"力"が欲しいか…!?
いいや、オレは…
"力"なんていらない!!
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藍空市の学校前…日常の光景に涼、隼人、武士、カツミの4人の姿があった。
武士のほうはサッカーの試合で元々の反射神経もあって大活躍だった。
「へえ…やるもんだな、武士」
「っていうか、あいつの場合、あれくらい出来て当然じゃねーの!?
反射神経が並じゃねーからなぁ…
知ってるか?あいつ、サッカー部からスカウトされたらしーぜ
人間って変わるもんだよなあ 初めて会った時は、陰気な、いじめて君だったのによ!」
「………変えたのは、武士自身の強ささ あれがきっと地なんだよ。
おまえだって、初めて会ったときは、"おまえを殺す"ってオレに言ってたじゃん!
こんな目してよ」
「もういい… 過去のことは忘れよーぜ」
自身の黒歴史を突きつけられ全力で目を背ける隼人。
武士の活躍を見ている二人が、カツミに後ろから怒鳴られる……日常のいつもの光景が戻ったようだ。
カツミに言われて涼と隼人の二人はゴミ出しに行くと、隼人が女生徒たちに呼び止められる。
クッキーを作ったので食べて欲しいらしい……意外とモテるようだ、顔はいいから。
「知らなかったの?転校してきた頃はおっかなかったけど…
"語学留学"から帰ってきてから、人当たりが良くなったって評判なんだよ」
取り戻した"現実"の姿に、涼も自然と笑みがこぼれる。
涼に見つめられて、照れながらも早く掃除を済ませるようにいうカツミ。
向かう先は…… 藍空医科大学だった。
ニューヨークで精神を燃やし尽くしたユーゴーは未だ目が覚めない……脳には異常がなく代謝は正常なのがせめてものだったが、ブルーメンが搬送し、今はこの場所に転院している。
完全にVIPの患者様の広い病室をとっており、患者はユーゴーのみだ。
病室には沢渡以外に目つきの悪い銀髪の外国の美人ナース(※備品ちゃんです)がおり、兄のクリフや仲間のヴォルフやキクロプスがユーゴーについていた。
担当医の沢渡がユーゴーの症状を涼達に説明した。
「肉体的には健康だけど……意識が戻らない。
精神の両分は彼女の方が詳しいよ」
「……自分の精神を薪にしてバケモノを燃やそうとしたツケね。
本来なら衰弱死していたわ……お兄さんがいたらから負担が減ったお陰ね」
「……どうにかならないのか?」
クリフが懇願するように聞いてくる。
ナースは、仏頂面で返答する。
「無いわ……テレパシストが潜っても傷ついた精神へトドメをさせても癒すことはできないわ。
自力で自分の精神を組み上げなおすしかないわ。
……家族や親しい人間が看病しながら声をかけるだけでもその助けになるわ」
彼女がかつて何人も廃人に追い込み、それから稀に生き残り立ち直ったケースの経験から現状の打開方法を語る。
そしてうっかり口を滑らせる。
「精神を癒す『遺跡』があれば……いや、あったらあの『悪魔(ヂヤーボル)』が出さないはずがないか」
「遺跡?」
「(あ、やっちまったと言う顔を一瞬してから取り繕う)世の中には現状の科学より発達した古代の産物……遺跡があるのよ、本物は少ないし雲を掴むような話よ、忘れなさい」
隼人の質問を強引に断ち切ったナース。
恵は、ユーゴーに語りかける。
「ユーゴー… みんな揃ったわ…
今日は別に特別な日でもないけど……みんなで決めたの。
たまに集まって、あなたに会いに来ようって…
みんな元気でやっているわ。
あなたと私達が命がけで勝ち取ったこの"世界"で、懸命に生きてる。
だから、心配しないで…ゆっくり心を治して」
一行がユーゴーとの見舞いを済ませるが…涼はみんなを先に帰らせた。
クリフ達も気を利かせて席を外した。
涼はベッドのユーゴーに語りかける。
「ユーゴー…………君が今、目覚めないのが、いまだに信じられない…
きっと君が目覚めるまで、思い出してときどき泣くんだろうな…」
そう語る涼の手に涙が落ちる…。
開いた窓から風が吹き込んでくる。
顔に泣き跡が残る涼の手に、鳥の羽が一枚落ちてきた。
「けれど…オレはもう絶望して自分を憎んだりしない…
君が教えてくれた…
どんな深い絶望からでも這い上がる"力"が、人間にはあるんだってことを…オレは…」
病院から出た涼を出迎える隼人達。
隼人は恵に疑問を口にする。
「しっかしよぉ、あいつらもよくわからんよなぁ…
高槻もあれだけ苦労してカツミを救い出してだよ!?
