ハンターとモンスターの秘密のストーリー!   作:くるみもち

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3 厨二で紳士なゴア・マガラ

「さぁてと、次は何の実験をしようかなー」

 

密林から帰ってきて数日後の昼時。

僕は椅子に座り頬杖をついて新たな実験内容を考えていた。

 

「また新たな犠牲者が増えてしまうニャ……」

 

ザックが隣でボソッと呟く。

僕はたいそう心外だったため反論する。

 

「いやいやザック。僕だって失敗作をわざと作ってるわけじゃないんだよ?あ、前回のは失敗じゃなかったんだけどね。むしろ成功なんだけどね」

「ホントに失敗じゃないと思ってるニャ!?」

「うん、ちょっと黙ってて。今、考えてるから」

「ニャ!?」

 

ザックのうるさいツッコみはスルーすることにした。

 

「たまにはまともなやつもいいよねー。回復薬とか……」

「今さり気に普段作ってるのがまともじゃないと認めたニャ……。でも、回復薬なら薬草とアオキノコを……」

「ああ。『心の』回復薬ね」

「やっぱりそっちだったニャ!!」

 

僕がそんな面白みのない薬を作るとでも思ったか、馬鹿め!

 

「……となると、行く場所は孤島、峡谷、遺跡平原だね。孤島と峡谷は今日の時間じゃ無理だから……遺跡平原だね。決まり!出発は夜。ザック、準備しておいてね!」

「はぁ……わかったニャ」

 

ザックはしぶしぶといった感じで了解してくれた。

さて、僕も準備を始めよう!

 

 

 

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僕たちはいつも通り採取ツアーを申し込んだ後、少し寝てから村を出た。

遺跡平原に着いた時間は明け方だった。

 

「ふぃー、相変わらず朝の風は気持ちいいねー」

「気持ちよくなってまた眠くなってきたニャ……」

「ほぉら、寝る暇はないよ?今日はここにしかない古い骨を取りに来たんだから」

「なんでそんなものが必要なんだニャ」

「長年放置されたモンスターの骨は特別な栄養があるのに砕きやすいの。実験にピッタリ♪さあ、行くよ!」

「ニャ、待つニャー!」

 

僕はザックを置いていく勢いで拠点から出発した。

 

「ふんふふーん♪」

「今日はいつも以上に上機嫌だニャ」

「だってさ、遺跡ってなんだかわくわくしない?それにここには……」

「ああ、あれかニャ。……って、そう言っている間にもいたニャ」

「え?……ああ!ホントだ!」

 

そっか、エリア1も行動範囲って言ってたもんね。それにしても来て早速会えるだなんてラッキー!

僕は早速声をかけることにした。

 

「おーい、ゴマたーん!」

 

僕は大きな声でその名を呼んだ。少し距離があったが、彼はすぐに気が付いた。

 

「おお、その声は我が友切鮫宗か。煌く太陽から舞い降りたのだな」

「舞い降りた舞い降りたー」

 

僕もゴマたんにあいさつをする。……あ、これ「おはよう」って意味ね。

このゴマたんとは黒蝕竜ゴア・マガラのことである。

やたらややこしい言葉を使うが、『ゴマたん』というかわいらしい愛称は気に入っているらしい。

 

「今日は、何ゆえにこの地に?」

「古い骨を探しにね。……あ、もちろんあなたのもいただくよ!」

「やはりか。ふ、任せよ。友のためなら私の全てを捧げよう」

「その言い方だと語弊があるニャ……」

 

あ、そっか。正確にはゴマたんの狂竜ウイルスのことである。吸い込んだり付着したりすると危険だから丁寧に扱っている。

 

「先に遺跡を回りたいけど……。せっかく先にあったんだからウイルスから集めようかな」

「よかろう。好きなだけ取っていくが良い」

 

僕はゴマたんの言葉に甘えで空き瓶を取り出し、慎重にウイルスが付着している鱗を入れていく。

そして、しっかりふたを閉めて密閉していく。

 

「採取完了!ありがとね」

「我が呪われし力は常人には受け入れられぬ。たとえ、私の言の葉を理解できようものでさえもな……。丁重に扱うのだぞ?」

「大丈夫大丈夫。さて、これから骨集めに行くけどついてくる?」

 

僕がそう聞くとゴマたんは「うむ……」と悩み始めた。

 

「そなたと共に行動することは望んでいるものの……。やはり我が力に触れてしまわぬか不安だ……」

「あー、そっか……」

 

ゴマたんは見た目は禍々しくて少し怖いけど、このように優しい性格をしているのだ。

僕自身もゴマたんが好きだからついてきてほしい意を表すことにした。

 

