なんかよくある話   作:天和

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教育には悪い話

 

あの場所、見たか?

あぁ…ありゃ人間業じゃねぇ…

 

建物が一瞬で瓦礫の山に…

人がゴミのように吹き飛んだって…

 

ごろつき達、昨日のうちに皆逃げたんだって…

えぇ!動けたの?それもすごいね…

 

おい、あいつらってまさか…

やめろ!指取られんぞ!

 

 

 

 

宿屋から出て料理屋に向かう三人。

住民は昨日の話題で持ちきりのようだった。

 

「にぃ、ゆびとられるって」

「あぁ…怖いよな、何なんだろうな?」

「そうね、恐ろしい話もあるものね」

 

ブル、渾身の知らないふり。引きつった笑みと冷や汗が止まらない。

もう少し加減すれば良かったと思っている。

 

ルサルナはウルと留守番する権利を勝ち取ったので知らんぷり。

指についても私はやってないという態度。これは有罪。

 

ウルは大体は察している。

指についても、聞こえてくる話についても本当にやったんだろうと。

 

 

とことん教育には悪い二人である。

 

いくらかは誤魔化せていると思っている二人と、ほとんど察している少女は進む。

 

 

 

おい、“指取り”と“玉取り”だ…

しっ!取られんぞ!

 

 

 

「…にぃ、おねぇちゃん、おなかへったー」

「お、おう…早く行こうか!」

「そ、そうね…」

 

ウル、渾身の気遣い。空気の読める優しい少女。

後は棒読みを何とかするだけ。

 

便乗する二人。気を遣わせたのは流石に気が付いた。

ウルの成長は嬉しいが複雑な心境。

 

ひそひそぼそぼそと色々聞こえる中、三人は料理屋へ急いだ。

 

 

 

 

「貴方がたのおかけで、助かりました。ありがとうございます」

「ありがとうございます!あなた達のお陰で助かりました!」

 

料理屋に入った直後、店主とその娘から感謝を受ける。

 

「俺は評判の飯が食いたかっただけだ」

「気に食わないっていうのもあったしね」

 

返事を返しつつ、三人は席へ座る。

ウルのお腹から可愛らしい鳴き声が聞こえている。

 

店主も娘も笑みを浮かべ、料理を作り始める。

 

 

「そういや、連中逃げたんだってな」

「まぁ、本当か分からないけどね」

 

歩いている最中に聞こえた話だが、信憑性は薄い。

 

「確かめるか?何日かくらいだが」

「そうねぇ…いないことが分かれば、それでいっか」

 

移転するかは店主たちに聞くことにした二人。

とりあえずはごろつきの所在だけ確認することにした。

 

ウルは料理を待ってそわそわしている。

娘が料理を運んでくる。

 

「どうぞ、うちの自慢の煮込みです。」

「いいにおい…!」

「先に食べていいからな」

「ちゃんと冷ましてね」

 

言われるや否や食べ始めるウル。熱かったのか急いで水を飲んでいる。

 

それを見て二人は微笑みつつ、娘に話しかける。

 

「で、あんたはこれからどうする?」

「ここに残る?それとも移る?」

「それなんですが…出来れば残りたいと…」

「しっかりと話し合ったんだな?」

「昨日、父と話し合いました。それで…せっかく提案して頂いたんですが…」

「いいのよ。私達もあなた達が決めたことに文句はないわ」

「連中がいなくなったかどうかは確認しといてやるよ」

「ありがとう…ございます…!」

 

目を潤ませ礼を言う娘を見て、二人は笑う。

ウルは邪魔にならないよう静かに食べている。おいしい。

 

「お待たせしました、自慢の品です。…見回りも含め、本当にありがとうございます…」

 

店主が料理を持ってくる。

話は聞いていたようだ。

 

二人は礼を受け取り、出来立ての料理を食べ始める。

ウルはちゃっかり追加を貰っている。

 

「そうだ、店主。もし他所へ移るならアルヒに行けばいい。依頼屋に行って、ハスタって男に俺らのことを話せば力になってくれるはずだ。」

「なんと…何から何までありがとうございます…!」

 

哀れハスタ、三人がどこかに行こうと巻き込まれる。

これには怒ってもいいはず。

 

「ふぅ…やっぱりうめぇな」

「うめー」

「駄目よウル、女の子がそんな言葉真似してはいけません。ブルも気をつけなさい!」

「あいよ」

「あいよー」

「それも駄目!」

 

 

ウルとブルは顔を見合わせ笑っている。

なんとなく怒りにくい雰囲気になったルサルナはため息を吐いている。

 

指取りだ玉取りだと言われているが、今のこの光景だけを見れば誰もそんな人物には見えないだろう。

 

 

 

三人は数日ほどこの町で過ごし、悪漢が本当に逃げたのか確かめることになった。

 

ウルは美味しいご飯が食べれることをとても喜んでいる。

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