闇より出でし英雄   作:火取閃光

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闇より出でし英雄

 ソラ達は、虚構の世界から元の世界へ帰って行った。

 

 あの世界から虚構の世界へ来た僕とリク、カイリの三人は、ソラの居る都市:クァッドラトゥムでヨゾラ達と出会った。

 

 僕達はヨゾラ達の協力の元でソラを助けた。僕達に協力してくれたヨゾラ達は、あるトラブルを抱えていた。

 

 その為に、僕達はせめてもの恩返しとして、クァッドラトゥムに住むヨゾラ達の問題を一緒に解決した。

 

 そして、ソラ達が、虚構の世界から元の世界へ帰還する今日と言う日を迎えた。

 

 ヨゾラ達は見送りに来なかったが、空を見上げるとそこには"キーブレード使い達へ! ありがとう!!,,と言う飛行機雲を使った感謝の言葉が描かれていた。

 

 それを見た僕達は、ヨゾラらしいと笑い合い、彼等のサプライズに喜びあった。ヨゾラはクールな反面、恥ずかしがり屋だった。

 

 遥か彼方に消えた友人達を思いながら、待っていると彼等から返事が来た。

 

『イズクッ! 此方の準備は整ったっ!!』

 

『後は扉を扉だけっ!』

 

「分かった! 僕も準備出来ているよっ!!」

 

 キーブレードを出して、空の彼方にある門へ向ける。

 

 もう、きっとあの世界へは行けないだろう。あっちの世界から虚構の世界へ行く時に門を開いた結果、少なく無い歪みが生まれてしまった。

 

 一時的な世界のバランスを崩したのだから無理もない。

 

『イズクッ!!』

 

「ん? な、何っ?」

 

 悲しさと寂しさを感じていると、急にソラの馬鹿でかい声が聞こえて僕は驚いた。

 

『またなっ! イズクッ!!』

 

『そっちでも元気でなっ!!』

 

『何かあったら、いつでも助けに行くからねっ!!』

 

「っ!? うんっ!! 鍵が導く心のままにっ!! みんな、またねっ!!」

 

 彼等も僕と会えない事は、何となく分かっている。それでも、きっとキーブレードがあれば……いや、心が通じ合えば、また会えると信じていた。

 

 彼等とは、またいつか会える。何の根拠もないけど、そう思った。

 

「さてと、僕の出身世界へ帰るか」

 

 左腕に装備した鎧(ガード)を展開する。

 

 僕の周囲が一瞬だけ光に包まれる。

 

 これはマスターが使っていた鎧の遺品。

 

 何の因果か、昔、母と一緒に考えたヒーロースーツに似ている全身鎧。ライトグリーンを基調としたメタリックな鎧とマント。

 

 変形したキーブレードに乗り込んで、僕は故郷へと帰って行った。

 

 

 ーーー

 

 ーー

 

 ー

 

 

 ここは神野区某日。

 

 敵連合の手によって拉致された、雄英高校一年の爆豪勝己を救うべく、オールマイトを筆頭としたヒーローと警察達が、一斉摘発を開始する。

 

 しかし、敵連合のリーダー:死柄木弔の先生を名乗るオール・フォー・ワンの個性により、分断され脳無が解き放たれた。

 

 着実に脳無を処理して行くエンデヴァーを含むトップヒーロー達。

 

 しかし、ここで、本来あり得ない事が起きていた。それは、これまで度々現れては消えてを繰り返した謎の多い闇の存在。

 

 いつしかネットでハートレスと呼ばれ、その名が定着した化物は、脳無を取り込み強化脳無として人々を襲い始めた。

 

 そして、襲われた人々や警察、ヒーローまでもが闇に包まれハートレス化した事で事態は大混乱。

 

 ヒーロー達は、各々のプライドを胸に戦うが、何度も蘇るハートレスの不死性で、徐々に劣勢へと向かった。

 

 その頃、オールマイトは個性の活動限界で、彼の真の姿を晒してしまう事になる。

 

 ガリガリとした骨の様な見た目。筋骨隆々な普段とは真逆の姿に人々は絶句する。それでも、オールマイトは笑う。守るべき人達が居るのだから。

 

 だが、悪意の権化たるAFOは、オールマイトへの嫌がらせとしてある事実を伝えたのだ。

 

 死柄木弔が、オールマイトの敬愛して止まない師匠である志村菜奈の孫である事を。

 

