「お父さん……お母さん!!」
燃え盛る自動車、爆発に巻き込まれた家族……。
少年は両親が庇って怪我はなかったが、両親は重体で直ちに治療しなければ生命が危ういだろう。
泣きたいけど両親を助けたい気持ちで抑えて必死に叫ぶ。
「そのまま声をかけて、その呼び声が両親を助ける力になる」
素戔嗚尊の面を被った男が手慣れた手つきで傷を処置していく。
体に刺さった破片を『素手で』抜き取り、折れた骨を整復していく。
そしてアンプルを二人に投与しようとしていると、軍服を着て武装した少年……いやレッドキャップスが銃を向ける。
「これが戦場の空気よ……!
そして生命を救おうと足掻く生命を手折るという甘美な」
「
「が……!」
空間の振動で全身をシェイクされ倒れ伏したレッドキャップス。
周囲の人間は何が起こったのかわからない。
「どうしたの、お父さんとお母さんは大丈夫?」
「心配ない、病院で休めば必ず治る。
大丈夫、お父さん達を虐めた悪い奴はいなくなる。
……そこの」
治療の様子を野次馬していた軽薄な今時のファッションをしたドレッドヘアの青年に向かって声をかける仮面の男。
思わず自分の指を差しながら叫ぶ青年であったが……
「お、俺!?」
「別に取って喰わねぇよ、ブルーメンだろ?
ラルフの所の新入りだろ?」
「!!?
兄貴を知っているですか!?」
「そんなはどうでもいい。
用事か何かで外出していた所ででくわしたみたいだから
ブルーメンに戻るより怪我人の搬送や避難誘導を頼む。
ラルフには俺が伝えておく」
「りょ、了解しました!」
軽薄な格好から裏腹にキチンとした敬礼をして怪我人の両親と子供を病院に連れて行った。
「寄り道したが……急がねえとな」
・
・
・
「神速風雷拳!閃光迅雷脚!」
金髪マッチョが肉眼で分身するほどの速さでレッドキャップスを素早い踏み込み……まさしく疾風迅雷の速度に乗って右アッパーを繰り出し、レッドキャップスの身体が浮く。
その後に、前進しつつ蹴りを連発し最後に竜巻を思わせる回転蹴りで吹き飛ばす。
…この世界で流行っている格ゲーの動きのまんまであった。*1
レッドキャップスに襲われそうになった女性は、金髪マッチョにお礼を言った。
「あ、ありがとうございます!」
「うむ、今騒ぎになっているから大通りを避けて建物の中に避難するといい。
……どうだ、暁!
格闘ゲームを参考に新技と竜巻風迅脚を組み合わせたコンビネーション技は!」
「おの……」
「仕留めきれていないぞ、ボー!」
再生して起き上がったレッドキャップスの背後からチョークスリーパーで首絞めを行う屈強な男……暁巌が締め落とす。
レッドキャップスが強化された身体で暴れるが暁の装備した機械式AMスーツのパワーアシストは重量級サイボーグのパワーに匹敵しているので無力であった。
暁はそのまま最大出力で首を引きちぎった……レッドキャップスの再生能力といえど首と胴が離れれば死亡は免れないようだ。
金髪……いやボー・ブランシュは胸を張って言い張る。
「俺のスピードで足止めし、相棒のパワーで仕留める!
この黄金のコンビネーションは無敵だ!」
「相棒じゃねえって……それより次いくぞ」
口ではそっけない暁であったがボーとのコンビネーションはまるで二人で一人というべき連携であった……。
・
・
・
虐げられた人々が集まり出している。
その中の一つで、誰かが声を上げる。
「こうなったのはあのガキどものせいだ!
俺たちが殺される前に殺してしまえ!」
「で、でも……」
「死にたくないだろ!」
「………」
「そうだよな、悪いのはアイツらだもんな」
「みんなの手でヤツらを退治するんだ!」
最初は乗り気じゃなかったが、徐々に恐怖に負けていった。
そして怪しい熱気を帯び.市民達が棒などで武装しようとしたが……
ガラスが割れる音がした。
背広を着た青年が拾った鉄パイプで窓ガラスを叩き割ったのだ。
その音で妖しい熱気に冷や水をかけた形になった。
青年が群衆に怒鳴りつける。
「ビビってんじゃねえよ!
ウチの高槻が悪い事してねえのに何故殺そうとする!
『生命惜しさにジジイや子供を殺しました!』って家族の前で胸張って言えんのか!
