アメリカ空軍のヘリ部隊が、崩壊したニューヨークに立つジャバウォックの姿を捉える。
ミサイル攻撃をジャバウォックにむけ、一斉発射、ミサイル攻撃は見事に直撃、爆炎がジャバウォックを包む。
しかし爆風が晴れたときヘリのパイロットが目にしたのは、ジャバウォックの鋭い眼光であった。
そして、ジャバウォックの口から放たれた火炎放射がヘリ部隊を、ニューヨークの街を焼き尽くす!!
炎に包まれるニューヨーク、その光景はまさしく"大きな大きな焼きリンゴ"でチャットのアリスの予言の通りであった。
「くそっ、米軍め…余計なことしがやる!!
ただやみくもにジャバウォックに攻撃を加えたら、どんどん"力"(エネルギー)を蓄えて強くなっちまう!!」
「急ぐわよ、隼人!!ジャバウォックがこれ以上強大化する前に…」
「ああ…わかってるさ… あいつは…オレの始めての親友だ オレは、あいつにいろんなことを教えてもらった…
昔のオレは鞘のない刀だった…
やたらとんがって、触れる物をみな傷つけることしか知らなかった…
でもな…おまえはオレに言ったよなぁ
オレ達は… 同じ運命を抱えた仲間だって…
あの時からオレは変わった!!
武士…久留間、アルのガキに、ユーゴー…ウインドのおっさん…兜のおっさんにブルーメンの連中…
このわずかの間にいろんな奴らに出会って、いろんなものをもらった…
そんなオレが…おまえやみんなのためにしてやれることは…
おまえをこれ以上破壊の使者なんかにしてやらねえことだ!!」
隼人は決意は堅い。
恵を肩に乗せ、ミストルテインの槍の出力をあげてジャバウォックへと飛び掛る隼人<ナイト>……
隼人の言葉に恵は同意した。
「そうね…それを言うなら私も同じ…
あんた達と出会えてよかった…
クイーン、頼むわよ!攻撃の力をそのまま相手に返す究極シールド…アイギスの鏡!!
私達を… 守って!!」
ハートの女王<クイーン・オブハート>を眼前に展開し、ジャバウォックの吐く火炎放射をアイギスの盾で跳ね返す。
そしてジャバウォックの胸を、ミストルテインの槍が縦に切り裂くが、コアには届かなかった。
そこにジャバウォックの巨大な腕が、隼人<ナイト>を叩き落し、その身体を押さえ込んでいく。
身動きが取れない中、恵はハートの女王<クイーン・オブハート>の声を聞く。
【我は審判者 ハートの女王<クイーン・オブハート>…
久留間恵!!私の最後のプログラムを発動させるか!?】
「最後のプログラム!?何よ、それ…」
【"アリス"より生まれしすべてのARMSに"消失"をもたらす滅びのプログラム…
"実行"のキーとなるのは汝の決断なり!! さあ、久留間恵…審判を下せ!!】
突然のハートの女王<クイーン・オブハート>の言葉に、恵は戸惑う。
ハートの女王は再び決断を迫る。
【私に与えられし"力"は、"アリス"より生まれしすべてのARMSに"消失"をもたらす滅びのプログラム…
"実行"のキーは久留間恵…汝の決断のみ!!
一言"滅びよ"とつぶやけば審判は下る!】
「ちょ…ちょっと待って、クイーン!!それって、涼だけじゃなく隼人や武士まで!?」
【そうだ、キースシリーズや我々も、全て滅びる!!
汝の審判のみが、このARMSにより引き起こされた人類の危機を救うことが出来る!
久留間恵…残念だが私達は最も残酷な使命を与えられた存在なのだ!!】
ハートの女王<クイーン・オブハート>の言葉に涙を浮かべる恵……あまりの残酷な選択肢であった。
彼女はその審判を下すことが出来ずに、気を失ってしまう…。
恵が気絶してしまったことでハートの女王<クイーン・オブハート>のシールドが消えた。
その隙にジャバウォックの手が迫る……しかし、隼人<ナイト>も槍を一閃してその腕を吹き飛ばす。
拘束から抜け出し、飛び上がるとジャバウォックに向けて突撃を仕掛けていく。
迫る隼人<ナイト>にARMS砲で対抗するジャバウォック、それを回避するとその背後で大爆発が起こる!
