サンサーラ同盟掲示板   作:Dadaga

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Zwei 《ツヴァイ》ep41「回想(リコレクション)」その3

キースシリーズは成功例以外は数字で呼ばれていた。

その中で異質だったのは自分に『エドワウ』と名付けた少年……成功してキース・ブラックになった暁にはホワイトを殺すつもりだった。

もう一人が『セロ』……エドワウと名前を交換する唯一の兄弟のようなものだ(なおキースシリーズは互いに蹴落としているから血の繋がった他人だったり)。

彼はエドワウとアリスの接触をサミュエル博士に止めさるように嘆願していた。

セロ曰く、エドワウはアリスの声を聞けているらしい。

セロが他のキースシリーズに痛めつけられたのを見て激昂してハサミを持ち出すがサミュエル博士に止められる。

 

 

「馬鹿な気を起こすのはよさんか、エドワウ!!

 今、おまえが問題を起こしてみろ?

 危険な素材として移植者の選定からも外されるぞ!! 

 まあ…わしにはどうでもいい事だがな」

「キースシリーズは…互いに憎しみあっているのさ!!

 あんたにはわからないよ!!

 毎日毎日、自分と同じ顔のクローンと顔を付き合わせ、ナンバーで呼ばれる気分なんか…

 だが…そんな日ももう終わる!!この僕がARMSを手に入れさえしたら……

 "アリス"も…そう言ってたからね!!

 僕には…アリスの声が聞こえるんだ 僕らにはアリスの遺伝子が組み込まれている そのせいかもしれない

 誰も信じやしないけど…僕には聞こえる!! 

 "力が欲しいか"って……

 アリスはそう僕に呼びかけている

 当然さ、僕は欲しい!! 

 ここから抜け出して自由になる"力"を!!僕は…絶対に手に入れてやるんだ!!」

 

 

適合手術は間近を迎え二人きりになった、

エドワウのARMS移植手術を引きとめようとするセロだったがエドワウの意志は硬かった。

エドワウはそんなセロに砂時計を差し出した。

自分だけのものを持たないセロへのプレゼントだった。

 

 

「で…でもこれエドワウの……」

「いいんだよセロ!! 

 僕達は兄弟、他の連中とは違う…だから…いいんだ…

 砂時計は…僕達そのものだ!! 

 他人に詰められたガラスの中の"生"

 いずれ時が来たら砂は止まり…死ぬ…

 僕達に与えられた時間は少ない こんな闇の中でうずくまってるヒマなんかないんだ!!

 僕らを閉じ込めてるガラスを砕くまで!! だから…僕は……」

 

 

連載時は『エドワウが後のブラックかー』と思っていたが……適合手術に失敗した。

エドワウの胸に着けたリミッターがARMSの増殖を抑えているものの、2,3日中には廃棄処分にされる。

 

 

「アリスは…僕に呼びかけたんだ…… 私の4つの魂(コア)を解放してくれ…

 オリジナルARMSをこの地の底から解き放てって…

 それが…"アリス"の望みだった……

 でも…僕にはもう"力"はない… 

 アリスの声に…聞こえないんだ……僕の砂時計は…止まった……」

 

 

力を失い、絶望の底にあったエドワウ。

絶望に嘆いていたのはサミュエルも同じであった。

サミュエルは自分の行為を嘆き、自分の頭を壁に撃ちつけていた。

 

 

「私も…同じだよ、セロ… 私には…なんの"力"もない……

 たった一人の子の"生命"も救う事ができないんだ… 私には……  !」

 

 

そこに、突如階段からサイボーグ兵士が血まみれ転がり落ちてくる。

 

「私も…同じだよ、セロ… 私には…なんの"力"もない……

 たった一人の子の"生命"も救う事ができないんだ… 私には……  !」

 

そこに、突如階段からサイボーグ兵士が血まみれ転がり落ちてくる

何事か近づいてみると、その喉もとにクナイが突き刺さっていた。

セロにじっとするように言ってサミュエル博士が様子を見に行くと、通路は一面サイボーグの死体だらけであった。

歴戦の兵士に強化改造を施したサイボーグ兵士をいとも容易く…それも警報すら鳴らすことすら許さない、そんな芸当をできるのはこの時代ではたった一人……『静かなる狼』のみ。

親父とお袋とあと一人……多分隼人のパッパか?