ちったぁ頭を冷やして考えろバカタレが!!」
テレビに映し出された少年の教師であろう青年の一喝で鎮静化しようとするが、反論が出てくる。
「アイツらは化け物なんだ!
そもそも巴武士ってやつは何人も病院送りにした札付きのワルだ!
死んで当然なんだ!」
「死んで当然でたまるかよ!
ワルってんなら俺も高校の時は不良で、担任ぶっ殺そうとしたくらいだ!
それでもやり直せるんだよ!」
担任の青年の言葉を聞いて群衆の武器を持つ手が降りていく。
そして奥から声が上がる。
「おい、そこのオッサン」
「な、なんだ!」
「(え……!?)」
担任の青年と扇動していた中年男性が声を聞いて震えた。
中年男性は、コソ泥が逃げようとして警官に呼び止められたのと同じようなリアクションであったが、青年の目が広がった……それは恐れとか怒りとか動揺とかではない、純粋な驚きであった。
奥からコートを着た東洋系の壮年が出てきた……体は鍛えられており武道をやっているのでは?と思える雰囲気だ。
「さっきからおかしいじゃねえか。
威勢がいい声を上げながらいざ集まり出したら最後尾に行こうとするわ、そもそもオッサンはよく知ってんな『街頭テレビで顔写真だけ』の情報しか映っていないのにガキの詳細を知っているなんてな」
「そ、それは……」
「幾ら金を貰った?
『奴』の手口だ。
市民の中に煽動者を入れて市民の手で殺させる悪趣味なのは昔と同じだ」
男が中年を問い詰めようとしたら銃声がなった。
レッドキャップスが三人小銃を空に向けて発砲した。
「我々の命令に従わないならこの場で射殺していく」
「ハッ……死に損ないの使い捨ての実験体がよく言うぜ」
「ほざけ!我々は……l
「単なる犯罪者だ」
コートの男が煽ると逆上して銃を向けるが上空から人が落下しレッドキャップスの目の前に着地する。
その人は異様であった。
仮面をつけ、背中にマニュピレーターが2本装備されたコミックのヒーローめいた格好をして両手を組んでいる。
だがすぐに空手の構えをして突っ込んでくる。
レッドキャップスの一人がナイフで迎え打とうとするより早く拳が顔面にめり込み、くの字で倒れる。
もう一人が小銃で攻撃するが……
「SPARC、スイングモード」
『了解』
男は腕を盾のようにして顔面を守る……銃弾はスーツに弾かれている。
男の命令で機械じみた声がどこからか聞こえてくる。
男の背後のマニュピレーターがロープのようにしなやかに動き出してレッドキャップスの一人を首を絞めていく。
「バージョン2、89の実践運転は良好だな」
「ば、ばかな……パワーが違いすぎる……サイボーグだと」
『違います』
機械音声がレッドキャップスの発言を否定する。
後一人残った奴が青年の教師に向けて銃を向ける。
「貴様が群衆を鎮めなければ……貴様だけでも」
「させねえよ」
コートの男がホルスターからコンバットパイソンを取り出して発砲する。
銃を破壊され、さらに心臓を撃ち抜かれたレッドキャップス。
だが不敵に笑う。
「バカめ!我々は不死身の勇者!」
「再生するんだってな?
だが…」
レッドキャップスが銃弾を受けて怯んでいる間にコートの男が背後に周りワイヤーを取り出し首に巻きつける。
「首を刎ねれば死ぬだろ?
オリハルコン合金とかいう特注品だ」
「
男がワイヤーで首を絞めるとそのまま切断されレッドキャップスは最期の言葉を発しながら首が宙を舞った。
そのままレッドキャップは再生する事なく絶命した。
「それが俺の名だ…地獄に落ちても忘れるな」
「藤沢先生!!」
凄惨な光景であったが、青年教師は恐れなかった。
どれどころか懐かしさと親愛の感情でコートの男の名前を呼んだ.
コートの男が、青年の顔をまじまじと見てから声をあげる。
「お前…… 戸川か!!
