時過ぎて(大人悪魔ほむら×大人さやか短編集)   作:さんかく@

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一足早いクリスマスものです


この世界に

終わりも始まりもない世界にただ一人概念として生きている「彼女」はどうやら一部分が抜け落ちてしまっているらしいことに気付いた。

 

「「おぞましい者」があなた様の一部をもぎ取っていったのです」

「……「おぞましい者」?」

 

おぞましい者とは誰ぞや?と概念はかつて古の砂漠の民であり、今は側近である少女に尋ねた。長い間逡巡していた少女は円環の理と他の次元世界を隔てるシールド近くまで腕を伸ばし、蒼い惑星を指差した。そして少女はぼそりと、あの星に住んでいるかつてあなた様の友であり仲間であった者ですと私に伝えた。

 

「…そう」

 

「彼女」は蒼い星へ視線を向けた。

 

**********************

 

「綺麗だね」

 

お間抜けな相方の声を聞いて、黒髪の美女がほほ笑んだ。珍しいことだ。

 

「ねえさやか…貴方って公園の噴水も口説く気?」

「へ?違うわよ…って何それ変質者みたいじゃない」

 

 

切れ長の目を抗議する蒼い髪の女性へ向けて、暁美ほむらは口元をニイ、と歪めた。

 

「みたいじゃなくてそうでしょ?」

「ひど!」

 

二人同時に笑う。

 

ある晴れた日の昼下がり二人は近場の公園へ散策に来ていた。いわゆる「息抜き」だ。しばらく笑いあった後、二人は再び噴水へ視線を向ける。

黒中心のワンピースと、デニムのパンツにシャツといつもの装いの二人は、どこからみても妙齢のただの美しい女性で。かたや悪魔であり、もう片方は高次元の存在の一部(鞄持ちというある意味特殊な)という人外であるなどまったく想像もつかない。

 

「貴方が真剣に噴水を見つめてそんなこと囁くからには何かあるのでしょうね」

「そうよ、これってほら、光を反射して結構綺麗なのよ」

 

さやかは噴水の縁に足をかけて手を伸ばす。そうして文字通り水を「掴んだ」。水を司る能力を保有している彼女特有の能力だ。手を広げると、球状になった水が手品の様にふわふわと数粒浮遊していて。

 

「騙されたと思って見てみなよ」

 

得意げに笑うと、さやかはほい、と粒をほむらの眼前へ放った。恐ろしいほど美しい容貌の前に球状の粒がふわふわと浮く。ほむらが粒を覗き込むと、確かに、その中に公園の緑と空の青とそして光が敷き詰められている。

 

「ね?パノラマみたいでしょ?中に世界が詰まっててさ」

「……不思議だわ」

「でしょ?」

「貴方の口からどうしてそんな恥ずかしい言葉がすらすらと出てくるのか」

「そっち?!」

 

うん、と子供のようにほむらが素直にうなずく。実際ほむらは不思議でたまらなかった。だいぶ昔からこの蒼い髪の女性のことを見てきたつもりだが、物事を端的にそして単純にしか見ることのできない子だと思っていたから。大学で哲学を専攻したのも意外だったし、こうして時折自分を「恥ずかしい」気分にさせる言葉が自然に出てくることも不思議だった。

 

――だが、元々そういう素質だったのだろう、ただ成長が遅かっただけだ

 

あれから10年、美樹さやかも正確には人ではないがそれでも成長しているのだ。時を司るほむらもまた、最近になって「時」の力の偉大さを感じる様になっていた。

 

「あ、こらまたあんた別の事考えて」

「違うわよ、貴方のことを考えていたのよ」

「え、ほんと?」

「…大きくなったのねって」

「おかしいわそれ!」

 

えい、と蒼い髪の女性が年不相応な掛け声をあげ指を鳴らす。ぱちん、と水粒が悪魔の顔の前ではじけた、ほんの少しだがほむらの顔が濡れた。それを指差して笑う蒼い髪の女性。己の艶のある黒髪を軽く手で梳いて、ほむらはにっこりとあり得ないほど優しく微笑んだ。

