マンハッタンのビル群が崩れ黒い煙を立てる。
だが、その建物は威容を誇っていた……涼達の目的地、カリヨンタワー。
エグリゴリのバックにある軍事企業のカリヨン・コーポレーションニューヨーク本社ビルだ。
超高層ビルの立ち並ぶマンハッタンではそこまで目立つビルと言うわけではないが、それは外見だけだ。
ブルーメンの情報に寄れば、地上施設のおよそ十倍の施設が地下に存在しているという。
「あそこにアリスが……いる!!」
「キースもいるぜ!!」
「そして……… カツミさんも…………」
「とりあえずブルーメンと連絡を取りましょ 私達が動くのはそれからよ!!」
一方その頃、ニューヨーク病院 地震の影響で怪我人が並ぶ中、李はコウ,カルナギの手で重症患者になった兜に面会していた。
「……兜……鎮痛剤のせいかよく眠っているみたいね。
あの地震で起きないなんてたいしたものだわ……
ま…その方が都合がいいわ。
………………私の故郷はね……中国福建省の小さな村なの……
裕福な家というわけじゃなかったけど、静かで幸せな生活……
その日…あいつらが空からやって来た。
私達の村がエグリゴリ実験場として政府に売られていた事知ったのはだいぶ後……
住民はそうとは知らずモルモットにされていた……
あの日……エグリゴリの情報封鎖にほころびが生じ、外部への機密漏洩の疑いがもたれた…
たったそれだけの理由で村は地図から消えた……
私の…父も母も…………まだ小さかった弟も………
私は三日間冷たくなった弟の体を抱えて山の中に隠れて生き延びたわ。
テレビや漫画に出てくるような正義の味方は現れない。
そんなの……この世にいないんだって知ってしまった…
私の中の時間はたぶんあの時に止まったままよ……
今でも時々夢にうなされて自分の悲鳴で飛び起きるのよ……
これが私が"ブルーメン"に参加してる理由……
まあ、ブルーメンにいる者のほとんどがそんな経験の持ち主ばかりだけどね
…………戦場に行く前に誰かに話したかった……
…………私を身を挺して助けてくれた時……あなたが正義の味方に見えたわ…………
ありがとう…………兜………」
兜に別れの言葉を告げ、彼女もまた戦場へと向かっていく。
彼女が出て行くと、兜おじさんの目が開いた……どうやら狸寝入りしていたようだ。
恵達に指示を出し、李はブルーメンメンバーをマンハッタンに集結させる。
エグリゴリとの全面戦争が始まろうとしていた。
カリヨンタワーを恵は<ハートの女王>で下調べしようとするが、その視線が通らない構造になっていた。
さらに脅威はカリヨンタワーだけではない。
タワー周囲のビルはエグリゴリの軍事企業が密集している。
ビル群は非常時にはカリヨンタワーを守るための城壁ともなり、さらに最先端のハイテクセキュリティが稼動している
まさに一つの城塞都市とも言うべきその一角は、「カリヨン要塞(フォートレス)」……こう呼ばれていた。
「息をひそめて時を待つ日々は終わったわ…
これまで何人もの同士の生命を飲み込み、機密を明かさなかった敵本拠地・カリヨンタワーの情報を我々は手に入れた。
米国内のいずこかにあると噂されてきたエグリゴリの中枢…………
巨大コンピュータ"アリス"がそこにある!!
最高指導者"ブルー"よりの指令よ!! 今夜20時、我々ブルーメンはエグリゴリに対して…………
全面戦争を開始するわ!!」
ブルーメンの面々は戦いの声を上げる。
ユーゴーは、カリヨンタワーから微弱な悲しみの歌のような思念を感じていた。
そんな折、涼達に招待状を持ってくる者がいた。
差出人はキース・ブラック。
配達人はジョームズ・ホワン……いや整形手術が戻った高槻崖。
涼達は露骨な罠だがそれを承知で飛び込んでいく。
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チームビルトビルガー(アナ・リドル、台場巽、沢渡、土方護、遥)」
XーARMY(3バカ……もといクリフ、ヴォルフ、キクロプス)
外部協力者(ジーザス、ボー、暁)
備品(元KGBテレパシスト)
「ドウシテ……ドウシテ……」
『チーム・ビルトビルガー並びに協力者の諸君。
今回の指揮をとるYAMAだ。
始は既に潜入を開始している。
ニーナ・カレーニナ、残念ながら君に拒否権はない」
「な……!!」
「……!???」
「あらイケボ」
モルモット生活を終えてパーカップの診療所でナースをする生活で安らいでいたが始に引っ張り出されて絶望の備品(ニーナ・カレーニナ)、そしてYAMAの存在に驚くX-ARMY。
パソコンのディスプレイからアバター(FGOの小野篁)で話しかけるYAMA
