俺は冷ややかに言い放つ。
「キース・ホワイト……子供への仕打ちや偏った思想に科学者にあるまじき結論ありきの柔軟でない思考。
まぁ唯の凡夫だな。
だから世界を焼こうとか優れた人間以外は粛清とか言い出す」
「おまえ…何者だ!?」
「高槻始……テメーが嵌めて世界を滅ぼさせそうとしたヤツの兄だ」
「ほう…では、この私に復讐でもするつもりか!?」
「今はそんな時間はない。
<ここで俺に殺された方がアンタにとってはマシな結末だろうからそんな慈悲はくれてやらない>
予言してやるよ、お前は虚しい最期を遂げる。
それまで、あなたはお山の大将を気どるがいいさ、この廃墟の町の王様ですら勿体無いがね」
俺からの事実の陳列に甚だしい不快感を出しているキース・ホワイト。
まぁレイシストだからな!
「………ヒトという種の分際で、小僧の分際でずいぶん勇ましい物言いをする男だ…
唯の凡夫だと……!!
"神"として君臨するこの私に…その愚かな言動、後悔するがいい!!」
キース・ホワイトは四方八方から『バロールの魔眼』による光線で攻撃していくが俺は難なく回避した。
トーシロの盲打ちが当たるかよ。
「その綺麗なツラをぶっ飛ばしてやるよ!」
俺が安物(その辺で10ドルでかった)ナイフをキースホワイトの顔面に投げつける。
キース・ホワイトは余裕を持ってARMSの腕で受け止めて俺を嘲るつもりだろうが……
「ギャアアアアア!!」
バイオレットは、目を丸くした……キース・ホワイトが苦しんで転がっている光景を見たからだ。
なんと言うことはない。
顔面への殺気満々のナイフ投擲は前振りだ。
本命の糞実父の肩に刺したジャバウォックの爪をキース・ホワイトの股関に投げたら見事命中!!
「あ、これはジャバウォックの爪なんで再生不可能なんで……これで自力で子孫を残せない『劣った』存在、劣等だな。
人間風情?親父なら『人間(ヒト)は… 決してARMSに負けはしない!』って言うだろうな。
俺からすればARMSに間違いなく適合できるが……俺にそんな玩具は必要ない」
痛みで半狂乱になりながらブリューナクの槍……荷電粒子砲を向けるキース・ホワイト。
まぁその前に空間を振動させる衝撃波で叩きつけて俺を足止めしてから焼き殺すつもりだろうが……それも避けられる、殺気マシマシで丸見えだ。
「頭上注意だ」
「な……!!」
攻撃を避けながら奴の頭上に紙束を投げつける……。
その中の一枚が虎に変わってキース・ホワイトに飛びかかった。
ティア師匠直伝『コーリングビースト』だ。
コーリングビーストへ慌てて荷電粒子砲を撃って紙に戻すどころか灰すら残さず消し去ったが俺とバイオレットは悠々と逃げ出した。
落ち着いた場所でバイオレットが話しかけてくる。
「……君はつくづく私の想像を超えてくれるな」
「少しはスッキリしただろ?
あれは凄い奴でも怖い大人でもない。
唯の弱いもの虐めしかできない凡人にすぎない」
「……ジャバウォックというかアリスをウチのヤツが取り押さえているが……大統領の虎の子の核弾頭が勝手に起動してこっちに向かっている」
「……なんですって……!!」
「ナイフや投石では撃ち落とせないから少々面倒な事態だな」
素手で撃墜できないとは言っていないがな!
俺の言葉を聞いてバイオレットは頷き、協力を申し出てきた。
彼女は三月兎<マーチ・ヘア>の姿を解放し、"バロールの魔眼"で核を落としにかかるが…
「アレが懲りずに妨害するだろうからそれを前提にしてくれ」
俺の言う通りにキース・ホワイトが "バロールの魔眼"のナノマシン結界を空間振動で散らしてしまう。
だが、それでも彼女は強引にレーザーを放ち、核ミサイルを貫いた!
完全無力化しようとするが……ジャバウォックが腕を伸ばして核弾頭を吸収した。
パワーを増したジャバウォックは、巨大ヒポグリフを押し倒す。
辛うじてハッキングのコードは切れていないが、ジャバウォックは自由を取り戻しつつある。
「ハハハハハ…ついに取り込んだな!!人類が生み出した史上最強の"力"を!!
ジャバウォックよ!それが"アリス"と人類からの贈り物だ!!
より莫大な破壊を生む糧にするがいい!!
あのギャローズ・ベルで見せた"力"…シルバーのビームを取り込んだときを思い出せ!!
"核"は起爆剤にすぎぬ…
おまえが、巨大なエネルギーを生み出すための呼び水!!
人類では決して生み出せぬ破壊の"力"…反物質を生み出せ!!
今ふたたびこの地を浄化するために……」
俺は空を仰ぎ見る。
「……どうやら間に合ったか」
「え……?」
「希望が来た……アリスが白兎に連れられて来たのさ、ルイス・キャロルの話みたいにな」