こちらトレセン学園前派出所   作:swr

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3年!
ひとまず日常を描いてから過去を振り返る感じにしようかなと思い立ち。
あの時はこんなことあったね→今も大して変わらないし大して昔でも無いジャン!みたいなシチュは好みの一つです。




ここは、トレセン学園前派出所
あれから3年


「「おはようございまーす」」

「おはようございます!」

 

 私がトレセン学園を卒業してから3年が経つ。警察官に無事就職し、警察官の制服を着て早朝からの勤務中。私が立っている前をウマ娘たちがジャージ姿で駆けていく。

 

「ごきげんよう」「おはようございます」

「おはようございます!」

 

 時刻は午前6時。私は朝の澄んだ空気と、元気な挨拶が好きだ。一日が始まるといった気持ちにもなるし、今日も仕事を頑張ろうという気持ちにもなれる。

 

「おはようございます」

「おはざま~す、…ふわぁ」

「おはようございます!寝不足で事故を起こさないように!」

「あいあ~い」「シャキッとしなさいな!」

 

 今走っていったふわふわした子は前に寝ながら走って、一緒にランニングしていた子のジャージだけでなく中に履いていた短パンまで下ろしちゃった子だ。なんだか高笑いが似合いそうな子のちょっと派手めな黒い下着ががっつり見えちゃって。なかなか背伸びしてるねとか思ってたら、ふわふわっ子が漫画みたいなげんこつ食らってたなぁ。

 次々と早朝ランニングに出かけていくウマ娘たちを見送っていると、ポケットに入れていたウマフォンがアラームを鳴らす。時刻は午前6時半。さて、中にいる先輩に一言声掛けしてから行きますか。

 

「「「「「おはようございまーす」」」」」

「おはようございます!…先輩!そろそろ時間なので、外回り行ってきます。留守番と電話番お願いしますね!」

「はいはーい、いってらっしゃい。無線は何番?」

「今日は…、5番です!では行ってきます!」

 

 そして走り始める。すでに走っている子たちの10バ身ほど後ろにつけてゆっくりと。ペースを一定に整えて。

 改めて卒業してからもう3年たったんだよなぁと心に思いつつ、()()()()()()()()()()()()()()()()()を回り始めるのだった。

 

 

『これより、第○○回警察学校の入学式を…』

 

 私の名前はハヤカゼリード。昨年、トレセン学園を卒業したばかりのぴちぴちの社会ウマ娘1年目。昔からの夢の一つであった、両親と同じ警察官という職業になることができた。トレセン学院の大学部には進学せずに、国家公務員でもある警察庁を受験。かなりの狭き門であったが、そこは日本内で特に格の高いトレセン学園。学園側からの勉強面や試験対策といった手厚いサポート、先輩警察官との交流等もあり無事合格。合格通知を聞いたときは当時の寮長や担任の先生、誰が呼んだのか最初からいたのかわからないが理事長も巻き込んでの大騒ぎ。翌日はしゃぎすぎたせいで全員グロッキーなのはお約束。

 

『次に―、』

 

 トレセン学園から警察官へと進むものは本当にごく少数だという話も先輩警察官から聞いている。ウマ娘はトレセン学園という競争社会の中で、互いにしのぎを削りながら勝ち…1着になることを目指していく。つまり、より勝ちに貪欲になることを求められることになる。その中でストレスが溜まったり精神的に不安定になってしまう。するとどうしてもウマ娘の本能が出てしまい、気性難(ウマ娘によって差異はあるが、攻撃的になったり、指導に従わなくなったり、頑なに自分の意思を曲げなくなったりする)、つまりは社交的かつ模範的な生き方を是とする警察官ひいては公務員という生き方とはどうしても相性が悪い。実際、警察官とウマ娘のいざこざはトレセン学園内に限らず日々発生している。

 

『最後に―、』

 

 かくいう私は両親が警察官であったこともあり、私が幼いころから家を空けがちでさみしい思いをすることこそあったものの、真摯に仕事に向き合う姿や緊急の仕事で電話をしているときの両親の顔はとてもかっこよく、私もああなりたいと思うことができたおかげで今の私がいるのだ。

 …すでに両親はこの世にいないのだけれども。

 

『これにて、第○○回警察学校の入寮式を終わります。…新入学生起立!』

 

 ザッと乱れぬ動きで立ち上がり、姿勢を正す。一瞬の静寂ののち、我らが新人警察官の教育担当官が続ける。

 

『これから君たちにはこの警察学校を通して警察官としての基礎中の基礎をみっちり学んでもらうことになります。それは警官としての在り方であったり、一般市民や報道関係者との付き合い方であったり、暴力に対する対処法であったりと多岐にわたります。ただ一つだけ、今ここで学んでいってほしいことがあります。…警察官としての責任を忘れないでください。私たちの判断一つが、私たちの行動一つが、私たちの発言一つが、加害者、被害者、御遺族、また同じ警察官に影響が出ることを忘れないでください。以上です。では、番号1番から~』

 

 とても重く、大事な話だと思った。私も両親の葬式でその同僚や部下の方からお話を聞いて初めて知った。改めて言われると、少し不安な気持ちも出てくる。ほんとに私は警察官としてやっていけるのか、両親に胸を張って報告できるのか。

 

(でも)

 

ゆっくりと新人警察官たちが列になって寮の方へと移動していく。

 

(ここで下がるのは私じゃない。どんな時だって前を向いてきたじゃないか)

 

私の前の人が移動を初めた。次は私。

 

(ここから、進むんだ!)

 

さぁ一歩を踏み出すぞ。その瞬間。

 

「むぎゃ!」ガッシャーン!!

 

靴ひもをがっつり踏んで額から行きました。前途多難にもほどがあるぅ…。

 

 




警察学校編を作るつもりはないです(ないです)。

警察の知識が映画版相棒とか踊る大捜査線、科捜研の女くらいしかなく、齟齬があったり違和感が出ると思われるからです。

なお、今回の主人公であるハヤカゼリードちゃん(21)は中等部3年の時に両親を亡くしています。いつかは掘り下げるかも?

次回くらいから先輩ウマ娘警官とか紹介していくパートになっていきます。
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