サミュエルの背後から首に刃物……クナイが押し付けられた。

 

 

(わしは…ここで死ぬのか!?  

 ふん…それもいいじゃろう…このまま生きていても……)

 

 

……親父は拘束から解放し刃物を下ろした。

 

 

「な…」

「そのまま動かないでもらいましょうか、科学者さん!!」

「お…おまえ達…たった3人!?たった3人でここの警備を突破したのか!?」

「なに…忍術を少々使ったまでさ!?」

 

 

どうやら彼らは傭兵でこの施設の調査を行いに来たと言う

ならばなぜ自分を殺さないというサミュエル博士の質問への返答はお袋がした。

 

 

「……あなた、さっき"やっと楽になれる"と思って体の力を抜いたわね。

 そでに自分の罪を悟っている人間を裁けるほど、私達は傲慢じゃない…

 自分の行いを知る者が、生き方死に方を自分を決められないわけないでしょう!?

 罪を償いたいのなら自分で償う事ね……」

 

 

優しくも残酷なお袋の言葉だった。

その言葉にサミュエルは僅かに目を伏せる…

親父たちはその場を立ち去ろうとするが、サミュエルがそれを引き止めた。

そしてサミュエルは絶望の底にあったエドワウの元にふたたび立った。

 

 

「エドワウよ…生きる気力を失ったか…!? 

 名前も未来も失い…魂すらも……

 生と死の境界で悟っただろう…お前ひとりの存在の無力さを

 エグリゴリは巨大な鋼鉄の歯車だ!! 

 無力なものをつぶして回り続ける。

 おまえはそこから逃れようとあがいて、失敗した敗北者… わしと同じ…敗北者なのだ…。

 

 おまえに… 前からほしがっていたカラーネームをくれてやる… ブルーだ!!

 

 唯一キース・ホワイトがカラーネームに採用しなかった奴の嫌いな色だ。

 この名前を抱いておまえは"外の世界"で生きろ!!

 4つのオリジナルARMSを……この地の底より解放する事が"アリス"の望みとおまえは言ったな!!

 ならば…わしはすべてをおまえに託す!!

 エグリゴリが20年かけて全世界から集めたARMS適性者の遺伝子サンプル…

 そのほんの一部だが4つの凍結受精卵とともに…ここから出て力を集めろ!!

 お前やわしのような敗北者の力を一つ一つ拾い集めるがいい!! 

 そして…『望み』を果たすんだ!!」

 

 

この瞬間がエドワウの再起の時であり、『キース・ブルー』と『ブルーメン』の生誕の瞬間であった。

 

 

(償いならぬ償い… それは単なる自己満足だったのかもしれない… だが…わしはそうした……

 わしがお前に与えたのは救いや哀れみではない ブルーは絶望の色… 悲しみと憂いの色……

 おまえが歩む苦難の道の色だ!! だが…ブルーは…… アリスの夢見た自由の色…

 生き延びろよ ブルー…)

 

 

そして……『キース・ブラック』になったのはセロであった。

彼は、サミュエル博士にキースシリーズ、キース・ホワイト、そして博士以外の職員の抹殺を宣言しアリスが行動を始める。

セロは、アリスの声を聞いた……ただし、エドワウの時とは違う…。

『滅ぼせ』、それがアリスの意思だった。

 

 

「世界は……僕達のものだ!!」

 

 

アリスはすでにエリア51基地は元より、国防総省やホワイトハウス、北半球全域をカバーする核自動報復システムまでもハッキングが行われた。

サミュエル博士の叫びも届かず、アリスは[プログラム"ハンプティーダンプティー"]と言う言葉を連呼するばかり…

そこにキース・ホワイトからの内線通話がサミュエルに送られる。

 

 

「サミュエル…人類の歴史上最も多くの人間を殺した科学者は誰だと思う!?

