ギターと孤独と木組みの街   作:らるてん

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ぼっちと悪意なき殺意

 

 前回までのあらすじ!いつの間にか見知らぬ街に来た私!そしてそんな私に声を掛けてきたココアさん。彼女のお願いを聞き、私は手を引かれながら彼女がお手伝いをしているという喫茶店に行くことになったのだ!

 

 というか陽の者かつ美男美女しか働けないという喫茶店で働いているって!!私とは縁遠い存在だぁ……。たしかにココアさんは一目で分かるくらい可愛いしお願いとはいえこんな陰気な私に話しかけてくれるなんて……。

 

「喫茶店はね、ラビットハウスって言うんだ」

「ら、ラビットハウス」

 

 そう!と復唱する私に告げる。そしてうさぎがいて……コーヒーが美味しくて……と喫茶店ラビットハウスの良さを述べるココアさん。語るココアさんの話を聞いているといきなりあっ!と手を叩く。何か思い出したようだ。

 

「ど、どうしたんですか?」

「ひとりちゃんは高校生?」

「ぇ、ぁはい」

「いやーひとりちゃんのことについて聞くの忘れてたなって!」

「あっそうですね」

 

 そういえばいきなり話しかけられたからあんまりお互いのことは知らないな。ココアさんが私の高校はねーっと話してくれてるがやっぱり聞き覚えのない高校だ。いや、私はあんまり頭良くないから知らないだけの可能性はあるけど少なくとも東京ではない……と思う。

 

「ひとりちゃんはどこの高校?」

「あっ秀華高校です」

「シュウカ?うーむ知らないなぁ。ここら辺なの?」

「あっいえ、多分、と、遠いと思います」

 

 ココアさんがへぇ〜と相槌を打つ。ま、まぁ知らないのも当然かな。私もココアさんの高校は知らない、というかこの場所さえ知らないのだから。

 

「ひとりちゃんギター上手だねぇ」

「あっありがとうございます」

「私のお姉ちゃんもギター弾いててね!昔は一緒におもちゃの楽器で遊んでたんだけど、前帰ったときに本物になっててびっくりしちゃった」

「そっそうなんですね」

 

 それからココアさんは自分の姉のことを話す。話を聞くだけでも自慢の姉だと言うことがわかる。そうして色々と話していたココアさんがいきなり立ち止まる。後ろに続いて下を向いていたのでぶつかりそうだった……。

 

「ここがラビットハウスだよ〜」

「や、やっぱりオシャレカフェ…」

 

 喋っている内に着いていたようだ。

 ココアさんが指差すのはうさぎのマークがついた喫茶店でいかにもオシャレなカフェだ。オシャレカフェに入るのはリョウさんと作詞の相談で入った一度きりなので今回で二度目だ。

 ……ある程度想像はついていたけどここここに入るのは私には無理!

 初めてではないにせよ二度目で慣れるほど私は陽じゃない。あ、でも今はココアさんがいるから一緒に入れば大丈夫かぁ……。

 

「ただいま!妹たち!」

「お帰り〜ココアちゃん」

「お帰りココア〜」

「お帰りなさいココアさん。そちらの人は?」

 

 ココアさんはバン!と扉を開けて中にいる3人の少女に挨拶をする。1人は青みがかった黒髪ショートカットの少女でいかにも喫茶店らしい制服を着用している、もう1人は赤髪の二つ結びの少女でこの娘も制服を着ている、3人目が青色の長い髪の少女でこの娘だけなぜか体操服だ。皆私服の中ジャージを着ている(今も)私はこんな風に見られてるのかな。あ、誰がココアさんが言ってた妹のチノちゃんだろうか。

 

 ……ウッッッッ知らない人が……多い!

 

「あっ自分はこれで……」

 

 うん一旦引き返そう。

 ガシッ!