日本に帰ってきて超ラブラブにでもなるのかと思いきや、そうでもねえ!!
逆に、なんかよそよそしさまで感じるぜ」
「無理もないわよ。
普通の男女交際を再開するにしちゃ、いろんなものを見過ぎたんだもの。
そんなものは、時が解決してくれるわ」
「まあなぁ…………たしかにレンアイなんてのは、他人が首突っ込んでも仕方ねぇ…
結局、決めるのはあの二人だ!!」
二人乗りで自転車帰宅中の涼とカツミ。
カツミはまだ、本当に現実に帰ってこれたのか不安な様子だが……。
涼がそんなカツミの言葉を否定しようとすると、うっかり原チャリを見落として慌てて避けるが、二人は坂に転げ落ちてしまう。
カツミと涼は、その手をすりむいてしまうが…
「カツミ!見てくれ!! ほらっ、"ケガ"だ!!
前まではARMSの再生能力のおかげで、どんな怪我もすぐに治ったのに…
オレ達のARMSは"アリス"が消えた時に、眠りについたんだ。
二度とあの"力"がよみがえってくることはない! オレ達が…自分の世界に帰ってきた証拠だ!!」
さわやかに傷口を見せ付けられ、カツミもさすがに呆れ気味だった。
すると、カツミがなにかに気づいたように目を丸くして…
「ん…ううん…なんでもないよ
変ねえ… 傷が… 消 え て る …
………ま…いいか…」
真実から目から背けた。
その夜……
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―お母さん… お母さん、どこ行くの…?―
―待って…待って、お母さん!!一人にしないで!!―
どこかの研究所のような場所、おびただしいカプセルの並ぶ通路でカツミの母親がカツミから離れて…
母親に手を伸ばすカツミ、その腕を、頭から血を流したグリーンが掴み…
―グリーン? どうしたの?グリーン!?―
【逃げられないよ…】
その声にカツミが振り向くと………
「ソイヤソイヤ!ソイヤソイヤ!」
無数の黄巾力士が神輿を担いだソイヤウォーカーが数両で包囲していた。
何かから守るように。
カツミへ声をかけた存在は苛立つように語る。
【また邪魔をして!!
逃げられないの…!!
おまえは"私"が作ったんだから…
逃がさない!!おまえは…私のものだ!!】
そこで、カツミの目が覚める……不安を煽るような部分を全てソイヤウォーカーのインパクトに持って行かれてソイヤウォーカーしか記憶に残らなかった……。
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一方、涼の家では……
美沙がキャベツの千切りをしているその後ろで涼が顔を洗いに起きてきた……かなりだらけている。
「おはよう、母さん」
「早く顔洗ってらっしゃい 四人で朝御飯にしましょう」
「………四人?」
美沙の言葉に顔を洗う涼の動きが止まり、居間に入ると、涼の父親である巌が新聞広げて座っており、兄の始はワンダースワンで遊んでいた。*1
「ずいぶんゆっくりだな、涼……
日曜日だからといって、こんな時間に起きるとはいかんな。
お父さんがいない間、ずいぶんたるんでいたとみえる」
「アレだ、早朝の新聞とか牛乳配達のバイトとかどーよ?お小遣い稼げるから一石二鳥よ?
あ、バイト禁止の校則とかあったっけ?」
「お、親父……兄貴まで」
そのころ神宮道場では、アルとキャロル……そして遥が稽古をしていた。
隼人達が旅をしている間にキャロルのほうはだいぶ上達した。
いつのまにか増えた妹弟子の遥に驚く隼人……十三は頼まれて弟子にしたとだけ説明した。
超能力なしの合気でアルを転がすキャロルであった。
「うかうかしておるとキャロルに抜かれるぞ、隼人?
あと、遥は……ワシら武術家が欲しいものを最初から持っておるからのう、その部分の上達は凄まじい。
まさしく天稟の持ち主じゃな」
キャロルは今度は遥に組み手をするが遥は『次に何がくるかわかるかのように』動き、キャロルを制圧していく。
アルの方は二度とやるか、と道場から出て行ってしまうが…見えないところで一人稽古を始めていた。
それに気がついている十三は頷きながら言う。
「ふむふむ…アルも成長したのう。
考えてもみい、ー今日は、あいつが自分から早朝稽古に加わりたいと言い出したんじゃぞ。
おまえ、あいつをしょっちゅうこづいておろう!?
