六等星は強い光の下で輝く   作:大仏の暇つぶし

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第十二話 天野一家の日常

翌日、俺は無事に退院することができた

まあ、帝国戦後同様に松葉づえは手放せないんだけどね

俺は職員室に顔を出し入院した分の諸々の申請を出した後部室へと向かった

しかし部室にいたのはマネージャーたちだけで

 

「おはよう!」

「天野センパイ!よかった!退院できたんですね」

「ああ、心配かけたな」

 

 

音無は笑顔で俺に抱き着いてくる

正直、恥ずかしさもあるけど今まで心配かけっぱなしだからこのくらいは何でもない

 

「そういえば、皆いないけど」

「あー・・・円堂君たちはね・・・メイド喫茶に行ったの」

 

俺がそう聞くと木野は若干顔を赤くして教えてくれた

 

「なんでそんなところに?」

「音無さんが昨日の試合結果を皆に教えたの。そして秋葉名戸学園のことについて調べた時に彼らがメイド喫茶に入り浸っていたことが発覚したの。それで目金君が調べに行こうと提案したのよ」

 

ああ、あいつか。確かにそっち側の人間臭いもんなあいつ・・・

 

「それで?」

「以外にも円堂君が乗り気でね。皆で行く事になったのよ」

 

ああ、だからさっきから木野と雷門は表情が暗いわけね

多分円堂には悪気はないしおそらくマジで敵情視察でしかないのだけど、メイド喫茶はかわいい女の子にちやほやされる場所だからな

てかそもそも円堂は2人の好意に気づいていないわけだからそんなとこに気は回らんのだけど

とまあそんな理由で今日の練習は自主練という形をとっているらしい

マネージャーたちは片付けがあるというので俺も帰ることにした

 

「さて・・・・どうするかな」

 

いきなり練習無しだもんな。ここ最近毎日サッカーしてたからやることが無い

ちょっと前まではやる気をなくしていたのにな

そんなことを考えながら気づけば校門までたどり着いていた

しかし、特にやりたいことが思いつくわけでもなく

 

「・・・帰るか」

 

俺は帰路に就いた

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「あら、おかえりなさい。早かったのね」

 

家につくと母さんが出迎えてくれる

名前は天野陽子(はるこ)。スラッとした体形の美人で性格も明るい自慢の母だ

ちなみに40代ではあるが見た目がかなり若く、一緒に歩いている時に姉弟に間違えられたこともあるほどだ

 

「練習が休みになったんだ。他の皆は商店街のメイド喫茶に行ったみたいでさ」

「メイド喫茶?ああ!最近できたあそこね!」

 

俺は基本的に家族との関係はいい。それは積極的に話しかけてくれる母さんのおかげだったりもする

ちなみに家族構成は俺と両親に後は姉がいる

しかしまあ、父と姉は比較的常識人な母と比べると正直癖が強いのだ

 

「おお!星矢じゃないか!もう帰ったのか?」

 

扉が開いて家中に響くくらいの大きな声でそう言ったこのゴリマッチョが俺の父、天野雷斗(らいと)だ。

整体の仕事をしており俺の体のメンテナンスも行ってくれる。帝国戦での重症の治りが早かったのも父のおかげだったりする

というわけで頼りになる父なのだが一つ問題点がある

 

「お前はホントに怪我が多いな。だから筋肉をつけろと言ってあるだろう。筋肉があれば何でもできる!!はっはっは!!」

 

そう。父は俗にいう脳筋で筋肉で世の中の全てを解決できると本気で思っている人なのだ

俺は母似ではあるのでムキムキにはなっていないが昔から筋トレ後にプロテインを飲まされるなどされてきた

正直母似でよかったと心底思っている

しかし父はこれでもまだマシなのだ

大変なのはもう一人

 

「おかえりー!!マイブラザー!!」

「ね、姉ちゃん!?ぐああ!!」

 

階段から走って降りて来てそのまま俺に向かってダイブしてきたのは俺の姉、天野星空(せいら)。

現在はアメリカの大学に通っており現在は長い夏休みで帰ってきている

勉強もできスポーツ万能で容姿端麗、まさにパーフェクトな姉なのだが

 

「姉ちゃん!痛いから離れろよ!」

「嫌よ!うーん・・・星矢の汗のにおい・・・」

「いや・・・気持ち悪いから・・・」

 