(誰かが…泣いている…子供みたいに……隼人…私を抱いて…高槻と戦っている…
………そうか………痛いんだ… 高槻を斬るたびに…自分自身も斬っているから………………)
ジャバウォックの胸を切り裂いていく隼人<ナイト>の瞳からは涙が滲む…
(私も…痛いよ… 隼人…)
涼も、隼人も、そして恵もキース・ホワイトの悪意に似よって苦しんでいる。
笑うのはキース・ホワイトのみであった。
隼人<ナイト>の攻撃に、ついにジャバウォックもその巨体が倒れる…
隼人はジャバウォックにとどめをさそうとするが… そこに、突如"アリス"がその姿を現した。
すると、突如ジャバウォックの身体が隼人<ナイト>と恵を侵食して飲み込んでいく。
「ば…ばかな!"アリス"…オレ達まで侵食するつもりか!?
"アリス"!!てめえは… てめえは一体何がしたいんだぁ!!」
武士は未だ目を覚さない……このまま世界は破滅するのか?
———否。
『私も取り込まれる危険もあるが……そうも言ってられないか。
<ヒポグリフ>、突貫する』
YAMAが瓦礫や機械を取り込んでジャバウォックに負けず劣らずの巨体を作成し、ヒポグリフをそのまま中に格納していった。
YAMAはジャバウォック……いやアリスを押さえつける。
それだけじゃない。
無数のコードが巨大な巨人から出てきてジャバウォックに突き刺した。
『超古代文明の産物が宇宙生物に挑む……始の好きそうな映画のようだが……』
時計の針を少し戻る。
…隼人と恵がジャバウォックに侵食されたのをユーゴーが感じ取った。
倒れたジャバウォックも再び立ち上がろうとした時、巨大な地中海風の巨人が地面から出てきてジャバウォックを再び転がし、組みついていった。
ラルフはあまりの光景に叫んだ。
「何処からあんな巨人が出てくるんだ……!?
最早人間が手に負える戦いじゃないぞ………」
ジャバウォックの動きが鈍くなったのを見てユーゴーは決意する。
それを察した李が引き止めようとする。
「本気であそこに戻る気なの?ユーゴー…」
「な…なんだって!?何かんがえてんだ、ユーゴー!?
おまえまであんな馬鹿どもと同調することなんかないだろ!?」
アルが悲痛な叫びをするが、ユーゴーは静かに言った。
「私はテレパシスト………
私には…私にしかできない戦い方があります。
約束したんです…
高槻君を…………殺してあげるって…」
ユーゴーの戦う決意は堅い。
それを認めたアルはユーゴーの身体に抱きつく…。
「ア…アル…」
「読めよ…うまく言葉にならないから………… 僕の心を…読んでくれ!」
素直になれないアルは、精一杯の気持ちを言語化できない。
そんなアルの頭をユーゴーが優しくなでてあげた。
「大丈夫ですよ…隼人君も恵さんも生きて帰ってきます…
みんな…生きて帰ってきます…」
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一方、エアフォース・ワン内では…。
「システムAAを発動させるしか…」
「大統領!地面から巨人が出てきて取り押さえています」
「……な……」
意味不明な事を報告する部下に思わず怒鳴りつけようとする衝動にかられるが、実際の光景を見て絶句する。大統領。
通信がノイズまみれで聞こえてくる。
「大統……二代(ツヴァ)……」
「始!」
「……ザザ……こちらで取り押さえています……
最……まで……諦めないで……」
「はは……ニンジャのニンポーというヤツか……?
