本編との落差で風邪ひきそう
修学旅行といえばみんなは何を思い浮かべるだろうか。例えばお寺や神社といった歴史的建造物、例えばその土地のお菓子、例えば友達との寝泊まりや赤裸々な会話
人によって思いつくものは全然違うこの問題、その問題に対してとある女子中学生はこのように考えていた
「あー……帰ってゲームしたい」
そう、ホームシックだ。というよりゲームシックだ
深澄からすれば友達もほとんど居ない、ましては建築物や食べ物にも興味が無いのでこの行事はただ学校を卒業するための義務的なもの
しかもそのわずかの友達の明日奈とは同じ班になれず必然的に彼女の興味は今回の行事よりもそれが終わってからのゲームの方に向いてしまっている
「と、兎沢さん。お風呂そろそろうちのクラスの番なんだけど」
「そう、ありがとう」
「はっはいぃ」
そんな彼女の唯一の救いはこのお風呂の時間、お風呂だけはクラスで同時に入ることになっている。つまり明日奈と過ごせる数少ない時間
その喜びからか顔には微かな笑みが浮かんでいた
はやる心を抑えながら入浴の準備を済ませ、宿のお風呂場へと足を進める。その足取りは昼までのものとは違い、少しばかり軽やかだ
「みーすみ!」
「わっ!なんだ明日奈か、脅かさないでよ」
「えへへごめんね、お風呂だよね?一緒に行こ?」
「えぇ、いいわよ」
まるで平常心を保っているようだが内心では飛び跳ねながら喜んでいる深澄、目立つのは避けたいからかその素振りは見せないが
「深澄の方は今日1日どうだった?」
「そうね…まぁ普段の授業よりは楽しかったかもね」
「そっか。本当は私も深澄と回りたかったんだけど…ごめんね」
「別にいいわよ、明日奈は私と違って人付き合いも多いだろうし。仕方ないわよね」
「それ皮肉?」
「さぁ?どうでしょうね」
「むぅ…」
そんな他愛もない会話すら、深澄からすればその日一番の思い出。先程までの考えていたゲームのことなんて忘れてひたすら彼女との会話に没頭する
そんな会話をしているうちに気付けば宿の大浴場、2人とも流れるようにロッカーの前に立ち着替えを始めた
すでに脱衣所には何人か他の生徒がいる。明日奈と深澄、2人はクラス…いや学校の中ではトップクラスの有名人、先程までは周りも各々の会話をしていたが2人が入ってきてからは視線含め2人のことに夢中だ
当の本人たちはそんなこと気にも止めないが
「それにしても…なかなか広いわね。ここのお風呂」
「そう?たしかに普通に比べたら広い気がするけど」
「それ皮肉?」
「さぁ?どうだと思う?」
「ふふ…やるわね」
「まぁね」
周りの視線なんかには気にとめず他愛もない会話をする2人。そして深澄が上半身の衣類を全て取り払った時、それは起こった
ガタンッ!!
