戦艦紀伊はかく語りき   作:妄想るアンディ

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戦闘描写難しいです。
用語・表現などは現実のものとは違う場合があります。
どうか、ご容赦ください。


第2話

 

 

side天龍

 

「足を止めるな!離脱することだけを考えろ!」

怯えて足が竦みかけた新米に向かって声のかぎり叫ぶ。

簡単な任務の筈だった。着任したばかりの新米艦娘を連れてとはいえ、行き慣れた航路を進む短距離遠征の筈だった。

往路は順調だった。何事もなく終わる筈だった。

復路に指しかかった時に奴らが唐突に現れやがった。全く想定していなかった。味方の哨戒網が抜けられたのか。

 

「分かるわけねぇか!クソッ!」

考えることは苦手だ。今は目前の事態を切り抜ける事だけ考えろ。

「イ級辺りはどうってこたぁねぇが…後ろの奴を何とかしねぇと」

殿を務めながら牽制射撃を行う彼女の視線の先には、駆逐クラスの深海棲の後ろにいる人型の深海棲艦が無表情にこちらへ向かってきている

 

重巡洋艦級深海棲艦・リ級。

8inch、つまり20.3cmの主砲を備え、魚雷も搭載されている。

14cm砲装備の俺ではリ級の装甲は抜けない。まして引率の新米艦娘では話にもならない。

高速を利して味方哨戒圏内に何としても逃げ込まなければ。

「邪魔すんな!深海魚が!」

砲撃を加えながら突貫してくる駆逐イ級を14cm単装砲で牽制しつつ、手にした斬艦刀を叩きつける。

「キリがねえな!オラァ!!」

中身をぶちまけながら沈んでいくイ級。本当にキリがない。

哨戒圏まではまだ距離がある、救援要請をもう一度出してみるか…

そんな時だった。

「天龍さん!ひ、左二十度に水上機!」

俺の左弦にいた吹雪からそんな報告が入ったのは。

「数は!」

「えぇっとッ…」

「慌てんな!落ち着いて数えやがれ!」

「は、はい!…数は一、一機です!零式水偵です!」

味方の援軍が来たのか?

「上空の水偵聞こえるか!こちら第十三根拠地隊所属の天龍!応答しやがれ!」

水偵なら少なくとも味方だ。そう思い通信回線を開いた。

 

『こちら戦艦紀伊所属零式水偵一番機!まもなく母艦が到着する!それまで持ちこたえられたし!』

 

紀伊?聞いたことのない艦名だ。少なくともうちの基地にはいない。

他の所属基地の艦娘か?だが紀伊なんて名前聞いたことがない。

 

「どっかの基地のやつか?まぁいい、味方なら誰でもな!お前らあと少しだ、持ちこたえろ!」

 

 

side紀伊

 

見えた。なるほどあれが深海棲艦か。人型もいれば魚擬きもいる。意外に種類が多いな。

「砲術妖精、この砲はもう撃てるのか?」

『はい!射程圏内に入りました、主人!』

どうやら撃てるようだ。しかしかなり遠いが当たるのか?

『方位測定…仰角修正…粗点固定!いけます』

「わかった。第一・第二主砲、一斉射。撃て」

瞬間すさまじい爆音とともに計六つの砲が火を噴いた。結構衝撃が強いな。

数秒後、深海棲艦の集団の中で大きな水柱が起こる。

『こちら水偵一番機!敵重巡級を狭叉!』

『こちら紀伊砲術、了解!修正しつつ第二射用意』

一発目からいきなり当りはしないか。

だが中々に良いところに落ちたらしい。なんとなくだが、わかる。

「砲撃はそのまま続けて。艦娘と深海棲艦の間に割り込んで分断する」

妖精に指示を与え、私は速度を上げた。

 

 

side天龍

 

零式水偵との通信が切れた後だった。

深海棲艦の中核、リ級の周辺に巨大な水柱が立った。

戦艦と言っていたから、水柱自体は何という事はない。だが。

「この距離で狭叉してやがる!バケモンかよ!」

一発で狭叉してやがる。どんな照準してんだよ。

だが、この一発のおかげで奴らの足が止まった。チャンスだ。

「吹雪!損傷してる磯波を連れて離脱しろ!叢雲と白雪は俺について来い!奴らに一撃喰らわすぞ!」

そう言った瞬間、再び大きな水柱が立った。

「足を止めてる間抜けからやるぞ!行くぜ!」

「「了解!」」

斬艦刀を握り直し、奴らに向かう。

どうやら、生き延びられそうだ。

 

 

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