 ダイナマイトを作ったノーベルでも、原子爆弾を作ったアインシュタインでもない…

 答えは"進化論"のダーウィンだ!!

 環境に適応した勝者だけが生き残り、敗者は自然淘汰で死滅する…

 このダーウィンの進化論を人類社会に当てはめた社会ダーウィニスト達がやがてドイツ優生学を生み……

 あのアドルフ・ヒトラーを生み出す事になる!!

 私はかつて"ヒトラーの子ら"と賞賛される子供の一人だった… ヒトラーの言う地球上で最も優秀な純潔アーリア人種…

 私は誇らしかった!!世界のすべてが自分の物だと思えるほどに!!

 だが…ヒトラーが死んでからそれは全て幻想だという事を思い知らされたよ…

 だから私は自らの手で、血で、生み出そうと考えたのだ

 幻想ではない、人種や民族と言うものを超えた根源的に進化した人類を…

 そして…それは成功した…… 今、私の誇るべき息子が父を殺しにやってくる!!」

 

 

進化を語る土台にはなったけどダーウィニズムが百パー正しいわけじゃない。

生物の進化は自然選択によってのみ起こるわけではない。

「遺伝的浮動(偶然の作用による遺伝子or遺伝的形質頻度の変化)」による「中立進化」がある。

ダーウィンの提唱すえう自然選択による「適応進化」では、生存上有利な変異が増える、もしくは生存上不利な変異が除去されることによって形質が変化していく。

一方、遺伝的浮動による中立進化では、変化する形質は、有利でも不利でもない……

それ故にその形質はランダムに増減を繰り返す。

ランダムに増減し、その形質が集団内において一定の割合を占めることになった結果、遺伝子が固定されていく、このように起こるのが中立進化という。

適応進化を「必然」の進化、中立進化を「偶然」の進化……フランスの生物学者であるジャック・モノーが提唱したものだ。

まぁアレだ、ガチガチに組んだものより『遊び』がある構造のほうが破綻しにくいだろ?過剰に適応していくと環境が急変してダメにになったら全滅するだろ?多様性があれば生き延びる出目がでるってわけさ。

そもそも!ダーウィンの理屈が絶対正しいならシーラカンスはとっくに滅びとるわ。

ぶっちゃけ、キース・ホワイトは純粋な知の探究者たる科学者じゃない。ダーウィン教の狂信者だ、能力があるタチの悪い部類だ。

 

 

「父さん…すべては"アリス"の意志の通りに……」

 

 

キース・ブラックの爪はキース・ホワイトを貫く……

 

 

 

 

 

「と、いうのがエグリゴリの流れだ」

 

 

俺は『ビルトビルガー』の面々に説明した。

アナは、自分の先輩的な存在であるアリスの悲劇に絶句し、沢渡の顔色は真っ青だった。

巽さんは、やるべき事は変わらないと表情に変化はない。

遥ちゃん(簡易促成栽培済み)はキース・ホワイトのような人種へ恐怖を抱いたようだ。

ジーザスは、教え子を救う為にエグリゴリに戦う以上、覚悟は決まっていた。

まもちゃん……もとい土方さんは、腐った野郎だ切り甲斐があるとやる気満々だ……まぁARMの相手はさせないが。

 

 

「うおおおおおおおお!

 なんたる悲劇!

 キース・ホワイトめ!

 総統の教えを汚すあの外道が生きているならば、俺の拳で制裁してくれたものの……!」

「ボー、奴はとっくに死んでいる」

 

 

奴(ホワイト)生きているんだよなぁ……頑固な汚れみたいな感じで。

大声で怒りのリアクションをするボーに呆れる暁。

暁はその辺はドライだからな。

 

 

「そこ、うるさい」

「す、すまん」

 

 

ああ、アナに叱られたな、ボー。

でも癒される。

 

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