ちょびっとだけ出たウルの見た目を5,6歳に変更しています。
「ん?んー…みつけた、かも」
日もそろそろ暮れようかというところで、ウルは魔力を感じることが出来た。ルサルナは驚いている。ブルは流石はうちの子と言わんばかりに頷いている。
「驚いたわね、とっても早いわ。けど残念ね…次の段階って言いたいけど、今日はここまでにしておきましょう。」
「…ん」
物足りなさそうなウルも仕方なく了承する。慣れないことで疲れたのか、ブルに手を伸ばして無言の催促。ブルは抗えずウルを抱き上げる。ウルは満足気。ルサルナは苦笑している。
「甘やかし過ぎは駄目よ?」
「違う、これは…そう、頑張ったご褒美。」
それは自分自身に対するご褒美では?とルサルナは思うが、口をつぐむ。ブルがそう思っているなら、そうなんだろう、ブルの中では。
「明日は実際に魔法を使う訓練をするわ。人によるけど、今日の感じなら明日中には使えるでしょう。」
「がんばるぅ…」
ウルは抱っこされて直ぐに眠気と熾烈な争い。敗色濃厚。ルサルナは思わず笑う。ブルは揺れを極力抑えるよう歩いている。やはり甘い。
「依頼、受けてくれてありがとうな。あんたみたいな凄腕が教えてくれて良かった。」
「魔法の上手さと教え方の上手さは別物よ?まぁ褒め言葉として受け取るわ。どういたしまして。」
寝息が聞こえる。ウルは早々に屈したようだ。
「そういえば、その子ってどこで会ったの?以前はずっと一人だって聞いてたんだけど…」
「この街だ。たまたま人攫いにあったのを助けてな。まだ出会ってから…今日が四日目か、たったのな。もう何年も一緒にいるような感覚だがな。」
「嘘でしょ…信じられないんだけど…」
ルサルナは耳を疑う。一日見ていたが、何か太い繋がりがあるような信頼関係があった。
「事実だ。…そうだ、聞きたいことがある。情報料も払う。ギフトについてだ」
「別にお金には困ってないわ。ギフトね…私もそこまで詳しくないわよ?」
「それでもいい、聞きたいのは…他者に精神的な影響を及ぼすギフトがあるかどうか、あるならそれも出来るだけ詳しく聞きたい。」
「あなた、それって…いや、何でもない。…そうね、」
ギフトの能力に明確な呼称はない。そもそも不明瞭なのだ。本人にすら、はっきりとは分からない。ギフトごとに長所と短所がある、ということだけ知られている。
「ギフトの中には、大多数の扇動だったり、少人数だけど思考を望むままに変えるものがあるとは昔から言われているわ。ただ実際に、それだと言われるような人が見つかった話はないの。」
「…」
ルサルナは続ける。
「これも昔からのなんだけど、ギフトの共鳴の話。ギフトには相性が合って、それが噛み合う人同士が会ったとき、まるで運命の出会いのように感じるそうよ。簡単に言ったら一目惚れよね。どう?ウルを見たときそんな感じだった?」
「いや、なんか違う気がする…」
そう、とルサルナ。
「後は…なんだったか。何かあったんだけど…そうだ、あなたがウルちゃんに初めての会ったとき、何か感じなかった?」
「あぁ、そうだな。初めて会ったときっていうより、後で思い返したときに感じたことなんだけどよ…繋がりが、出来たような気がしたんだ。」
「繋がり?」
「そうだ。初めて会ったあの瞬間に繋がりが出来た。そう感じた。」
繋がりと聞いて、ルサルナは思い出した。小さい頃、爺様が話してくれたことを。
「そう、そうよ。思い出した。昔に爺様から聞いた話なんだけど、あるギフトには自分の守護者を選ぶものがあるって。」
「守護者を?」
「そう。守護者とは絆が結ばれるって。ただ守護者は、必ずギフトの保持者を守る訳ではないらしいのよ。絆が弱ければ、守護者も裏切ったり、逃げ出したりする。守護者を選ぶのはギフトじゃなく、その保持者だから…人を見る目がないといけないみたい。人柄をしっかり見極めろって教訓みたいよね。」
「いや、そうか…かなりありがたい情報だった。ありがとう。」
「どういたしまして。ちなみにさっき言った中だと、どれになりそう?」
「最後の守護者の話だな。繋がりはどんどん強くなっている気がするし、初めて会ったときに、やっと会えたって言ってた気がしててな。」
ルサルナと会話続ける。
腕の中でぐっすりと眠るウルを見る。守護者か、悪くない。
そう思うと、より一層繋がりが太くなった気がした。
ブルは腕にかかる確かな重みと温もりを感じながら、笑みを浮かべる。
今日も良い日だ。