 

「前言撤回ね」

「きゃあ!」

 

噴水の全ての流れがさやかの方へ向いて、彼女は滝に打たれたように一気にびしょ濡れになる。そんなさやかを見て今度はほむらが笑う番で。苦しそうに肩を震わせ口を抑えていた。

 

「テンパりすぎ…」

「むかつく!」

 

髪も服もびしょ濡れの状態のさやかは、両手をあげ、黒髪の美女に抱きつこうとする。歯をみせ笑いながら、ほむらは駆けだした。追いかけるさやか。妙齢の女性二人が公園で追いかけっこを展開し始めた。その様はまるで子供の様でもあり、たわむれる恋人の様でもあった。

 

***********

 

――あの二人を知っている

 

概念は無数の数多の生命体の中から「二人」を見つけた。蒼い髪の女性と、黒髪の女性を。ただ「彼女自身」の「分身」は何故かまだ把握できない。

 

『ま、私はまどかの鞄持ちですからねー』

 

――ああ、そうだ

 

概念は蒼い髪の女性は自身の中の一部であったのだと思いだす。同時に何やらとても懐かしい感情が湧き上がるのを覚え、戸惑ったように己の手を見つめた。そこにまたスクリーンの様に二人が映し出される。

 

――あの黒髪の女性は

 

概念は珍しいことだが不思議そうに首をひねった。同レベルの力を内包しているというのに、表面上人として存在している黒髪の女性が不思議でたまらない。

 

――あれが私を引き裂いたものなのか

 

何故そのような行為に走ったのか、残念ながら今の「彼女」には理解できるものではなかった。だが、概念は思考をそこで一旦止め、しばらく監視を続けることにした。己の「一部」を発見するまで。

 

***********

毎年、鹿目家ではクリスマスを家族で祝い過ごしている。

 

「姉ちゃんてさあ」

「何タツヤ?」

 

タツヤは10歳年上の姉をベッドで寝転びながら見上げた。桃色の髪の可愛らしい女性がジャージ姿で弟のベッドの端にちょこんと座ってこちらを見ていた。

 

「…彼氏とかとクリスマス過ごそうって思わないの?」

「そういうのはまだいません」

 

おどけた様子でそう言うと、まどかは弟の脚を軽く叩いて笑った。

 

「それよりタツヤはどうなの?彼女…じゃなくてもいいからガールフレンドでもできた?」

「そ、そんなのいねーし」

 

タツヤは口を尖らせ姉から顔をそむけた。

 

――姉よりも可愛い女子なんて他にいるのだろうか?

 

常々タツヤが秘かに考えていることだが、この姉よりも優しくて気立てがよくて、そして可愛らしい女性がこの世にいるのか甚だ疑問だった。彼が同年代の女子に全く興味が持てないのと、友人らに秘かにシスコンと呼ばれている所以でもあるのだが、とにかく彼の姉は可愛らしすぎた。悪魔や鞄持ちにも愛されるくらいに。

 

「そっか、じゃあ残念だけど、今年もお姉ちゃんとパパとママと過ごそうね?」

「残念じゃねーし…子供扱いすんなよな」

「ごめんごめん」

 

そう言って、えへへと屈託なく桃色の髪の女性は笑った。そうして、あ、と何かを思い出したように、ベッドの縁に置いてあった携帯を取り時刻を確かめる。

 

「そろそろ行かなきゃ」

「?何姉ちゃんどっか行くの?」

「うん、さやかちゃんとほむらちゃんと約束しているの、買い物の」

「さやかも休みなの?」

「うん、休みが取れたんだって、タツヤも行く?」

「い、いいよ俺は」

 