「直接姿を表さないのは何故だ?」
「生憎、『今の私の本体』は大きい。
だから話しやすいインターフェイスを用意した」
「彼は……並行世界の超古代文明の思考型プログラム……AIだ。
かつて"モヘンジョ・ダロ"や"ハラッパー"などのインダス文明圏を破壊し、再び人類文明を破壊しようとしたが思いとどまって始君に協力している」
台場巽がストレートに情報を開示していく。
面食らったが、そもそもどうにか順応する三人。
『我々のミッションは、カリヨンタワー周囲から出撃するエグリゴリの戦力の打倒だ。
本拠地にはARMSの少年達がキース・ブラックの招待…罠を承知で踏み込んでいった。
始は少数精鋭(2名)せ潜入、撹乱する予定だ。
我々はあくまでブルーメンの援護だ』
「く……始がいくなら俺と暁で」
「ダメです」
ボーが、本拠地に突っ込みたい様子だが暁より先に遥が止める。
「……予知で見たのか?」
「……」
土方の質問に無言で頷く遥。
遥の予知能力を理解しているボーはぐぬぬと呻きながら思い止まる。
YAMAが改めて説明していく。
『遠山遥が予知能力の演算でブルーメンの崩れそうな戦力を察知し、我々が救援する。
ニーナ・カレーニナはオリハルコンのESP増幅器で無線の効かない戦場の通信を担当する。
通信機代わりに送受信用のヘッドギア(オリハルコン内蔵)を準備している」
「質問だが……そこの先生方やお嬢ちゃん達は戦場で足手纏いにならないのか?」
リアリストの暁がアナや遥、沢渡についての言及をする。
『遠山遥は、訓練を受けて犯罪組織程度なら問題ない立ち回りを身につけた。
しかし、今回の戦場では未知数。
故に……<追加戦力を製造する>』
トレーラーの外で大きな音がした。
外に出ると……
「なぜ『アレ』がある!?
始が封印したはず!!」
「そうか……ククク、アイツの仕業か」
暁とボーには見覚えのある巨人がいた。
ボー達の世界で戦った『ロードスの巨人』が立っていた。
しかし、外見が若干異なってくる。
鎧のデザインが外套を着ていた。
『キース・レッドから回収したエグリゴリのアドバンストARMS『グリフォン』。
それを解析してオリハルコンとケイ素合金のナノマシンの『ロードスの巨人』を制御ユニットを完成させた」
「ARMSを作っただと……!?」
『海賊版……いやARMSの規格とは外れているがなこの『ヒポグリフ』は』
始は開発したアルクベイン2号機を目指したコートの完成品である。
仮に『ハートの女王』のようなARMSへの停止機能なり、原作に存在しないARMSを操る機能が開発された場合でも動けるナノマシンユニットだ。
『アルクベイン』のノウハウと、『グリフォン』からのリバースエンジニアリングで作られた鬼子……まさに『ヒポグリフ(グリフォンと雌馬の子)である。
始にもARMS適正因子はあるが……ARMSを埋め込みつもりはない。
力が欲しいのではなく、手数が欲しい故に。
今、YAMAはロードスの巨人と融合しているのだ。
YAMAが瓦礫を触れて取り込んでいく。
そして瓦礫を『加工していく』。
「おお、中国で戦ったやつではないぁ!!?」
ボーは思わず叫んだ。
始がスプリガン世界の中国で遭遇した『黄巾力士』をモデルにした巨人を生み出していく。
一体や二体ではない……次々に生み出して増えていく……。
「……始はどう後始末をつけるのかしら……」
『多少の破損は再生するし、私の意思で統率されているから暴走の心配はない。
終われば土に返す」
「そういう問題じゃないのよ」
アナは頭痛で頭を抱える。
アザゼル(アリス)を解決する為にアザゼルもどき(YAMAのヒポグリフ)を生み出すという『バケモノにはバケモノをぶつけるんだ!』をやらかした事の問題性の酷さに。
だがノリノリでYAMAが語り出す。
「ああ、この地形ではトレーラーを走らせられない。
故に……」
専用のキャリアーを作り出す。
非戦闘員が安心して移動できるように。
対物理用の隔壁を区切った箱型の指揮部屋を黄巾力士を複数体で持ち上げる。
どう見てもソイヤウォーカーです、ありがとうございます。*1
(※コレは参考画像です、大体こんな感じ )
「始……後で引っ叩くわ」
「ぼ、僕はコレに乗るの……?」
「あ、あははは……大丈夫です、『危険はないです』」
アナは拳を握りしめ、沢渡は遠い目をして、遥は苦笑いするのであった。
見た目は多数のヒト型ロボットに支えられて動く神輿そのものであり、搭乗者が操縦して動かすことのできる機械。
各種武器の搭載も可能であり、戦闘用途として使用可能な、設計理由さえ不明なのだが……作品によっては最強クラスの戦車だったり。