ハンターとモンスターの秘密のストーリー!   作:くるみもち

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1 霧鮫宗の調合実験コーナー!被害者は誰!?

僕の名前は霧鮫宗。

温暖な地域であるプラット村の住人だ。

ここ、プラット村は狩りが盛んで上位ハンターも数多く存在する。

狩りが盛んな理由は近くの自然に多くのモンスターが生息しているからだ。

そのため、この村には多くのモンスターの素材が貯められていて、ほかの村との貿易も比較的行われている。

 

そんな村ではありながら、僕はあまり狩りをおこなわない。

一応武器である弓もそれなりに扱えるようになったし、ハンターとしての任務もたまのたまーに行うんだけど……。

僕にはとある夢があるからだ。

その夢とは調合師になること。

調合は複数の物を1つにするということだ。

ハンターも回復薬とハチミツを調合して回復薬グレートにするなど、日常的に行っている。

調合師とは、その調合を専門的に行うという仕事。

なぜ僕が調合師になりたいのか、その理由は3つある。

1つ目は、とても面白いからだ。

そう、僕は好奇心で調合師になりたいと思っている節がある。

まったく別の物同士を混ぜたら、またまったく新しいものが出来上がる。

新しい調合パターンを見つけるために何日間も部屋に閉じこもる……。そんな生活を送ってみたいのだ。ちょっと変わってる?

そして、2つ目の理由。

それは他人と別の道を歩んでいきたい、だ。

僕には兄が存在する。その兄の名は霧鮫駆(きりさめかける)。

一流の双剣ハンターだ。

双剣の扱いはもちろん、ハンターとしての腕前も村の中でトップクラス。

そのせいで、弟の僕もハンターデビューの時に過度の期待をされた。

そのプレッシャーに耐えきれず、周りをガッカリさせながらも一流ハンターへの道へ進むことを早々に諦めた。

そして、この村では絶対現れないであろう調合師という学者への進路を渡ろうと思った。

それこそもともと調合に興味があったというのと、みんながハンターに進むのはなんだかつまんないという気持ちがあったからだ。

そして何より、元からハンターには向いていなかったみたいで……。

その理由が3つ目に該当する。

それは、僕には特別な力があるからだ。

もちろんその特別な力とは、『モンスターと会話ができる』ということ。

相手には唸り声や鳴き声にしか聞こえないであろう音も僕にはしっかり言葉として耳に届くのだ。

この間のリオレウスとの会話もそう。

特にリオレウスは、僕と最初に会話ができたモンスターだ。あの時は驚いたなー。

どうやら全員と会話ができるわけではないらしく、本当に一握りのモンスターとしかしゃべれない。

そして、そのモンスターも人間の中では僕としか喋ることができない。

一体僕とモンスターに何故そんな力があるのか、検討もつかない。

僕は、色々な書類を読み、日々調合実験と共にその理由を探っている。

 

ちなみに僕の友達はオトモアイルーのザックとその会話ができるモンスターしかいない。

なんと人間の友達がいないのだ。何たる悲劇。

どうやら狩り中心のこの村で勉強ばかりしている僕はかなり浮いているようで、なんだか近寄りがたい雰囲気を出してるらしい。

初めは他人の視線は痛かったけど、今となっては慣れてきて完全にスルースキルを身に着けた。

そして、相手の方も「あいつはそういうやつだ」という認識が出てきたらしく、自然と変にみられることもなくなっていった。

それに最近は、

勉強→新しい調合に挑戦する→調合素材を取りに採取ツアーに出かける→モンスターと会話→帰ってきて実験

という生活がパターン化してきて、村人と喋ること自体少なくなってきてしまっている。

村人も僕がどんな実験しているかだなんてどうでもいいらしく、ぶっちゃけもはや忘れられてるんじゃないかという位置にまで来てしまっている。

まあ、また変に目を付けられて「プラット村から学者が出るかもしれないぞー!」とか言われてまた過度のプレッシャーを背負うよりもマシなんだけどね。うん、むしろ今のままの方が良い。

 

「さてと……」

 

そろそろ実験でもしようかな。

 

「ザックー、手伝ってー」

 

僕は部屋の奥でのんびりくつろいでいたザックを呼んだ。

元はハンターのオトモをするはずなのに最近ではすっかり助手みたいになっていた。

 

「ニャー。また実験をするのかニャ?」

「そうだよ。僕はノートを取るから僕の指示通りにしてね」

「わかったニャ」

 