見てのとおりの超絶ブラコンでド変態なのだ

昔から仲の良い姉弟ではあったが去年からアメリカにわたりしばらく俺と会えなくなった姉は長期休みでこっちに返ってくるとためた物を吐き出すように俺に甘えてくる

しかもアメリカンスタイルでスキンシップが多少強引になったことで余計に変態度が増した

 

「はいはい・・・星矢は怪我してるんだからそこまで!」

「えー・・・もうちょっといいじゃない」

「・・・・・」

 

姉がごねると母の表情が変わる

それに気づくと姉の顔色が悪くなる

うちは母が絶対権力者であり母に逆らえる人間はいない。父もそれを感じたのか青ざめていた

 

「いいわね?」

「・・・はい」

 

この家のバランスが取れているのは母のおかげだ。サンキュー・・・マザー

ともあれ家族紹介もほどほどに夕飯の時間となる

 

「そういえば、次は準決勝なんだろ?」

「うん。まあ、俺はこの通りだから出れないけどね」

「えっ!?今年はそんなとこまで行ってんの?去年帰ってきた時は大会にすら出れないって言ってたのに」

「そうそう。危うくサッカーやめるとこまでいったものね」

「ははは・・・」

 

そんなこんなで我が家は賑やかな家庭だ。

 

 

 

 

夕食も終わり部屋でくつろいでいると風呂上がりの姉が下着姿で部屋に入ってくる

 

「星矢!風呂空いたから入りなよ」

「あーわかっ・・・ってそんな姿で入ってくんなよ!!」

「えー!いいだろ?別に。昔っからこうしてたし」

「昔はよくても俺は中学生なの!思春期の男に見せちゃダメだろ!!」

 

姉は細身ではあるものの母と比べると胸と尻がデカく、いわゆるボンキュッボンな女性的な見た目をしているのだ。たとえ身内であろうと思春期でこれに興奮しない男の方が珍しいだろう

その後、俺は風呂に入りに行き姉も服に着替えたようだ

 

「まったく・・・いくら家だからって」

「別にいいじゃん!」

 

なんで姉は外ではあんなに立派なのに家ではこんななんだよ。おかげで気持ちが休まらないわ

 

「そういえばさあ」

「ん?」

「アメリカの中学生ですごくサッカーがうまい子がいるのよね」

「へえ・・・でも、世界ではそんな奴わんさかいるだろ?」

「でもね・・・その子は日本人なのよ」

「えっ!?マジか」

 

そんなのは初耳だ。後で木野と土門に聞いてみるか。あいつら帰国子女らしいし

 

「あっちではかなり有名で高校生になったらジュニアユース確実だって言われてる。名前は・・・・なんだっけ?」

「いや・・・そこを忘れんなよ・・・」

「ごめんごめん。でも、確かそのプレーからフィールドの魔術師って呼ばれてるのよ。いつか星矢も戦ったりしてね」

 

フィールドの魔術師か・・・

しかし遠い世界だな。俺はついこの前まで地べたをはいつくばっていたのだから

 

「ずっと先の話だよ・・・今はまだ地区の頂点にもたってないんだから」

「ふーん・・・星矢って真面目になったよね。昔はあんなに感情むき出しで世界一になるって聞かなかったくせに」

「そいつは俺がサッカーやりたての時だろ。色々知って現実を見る様になっただけだ」

 

小さなころは誰だって夢を見るもんだ。でも、帝国のサッカーを見せつけられたりしたから世界なんてずいぶん先のように思えてる

 

「ねえ・・・そうやってサッカーしてて楽しい?」

「はあ!?どういう意味だよ」

 

姉はさっきとは打って変わって真面目な表情で尋ねてくる

楽しいか?正直今はサッカーが楽しい。練習も頑張ってつらくて、それらもひっくるめて充実している

だから

 

「楽しいよ。ちょっと前まではやめようとも考えたけど今は皆で頑張って一試合ごとに戦っていく事に充実感を感じてる」

「そう・・・ごめん忘れて!多分私もアメリカに行って考え方が変わっただけだと思うから」

「そっか・・・」

 

何となく姉の考えは読めなかった。多分価値観が違うだけだろう。そう思いたい

しかし、何となくさっきの真面目な表情だけはしばらく頭から離れなかった

 

 

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