こちらトレセン学園前派出所   作:swr

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GW(ギャルウィーク)だ!え、もうGW?はやくない?なんか最近年を重ねるごとに時間経過の体感が早すぎてやばい。
ん?1ヶ月前?そんな、ばかなわけ、ある、のか。


トレセン学園の裏門には急な坂がいっぱい 

 

『こちら5番。商店街前到着。周囲異常なし』

『こちら派出所。商店街前到着、了解。11時現在通報等なし。巡視継続願う』

『巡視継続、了解』

 

 時刻は昼。午前中の見回りをリオ先輩に代わってもらったため、午後のパトロールを行っている。日が出ている所を走ると少し汗ばむが風が涼しく感じられて気持ちがいい。パトロールという名の超スローペースジョギングを初めて30分程度、折り返し地点に到着。周囲を見渡し、無線機の通信ボタンを押す。

 

「こちら3番!トレセン学園裏門到着!周囲異常なし!!」

『っ…こちら派出所。トレセン学園裏門到着、了解。11時現在通報等なし。巡視継続願う…はぁ、元気がいいのはいいことだが、少し声量を抑えろ』

「あっ、り、了解でーすぅ…」

 

 現在地はトレセン学園の裏門側。普段は山と面している場所。普段は締め切っているが、何かしらの利用用途がある場合は開放される。大きな工事を発注しているときなどの工事用車両が出入りする時や、所属するウマ娘たちのトレーニングとして裏門から裏山へ行き高低差を含めた長距離ランニングなどをする時くらいだろう。使用を基本的には24時間監視カメラが裏門を映しているため、外部から何者かが侵入した場合はすぐにわかるようになっている。

 

(お、あれは…)

 

 現在、裏門はそのうちのトレーニング使用として解放されている。裏門のすぐ脇には給水場及び教官数名と軽トラック(荷台には大量のウォータージャグ、塩飴、軽食)が待機しており万全の体制である。そんな体制のトレーニングとは、とても過酷でキツイトレーニングである。私もOBであり経験者なので、キツさ辛さは今でも思い出せる。実際教官も知っている人だったし、内容も推して知るべし。

 

 そんなこんなで、教官たちと久々のご挨拶をしたのち(情報収集のため)雑談タイムに入る。今学園内で行われている行事―――、昔と何が変わった―――、教官彼氏できた―――?え、結婚していたのですか。おめでとうございます。相手は…仲の良かった学園生徒に紹介されたその生徒の親族を捕まえたと。おめでとうございます!私ですか?まだ早いですし仕事があるからなかなか…ね。あ、その生温かい視線はなんですか。若いころの自分を見ているようだって?へ、へへーん、教官が大丈夫なら大丈夫でしょう!アデッ《げんこつ》

 

 と、そんなこんなで会話をしていると、ウマ娘たちがぞろぞろと帰ってくるのが目に見えてきた。先頭にいるのは…。えっと、黒髪で…、片目が隠れる前髪…すらりとしたストリート体系…、そして坂道の登り下りが得意そうなウマ娘といえば?…えーっと、マンハッタンシャワー?私が難しい顔をしていることから、教官がさっき今日の練習内容を教えたのにもう忘れたのかと呆れた顔をしている。え、ああ、マンハッタンカフェさんが先頭で真後ろにいるのがライスシャワーさんですね。あはは、いやさっき言われたばっかのことを忘れていませんって!ほ、ホントデスヨ?

 

 教官たちからドッと笑いが起こり、そういう所は変わらないね~と言われてしまった。解せない。私だって仕事をして給料をもらっている大人なんです、という言葉が口から出かかったがそれこそ子供っぽいので止めた。お、大人は自らのミスを認めて前に進めるんです!

 ん、んん(咳払い)。で、だ。練習内容というのは(先ほど聞いたし思い出して少しげんなりしたが)、上り下りが得意かつ長距離が得意な高等部の先輩3名に教官から協力をお願いしてペースメーカー+何かあったときの連絡役をお願いしているとのこと。なお、この先輩3人の関係によってこの練習の密度の増減が乱高下するため“地雷”と揶揄された練習だった。うん、今日は比較的、いや密度としては大当たりの日だ。

 

「…お疲れさまでした、クールダウンと給水、栄養補給を確実に行ってください」

「みんな、お疲れ様」

「ッチ、まぁいいデータは取れたから良しとするか。おい、すぐに寝転がるんじゃねぇぞ頑張って腹に物詰めてから寝ろ。後半耐えらんねぇぞ」

 

3人目は先日あったばかりのエアシャカールさんですね。相変わらず口は良くないけれど面倒見がいいこと。うんうん、私の目に狂いはなかったね。ほほえましいです。おっと、こっちに気が付いた。

 

「…ア?あ、アン時の警官先輩じゃねーっすか。どしたんすかこんなとこで」

「数日ぶりです。今日はパトロールついでに昔お世話になった教官にご挨拶回りみたいなもんでして」

「あ~、そういうのもあるんスね。お疲れさまっス」

 

 そういって後髪をガシガシやっているエアシャカールさんとは、連絡先を交換してからちょくちょく連絡を交わしている。まぁまだ数日だけなので大した情報交換はしていないのだが。今のところ、商店街の隠れた名店(種類問わず)の情報とラーメン屋の情報を交換しているだけ。やけにラーメン詳しいから好きなの?と聞くと、好きな奴が知り合いにいるとのこと。うーーん、高めの友情の波動を感じる。…と、エアシャカールさんとお話ししていると周りの地面にゴロゴロして息を荒げていた新入生ウマ娘達が一人、また一人と回復して起き上がっては軽トラへ群がっていく。時折こっちに気が付いた子が朝よく見るお巡りさんじゃんチーッスっていいながら手を振ってくれるのでひらひらと振り返す。

