級魔神を斧で両断した。
「フレーベ様、傷を癒しますね」
「おお……簡単に傷が消えた!!」
騎士同士の戦いも若い方が辛くも勝利した。
ニースは傷ついた若い騎士を治療したが、壮年の方は治療を拒否した。
「慈悲など受けぬ」
「そうか、そのまま死ね」
ナシェルは厳しく言い捨てた。
放置すれば直に死ぬことだろう……。
「お前の名は?」
「ベイルと申します……魔神に与してしまった事、お許しください」
「その過ちは生きて働きで返せ。
他の工房について心当たりは?」
「私が知る限りまだ複数あります」
「ならば案内しろ」
ベイルの案内した工房を複数破壊した。
(※「Don't Boo!ドンブラザーズ」BGM)
「あと残りは……」
「お待ちください、悪い予感がします」
ベイルの知っている工房は残り二つになった時、ニースが止める。
何か悪い何かを感じ取ったようです。
「まだ行けます!」
「いや、ベイル。
ここまででいい、脱出しよう。
ベルド隊長やウォート師がいるならともかく、潜入用の装備では心許ない」
ナシェルはそう言って石の王国から脱出を決意した。
ニースに頼んで帰還(リターン・ホーム)で脱出した。
<最も深き迷宮>
玉座に美しい身体を露わにして座る黒髪の少女が黒い大剣を傍らに置いて虚空を見つめる。
不意に意識を石の王国へ向ける。
戦力不足を補うためのアンデッド作成の工房が複数破壊されていた。
犯人を探そうと精査したが既に姿はない……魔法で離脱したようで痕跡は時間の経過の為、辿れそうになかった。
「(ボンギンダギンギキュグググズギダグ……ゴラゲンガビグビダジョグザ。ゾンヅンビザギデバサブサゴグドゴロダダボザグバ……)」*1
じかーい、じかい。
偵察に帰ったナシェルに与えられた屋敷。
そこに集う未来の大英雄達。
そこで培われる交流……
ドン23話「ナシェル、いえをもらう」
昼行灯の次に鑑定屋の世界に行くコテハンは……
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ピーコックニキ
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エンマニンジャ
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野良勇者
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史上最強の大工
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Zさん