「神官様もこの戦いが終わったときにはフレイムでマイリー神殿を建立するので高司祭になっていただきたいなーと。
神殿も神官も足りないんですよ!
騎士様も若の事が気に入ったなら領地を用意しますんで!
君たち(若手二人)も百の勇者の経歴があれば騎士に推薦できますのでワタクシと若の連名で。
できる文官を派遣する予定ではありますが自分でもできれば更に俸禄がドーンとアップでございますよ、ハハハハハハ」
「勇者との戦いの旅が終わったあとならやぶさかでもないな」
「……全ては終わってから改めて話を聞こうと」
「お、俺たちが騎士に!?」
「夢みたいだ!」
「おっと!ここで『この戦いが終わったら結婚するだ』とか『戦いが終わったら故郷の母に会うんだ』とか言い出すと武運が下がって死ぬ傾向にあります」
「「不吉なことを言うなよ!」」
「ハハハハハハ、こう言う時はそういうゲンが悪いものを積むだけ積めば逆に生き残るんですよ。
『もう何も怖くない。こんなに身体が軽い!』
『この戦いが終わったら結婚するんだ……』
『了解、パインサラダ期待してるぜ』」
烏合の集である百の勇者が組織化できるよう、非戦闘員は除外し、使えるヤツは囲い込んでいくスタイルだ。
<◽️◽️◽️◽️◽️の神域>
「浮世におさらば、サルブラザー!」
「いい気合だ、いくぞ!!」
俺は今生で一番燃えている!!
どうしてかというと……
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双子の王子フロイとリーゼン、そして同行していたユーリーは早々に捕まった。
後ろにはメイスを素振りするサイコパス……ショーデルが、正面にはナシャルとシャネルズで挟み撃ちの形に。
「ハハハハハハ、すいませんね。
親衛隊の育成につきあってくれませんかね?
返事はハイかイエスでお答えください!」
「僕たちは出奔した身なんだけど」
「マイセン王は『フレイムでこき使ってくれ』と」
「wwwww」
「そこの笑っていられる詩人様。
我が師よりバードの呪歌の軍事利用をするとの事なので協力していただければ……
抜けてもいいですよ、
自由を満喫していた彼ら三人は親衛隊入りとなった。
ユーリーは頑張れば逃げられるが、譜代というか外戚枠の上級騎士として双子は逃したくないという悪役めいた笑いをする道化の賢者のエゴにより囚われたのだ。
賢者は魔神だけじゃなく、破壊神とその高司祭達、大陸の混沌精霊という終末をもたらす存在に対処するためにフレイム王国の発展とロードス統一を説いた。
「恨むよ、すごく恨むよ」
「そんなネタ聞いたら逃げられないじゃないか!」
「恨むなら水野良って奴にしてくれ」
一方、魔神軍はスカードにアンデッドや魔法生物などを集結させており、同時に放棄したミルスにはヘルハウンドやケルベロスなど魔界から召喚された魔物が集まっている。
連合軍の会議でスカードの方へは百の勇者を差し向け、ミルスへは連合軍を向かわせることに決定した。
初めは魔法使いを多数保有する百の勇者を分割して対処しようとするがナシェルが反対した。
100あるものを50に分ける事も出来ない、それほどに微妙なバランスである百の勇者はアンデッド対策として呪歌のレクイエムで弱体化させながらの突撃をナシェルは提案した。
併合したスカードの領主であるヴェノンの王子アロンドや百の勇者に手柄を取られたくない騎士は難色を示すも、先代ヴェノン王ハーベイの失踪等で発言力の低下もあってその意見を押し切れず、ナシェルがスカードへ向かわせることに決まった。
ハイランドの王マイセンはそんな軍議の様子を満足そうに眺めていた。
「(この優れた若者達に活躍の場を与えたいものだ)」
魔神との戦いの後、ナシェルを旗頭にしたロードス統一への道が見えているからだ。
各国の状況によっては併合できるし、最悪連合国の盟主にフレイム、ナンバーツーにモスが入ればいいと考えている。
今のモスには本当に優秀な人材が揃っており、ナシェルを筆頭に三将軍や連合騎士団に百の勇者……それを埋もれさせるのは確かに惜しいとマイセンは感じている。
