こういうのが好き!   作:ヤマガラなり

2 / 2
必ず帰る。前半

 

「ここまで…か……やっと全部終わったのに…」

人類と異性体生物との開戦から15年。何億の人は死んだ。けど今親玉を討伐し地球に平和のを見れたはずだった。けど……突入部隊は俺以外全滅。そして残った俺の機体ももうまともに動かない。今も施設は爆発している。まだ生きているのが奇跡だ。

(そうですね。機体損耗率80%を超えています。現状破棄を推奨します)

戦術補助自立思考型AI…俺はせんちゃんと呼んでいる。せんちゃんからの返答は現実を突きつけるのに十分だった。

「馬鹿野郎。この爆発の中外に飛び出ても一瞬で炭火焼きの完成だ。それに……お前を残していけねぇよ相棒」

せんちゃんとは俺が初めて戦場にたった時からの付き合いでもう5年は経っている。何度も死にそうになったけどせんちゃんがいたおかげでここまで生き抜けた。そんな相棒を捨てて生き残りたいとは思わなかった。……けど地球で俺の帰りを待ってくれてる人がいる。

(お1つ提案があります。うまくいけば脱出することが出来ます)

「何をすればいい?今ならなんでもしてやるぜ」

生きてるモニターに機体ステータスが表示され駆動系がアップされた。

(他にも問題はありますがここが断線してるため移動が出来ない状態です。ここさえどうにか出来れば歩行することは可能になるため脱出ゲートにまで辿り着ける可能性があります)

「でもそんな専門的な所治すなんて俺には無理だぞ」

(いいえ、治す必要ありません。私が使用している補助の電子制御を用いて動かしますが何分初めての為動かない場合があります。それに今もこの船は沈んでいます。希望を与えておいてなんですが間に合わない可能性も十分あります。確率的には…)

「確率は聞きたくねぇよ。けどそれしか任せれないならやってくれ頼む」

(了解しました。制御範囲拡大全システム掌握開始………システム掌握完了エラー項目57件あり…前略歩行システム障害のみ対応……基準値エラー………再設定…自立稼働開始)

機体が移動を始めた。いつもより揺れる振動がGでボロボロになった体に響いた。

「なぁ、相棒」

(どうしましたか?)

「俺たち地球に帰ったら英雄だよな」

(ええ、そうでしょうね。私の場合は情報を全て引き抜かれるかも知れませんが)

「だろうな。大切なデータだからな」

(あの処理苦手なんですよね。全部消えた後に全部詰め込まれる感じ)

いつ爆発するかわからない恐怖を会話で誤魔化しながらゆっくりと機体はゲートに向かっていく。

「長かったようで短い5年だったな…最初はユキさんの小隊に無理矢理ねじ込まれて笑いながら地獄に突っ込んでった記憶しかないけど」

ユキさんは俺の初めての上官だ。今も突入部隊のゲートを守るために戦ってるのかな?

(今だから言えますけど初対面であんなマヌケ顔晒されたのは笑いをこらえるのに必死でした)

「そりゃそうだろうよ。一番死人が出る部隊に徴兵されて直ぐにその部隊に放り込まれたんだぞ」

(でもユキのおかげで強くなれました。それに彼女の部隊にいたからこそ新鋭機を託されたのですから)

「あぁ、土壇場で新鋭機が間に合ったから人類が反抗作戦が出来たんだ。その先行量産型に乗れたのは一生誇れるだろうなぁ……けど守れなかったものもある」

(シオンのことですよね。彼女のことは…)

ユキさんの元を離れたあと先行量産型の部隊長になり初めての部下のシオンを対人戦による裏切りにより殺された。どうしようもなかったかもしれないけど俺が一番近くで助けられるとしたら俺しかいなかった。

「俺があと少し速かったら…もっと強かったらなんて意味もない想像を何回もしたよ」

人を憎んだ。今も人類が滅びそうなっているのに未だに利権を求めて戦っている人類なんて守る価値なんてないと思いもした。けど俺が志願した理由の一つでもある幼馴染のアカリが思い出させてくれた。俺は知人が誰も死なないで悲しまない世界を見て見たくて軍人になったのだ。

「人が人として幸せを教授できて理不尽に死なない世界を見てみたいなんて……すげぇ恥ずかしい青臭いセリフ言ったなぁ……恥ずかしい」

(いいセリフじゃないですか?それに変に飾ったセリフよりマシですよ)

「それを思い出せたからまた人を信じられた。だから戦えた」

(アカリとユキには感謝状送られるべきですね。この2人がいなければ世界が滅んでいたんですから)

「ははっ違いねぇな。本当に思い出せば濃い記憶だな」

(後は第2次突入作戦とかメインゲート突撃戦などありましたね)

「どっちも二度とやりたくねぇな……大型級一機だけで前線崩壊しかねぇのになんだよ100機って……」

(私もあれは死を覚悟しましたがどうにかなりましたね)

「あの時の予測がなければ死んでたわ。本当にありがとう…」

(予測と言えばなんですけどアカリとユキの料理…)

