六等星は強い光の下で輝く   作:大仏の暇つぶし

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第十話 サッカーサイボーグ

 

試合当日。俺たちは会場である御影専農中専に来ていたのだが

 

「ここって・・・農業の学校だったよね・・・」

「はい!正式名称は御影専修農業高校附属中学校です!」

「見えるのは畑じゃなくてクソデカいアンテナなんだけど・・・」

「どうやらAIなどの最新技術を活用して建物内で工程の全てを完結しているらしいです。科学の力ってすごいですね!」

「ホントに中学校かよ・・・」

 

俺はそんなことを音無から聞いていた。あの日以来、音無は前よりも俺に懐くようになって一緒に話すことも多くなった。何を勘違いしているのかそれを見て部員たちがにやにやしながら見てくるので正直複雑な心境だが先輩としては後輩から胸の内を明かしてもらうのはうれしいものだ。なんか頼ってもらってる気がするし

 

ちなみに修練場での特訓以降の練習は音無の監視付きで認めてもらった。俺のオーバーワークを防ぐための措置だったが音無は映像を撮ってくれたり割と的確な指摘をしてくれるので一人で練習するよりも効率は良かった

必殺技に関しては完成はしなかった・・・・というよりは撃てないと言った方が正しいか。

音無にも使わない方がいいって言われたからなるべく使わない方向で行こうとは思う

 

 

 

 

 

 

「さあ!いよいよ始まります。フットボールフロンティア地区予選、2回戦!我らが雷門中に対するは近年メキメキと頭角を現してきた御影専農中!その実力はあの帝国学園にも負けていないとのこと!さあ!雷門中はこの強敵にどう挑んでいくのか!?実況は私、雷門中将棋部の角間桂太がお送りします!!」

 

毎度おなじみ角間の実況が入る。てか、もしかして近くにあるあの自転車で移動してきたのか?同じ東京ではあるけどバスで20分ほどはかかる場所だぞ?すごい根性だな

 

 

 

「皆!!疲れは残ってないか?」

「まあ、何とかな」

「大丈夫だ!練習は裏切らない!俺たちはこの一週間死に物狂いで特訓してきたんだ。絶対に勝つぞ!!」

『おおーーーー!!』

 

円陣での円堂の鼓舞がチームを盛り上げる。やっぱ雷門はこうでなくちゃな

そして両校ともにスタメンが発表された

 

 

雷門中

 

 

FW  豪炎寺 染岡 天野

 

MF  少林寺 半田 松野

 

DF  風丸 壁山 影野 栗松

 

GK  円堂

 

 

こちらはいつも通りのフォーメーションで土門と目金、宍戸はベンチだ。正直俺は土門がスタメンでもいい気がするんだけど土門が遠慮するんだよな・・・

 

 

 

御影専農中

 

FW  下鶴 山岸

 

MF  山郷 大部 寺川 藤丸

 

DF  花岡 室伏 弘山 稲田

 

GK  杉森

 

 

御影専農中は4-4-2のフォーメーションだが特徴的なのが碁盤の目のように規則正しい配列であることだ。そして選手それぞれの頭に何かついておりコードが伸びている

 

「不気味なやつらだ」

「尾刈斗中とはまた違った怖さがあるな」

 

両校の選手がポジションにつき試合開始が迫る。試合は雷門ボールで開始した

しかし、こちらが攻め上がっても御影専農中の選手たちは微動だにしない

 

「なめやがって!!」

「こないならこっちから行くぞ!染岡!」

 

俺は染岡からパスをもらってゴール前まで切り込む

あいてDFがかなり下がっているので一対一ではないがそんなことは関係ない

 

「ぶち抜く!!スターダストランス!!」

 

練習の成果もあり前よりも手ごたえがあった・・・どうだ?

 

「ディフェンスフォーメーションγ4」

『了解』

 

すると俺のシュートの軌道上にDFが集まり蹴りを加えてシュートの威力を削いでいく

そして威力のなくなったシュートを杉森は難なくキャッチした

 

「くっ!」

「前よりも力を上げたようだが想定の範囲内だ・・・シュートポケットを使うまでもない」

 

杉森はそう言って前線にパスを出す

やはり駄目なのか。俺のシュートでは・・・・

 

 

 

御影専農中の正確なパス回しは俺たちが取れないぎりぎりであっという間にゴール前まで運ばれる

そしてボールはエースの下鶴へと渡った

 

「パトリオットシュート!!」

 