マイセンを蝕む竜熱も薬師のタトゥスと精霊使いのナロモブの研究で悪化が緩やかになったのも野望へ前向きになった一環かもしれない。
最高峰の医療班で末期の竜熱患者や軽度の竜熱発症者、そして竜騎士達の身体から研究を進めた結果、火の精霊力を減らすか他の精霊力を強めて対抗すれば竜熱の症状が抑えられるという結果が分かった。
ナロモブは、有識者(バッタモン、寺転移のK・K)から五行思想で人体を当てはめた。
火を司る心(臓)過剰に働き、心臓が全身に十分な血液を送れなくなり、動悸、息切れ、めまい、胸の不快感、疲労感などが生じ、重症化すると失神や心不全、心停止などが起こっていると推測した。
その推測は当たっていた。さらに火剋金……金を司る肺の機能低下も見られ水分代謝、免疫低下も見られると。
故に水(腎臓)、金(肺)を強めていく事を目指した。
水の精霊はナロモブはどうにかなるが、金属に関しては銀以外は精霊魔法と相性が悪いので肺機能を上げる薬の投与で対処する事に。
火一強であった竜熱患者がバランスが変化して悪化防止につながった。
症状の緩和で体力の回復ができ、末期や重症患者相手にも手応えが出た……完全治癒は不可能でも寛解まで持っていきたいとタトゥスの考えだが少なくとも希望を持てた。
ともあれ、一週間後に同時に進行することが決定した。
「フン!」
「ぐ……!」
ナシェルは軍議を終えて屋敷に戻った。
ウォートは事前の準備にかかっており残業となった。
ベルド、ファーン、フラウス、ニース、フレーベ、ルシーダ、アッシュ、フロイ、リーゼン、ユーリー、カノンの自由騎士が集まっていた。
帰ったナシャルが庭先で見た光景は、ベルドとファーンの剣戟が響いてからのベルドが肉薄してからの蹴りでファーンを倒してから剣を突きつける。
「剣の稽古だから蹴りが来るとは思わなかったのだろうな」
「私の腕では蹴りが出るまでもなく敗れるな」
アッシュと自由騎士は稽古の感想を述べながら若手戦士二人を指導している。
なおカシラは思うところがあるのか、自由騎士の友人であるマイリー神官に読み書き等を学んでいる。
ナシェルはアッシュに聞いたところ、ファーンはベルドに剣術を教え、ベルドはファーンに格闘術を教える約束をしてるらしく、ファーンが楽しそうに剣を撃っていたのでつい脚が出たらしい。
ファーンはそんなベルドの仕打ちに怒らずに稽古を続ける。
「今度は貴公のほうが、格闘術を教えるのだぞ」
「格闘術と言えば聞こえはいいが、オレの場合は喧嘩のやり方だぞ」
「かまわん。何を覚えるかは、わたしが選ぶのだからな」
「可愛げのない弟子だな」
「そんなものあってたまるか」
数時間も剣を振るっているのに格闘戦の訓練を始める二人にフレーベは呆れる。
「人間はわしらより非力な種族だと思っておったが、おまえたちを見ていると、それが妄信だったと思い知らされるわい」
これを人類の平均と思われても、その……困る。
稽古が終わって、ファーンは構わず上半身裸になった。
いつものファーンなら淑女の前ではしないのだが、開放的になっているようだ……甘いマスクの均整の取れた鍛えられた肉体は女官が覗き見るほどだ。
ベルドに至っては全裸で池に飛び込む始末……逞しい肉体に女官は歓声を上げている。
なお、女官にも手を出しているがフラウスやルシーダは諦めているのか、焼き餅を焼く様子はない。
「(ベルドがロードスを統一するのと魔神が統一するのはどれほどの違いがあるのやら…。
だが、ナシェル王子がロードス統一に立ち上がった時どうするか…
やはりベルドのように阻止すべきなのか、それともより良い未来を信じて彼の傍らで剣を振るうか)」
悩むファーンをよそにニースがナシェルに聞いてくる。
「ウォート様は……ナロモブ様が戻っていらしたのにまだ戻っていないので」
「ウォート師は、軍の編成で忙しく……」
「そうですか」
ニースは残念そうな様子であった。
