才能溢れるスーパー最強ぼっちちゃん!!! 作:やみーさん
「……ライブの……ノルマ?」
「うんそうそう! 皆でライブのノルマのためにバイトしよー!」
翌日。スターリーで集まって話をしていた中で突然出て来たその話題は完全に地雷だった。
途中で勝手に私が歌詞係になったり……いろいろあったけどそれはそれとして、完全にダメなのがバイトだった。
(わ……私が、社会でコミュニケーションを必要とする仕事なんか出来るわけがない……)
まだコミュ力が要らない仕事ならギリギリ出来る。プログラマーとかライターとか小説家とか……いや、結局コミュニケーションを多少することになって死にかけたけど……あ、また頭が痛くなってきた。
頭を押さえて机に突っ伏す。
痛みに唸っていると段々と思考が纏まってきた。兎に角、そういう職業ならまだしも接客業?
(無理無理……私なんかに出来るわけない…………そう、これは戦略的撤退! よ、よし……)
今の手持ちは……多分足りる。精神が落ち着いてきたので、起き上がると段々やる気が出てきた。拳を握り締め、ぐっと頷く。
(そ、そうそう! なんなら私の貯金残高を見れば虹夏ちゃんも……虹夏、ちゃんも…………)
そして、『お金』と『人間関係』という2つが重なり、トラウマが蘇る。そのまま私はぷしゅーとショートした。
「……あばばばばばば──」
そして、そんな私を見た虹夏ちゃんは若干引いていた。
「………えっ? なに? どしたの、ぼっちちゃん。え? え? 途中から面白かったけど最後辺りヤバかったよ?」
「そう? 全体的に面白かったけど」
そんな2人の会話を横目に、私はそのまま数分間ショートし続けていた。
◆◇
あのあと水を出されたりして落ち着いた私は、椅子の上で縮こまっていた。虹夏ちゃんが頭を抑えながらうーんと唸る。
「えーと。つまり要約すると、ぼっちちゃんはバイトがしたくない、ってこと?」
「……は、はい。……ご、ごめんなさい」
それを聞いてリョウさんは淡々と呟いた。
「……でも、それは困る。2人だけでノルマを達成するのは時間かかるし、バンド内での不和の元にもなる」
「あっ、あっ……そ、そうですよね! ぇ、えへへへ…………じゃ、じゃあ私はバイトはしないけどお金だけ払うってのは……」
「ぼっちちゃんそんなにお金あるの? 結構たかいよー?」
からかうように虹夏ちゃんは言ってくるが、今回ばかりは私に分がある。
「じ、実は私は──」
そこで、思い出した。さっき私がショートした原因は?
──お金と人間関係だ。
そして今言おうとしてることはなにに繋がる?
──お金と人間関係だ。
『ねぇねぇ、ぼっちちゃんどうせお金あるんでしょ? これ買ってよ』
『ん、ぼっち。今日のパチンコ代。早く』
そして、2人のそんな姿を空想し──
「……あばばばばば──」
──私は再びショートした。
「……えっ? ごめん、これは……なんで?」
「……ぼっち、2度目は流石に飽きがくる」
そして、そんな2人の声を背景に私はしばらくショートし続けたのだった。