ザックは文句を言わず頷いてくれた。ザックは僕が調合師になるという夢を認めてくれただけでなく、積極的に手伝ってくれるから本当に助かる。

たまに僕の無茶な要求に門を言うこともあるけど……。

たとえば今日のような……。

 

「じゃ、まずは、密林で採ったキノコと一見アレな白い粉(NaHCO3)と制作手順極秘必須、触るな危険!の緑色の液体を順番に入れてすりつぶすように混ぜて」

「ニャ!?なんだかいつも以上にアヤシイニャ!特に最後!一体何を作るつもりだニャ!?」

「それはもちろんトリップ……じゃなくて、気分がスーッと気持ちよくなるクスリだよ?」

「やっぱりアヤシイ!そしてトリップって言いきっちゃってるニャ!リオレウスとの会話は冗談かと思ってたけど本気だったのニャ!」

「まあまあ、まだ本当にできるかわからないし。とりあえずやってみよー」

「こ、これは実験台に絶対にされたくないニャ……」

 

ザックは震えながらも僕の言うとおり、混ぜ始めた。

既にビーカーの中はモザイクをかけたくなる色をしていた。

 

「ふむふむこの3つを混ぜるとこんなに泡を吹くなんて……メモメモ」

「それは言葉にするものじゃないニャ……」

「よし、じゃあ次。鍋に移して沸騰させる!これは僕がやろー」

 

僕は立ち上がってビーカーを台所へ持っていき、鍋を取り出す。

僕は泡をぶくぶくふく液体を上手いこと触らないように鍋に移し、蓋をしてから火をつけた。

しばらく煮えたぎる地獄のような光景が移ったが、やがてバチバチと何かが弾けるような音がしだした。

さらに蓋の隙間から黒い煙を吹きだしてきた。

 

「こ、これ大丈夫ニャ!?」

「大丈夫、ここまでは計画通り。この状態にまでなったら火から離し、一気に冷水で冷やします」

 

鍋を熱しているうちに用意した冷水入りタライに鍋を半分鎮める。

するとすぐに弾ける音も黒い煙も止み、鍋には毒々しい紫色の物体だけが残っていた。

 

「良い感じ!」

「え、これが!?」

「あとは粉末状に砕いて空きビンに移して終わりっと……」

 

僕は空き瓶のふたを閉め、「んーっ」と伸びをした。

 

「出来たー!最期に実験最中の図をノートに描くだけ!」

 

僕はパパッとノートに図を記し、軽くまとめておいた。

 

「あとはこれを誰かに飲ますか……だけど」

「嫌だニャ!ボクは絶対に飲まないニャ!!」

「そんなかたくなに拒否らなくても……。気持ちよーくなれるかもよ?」

「だとしてもその方法で気持ちよくはなりたくないニャ!!」

「そっかー、残念。じゃ、やっぱりモンスターに犠牲になってもらうしか……」

「今言ったニャ!完全に『犠牲』って言ったニャ!!」

「昨日話しちゃったリオレウスには確実に警戒されてるだろうしなー……」

「そのクスリの色を見たら、何も知らない人でも避けると思うニャ」

「じゃ、やっぱりリオレウスにしよう」

「リオレウス、ごめんなさいニャー!!」

 

こうしてこのクスリの最初の犠牲者はリオレウスとなった。

 

「そうと決まれば、さっそく飲ませに行くよ!さあ、レッツゴー!」

「リオレウス、逃げて!」

 

僕はビンをポーチにしまい、リオレウスのいる密林へと再びでかけることにした。

 

 

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村を出てから数時間後。僕たちは密林に着いた。

今は日が沈み始めて視界が見えづらくなってきた。

この時間帯、リオレウスは巣にいることが多いから、直接そこへ押しかけることにした。

 

「実験上手くいってるかなー。駄目だったとしても被害を被るのはリオレウスだからいいけど」

「リオレウス、おいたわしいニャ……」

 

僕はルンルン気分でリオレウスの巣に向かっていると、ある1匹の飛竜と思わしき影が昇り始めた月に照らされて上空から降ってきた。

その影の主は緑色で一見リオレウスに似ているけど若干違った。

そう、その正体は……。

 