「狂竜ウイルスは僕の方が気を付けるから気にしないで。一緒に行こ?」

「おお、良いのか。さすが我が友よ。そなたに近寄るものがいようものならこの闇の力で葬ってやろう」

「あまり暴れて人間の狩猟対象に入らないようにね……」

 

ただでさえ黒蝕竜は目撃例が少ないため、何もしなくてもそこにいるだけで狩猟対象に入りやすいのだ。特にゴマたんは僕と出会ってからよく遺跡平原を出歩くようになったらしいから、狙われないか少し心配……。

まあ、ゴマたんに限ってそう簡単にやられることはないだろうけど……。

 

「私の黒き鎧も操作できればそなたを背中に乗せられるのにな……。煩わしい力を持って生まれてしまったものだ」

「常に抜け落ちてるんじゃしょうがないもんね」

「それに少し距離も置かねばならぬ。姿を見ることも出来ぬとは、不便な身体だ」

「まあまあ、そんな力も好きだよ」

「ふ、嬉しいことを言ってくれる。だが、やはりそなたの姿だけでも見てみたいものだ。我が身体はまだ未熟ゆえ、成長すればいつかは……」

 

そういえば、ゴマたんはこう見えてもまだ成体ではないらしい。黒蝕竜については情報量が少なくて詳しく知らないからゴマたんがどんな風に成長するのか見てみたい。

 

「む、この辺りにそなたの求める物の気配を感じるぞ」

「あ、ホント?おおー、あったあった」

 

崖の上まで来たあたりでゴマたんがそう言う。

周りを見渡してみるとゴマたんの言うとおり、昔生きていたのであろうモンスターの骨を発見した。

 

「ありがとー。これくらいでじゅうぶんかな」

「そなたの力になれたというのならば私も嬉しいぞ」

 

相変わらずゴマたん素直。かっこいいのに可愛い。

僕は一通り集めたところで立ち上がった。

 

「よっこいしょっと。重いっ……。ちょっと取りすぎたかな。足元が……あ……!?」

 

バランスを取るため足を少し後ろに下げたところ、突然足場がなくなった。

が、崖だったこと忘れてた!

 

「うわぁああああ!」

「あ、危ない!」

 

僕が落ちかけたところ、突然誰かに支えられた。ビックリして骨を崖下に落としてしまったが、僕は何とか助かった。

助けてくれたのはもちろんゴマたん。ゴマたんは抱えた前足を地上に運び僕を戻してくれた。

 

「大丈夫か!?」

 

珍しくゴマたんが焦っている。こういうゴマたんは新鮮だから楽しみたいが……。

 

「だ、大丈夫だけど……狂竜ウイルスが……」

 

どうやら、感染してしまったみたいだった。そのことがゴマたんを余計に焦らす。

 

「し、しまった……。くっ、こんな忌々しい力などなければ……」

「そんなに自分を責めないで。狂竜ウィルスは放置しとけば治るから……。でも、ちょっと暑い……」

 

そもそも狂竜ウイルスは病原体でもはないため、一時的に免疫力が弱まるだけし、割とすぐ治るしで何ら命に別状はない。本当に不思議な力だ。

ウイルスに感染して、少し暑くなってきたけど、しばらく放置していたら、熱も引いてきた。

 

「あ、治ったみたい」

「真か!?ああ、良かった……」

「だから、そんなに心配する必要ないって」

 

狂竜ウイルスはそれをばら撒いてる対象を執拗に攻撃することで克服できるけど……ゴマたんに対してそんなことが出来るわけがない。

 

「そなたを守ると言っておきながら、こんなことでは……」

「本当に大丈夫だって。それに僕が崖に落ちそうなところを助けてくれたんだし」

「だが、そなたが集めた物が……」

「確かに骨は落ちちゃったけど……。でも、まだたくさんあるみたいだし、一緒に探そう?」

「……ああ。そうだな」

 

ゴマたんはなんとか元気を取り戻してくれた。その後僕たちは一緒に骨を探し集めた。

 

 

 

「んー、いっぱい集まったし楽しかったー!ゴマたん、今日はありがとうね」

「ああ。だが、今日は迷惑をかけてしまったな。本当にすまない。私はそなたの真の友になるべくまたそなたがこの地に降り立つまでに鍛錬をしておこう」

「真の友か……。うん、ありがとう。また、来るねー!」

「ああ。安息の時を過ごすのだ!」

 

ゴマたんは最後に「さよなら」と言って飛び立った。

僕は彼が去った後に狂竜ウイルスが詰まった空き瓶を取り出した。

 

「ふふ、これがあればいつでも一緒だね。また、綺麗な結晶をつくるよ♪」

 




ザック「なんでこんなにボクの出番が少ないんだニャー!?」
シュウ「だって、ザックが無駄にしゃべると話がグダグダになるんだもーん」
ザック「え、ひどくない?」
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