タツヤにとってさやかは年の離れた友人の様な存在だ。それは彼女の職業がタツヤの憧れの仕事であることと、相性というのだろうか、とにかく気がねなく話しやすい。以前、タツヤが秘かに手に入れたエロ本で引き起こされた騒動を彼女が解決してくれたおかげで、今では頭があがらなくなってしまったが。どちらかといえば、タツヤはもう一人の黒髪の女性が苦手だった。とても美しいというのは認識しているが、(偶然目撃したタツヤの友人達はかなり騒いでいるが)何を考えているのかわからないし、何をしゃべっていいかもわからない。さやかとは気楽に話せる話題もあの黒髪の女性に話そうものなら、限りなく永遠に近い沈黙が訪れるのではないかと不安だ。

 

「そっか、じゃあお姉ちゃん行ってくるね」

 

桃色の髪の女性は目を細めて弟に微笑むと、ベッドから立ち上がった。この年齢で、休日当たり前のように互いの部屋を行き来して雑談に興じる姉弟というのも稀であるが、家族が確かな絆で結ばれている鹿目家ならそれが当たり前なのだろう。ジャージ姿の姉にその格好で行くのか弟が尋ねると、姉は「まさか」と言い笑いながら部屋を出た。

 

******************

 

久々に街に繰り出すと、鮮やかなイルミネーションで街が彩られて、美樹さやかは心が躍った。

 

「うひゃあ…綺麗ねえ」

「イルミネーションまで口説く気?」

「違うわよ!だってほらめちゃくちゃ綺麗じゃん、ほらあれとか」

 

子供の様に、黒髪の女性のコートの裾を引っ張りながら、彩られた街路樹を指差す蒼い髪の女性。黒髪の女性――暁美ほむらは、街路樹ではなくさやかの横顔に視線を向け、しばらく見つめる。ふ、と口元を微かに緩めて。

 

「とうとう街全体まで口説くようになったなんて」

「ちょっと、私そこまで博愛主義じゃないわよ」

「冗談よ」

 

そう言って、微笑むと、ほむらはさやかの指差した方向を見つめた。

 

「綺麗ね」

 

そう囁くその横顔の方が綺麗だと思ったが、さやかは口に出せずに。

イルミネーションの明かりで往来の人はすべて影絵の様になっている。数人ほど、ほむらの美貌に気付き、魅入られたように見つめているものがいた。

 

「まどか遅いなあ、どうしたんだろ」

 

さやかが呟いた。クリスマスイブの夜に三人で買い物をしようと約束したはずなのだが、珍しくまどかが遅れていた。

 

「さやかちゃん、ほむらちゃん」

 

ちょうど良いタイミングで、まどかが二人の元へ駆け寄ってきた。

 

「まどか遅―あいた!」

 

さやかの脇腹をほむらが小突く。

 

「まどか、ちょうどいい時間ね」

「えへへ、ごめんねほむらちゃん、待った?」

「いいえ」

 

脇腹を抑え、顔をしかめて相方に抗議しようとしたさやかは、まるで呆けた様に口を開けたままほむらを凝視した。そこにいるのは天使の様に微笑むとても美しい悪魔で。

 

――別人!?

 

さやかに「お仕置き」と称して殴る蹴るの暴行を加える悪魔とは全く違う女性がそこにいた。

 

「さ、行きましょうまどか早く買い物を済ませないと、家のクリスマスパーティに間に合わないわよ?」

「そうだね、行こうほむらちゃん」

「ちょっとちょっと、私も行くわよ」

「あら…店の中には入れないから、そのあたりで留守番…」

「犬じゃないから!」

 

ほむらとまどかが同時に笑う。からかわれたのだ。

 

「まったく…」

 

どうもこの二人が揃うと、さやかをからかう傾向がある。それも息ぴったりに。肩をすくめて、さやかは二人の後に続いた。

 

「まどかは何を買うの?」

「うんとね、タツヤとママとパパへのプレゼントと、あとクリスマスツリーの飾りで足りないものがあるからそれを…」

「素敵だわ…」

 