父親より派手じゃないか」
謎の巨人は、始によるものだと知り冷静さを取り戻す大統領。
しかし……勝手にシステムAAが勝手に起動していく。
ディプレイにはアリスの顔が浮かんでいた……
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そして武士は…目覚めない。
意識だけは教会のような場所で、その光景を見ていることしかできない。
そこに、アリスと白兎が武士の前に姿を見せる。
もう私にも止めることはできないというアリスの肩を武士がつかむ。
「"アリス"…君は僕に何をさせるためにこんな所に呼びよせた?
僕はただみんなの様子を見続けるだけ…
こんな所に閉じ込められてちゃどうすることも出来ない…こんなの…残酷だよ!!」
「……………あなた達4人のARMSは、私の心から生まれた分身…
武士君…あなたの白兎<ホワイトラビット>にはジャバウォックを止める使命を与えていたの…
騎士<ナイト>が倒れてしまった今、あなたは最後の希望…
最悪の事態になった時の切り札となってもらうためにここに留めたの」
「"アリス"…僕がわからないのはそこだよ!!
もともとジャバウォックだって君から生まれた存在なんだろ?
だったら、なんでそれに対抗するプログラムが、僕達に与えられたんだ!?
僕達は"人間"だよ!!"友達を殺せ"なんてプログラム、あまりにひどすぎるだろ!?」
アリスの肩を掴み、感情のままに詰め寄る武士であった。
その横から白兎が口を開く
『ジャバウォックは、『もう一人』の"アリス"から生まれた存在なんだ。
"アリス"がアザゼルに取り込まれたことで、アリスはヒトを愛するアリスと、ヒトを憎む"アリス"の二つに分かれてしまった。
超巨大アザゼル"アリス"の中で二人のアリスの葛藤が合ったが、キース・ホワイトの復活でそのバランスは完全に崩れた。
"アリス"の世界…即ち今のジャバウォックの中にあるのは、破壊を望む"黒いアリス"のみなんだ』
今武士と話している"白いアリス"は"黒いアリス"に押さえられる前に白兎の中に逃げて来たのだとアリスは言う。
分かれていても、"黒いアリス"もアリス自身自分を自分でとめることはできないのだと。
だからアリスは、それをARMS達に委ねたのだ、もう一人のアリスを殺す為に…
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ニューヨークの町並みを破壊し、焼き尽くすジャバウォック…
しかし、謎の巨人に抑えつけられ、事態は硬直した。
その光景にキース・ホワイトも苛立っていた。
「滅びの光景はただ美しい…なぜなら、それは新たな創造の過程だからだ。
それなのにあんな無細工な木偶人形に止められるとは嘆かわしい。
そうは思わないか?バイオレットよ…」
ホワイトの視線の先にはバイオレットが居た。
彼女は『ブラック』が居なくなった事を知らない……。
「ブラック兄さん…これがあなたの望んだ種の進化だというの!?
これがARMS計画<プロジェクト・アームズ>の帰結!?くだらないわ…
私の目にうつるのは、破壊と混沌…ただそれだけよ」
バイオレットもこの光景を見ていたが、彼女はそれをくだらない、と目から涙を滲ませていた。
だが、バイオレットの胸はホワイトの放つビームに貫かれてしまう!!
「バイオレット…………
それが父に向かって言う言葉か!?
お前達の生みの親であるこの私(キース・ホワイト)に…
どのみちおまえなど用済みだがな」
さらにバイオレットの身体を空間を歪ませた衝撃波で吹き飛ばし、ビルの屋上から落とされていく。
この時に漸く気がついたのだ……。
(迂闊だった…そうか、そういうことか…
"アリスの間"で何が起きたのかこれで全て合点がいったわ…
私の兄さん…キース・ブラックはもういないということね…)
そのまま地面に激突するかとバイオレットは思ったが、そんな衝撃は訪れなかった。
横から逞しい男性に抱き抱えられていく。
バイオレットは救出され、優しくビルの屋上に立たせてもらった。
百舌鳥のように鋭い眼光と野生味のある東洋人の同年代の青年……
そんな救い主の仇名をバイオレットは呟く。
「ツヴァイ……」
「久しぶりだな<ラヴェンダー>。勝手に助けたが文句は言うなよ?」