 その瞬間、オールマイトは顔面蒼白となり膝から崩れ落ちた。

 

「アッハッハ!! オールマイトッ! どうだい? 弔が、志村菜奈の孫だったと言うのはっ!! 傑作だったろ?」

 

「ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛ッ゛!!」

 

「アッハッハ! でも、まだ絶望しては困るよ。サプライズは二重、三重で用意するものさ」

 

「っ!? アレはっ!?」

 

「身に覚えがあるかい? 爆豪勝己」

 

 AFOは泥の様な個性から、一人の女性を転移させた。

 

 その女性は、ドス黒い闇の衣を見に纏い、焦点が合わずとても苦しんでいた。

 

「オバさんっ……!? オイッ! テメェッ!!」

 

『イズク……ドコッ……? ドコニ……イルノッ……!?』

 

「……っ!? オール・フォー・ワンッ!! 彼女は、私達とは無関係な筈だっ!! 今すぐ解放しろっ……!!」

 

「アッハッハ!! まだ分からないのかっ!? 僕が、君の嫌がらせに無関係な一般人を連れて来る筈がないっ!

 

 ほら、爆豪勝己、彼女の名前をオールマイトに教えてごらん?」

 

「……っ!? 爆豪少年、彼女は誰なんだっ……?」

 

 オールマイトは、目の前の女性をしっかり見てふと思う。何処か懐かしさを含んだ顔で、苦しむ彼女を見てとても胸が締め付けられた。

 

「……っ!? あの、人はっ……。あの、人は……緑谷引子、と言うんだ、オールマイトッ……!! あの人は……オバさんは、出久の母親なんだっ……!!」

 

「っ!? 嘘、だろうっ……!?」

 

「アッハッハ! 何でか知らないけど、君の探している緑谷出久の母親さっ! そして、何の因果かっ! 志村菜奈の姪でもあるっ!!」

 

「……っは?」

 

 その瞬間、オールマイトの心にパキッと言う罅が入る音がした。

 

「いや〜、僕も調べた時は鳥肌が立ったねっ! まさか、志村菜奈の血縁が此処にも居たとはっ!? ってね! 

 

 丁度、息子の緑谷出久が行方不明なって、病院で入院していたから拉致しやすかったよ。それに、このハートレスと融合実験の検体が必要だったから、序でに改造してみたのさっ!!」

 

「この、女性が、緑谷少年の、母君……? アァ、アァァァ、ウ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛ッ゛!!」

 

「アッハッハ!! そうさっ! その顔が見たかったっ!! ほら、もっと闇に堕ちちゃいなよ? そうすれば、その苦しみから楽になれるよ?」

 

 オールマイトの身体から、少しずつ闇が溢れてくる。彼の心は、限界を迎えているのだ。

 

 彼がヒーローとしてでは無く、一人の八木俊典として、守らなければならない人達を守り通す事が出来なかったからだ。

 

「っ!? オールマイトッ!? このっ、外道がっ……!!」

 

「おっと? それは君も同じだろ?」

 

「なんだとっ……!?」

 

「君は行方不明になった緑谷出久とは、幼馴染で虐めの対象だったじゃないか? 片手間で調べたけど、君も結構な外道だったじゃないか」

 

「っ!? ち、違えっ!! 俺は、俺はっ……!!」

 

「何も違わない。君も僕と同じ穴の狢さ」

 

 AFOの言葉により、爆豪勝己の耳元で幻聴が聞こえる。その声は、まるで自身の罪を表したかの様に、彼の心を蝕んでいった。

 

「っ!? 違う、違うっ……! 俺は、おれ、はっ……!!」

 

「緑谷出久くん、苦しそうだったろうに。行方不明で、此処まで見つからないなら、もう死んだんじゃないか?」

 

「っ!? そんなのっ……!? テメェが、出久を攫ったんじゃねぇのかよっ……!!」

 

「おいおい、責任転嫁は良くないよ? 僕が仮に攫ったなら、この場でハートレス実験体として出しているさ。君達への嫌がらせでさ。

 

 でも、それをしないのは、僕も彼の行方が分からないからだよ? 本当に彼は何処へ行ったんだろうね。もしかしたら、一足先にあの世へ行っているのかもよ?」

 

「っ!? そんな訳、そんな、訳っ……!!」

 