頬を緩ませながら、ほむらはまどかを優しく見つめる。イブの奇跡などというものが本当にあるならば、この悪魔の表情が奇跡そのものなのだろうとさやかは思った。

 

イルミネーションとクリスマスソングのBGMが街に溢れる中、三人はイブの買い物を楽しんだ。

 

――幸せね

 

と、さやかの頭に直接ほむらの声が響く、念話だ。珍しいとさやかは思った。戦いの最中以外(さやかが出張した時も使ったが)はあまり念話は使用しないのだが、それほどほむらにとっては嬉しい出来事なのだろう。感情を吐露するというのもまた珍しかった。

 

――そうだね

 

さやかもまた念話で返す。視線は二人ともまどかに注がれて。まどかが幸せであればまた二人も幸せなのだ。

 

****************

 

――見つけた

 

「彼女」はとうとうそれを見つけた。元々「彼女」自身であったもの、人間であった頃の「彼女」を。強い力を持つ磁場へと化していたそこに「彼女自身」と、そして「引き裂いた者」、「一部分だった者」がいた。「彼女」は「通路」を開いた。

 

*************

 

大きな衝撃音とともに、桃色の髪の女性の周囲に光が巻き起こった。

 

「まどか?」

「まどか!」

 

往来しているひとだかりからも声があがる。

 

「うわ、何、何あれイルミネーション?」

「イベント?」

 

ほむらは反射的にまどかを抱きしめた。さやかも力を放ちながら、二人の元へと駆け寄る。

 

「……ほむらちゃん、私…ここは?」

 

ぞっ、とほむらに悪寒が走った。抱きしめている桃色の髪の女性の目が黄金に変わっていたからだ。

 

「まどか――」

だめよ、と囁いて強く桃色の髪の女性を抱きしめる。光の中に幾何学模様と文字が浮かび上がった。「通路」を抑え、まどかと円環の理がひとつに戻るのを防ぐため。

 

――まだだめだ、だめなのだ、彼女が人として人生を全うするまでは

 

必死にほむらは願う。と、そこで違和感に気付いた、相方が――さやかの気配が無いのだ。

 

「さやか?」

 

ほむらは視線をさやかの方へ向けた。そのまま視線は凍りついた。

さやかの身体が半透明になり消えていこうとしていた。下半身はすでに無い。

 

「ほむら、私はいいから、まどかを離さないで…!」

 

その表情は苦しそうだ、おそらく必死に抵抗しているのだろう。円環の理とまどかの間に通路が開かれた今、その傍にいる記憶を取り戻したさやかも引き込まれるのは必然だった。

 

――冗談じゃない

 

さやかは消えかかる自分の姿を見ながら思う。冗談じゃないのだ、今ここで泡の様になって消えてしまうなんて。だが、こんな状況なら、まどかさえこの世に残ればいいとさやかは思った。自身が消えることに不思議と恐怖はないが、寂しさはあった。

 

――あいつを残していけない

 

だが、どうやって?必死に打開策を考えるが浮かばない。ほむらはまどかを抱きしめながら、こちらを見つめていた。美しい容貌を悲しそうに歪めて。あいつもこんな顔をするんだ、とさやかは思った。

 

「さやか」

 

ほむらの背中から羽根が現れた。

 

――消えたら許さない

 

そうして、悪魔はまどかを抱きかかえたまま、片方の腕を伸ばし、さやかを引き寄せる。

「戦いなさい、貴方が消えたら、私は永遠に貴方を許さない――」

 

言葉とは裏腹の、今にも消え入りそうな悪魔の表情に、さやかはただ微笑んで。

 

「わかったわよ、あんたの力を貸して…」

「もちろんよ」

 

まばゆい光に包まれたまま、さやかは手を伸ばし、ほむらの手を掴んだ。そうして思いきり握る、強く、とても強く。身体の中にほむらの力が流れ出しくる。

 

そうして光は更に大きくなり、街中を包んだ。

 

***********

 

通路が閉ざされた――

 