ナシェルにはベルドとフラウスとルシーダの関係も意外であったが、理性の人であるウォートがニースと熟年の夫婦のような雰囲気を作るのにも驚いている。ナロモブがそんな人間模様に荒ぶっているのにも驚いているが。
「そういえば、ナロモブの姿が見えないな」
「我が師はお出かけのようです」
「お出かけ?」
ナシェルの疑問に答えたのは笑顔のショーデルであった。
最初はファラリスの神官と聞いて身構えたがナロモブが制御しているようなので、段々普通に話すようになった。
笑顔で何を考えているかわからないが、ナロモブの事を尊敬し学んでいるのは確かだ。
「(汝欲する所を為せ されど理知的であれ、か。
マーモの暗黒神官ですら知らない真のファラリスの教義を知るナロモブの見識の深さはウォート師も認めるほどだ)」
人は何でもすることができ、それを試みるからこそ向上が生まれる。
そして制限を課して自らを閉ざすのは悪である、欲望を否定せずその実現を求めて生きよという教えらしい。
その教義ゆえに多くのファラリス信者は法律や規制を侮蔑しており、それを破ることに倫理的な禁忌を覚えず、容易に犯罪に走りやすく、反社会的な存在となりやすいために、ほとんどの国家において禁教となっているとナシェルは、道化の賢者から聞いた。
「真の自由とは、己の精神の自由だ。
ただ法を違反し悪行を積むのも『法を破らねばならない、欲のままに動かねばならない』と逆に自分を縛ることにつながる」
とナシェルに説いた。
なんでもナロモブの信仰する女神は自由な気風らしく、正義感を持って動ける分一般ファラリス信者より『マシ』らしい。
ショーデルは詳細を話す。
「見慣れぬ服装をした黒髪で鷹のように鋭い目つきの男でした。
なんでも女神様がお呼びだそうで迎えに来たと。
その男に連れられて我が師は消えましたが……古代語魔法や神聖魔法でなく無言で転移したのは驚きましたが……
あ、夕飯までに帰るとのことです」
「女神の使者……ですか」
「本名でなくあだ名で呼び合っておられましたが……『エンマニンジャ』と呼んでいましたな、我が師は」
<◽️◽️◽️◽️◽️の神域>
「到着だ」
「ありがとう、ございます」
「改めて自己紹介だ。
『エンマニンジャ』こと高槻始だ」
「『野良勇者』ことナロモブです。
しかし、いつもは魂だけ呼んでいるのになぜ……」
「俺もケツモチの女神さんからの送迎を頼まれただけで詳細は知らないけどな……誰だ!?」
空間能力者であるエンマニンジャは気配を察知して礫を投げる。
女神ではないようだが……なにもない場所に投げたら布が落ちて黒い人影が跳躍して礫を回避した。
人影は忍び装束を身にまとい、赤い鉢金と鉢巻、マスクとマフラーをした壮年だった。
エンマニンジャと野良勇者はその正体を知って驚愕した。
(忍者戦隊カクレンジャーのBGMで)
「三神将から聞いたぜ、俺達の力を使った戦士だってな」
「ま、まさか貴方ほどの大物が出るとは……!」
「サイン貰いたいな」
野良勇者は恐縮し、エンマニンジャは普段にあるまじき態度を取ったのは無理もない。
「『トウサク』ちゃんに頼まれてな、俺達の力を使いこなせる様に稽古してやる。
この『ニンジャレッド・サスケ』がな」
じかーい、じかい。
予想外の大物に歓喜しつつも、対決するナロモブ!
「浮世におさらば、サルブラザー!」
「いい気合だ、いくぞ!!」
ドン28話「特訓回だよ!」
昼行灯の次に鑑定屋の世界に行くコテハンは……
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ピーコックニキ
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エンマニンジャ
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野良勇者
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史上最強の大工
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Zさん