久しぶりじゃねえか!」
「アンタも相変わらずかよ!」
「お前……その格好……」
「教師やってんだ、悪いかよ?」
「いいや、いいんじゃねえか?」
かつての教え子と再会して和やかな雰囲気になる。
だが空気を読まずに仮面の男が声をかける。
「ジーザス、すまないが次のところへ向かわなければ……」
「わかったよ、だ……『アルクベイン』。
すまねえが、俺はいくぜ」
「そっかよ……死ぬなよ、先生」
「お前もな」
・
・
・
「はぁ…はぁ…」
一人の少女が走って逃げていた。
両親は武装をした少年……レッドキャップスによって射殺された。
「エグリゴリの追加命令で娘を捉える指令がきたが……なかなかの逃げっぷりじゃな」
「(……ここまで来れば……来た!!)」
背をかがめ、隙間を抜けていく。
少女には普通の少女と違うある能力を持っていた。
それ故にエグリゴリに追われており、そしてその能力故にこの窮地を潜り抜けるのであった。
黒いコートにサングラスで杖をついている剣呑な雰囲気をした青年を見つけてその手をとった。
青年は困惑の様子であったが……必死に少女は懇願する。
「助けて!」
「な、なんだよお嬢ちゃん(始の誘いの連絡が来たからやってきたらテロが起こった上に……なんだ?)」
「ようやく追いついたぞ」
レッドキャップスが二人追いついてきた。
サングラスの男が値踏みするように二人を見る。
「(ガキにしては軍人めいた動きだな……始の言っていた事はデタラメじゃないってわけか)
プロの動きだな」
「助けて!なんでもあげるから!」
「俺を雇うつもりか?高いぞ」
男は、別に本気で吹っ掛けるつもりはなかった。
だが、少女は真剣に返答する……確実に払える確信を持って.
「……!!
お金でも宝石でも好きなだけ!」
「あまり興味がないが———いいだろう。
取引成立だな」
サングラスの男がレッドキャップスの前に出て少女を庇う。
少女に一瞬だけ視線を向けて言った。
「依頼期間は…」
「…『死が二人を分つまで』——よ」
「……ませた事を言う」
「本気よ!
貴方が助けてくれないと、私絶対に死んじゃうんだから!」
まだ幼い美少女が真剣な顔でサングラスの男を見る。
溜息をついて男がレッドキャップスに向かって声をかける。
「この子は俺が預かる、消え失せろ」
「若造、威勢がいいようじゃが喧嘩はよく見て選べ」
レッドキャップスは小銃を向けて発砲しようとする。
だが、一瞬で間合いを詰めていくサングラスの男。
舐めてかかっているレッドキャップス……彼らは失念していた。
少女を確保するために少女のいる方向には銃を向けられない事、そして銃は『構え、照準を向ける、発砲』という三つの工程が必要だが…
「ぎゃああああ!」
「オリハルコンとやらで作った仕込み杖……悪くない」
サングラスの男の杖は仕込み杖であった。
距離があるなら銃の圧勝であるが、近距離ならば『刀を抜く、斬る』の二つの工程のみ……故に先制できる!!
小銃ごと胴体を切り裂く。
「バカめ!我らは……」
「たしか『レッドキャップス』だったか?
くたばりぞこないが若返ったらしいが……」
サングラスの男が刀を一閃する。
レッドキャップスの首が易々と両断し、宙に舞う。
「首と胴体が離れれば死ぬだろう」
「(バカな……我らの身体は強化されたはず……!)」*2
「この刃は特別製だ。
間合いに入ったものは全て切り裂く、例外はない(首を刎ねたのに喋る余裕があるのか)
しまった……何故、小娘を狙ったか聞きそびれた。
騒がしい上に携帯が繋がらないが…」
「知らないんですか?」
少女が簡単に説明した。
謎のテロリストが藍空市を占拠・封鎖した。
命が惜しければ指定した女子供や老人を市民の手で殺害するように強要していると。
「そのテロリストが小娘を追うってのも不可解だな」
「……銃は怖くないの?」
「銃は怖いさ。
だが、銃を持った奴は怖くなかったんでね」
「ふーん」
「……で、ご両親は?」
サングラスの男が質問すると、堰を切ったようかのように大粒の涙を流す少女。
男は困ったが一先ず安全な場所に連れて行こうとする。
「この包囲を抜けたら……」
「誰か来ます」
「生憎、そう簡単にはいかんぞ、土方」
素戔嗚尊の仮面をした男がいつのまにか背後にいた。
サングラスの男……土方は少し驚くが表情に出さずに言った。
「(この小娘……俺より早くヤツを察知しただと……)
どういう事だ、高槻?」
「レッドキャップス……まぁ今夜限りの夢に溺れる戦場の蜻蛉に引導をわたさないと生きてこの街から出られないのが一点(ヤバい奴が日本の街を戦場にしようとしているから暇だったら来てね!くらいしか書かなかったけどね)。
コヤツの独断じゃなく上の命令で動いているならこれだけでは終わらんってわけだ。
ああ、今の俺は二代目(ツヴァイ)と呼んでくれ、俺の家業を知らない身内が近くにいるんでな。
で……お嬢さん、名前を聞いてもいいかい?」
「私は遥……遠山遥。
貴方は?」
少女……遥はサングラスの男に向かって聞いてくる。
だがサングラスを付け直しながら断る。
「気まぐれで助けただけだ……名乗るつもりもない」
「でも」
「俺を雇った件か?