あいつには必要だったんじゃよ。
そういう、スキンシップをとれる親なり兄弟なりがな」
「そんなもんかねー」
「そんなもんじゃ。
ああ、隼人……近く『ほーむすてい』にくる御仁がおるでな、食料の買い出しを頼むぞ、ワシとの稽古の後にな」
「ゲ……聞いてねえぞ!」
「今言ったからのう」
隼人の肩を十三が掴み、隼人も乱取りに加わらせられ、隼人の悲鳴が道場に響いた。
その頃涼、巌、始は食後の散歩中だ。
父に聞きたいことは一杯あるのだが、何から聞けばいいのか涼も悩んでいた。
それを察した巌から話を切り出す。
「なあ、涼…今、私に言えることが一つだけある。
"帰るべき場所"だよ… 私は10年以上世界中を旅してきたが、それは一つしかない。
人によってそれが何なのかは異なるがな… 私にとっては妻の美沙であり、息子のお前と始…つまり家族だ。
おまえにも"帰るべき場所"はもうあるはずだぞ…
何かに思い悩んだときは、そこに戻って物事を考えてみるといい。
おっと、忘れていた母さんから買い物を頼まれていた」
ニヒルなな笑みを見せていた巌は、とぼけた様子で去っていく。
始は困った様子で話し始める。
「困ったぞ、親父殿がカッコいいこと、言いたい事全部言ってしまった」
「いや、そう言われても」
「まぁ、なんだ……困ったら周りや俺や親父に振れ。
自分の領分に責任持てって話だが自分で全て背負い込めってわけじゃないからな。
互いに助け合えって話だ余力と暇があればな……まぁ俺は忙しいがな」*2
さらに場面は変わって、カツミのマンション。
ブルーメンから来た、というルームメイトの姿に目を丸くするカツミ……その人物とは恵であった。
親睦を深める為、早速二人で食事を始めた。
カツミの元には、母親からの手紙が届いてるという。
今はブルーメンに保護されているそうだが、カツミをだましていたことを気に病んで謝罪ばかり繰り返しているらしい。
「向こう(アメリカ)にいた時は気を張ってた気づかなかったけど…
私も同じかもしれない…
不安なんだ…自分のいまいる場所が…よくわからないの…
ご…ごめん 恵さんにこんな話…」
「いいわよ…ある意味、高槻にはしにくい話でしょ。
………実は同居のこと、あたしが李さんに頼んだのよ。
エグリゴリとブルーメン… それぞれ生まれた場所は違うけど…
私達は同一人物の遺伝子から生み出された、いわば"双生児"なんだって。
変な形で出会ってしまったけど… 私達は正真正銘の"姉妹"よ。
まあ、どっちが姉か妹かなんてよくわからないけどね…
これからは妙な遠慮はしないし、してほしくないわ。
ニューヨーク騒動のあと、ろくに話をするヒマも無かったけど…あなたとはじっくり話してみたかったの。
とにかくよろしくね、カツミ!!」
恵の言葉にカツミも応え、二人でハイタッチをするのであった。
形は変われど、みんな現実へもどってこれた……
皆も望んでいた世界を一歩一歩進んでいる カツミも前へ進む決意を固めた。
そんな時、テレビでは麻薬組織の末端メンバーが逮捕されたという。
そんな嫌なニュースに、恵がテレビのチャンネルを変えようとして…
「……………… 殺してしまえばいいのに…」
「えっ!?」
「みんな…祭ってしまえばいいのに…」
カツミのなかで、なにか大きな歪みが顔を現れ始めた……
ワンダースワン(WonderSwan)は、1999年3月4日に発売されたバンダイの携帯型ゲーム機。定価4,800円で略称は「WS」。
任天堂のゲームボーイを製作した横井軍平が任天堂を退職後に起業したコト社が、企画・開発に大きく関わった。
前年にゲームボーイカラーが、またほぼ同時期にネオジオポケットカラーが発売される中で、電池の持ちや価格の安さを優先してあえてモノクロ仕様での発売に踏み切った。
子供向けのゲームボーイシリーズ、マニア向けのネオジオポケットシリーズに対して、若者向けのおしゃれなイメージを打ち出し、携帯ゲーム機市場で少ないながらも一定の市場占有率を獲得することに成功した。
しかし、この時代は携帯ゲーム機のカラー化が低コストの時代になっていたため、流れには抗しきれず、翌年にはワンダースワンカラーを発売するも、人気作品の不足などによりジリ貧傾向となり、後発のゲームボーイアドバンスに市場を席巻された。
ARMSの連載開始が大体この時期だったり。
原作介入して悪化させるなんてエンマニンジャは何ということをしたんだ!!
高槻始の本編最後の相手は……
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毒親ことキース・ホワイト
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糞実父こと高槻崖