下鶴が蹴り上げたボールは空中で停止した後ミサイルのようにゴールに向かう

これがあいつ独自の必殺技か・・・

それに対して円堂は

 

「もうゴールはわらせない。熱血パンチ改!!!」

 

円堂は進化させた熱血パンチで見事にはじき返した。しかしその先にはもう一人のFW山岸がいた

 

「データ通りだ・・・・サイコショット!!」

 

そしてボールに触るとそれを念力で操りシュートを放つ。熱血パンチを撃った直後の円堂は反応することができずに得点を許してしまった

 

「ゴオオーーーール!!御影専農中の見事なカウンターで先制点を取りました。雷門中にとっては痛い失点となります!」

 

「すまない!取られちまった」

「いいんだ円堂。俺らも相手のFWに好き勝手させちまった」

 

悔しがる円堂を風丸が落ち着かせる。さすがに正確なサッカーをする。でも、さすがに胸糞が悪い

このままで終わっていいはずがない。データ通りにいかないってことを見せてやる

 

 

試合再開そうそう俺はドリブルで前線に上がる

シュートが駄目ならDFをはがしてパスだ

 

「行くぞ!月光ドライブ!!」

「!!。データよりも速い」

 

相手選手が何か言ったようだが関係ない。俺は次々に抜き去りDFを引き付け

 

「いけ!豪炎寺、染岡!!」

 

俺は染岡にパスを出す

 

「ドラゴン・・・」

「トルネード!!!」

 

「シュートポケット!」

 

杉森はシュートポケットで応戦する・・・すると

 

「なんだ?このパワーは」

 

杉森はキャッチしそこねはじいたボールは上空に上がる

そこに走ってきたのは壁山だ

 

「豪炎寺センパイ!」

 

壁山は飛び上がり豪炎寺もすぐさま合わせる

 

「イナズマ落とし!!」

「!!やはりパワーがデータ以上だ・・・・ロケットこぶし!!」

 

杉森は新たな必殺技で防ぐ。なんてキーパーだ。俺たちの連携技を全部止めやがった

しかもはじいたボールが御影専農中の選手にわたる

さっきと同じ展開だ。しかも今回は壁山が前線に出てるから防御力は下がっている。このままじゃ・・・

 

しかし御影専農中がとった行動は予想に反するものだった

それは攻める様子もないパス回し。要は時間稼ぎである

俺は杉森に詰め寄った

 

「どういうつもりだ!!」

「どういうつもりもこれが勝つために必要なことだからだ」

 

杉森は相変わらず表情を変えずに話す

 

「君たちは我々のパスをカットすることはできない。奪ったとしても君たちのシュートでは俺の技を超えられない・・・つまりは君たちの負けだ」

「勝手に決めんなよ!!」

 

最初から結果が決まっている試合なんてあるわけがない。

どんなに劣勢になってもあきらめなければ勝つ可能性があるから楽しいんだ。少なくとも俺たちはあきらめなかったからここまでこれたんだ

 

「教えてやるよ・・・本当のサッカーを!」

「・・・・行ってる意味が分からない」

 

そうこうしている間に前半が終了する

結局あの後は相手からボールを奪うことができず、このままでは杉森の言うとおりになるんだろう

でも、そんなことはさせない

そんなことをベンチに座りながら考えていると

 

「天野センパイ・・・」

「音無・・・水か?サンキューな」

「・・・・」

「ん?どうした?」

 

音無は俺をまっすぐに見つめていた。

 

「センパイ、あの技をやるつもりじゃ・・・」

 

やっぱバレてるな。音無が言っているあの技ってのは試合前まで練習していた新しいシュートだ

完成間近まで言ったがシュートを撃ちだすときにボールにため込んだエネルギーが大きすぎて俺がはじかれてしまった。練習の時は怪我をしてはいけないと思い自分から逃げたので助かったのだがもしもあのまま打ち出していたら相当な衝撃が俺の足を襲うだろう

それならとためるエネルギーを減らそうともしたのだがこの調整が難しかった

弱くしようとするとスターダストランスよりも明らかに威力が落ちてしまい使い物にならない

だから本来であれば俺が特訓してもっと強くなってから使いたかったのだがそうも言ってられない

だから音無には悪いけど使わせてもらう

 

「・・・安心しろ。俺だってここで再起不能にはなりたくないからな」

「そう・・・ですか。少し安心しました」

 

ごめんな音無・・・でも、こんなところで負けるわけにはいかないんだ

だから・・・・

 

「皆・・・・ごめん・・・」

 

俺は誰にも聞こえない様にボソッとつぶやいた

 

 

 

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