「っ!?…なに?」
周りの生徒の多くが膝から崩れ落ちた。その理由は言わずもがな、深澄のボディラインのせいだ。普段でこそ制服などの厚い布で覆われているその身体、それが彼女達の前でついにあらわになったのだ
小さな頭をかろうじて繋ぎ止めるような細い首、女性らしい肩から伸びる細い腕指、モデルのようなくびれの腰…そして女性でも固唾を飲むように美しく実った乳房
その美しさに思わず膝を折ったクラスメイト達、先程の音はその時の物音だ
「?さぁ?」
「そう…ならさっさとお風呂に入っちゃいましょ」
「そうだね」
残りの衣類もそそくさと取り払った。その時も周りでは異変が起きていたが先程と同じようなものなので今回は割愛しよう
場所は変わって大浴場、修学旅行の宿となるだけあってその広さはスーパー銭湯並だ…この例えが正しいかはさておき
「とりあえず身体流しましょうか」
「そうだね…深澄はこういうとこよく来るの?」
「宿には泊まらないけど…銭湯なら年に何回かは行くわね。そういうアスナはどうなの?」
「年に何回か家の付き合いで行く時はあるけど…こうやってゆっくり出来ることはほとんどないかな」
「ふぅん、そうなの」
シャワーで身体を流す2人、白魚のような肌ときめ細やかな髪を流れるお湯。恐らく故意ではないはずなのだがそこはかとなく色気がある
ひとしきり各所を流し終わった後、突如明日奈から話を切り出した
「ねぇ深澄、洗いっこしない?」
「洗いっこ…?なにそれ」
「小さい頃やらなかった?…あ、ごめん」
「別にいいのよ、気にしなくて」
「うん…」
「……はぁ、で?何をすればいいの?」
「えっ?いいの?」
「まぁ…嫌では無いけど」
「っ〜〜!!深澄ぃ!!」
「きゃっ!ちょ、やめ、どこ触ってるのよ!」
ここは桃源郷か、周りの生徒はおろか見守りをしている女教師ですらそう思うようなお花畑空間だった。あまりにも美しい光景がそこには広がっていた
「ほっほら、その洗いっこ?ってのやるんでしょ!」
「へ?…あ、あ!そうだった!じゃあほら、深澄座って」
「え、えぇ」
シャンプーのボトルを何度かプッシュした後手の中で泡立てそのまま深澄の髪をくしゅくしゅと洗う。腰まで伸びた髪の先から少しづつシャンプーを足しながら洗っていく
ある程度洗っていくと少しばかり傷んでいるところが見つかった、位置からして普段髪ゴムで止めているところだろう
「ねぇ深澄、トリートメントとか普段やってる?」
「ううん普段からシャンプーだけよ、どうして?」
「髪ゴムを止めとるところがいたんじゃってる…深澄の髪綺麗なんだからちゃんと手入れしたら?」
「いいわよ、別に」
「そんなこと言わないの、だから今日は私の使ってるトリートメント塗ってあげるから。ね?」
「…ありがと」
そんな会話をしてるうちに洗髪は頭皮までやってきていた
「痒いところある」
「大丈夫…ふぁー」
「眠いの?」
「まぁ今日1日歩いて疲れたしね…」
「確かにそうかも」
満遍なく頭全体を洗い終わったところでシャワーを取り頭からお湯をかけシャンプーを洗い流す。流し残しがないよう、泡立てていた時と同じように丁寧に指を通しながらしっかりと泡をおとす
「よし、それじゃあ次は身体を〜」
「いや!さすがにそれはパス!」
「えぇー、そんなぁ」
「なんと言ってもそれはなしよ、ほら次は明日奈が座って。私が洗うから」
「分かった」
場所を交代、今度は深澄が洗う番になった。先程の明日奈と同じくシャンプーを手に取り手の中でしっかりと泡立てる
髪先から揉み込むようにシャンプーを髪に練り込ませる、深澄の太くしっかりとした髪と違い明日奈の髪は1本1本がものすごく細く柔らかい
「明日奈の髪、すごく綺麗…」
「そう?」
「うん、しっかり手入れしてるのね」
「ふふっ、ありがとう。深澄の洗い方も優しいね」
「そう?ありがとう…それで、痒いところは?」
「大丈夫だよ〜」
そのままの流れで頭皮も丁寧に洗い、しっかりと汚れを落とす。あまり頭皮にシャンプーを付けっぱなしにするとあまり良くないので早めにシャワーを取り早速泡を流す
そのあとは各々身体を洗った後、メインの温泉に浸かることにした
ザバァン
「あー…きもちぃ」
「ふにゅ…」
「なんてこえだしてるのよあすな」
「みすみもぉ、こえゆるんでるよぉ」
「そう?まぁしかたないでしょー」
「そうかもぉ…」
普段とは違い完全に緩みきった表情の2人、周りにいる生徒たちからすればまさに夢にまで見た光景。高嶺の花であるところの2人が年相応に笑いながら湯に浸かっている
これを夢と呼ばずなんと言うか
「ふぅ…やっぱり温泉っていいわね」
「うん、正直一生このままでもいい」
「流石にのぼせるわよ、それじゃあ」
「分かってるよ、例えだって」
「そうならいいけど…んー!はぁー、疲れが癒える」
そんな感じでそのあとも年相応の会話を何度か交わした後、次のクラスの入浴時間になる前に湯から上がりその日は大浴場を後にした