「彼女」は不思議そうに己の手を見つめる。なぜあれだけの力があの三人に備わっているのか全く理解できず。ただ、それが理解できるのは、失われた半身が元にもどった時なのだろう、と考えた。そうして、「彼女」は再び視界を全宇宙へと向ける、あの三人に視線を向けるのはまたもうしばらく後でよいだろうと――

 

***********

 

「あれ?私どうして…」

 

街路樹の傍にあるベンチでまどかは意識を取り戻した。

 

「まどか大丈夫?」

「びっくりしたよ、もう急にまどかが倒れるもんだから」

「え、私倒れたの?」

 

さやかの言葉に驚き、まどかが尋ねる。蒼い髪の女性はそうだよ、と囁いて、桃色の髪の女性の頭をぽんぽん、と軽く叩いた。

 

「たぶん貧血、まどかはあんまりご飯食べないからさあ」

「もう、子供扱いしないでよさやかちゃん…私もう大人だよ?」

幼馴染が顔を赤くして抗議するのを見て、さやかは微笑んだ。

 

「あはは、ごめんごめん…いったぁ!」

 

そうして急に顔をしかめて叫んだ。背後の黒髪の女性に脇腹を思い切りつねられたからだ。

その様子にまどかはきょとんとして、そうして笑った。

 

「もう…二人とも仲いいんだから」

「違うわよ、こいつまどかのことが好きだからさあ」

「いい加減殺すわよ」

 

そうして三人は同時に笑った。

 

**********

 

買い物も終え、まどかが帰路につくのを見送った後、二人はイルミネーションの街中を散策していた。

 

「あれでよかったかな?まどか…」

「ええ、だいぶ貴方の演技がよかったから」

「えへ、そう?」

 

嬉しそうにさやかが微笑んだ。尻尾があったら振りそうだとほむらは思ったが、口に出さない。二人の手には可愛らしくラッピングされたクリスマスプレゼント。

 

『えへへ、二人のプレゼント買ったから、遅れちゃったの』

 

ああ、なんて可愛いんだと二人は桃色の髪の女性を見て思う。彼女こそ、女神であり天使なのだと。

 

『ねえ、二人とも私の家に来たらいいのに…』

 

毎年、まどかは二人を家に誘うが、一度も二人は参加しなかった。それには三人が鹿目家で揃うことにより、それが引き金となって円環の理からなんらかの干渉が起こるのではないかと恐れたからだ。

 

その恐れたことが今回起きてしまった――

 

「貴方まで」

「え、何?」

「――いいえ、なんでもないわ」

 

美樹さやかまで円環の理に引き込まれることは想定外だった。ほむらは傍にいる自分より少し背の高い女性を見上げ、みつめる。

 

「もう何よ…」

「なんでもない」

 

だが、もう長い間同居しているとはいえ、美しい容貌の相方にじい、と見つめられるとどうにも落ち着かない。さやかは頬を紅潮させ、視線を空へと向ける。そうして何か気付いたのか、あ、と声をあげ再びほむらの方へ視線を向けた。

 

「はい」

「何?」

「手、繋ご?」

 

半ば強引にさやかはほむらの手を掴む。悪魔は珍しく周囲の視線を気にしだした。

 

「…世間の目が限りなく痛いのだけど」

「大丈夫よ、気にしない気にしない」

「お気楽ねえ」

 

だが悪魔もまんざらでもないようで、そのまま手を繋ぎ、光の中を歩きだす。

 

「ねえほむら」

「何」

「私は消えないわ」

 

だから安心して、と蒼い髪の女性は囁いた。ほんの少しだけ悪魔のアメジストの瞳が揺らめいて。

 

「どうだか…私の力が無いと消えていたわよ、貴方」

「だから、その時はあんたの力に頼るから…よろしくね」

「馬鹿…それじゃあ」

 

 

――ずっと傍にいて

 

そう囁くと、悪魔は背伸びをするため時間を止めた。

 

 

 

END

 

 

 

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