 

「この娘はひとりちゃん!ギターがすごい上手なんだよ!」

「あっえっごっ後藤ひとりです」

 

 オシャレカフェでの経験が少ないため接客?の返しが分からず慌てて自己紹介をする私。そしてそんな私の手を握って強調させるココアさん。褒めてくれるのは嬉しいけどは、恥ずかしい!

 

「まさか……楽器が弾ける人を探してきたんですか!?」

「その通り!たまたま弾き語りをしているひとりちゃんを見かけてね!」

「楽器を借りてくると言って出たはずでは!?」

「あはは!」

「ココアちゃんらしいね〜」

 

 弾き語りをしていた訳ではないけど……あぅ……今になって恥ずかしさが込み上げてきた……。

 

「紹介するね!この娘たちが私の妹たち、チノちゃんマヤちゃんメグちゃんだよ!」

「初対面の人に妹と紹介しないでください!」

 

 と否定しているのがどうやらチノちゃんらしい。そして濃紺ショートカットの娘がマヤちゃん、赤髪二つ結びがメグちゃんのようだ。

 ……妹ではないらしい。

 

「あっ後藤ひとりです」

「それでね、ひとりちゃんにお願いして演奏してもらうかなと!」

「ひとりさん……うちのココアさんが申し訳ありません」

「あっいえ私も練習になるかなと……」

 

 深々と謝罪を述べるチノちゃん。強引だったココアさんとは違い礼儀深い娘のようだ。そしてココアさんがテーブルに置いてある紙束を手に取る。

 

「これがチノちゃんが歌う曲のソロパートの部分なんだけど……」

 

 どうやら置いてあった紙束は楽譜だったみたいだ。ココアさんが楽譜を私に指差して見せる。その楽譜を読んでみると……やはり知らない曲だった。知らない街に知らない曲、やっぱりこここは……。

 

「異世界、なのかな」

「ん?」

「あっひっ弾けます!」

 

 曲自体は知らないけどギターヒーローで培った経験から練習したらある程度は弾ける!なにせギターを弾き始めてから毎日最低6時間は練習してるし流行の楽曲は流行ってるうちに一通り弾けるようになれる。私ならいける……はず。

 

「それでココアさんは何も演奏しないんですか?」

「それじゃあ私はチノちゃんと一緒に歌おうかなぁ」

「別に大丈夫です」

 

 ココアさんは恥ずかしがる必要ないのに〜と言いながら歌い出す。クロワッサンとかメロンパンだとか……パンの曲だ。

 

「あっでも路上ライブするなら演奏1人じゃだめだよね」

「いつから路上ライブする話になったんですか!?」

「名案でしょ!」

「やめてください!」

「ひとりちゃんはどう思う?」

 

 チノちゃんが手元で何かしながらココアさんへ突っ込む。

 私は路上ライブの事を思い出す……うっ思い出し緊張が……そういえばあのベースのお姉さんの名前聞いてなかったな。

 とはいえ路上ライブは私も厳しい。いや、あのベースのお姉さんと一度やったことはあるけどだからと言って気楽にできる訳ではない。

 

「え、えぇと…」

「ほらひとりさんも困ってます」

「チノちゃんは大勢の前で歌う練習をした方がいーよー」

「う、それはカラオケ大会で……」

「あれは身内だけだったけど音楽会は知らない人もいっぱいだよ!」

「それはそう、ですね」

「やった方がいいんじゃないチノー」

「やっぱ人前に立つ経験は必要だよ〜」

「うぅ……」

「と、いうことでお姉ちゃん権限で路上ライブをします!」

 

 パン!とココアさんが手を叩き振り返る。

 路上ライブをやる方針で決まったようだ。ま、まぁまた目をつむって演奏すれば大丈夫……かな。

 

「ひとりちゃんも頑張ろうね!」

「あっはい」

「あれ?ひとりさんはどこへ?」

 

あぁテーブルの下、落ち着くぅ……。

 

「なんでそんなところに!?」

 

 どうやら私は異世界で人生二度目の路上ライブをすることになったのだった……。が、がんばれぇ私ぃ……!

 

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