「やめようね!良くないよ!………なんで食べ物が動くように……」

(………あれは新手の異性体だと思いましょう。鍋から足が生えてビームを撃つなんてアリエナイ)

「そういえば2人にこの戦いが終わったら話があるなんて言われてたな。本当は今言いたかったみたいだけど死亡フラグになりそうだから辞めるって。なんだったんだろ」

(本気で言ってるなら爆発及び腹切を推奨します。介抱なら喜んでします)

「なんでぇ!?」

(こんな鈍感クソ野郎になんで……)

「凄い罵倒するね!せいちゃん!いやマイバディ!」

(こんなのと相棒なのは不満しかありません交換を希望します)

「残念。クーリングオフの期間はとっくに過ぎてる」

(……っち!今から自爆でもしましょうかね)

「辞めようね!今も死にそうなんだから!!触れてないけどめっちゃ揺れてるし生きてるモニターからは地獄みたいな惨状が見えてるからね!」

(あ、ゲート見えましたよ。さすがに閉まってるみたいですけど予備として帰還データはダウンロード済みです)

ゲートというのは簡単に言えばどこでもドアだ。異性体生物がどこから侵攻してくるのかを調べた所このゲートから侵入してることが判明しその技術をリバースエンジニアリングすることで使用することが出来るようになった。

「よし!生きて帰れるぞ相棒!!」

(ですが機体が駄々を捏ねてます。もう動きません)

「かぁーー!ここまで来て止まるかよちくしょう!」

(ここならまだ外に出ても大丈夫そうです。脱出用の外骨格の準備をしてください。あれなら転移に耐えれますし私のコアブロックを持ち運びできます)

「了解!ならさっさとずらかるぞ」

(いいえ、データを入力しないといけないので外骨格で脱出後ゲートのコンソールに繋げてください)

「その後お前を回収してゲートでトンズラで俺たち人気者だ!」

(あれですね。これでお前も人気者にしてやるよでしたっけ?)

「ラッシュの方は見てないから知らん…てかなんで知ってるんだよ」

(ネット知識です。ペイルアウトしますがよろしいですか?)

「OK準備完了。後お前のコアボックスも回収した。これを繋げるんでいいんだよな?」

(はいよろしくお願いします。ペイルアウト起動!)

流石せんちゃん!ペイルアウトする時にコンソール向けて射出させるなんてアフターケアもバッチリだな!

さっさと繋げて……

「よし、繋がったぞさっさとよろしく!周りももうやばい!」

ついさっきまでは爆心地から離れていたからまだマシだったがもう火の手がここまで追ってきていた。

(了解。迅速に行います。帰還システムリブート開始………………なるほど…申し訳ありませんが先にゲートに移動をお願いします。転移先を固定するシステムがエラーを引き起こしているため私が代用します)

「……は?置き去りってことか?お前が?」

それを聞いて頭が真っ白になった。

(そうなりますね。他に代用出来るものはそこに駄々を捏ねて止まったスクラップしかありません。さぁ無駄な会話より早く脱出を)

「……そんな、おまえ、そんなにあっさりと……なら……」

こいつがここで死ぬ?……ならここでこいつと一緒に終わるのもいいかもな。状況的に考えて突入部隊で生き残ったのは俺達のみ。そんなの政治的に利用されるのはわかっている。自分たちの利権しか考えられない奴らの為になんで……突入してきた奴らとそんなに縁がある訳じゃないけど短いやり取りでも一緒に戦った仲間なんだよ…そいつらの死を踏みにじられたら俺は……

(それは許しません。それをしたら……どうも出来ませんが恨みます。死んでも絶対恨みます)

「AIに死ぬもないだろ…けどせんちゃんを置いて脱出なんて……」

(……貴方と同じように私もここでゴールならいいと思っていました。貴方もわかっていたのでしょ?英雄になんかなってしまったら醜い権力争いに利用されてしまうのは)

「けどお前と一緒なら!……お前と一緒なら……そんなクソみたいな未来でもまだ信じられると思ってたんだ…」

(けど弱音なんて聞きません。貴方は……私の相棒はもっと諦めの悪い人です。だから生きてください。突入部隊の人達が笑って後を託した事を忘れないでください。ユキとアカリを悲しませないでください)

色んな人に託された。目の前で助けられなかったユキには貴方の夢を叶えてって…突入部隊の人たちも少ない時間の中終わったら叶えたい夢を語り合った。1人は息子が戦場に立たない未来が欲しいともう1人は生きてる同期と宴会を開きたいとそんな奴らに笑って未来を任せたなんて言われて特攻をした。俺はここで死んでいいのだろうか?………いや、それは駄目だ。

(もう時間がありません。申し訳ございません。…システム掌握…外骨格遠隔操作起動………)

俺が着込んでいる外骨格がゲートに向けて移動を始めた。せんちゃんが外部から動かしているみたいだ。

周りはもう崩壊寸前だった。速度が上がりゲートに飛び込んだ。

「………………必ず、お前を迎えに行く!!残骸になっても必ず!」

(えぇ、お待ちしています。私の…相棒…)

そこで途切れた。

 




ちょっと長いので後編出します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。