「リオレイアだ!」

「あら、シュウさんにザックさんではありませんか。こんばんは。今はなぜここに?」

「貴方の夫にちょっと用があってね」

「あらそうでしたの。ちょうど私も巣に帰るところでしたの。良かったら連れて行って差し上げましょうか?」

「あ、本当?ありがとー!」

 

リオレイアは親切に尻尾を下して登りやすいようにしてくれた。僕とザックは背中まで登っていく。

このリオレイアは僕の知るリオレウスの妻。彼女とも会話をすることができる。

年齢的には向こうの方が年上のようだけど、ため口で話される方が気が楽ということで、僕は敬語を使わないようにしている。

 

リオレイアはゆっくりと上空を飛び、一気に巣の方までひとっ飛びした。僕が歩いて向かうよりも何倍も早く。

 

「ところで、私の旦那にどのようなご用件で?」

「実はね……」

 

僕は事情を説明する。リオレイアはすぐに理解したように「そうですか」と微笑した。

 

「ああ、ついにはリオレイアも共犯者に……」

 

その一方でザックのリオレウスに対する不安は増すばかりだった。

彼らの巣に戻ると、横になって暇そうに尻尾を振ってたリオレウスがすくっと立ち上がった。

 

「ただ今戻りました」

「おう、おかえり!あれ、背中にいるのは……シュウ?」

「こんばんはー。会いに来たよー」

「おう、よく来たな!」

 

リオレウスは元気にそう言う。よし、ラッキーなことにクスリに関しては疑われていない……。やっぱり昨日のことは冗談と思われていたようだ。しめしめ。

 

「しゅ、シュウが悪い顔をしてるニャ……」

 

ザックがひっそりつぶやくも華麗にスルー。

 

「せっかく来てくれたんだ。晩飯も食べて行けよ!」

 

リオレウスはそう言い、僕たちに死にたて新鮮のアプトノスを出した。

僕はすぐに自分たちの分だけ分け、そしてこっそりとリオレウスの分にクスリをばら撒く。

そして、何事もなかったかのように焼肉セットで自分の分を焼く。

 

「じゃ、いただきまーす」

 

僕はリオレウスの反応を楽しみにしながらまずは一口。

うん、美味しい。若干血の味がするものの、それ以上に肉汁たっぷりで非常に満足できる一品だった。

ザック、リオレイアも食べ始め、そしてついに……。

 

「じゃ、俺もいただきまーす!」

 

リオレウスもついにガブリついた!

全員の視線がリオレウスに集まる。どうなる、トリップするか――

 

 

「うっ……!?」

 

 

「「!?」」

 

リオレウスの反応は僕らが予想したものと違った。

リオレウスは苦しそうに呻きだす。

 

「うげ、なんだこれ……うぷっ……!?」

 

食べた瞬間、リオレウスはリバースしてしまった。

 

「あれれー、おかしいな。もっと気持ちよくなれるはずなのに」

「しゅ、シュウ!?お、お前まさか昨日の……うごぉ!?」

「実験失敗。ただし、飛竜も吐くほどの強い嘔吐作用がある……と」

「何こんな時のノート書いてんだよぉおおおおうげぇええええ!!」

 

実験は失敗に終わった。でも、リオレウスの哀れな姿を見れた僕とリオレイアは非常に満足だった。

 

「ああ、ボクだ食べてたら死んでたかも……」

 

 

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「じゃあ、僕そろそろ帰るね」

「おい……これだけしにわざわざ来たのかよ……」

 

ようやく嘔吐が収まったリオレウスにキッと睨まれる。

 

「なにぶん暇なので」

「はあ、まったく……。ハンターとして仲間を狩られるのも困るが、これはこれで……」

「シュウさん、帰りも連れて行って差し上げましょうか?」

「ううん、大丈夫。帰るついでに新しい調合素材探すから。それにリオレイアはリオレウスの後始末をしなきゃいけないから」

「それもそうでしたね。まったく、迷惑をかける夫です」

「俺のせい!?明らかに今日のは俺が被害者だよな!?」

「さえずらないでください」

「ぐぬぬぅ……!!」

 

相変わらず不憫なリオレウスだった。

 

「それじゃ、お邪魔しましたー。リオレウス、また来るねー」

「く、クスリは二度と持ってくんなよ!!」

 

リオレウスは叫びながら伝えてきた。

……うん、今日も楽しかった。

実験は失敗したけど、なぜだか成功だった気もした。

……リオレウス以外はね♪




この小説はこんな話です^^
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