奴らが気に入らなかっただけで受けただけだ。
助けは必要ならそこの不審者に頼めばいい」
「ふ、不審者って、酷いよまもちゃん!」
「誰がまもちゃんだ」
「貴方が守ってくれないと私、殺されてしまうの。
だからそばに置いてください、何でもします!」
「……お嬢さん、予知能力者かな?」
「!?」
「いやね、武道をかけらも嗜んでいないお嬢さんが土方より早く俺を察知した事、奴らのバック……エグリゴリがお嬢さんを狙う時点で容易に推測できる。
レッドキャップス……透視能力、テレパシー、再生能力というお得な超能力セットが揃っているが予知能力は持っていないからな。エグリゴリは興味津々かもな」
「……」
「ハードな斬り合いが望むならこの厄介ごとに首を突っ込むことだ」
仮面の男の発言を聞いてしばし無言で考えてから少女に向かって言い放つ。
「俺は護……土方護だ」
キャラ紹介
戸川……
高槻涼のクラス担任、そしてかつてジーザスの教え子だった。
戸川 誠治(とがわ せいじ)といって高校生時代は数々の問題を引き起こし、学校で最も恐れられている不良少年だった。
ジーザスの赴任初日に背後をとって投げ飛ばされて以来、担任であるジーザスに事あるごとに食って掛かっている。破門されたが空手初段の腕前を持つ。中学時代は絵を描いていた。父は代議士。
初めはジーザスを敵視し命すら狙っていたが、様々な事件を経て膨れ上がる自らの凶暴性に苦しみ、やがてジーザスに諭されその正体や過去を知っていくにつれ、心を開くようになっていった。性格も丸くなり、幸子以外のクラスメイト達とも馴染む様になった。橿原やリック、ジーザス本人によると、若い頃のジーザスにそっくりだったらしい。
※なお教師から国会議員になった人間は何人もいるのでこういう進路はおかしくはない。
土方護
死が二人を分つまでの主人公。
原作では過去の負傷により視力を失っており、周囲に超音波を発しその音響データを網膜に投影する特殊サングラスによって視力を代替している。年齢は推定30歳前後……なおサングラスをしているが別に失明や怪我はしていない。
無愛想な皮肉屋で、冷酷かつ狡猾な面もあるが、正義感は強い。「古流剣術の麒麟児」と評されるほどの剣術の才能を持つ一方で、「剣鬼」と呼ばれ、自らを「一般社会不適格者」と称するほど剣術に対する思い入れが強く、常に実戦を意識して生活を送っている。
原作と同様に、10歳前後の幼い頃、飲酒運転の暴走車に巻き込まれて両親を亡くし、祖父・勝之進に引き取られて直心影流の手ほどきを受けた後、真壁一志の弟子として真壁派一刀流を学ぶようになり、稽古中に死に追いやり、一時期暴力団を相手に喧嘩を売り歩いていた。
原作では、台場巽のスカウトを受けてエレメンタルネットワークに参加していくのだが、この世界には存在しないので別の歩みをしたが始に出会い、仕事を引き受ける関係になっていた(ビルトビルガーに誘っているがまだ考慮中)。
遠山 遥
死が二人を分つまでのヒロイン。
中学1年生の少女。的中率90パーセント以上の予知能力を持ち、その能力のためにあらゆる組織から身柄を狙われた。
。
原作では後にエジー・トゥルスから5億ドルもの懸賞金をかけられた。護が自分の命を救ってくれると予知し、角鳳会に拉致されたところを逃げ出して通りすがりの護に助けを求め、ネットワークに保護された。
その予知能力はあらゆる事象の将来を正確に見通すものではなく、自分に関わる人間の、高い確率で起こり得る比較的近い未来が見えるのみである。またその予知に基づいて危険を避けるべく行動しても、被害を最小限に留めるだけに過ぎない場合もある。また予知は、本人の意志に関わらず唐突に脳裏に浮かぶ。
護に助けを求めた理由は将来、護と結婚する予知をしたため……なお原作最終回でゴールインした模様。
くれぐれも護さんに『このロリコンめ!』と言わないように。