 この二年間、それだけは考えない様にしてきた可能性。そして、同時に後悔し切れない己の罪。

 

「そうしたら、それは、一体誰の責任なんだ? 爆豪勝己くん?」

 

「っ!? オレ、がっ……!? おれ、の、責任っ……!?」

 

「アッハッハ! そうさっ! 君のっ!? ぐっ……!?」

 

 爆豪勝己の身体から、オールマイトと同様に闇が溢れ出す。完全勝利を確信したAFOは、更なる追撃をする瞬間、横からの衝撃で吹き飛ばされた。

 

「もし、仮にそうだったとしても、それは君の所為じゃ無いよ」

 

「君は、誰だい……?」

 

 AFOは、今まで見た事がない目の前の敵に怒りを感じていた。

 

 折角、気分が良かったのに台無しだと言わんばかりに、不機嫌が最高潮へと達している。

 

「うーん……無免許のヒーロー志望、かな?」

 

「そうか。今、良い所なんだ。邪魔をしないでくれるかな? やれ、鎧無(がいむ)」

 

『イズク……ドコオォォ……!!』

 

 闇の鎧に身を包まれて、ハートレス化した緑谷引子、またの名を鎧無は、謎の鎧を着た青年へ走る。

 

「……いくぞ」

 

「っ!? オイッ! 鎧野郎っ! ヤメロッ! その人は、その人はっ……!!」

 

 爆豪勝己は焦る。

 

 鎧野郎は、真っ黒な剣の様な大きな鍵をどこからとも無く出し、緑谷引子を倒そうとしていたからだ。

 

 そして、鎧野郎は後ろを振り返ると、懐かしい声を発した。

 

「大丈夫だよ。"かっちゃん,,、任せて」

 

『アアァァァァァァッッ!? これ、はっ……?」

 

「っ!? なん、だとっ……!? 何なんだっ!? その武器はっ!?」

 

「大丈夫。大丈夫だから」

 

「お、おま、えっ……? まさ、かっ……!?」

 

「いず、くっ……?」

 

 許されし罪禍によって切り裂かれた筈の引子には、全くの怪我は無かった。それだけでは無く、ハートレス化が解けて人間に戻った。

 

「クソッ! 何なんだっ! この、苛立ちはっ!? その武器かっ……!? その武器が、僕を苛立たせるのかっ!?」

 

 AFOは苛立ちが止まらない。

 

 出久の持つキーブレードを見た瞬間、寒気と同時にキーブレードへの破壊衝動と苛立ちが湧き上がり、頭を抱えて苦しんだ。

 

「さぁ、オールマイト、かっちゃん。僕達の目の前には悪人がいる。絶望していないで、ヒーロー活動の時間だよ」

 

「君はっ……? 何故、私達を……?」

 

 "助けてくれるのか?,, とオールマイトの言葉は続くだろう。そう思った時、ふとある言葉が浮かび上がり、僕は笑いながら答えた。

 

「"貴方達が助けを求める顔をしていたから,,。人を助けるのに、それ以上の理由が必要ですか?」

 

「っ!? ハハッ、これは、"また,,一本取られたね。確かに、それ以上の理由は必要無いっ……!!」

 

 二人は痛みを感じる身体を無視して、笑いながら立ち上がった。

 

 そこにはもう、闇は溢れていない。

 

「二人とも、これを」

 

「これは……?」

 

「あの時、貴方の事を聞いて、いつか渡そうと思っていた物です。この状況を変える秘密道具ってヤツです。飲んで下さい」

 

 僕は旅の途中で手に入れたアイテムを手渡す。

 

「そう簡単に、やらせると思うかい?」

 

「時間を稼いで見せるさ。かっちゃん、母さんを守って。その間に時間を稼ぐから。あっ! それとも、ヒーローの卵な君じゃ難しい?」

 

「んな訳ねぇわっ!! この、ボケナスッ!!」

 

「ハッハッハ! だよねっ! 流石、かっちゃん」

 

「出久っ……!? 貴方、なのねっ……!!」

 

「うん、勝手に居なくなってごめん。ただいま、母さん。そして、行ってきます!!」

 

「えぇっ!! 出久、行ってらっしゃいっ! 今の貴方、超カッコ良いよっ!!」

 

 あの日、言えなかった事を言えた。

 

 そして、知らなかった。

 

 母の声援が、これ程までに心を強くしてくれるなんて。

 