 

「あ、ねぇエアシャカールさん」

「シャカールでいいっすよ、敬語もなしでいっす」

「じゃあ、シャカール。今日のトレーニングは1㎞何秒ペースでした?」

「あー、俺は後ろで各人の走りの状況を見ていただけでペース刻んでねぇんだよなァ…。おーい、カフェ、ライス」

 

 シャカールがマンハッタンカフェさんとライスシャワーさんに声をかける。二人はおにぎり数個とスポーツドリンクを持ちながらこちらに来た。

 

「どうかしたの、シャカールさん」

「どうかなさいましたか…おや、そちらの方は?」

「どうも、私はこういうものです」

 

 そういって私は警察手帳を見せる。ライスシャワーさんは素直に警察のウマ娘だぁといった顔をしており、マンハッタンカフェさんはなぜ警察が?といった表情をしています。いきなり警察官に出くわしたら、そういう顔はするよね。かくかくしかじかドタバタドトウっと。

 

「なるほど、パトロールの途中でしたか。お疲れさまです。改めまして、マンハッタンカフェです」

「あ、ら、ライスシャワーです」

「私はハヤカゼリード。トレセン学園のOGです。何かあったら気軽に相談に乗るからよろしくね。…ああそうでした、二人をシャカールに呼んでもらったのは今日のトレーニングのペースを知りたかったからなんです。昔走ったこともあったから、今の子たちがどんなもんかちょっと興味沸いちゃって」

「そ、そうなんですね。どちらかというと今日は2回目くらいだからまだスローペースです。1㎞が、えっと、約120秒ペースかな?」

「時速30㎞くらいか、確かに平地なら普通のランニングってところか」

「ただし、上り下りも一切ペース変動なしです」

「ぇ」

「やべぇよな。ガチで一切ペース変わらねぇんだよ。オレはどちらかというと中距離寄りの中長距離タイプだがこいつらみたいにハイエンドステイヤーみたいなことはまず無理だ。逆にこいつらに平然とついていけるやつは長距離、特に京都レース場みたいな勾配が大きいものがあってもものともせずに行けるという武器がすでにあるってこったな…、ま、今回は全滅だったわけだ」

「ええっと、今日のライスは下りのペース配分だけをして、カフェさんに上りのペース配分をお願いしていたから、特に難しくはなかった、よ?」

「それが常人にできりゃ苦労しねぇっての。下手なやつは下りで速度出しちまってコーナーで膨らむかスタミナを過剰に消費して沈むかだ。後ろから見てりゃよくわかる」

 

 そういうものかとライスシャワー、マンハッタンカフェ両人ともうなずいている。短距離~マイル主戦だった私には縁遠い話だな!

 

「と、いろいろと懐かしかったからとはいえ長く引き留めてしまい申し訳ない。休憩時間みたいだし、ここらで戻ります」

「いえ…」

「お仕事頑張ってください」

「サボんじゃねぇぞ」

「あれ、シャカールにはサボってるってばれてました?」

「フツーに教官らとしゃべってたじゃねぇか。んで時間大丈夫なんかよ」

「ああ、それは大丈…」

 

 お気に入りのシックな革ベルトの腕時計を見る。時刻は…、時刻は…。

 

「あれ…?もう1時間たってるぅ…?」

「ハハ、喋りすぎたな」

「…(ハァ)」「あはは…」

 

 大人になると時間の経過が早く感じるものなの!だからマンハッタンカフェさんもライスシャワーさんも困った大人だなぁみたいな目で見ないで!

 

「はぁ、ダッシュで帰らなきゃ…、あ、そうだ。本来の目的を忘れるところだった。マンハッタンカフェさんとライスシャワーさんにも私の名刺をどうぞ。何かあったら連絡をくださいLANEもありますので、シャカール、二人にも」

「伝えとくよ。例の件もふくめて、だろ?」

「お願いします。では!」

 

シュタッと手を挙げて駆け始める。裏門から出てきた道と反対方向!さぁいそげ私の昼飯はあと少しで片付けられてしまうぞ!

 

「ハァ、あれで普通の仕事は人並み以上にできるってんだからなぁ」

「なんていうか、真面目そうだけど、愉快な人…かな?」

「そうですね…、ええ…、あ、ドトウさんと衝突した人でしたか。確かに体格は並み以上でしたし、体さばきにどこか、ヤエノムテキさんのような感覚を覚えましたが」

「今だれと…いや、なんでもねぇ。あそこの派出所、超が付くほどの武闘派ぞろいで一部のウマ娘マニアには有名だそうだ。アグネスのヤバいほうが言ってたし確かだろ」

「「どっちですか…?」」

「小さいほうだよ、俺の例えが悪かった!」

「ふふ、さて私たちもお昼を食べてしまいましょう。新人たちはみんな食べ終わったようですし」

「食べて午後もがんばろー、おー!」

「へいへい、お手柔らかに頼むぜ…」




 これ書いてて思ったんですが、年齢(もしくは学年)のわかっていないウマ娘って結構いるんですね。今回出た3人は中等部か高等部かでの判断しかできないから先輩後輩とかの感覚がフワフワしてしまってます。 
 まぁどちらにせよライスもカフェも相手の年齢基本ですます口調、エアシャカールは誰に対しても敬語は…時折使うけど、カフェとタキオン相手に同年代っぽい話し方をしていたからまぁ同年代だろうと。
 改めて思ったけれど、シナリオとかトレーナーノート見返すの楽しいね。
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