「何なんだ、お前はーーっ!!」

 

「許されし罪禍よ、闇を喰らえっ!! ダークイーターッ!!」

 

「ハートレスのっ……!? 闇の力が、喰われているっ……!?」

 

 AFOは驚愕した。

 

 出久の武器に、斬られた感覚も無ければ、触れた感覚も無い。

 

 攻撃の軌道を読んで、カウンターを構えていたのにそれも失敗する。

 

 そして、出久の武器は、自身の心にある闇の力のみを喰い尽くそう吸収された。

 

「周りにいるヒーローの皆さんっ! 一緒にハートレスをっ!!」

 

「し、しかしっ……! 奴等は何度でもっ……!!」

 

 周りのヒーロー達は、不死身の化け物に心を折られかけていた。

 

「大丈夫っ! 何故かって? 僕 が 来 た ! ! 託された希望よ、心を繋げっ!! コネクトッ!!」

 

「こ、これはっ……!?」

 

「力が、漲るっ……!?」

 

「一時的に、ハートレスを倒せる様な光の力を付与しましたっ! これで、ハートレスを倒せますっ!!」

 

 周囲のヒーロー達に光の力が溢れ出す。

 

 彼等の心は、出久を通じて一つに繋がった。

 

 そして、今まで何をしても有効打を与える事が出来なかったヒーロー達にとって、反撃のチャンスが与えられた。

 

「ぐぅっ……!? 厄介なっ!? な、なにぃっ……!?」

 

 自分の闇の力を喰い尽くそうとする許されし罪禍。

 

 周囲に光の力を与えて活力を発揮させる託された希望。

 

 AFOにとっては、悪夢に近い出来事過ぎて息が上がる。そして、ふと、背中がゾッと凍る嫌な予感に振り向いた。

 

「オーマイ……! オーマイグッネスッ……!!」

 

「と、俊典っ……!? お前っ……!?」

 

 金色の稲妻が、オールマイトの身体から迸る。

 

 過去にAFOによって受けた傷は完治し、それによって減少したOFAの個性因子まで、全盛期と同等クラスまで回復した。

 

 グラントリノは、教え子の完全回復に、幽霊でも見た様な表情を浮かべた。

 

「な、何故っ……!? 何故だっ!! その姿は、あの時のっ……!?」

 

「緑谷少年、ありがとうっ!!」

 

「効いて良かった。アレ、実はかなり希少なヤツなんで、もう怪我しちゃダメですよ?」

 

「お、お、お前ぇぇぇーー!! オールマイトに何をしたっ!!」

 

「何って、治しただけだけど?」

 

「あの傷がっ! 一瞬で治る訳が無いだろっ!!」

 

「アレは、ラストエリクサーって言って死んで居なければ、どんな怪我でも治す伝説の秘薬さ。

 

 例え、内臓が吹っ飛んでいようとも、個性因子が減少していようとも、一瞬で完全回復する。そう言う秘薬さ」

 

「な、なんだ……その、ズルい道具はっ……!!」

 

「チートの権化みてぇな、テメェにだけは言われたくねぇと思うぞ?」

 

「クッソォォォォォッッ!!」

 

 AFOは怒りを爆発させて、周囲のハートレスを取り込み、そして、新しく巨大なハートレスを生み出した。

 

「オールマイト、奴は任せても?」

 

「ああっ! 任せてくれっ!」

 

「それじゃ、僕達は奴から出たハートレスを倒します。かっちゃん、手伝ってくれるかい?」

 

「っ!? ったりめぇだっ!! 俺一人でも良いが、オバさんが見てるんだ。テメェにも譲ってやるよっ!!」

 

「ハハッ! ありがとうね。それじゃ、行こうっ!!」

 

「オールマイトォォォォォーーッッ!!」

 

 AFOの手から離れた巨大ハートレスは、生みの親共々此方に向かって来る。

 

「この因縁は、私が断ち切るっ!! さらばだっ! オール・フォー・ワンッ!! UNITED STATES OF SMASH!!」

 

 全身全霊を込めたオールマイトの一撃。

 

 その一撃は爆音と共に大きな台風を巻き起こした。

 

「流石、オールマイトだねっ! かっちゃんっ!!」

 

「ああっ! 俺達も行くぞっ! 出久っ!!」

 

「っ!? うんっ! 許されし罪禍よ! 託された希望よ! 今こそ一つにっ!!」

 

『グァォォォォォッッ!!』

 

「ぶっ飛びやがれっ! 榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)ーーッ!!」

 

「混沌鍵・カオスブレイクッ!!」

 

 擬似的なχブレードを顕現させた一撃。

 

 一時的にしか顕現出来ないそのキーブレードと幼馴染の必殺技で、巨大ハートレスは跡形も無く消し飛んだ。

 

『皆さん、見て下さいっ!! オールマイトの勝利ッ! ヒーローの勝利ですっ!!』

 

『ウオォォォォーーッ!!』

 

 ヘリコプターで中継していたテレビ局が、オールマイトの勝利宣言を報道すると、周囲の人々は大声で泣きながら喜びを分かち合った。

 

 

 ーーー

 

 ーー

 

 ー

 

 

 大勢のヒーローが、まだ救出されていない人達を助ける為に、救助活動を行なっている。

 

 彼等もボロボロで、休んでも文句は言われないのに、誰一人として足を止めない姿を見て尊敬する。

 

 僕はヒーローに憧れて良かったと思った丁度その時、空に歪みが発生するのを確認した。

 

 元々、僕達の世界とソラ達の世界で、保たれていたバランスに歪みが生じていた。だからこそ、僕はハートレスとなって、ソラ達の世界へ行けたわけだ。

 

 しかし、ソラ救出でさらにバランスを歪め、AFOとの戦いでより歪めてしまったらしい。

 

 僕が、歪みが消える空をジッと見ていると、突然幼馴染から呼び掛けられた。

 

「待てよっ! 出久っ!!」

 

「うん? かっちゃん、どうしたの?」

 

「行くのか?」

 

 どうやら、天才の幼馴染には分かってしまったようだ。

 

「うん。それが、僕の使命だからね」

 

「そうかよっ……。でも、その前に謝らせろ。出久、色々と悪かった……。すまねぇ……」

 

「気にしていないって。もう済んだ話だよ」

 

「だがっ……!」

 

「もしも、罪悪感を感じているなら……絶対に、オールマイトを超える最高のヒーローになってよ! 約束、だからね!」

 

「っ!? ったりめえだっ!!」

 

 僕達は握手をして共に笑った。

 

 なんだかんだ、彼と握手したのは久しぶりだった。

 

 そうしていると今度は、母が僕に近付いた。

 

「出久っ……」

 

「母さん……」

 

「ちゃんと帰ってくるのよ?」

 

「勿論だよ。母さんのカツ丼、楽しみにしているからね」

 

「うん! 腕によりをかけて作るわ!!」

 

 母とハグをした。

 

 母はこんなにも小さかったっけ? と思うほどには、僕も成長していたと実感し、それだけ勝手に居なくなった事を後悔した。

 

「緑谷少年、君に伝えたい事がある」

 

「オールマイト?」

 

「あの日、伝えそびれた言葉さ。君はヒーロになれるってね。こんなに短い言葉なのに、こんなに時間が掛かってしまった。

 

 あの時は、本当に、すまない……!!」

 

「良いんです。僕も、それなりに修羅場をくぐり抜けました。だから、あの日の貴方の優しさは、ちゃんと理解しています」

 

「あぁ……。それと、おめでとう! 今日の君は、誰よりもヒーローだった!! 助けてくれて、本当にありがとうっ!!」

 

「っ!? ハハッ……なんだろ? 急に雨でも降っているのかな……?」

 

 最高のヒーローにして、自分の目標だった人に、ヒーローだと讃えられた。

 

 その瞬間、多くの気持ちが、思い出が溢れ出した。

 

 こんなに嬉し過ぎて泣いたのは、生まれて初めてだった。

 

 そして、泣き止んだ僕は鎧を展開して、空高く舞い上がった。

 

「それじゃ、皆んな、また会おうね! 行ってきますっ!!」

 

 僕の戦いはこれからも続く。

 

 それでも僕は戦い続けた。

 

 だって僕は、もう一人じゃ無い。

 

 かけがいの無い仲間や守るべき人達が居る英雄なのだから。

 

 〜闇より出でし英雄・完〜




 完結!

 いや〜長かったね〜。

 正直、最後はFINなのか、ENDなのか、完なのか迷ったね。

 それにしてもエタらなくて良かったです。
 それに、楽しく書けたのでよかったです。
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