相変わらず描写べたで皆さんの想像に任せる所が多々ありますが
少しでも楽しんで頂けているのなら幸いです
何よりも筆者が楽しんで書いておりますので今後も温かい目で見守り下さい
秋葉名戸学園との試合から数日がたった
俺と豪炎寺の怪我も完治し今日から練習に参加している
次の相手はあの帝国学園だ
「よっしゃあ!!次は天野だ!来い!!!」
「行くぞ!!スターダストランス!!」
というわけで雷門イレブンは今日も元気に学校で練習中だ
嬉しいことにラグビー部は大会が終わったためグラウンドも使える様になっていた
しかし気になることもある
「ごめん!ちょっと先に帰るから」
そう言って走っていったのは土門
最近土門が練習中に早退することが多い気がする
心なしか入部したての時みたいな軽い感じも少なくなってる気がするし
少しケアしておこうかな
「おーい音無!!」
「なんでしょうか?」
「土門のことなんだけど少し気にしててほしいんだ。あいつ俺らにちょっと気を使ってるみたいだからさ」
「そうですかねえ・・・いつもの土門センパイのようですけど」
「俺の思い違いならそれにこしたことはないんだけどね・・・いっつも物陰に隠れてなんかやってるみたいだからさ。もしかしたら俺たちに話しづらいこともマネージャーになら話してくれるかもしれないし」
「うーん、分かりました。もしも次練習中にどこか行ったときには声かけてみますね」
「ああ、頼むよ」
ホントに思い過ごしであってほしいな。土門はいいやつだし疑いたくはないんだけど
天野たちが練習を続けている中
サッカー部の部室には土門がいた
「・・・これか」
土門が手にしているのはマネージャーたちがデータ管理に使っているパソコン
土門はパソコンを立ち上げてポケットから出したUSBをパソコンにさす
「皆のデータは・・・これか・・・・」
そして選手データが入ったファイルをクリックしようとするところで手が止まる
「なんで・・・こんなことしてんだろう・・・」
土門は悲痛な表情で画面を見ていた。入部した当初は雷門のデータを母校である帝国学園に送る為にサッカー部で活動していたのだが、円堂たちと過ごすうちに情が移ってしまったのだ
それは自分に寄り添ってくれる仲間たち、そして幼少期にアメリカで一緒に過ごした木野秋がいたことが大きく、もともと優しい人間であった土門はこの仕事がだんだん苦痛に変わっていった
「こんなこと・・・皆知ったら俺のこと軽蔑するよな・・・一緒にサッカーもしてくれないかな・・・・」
自然と土門の手はパソコンをシャットダウンする様に動いていた
そして、何も入っていないUSBをポケットに入れて部室を出て行った
浮かない表情で校門へと向かう。その途中にある学校のバスの車庫で物音が聞こえた為そちらの方に行ってみる
「誰です!?・・・・なんだ・・・あなたでしたか」
そこでバスの下に入り工具で何かをしていたのは冬海先生であった
土門は真顔になり
「ここで何をしていたんですか?」
「なにって・・・何もしてませんよ。あ、そうだ・・・このバスには乗らない方がいいですよ。ふふふ・・・」
そう言って去っていく冬海先生を土門はにらみつけるも同じ立場ゆえに何も言えない自分に腹が立ちこぶしを握り締める事しかできなかった
「俺は・・・一体どうすればいいんだ」
翌日の練習でまたもや土門の奴が練習を抜けて木陰の方に行ったので
「音無、頼めるか?」
「分かりました。行ってきます!」
さて、これで土門のことが少しでも分かればいいんだけど
「おーい!次は天野の番だぞ」
「ああ!今行く」
そのころ物陰では
「土門・・・雷門中の選手データは手に入ったのか?」
「いえ、まだです」
話している相手は帝国学園のキャプテン鬼道有人だ
「ならば急げ。総帥は一刻も早くデータを手に入れろと言っている」
「・・・・こんなこと、まちがってるんじゃないですか?」
「なに?」
「帝国はこんな小細工しなくても強いはずです!何もこんなスパイ行為をしなくたって!」
「それが総帥の意思で、勝つために必要なんだ。理解しろ!」
「バスに細工することもですか?」
「なんだと?」
土門がバスのことを言った瞬間鬼道が固まる
「冬海先生がバスに何かしらの細工をしていました。こんな下手をしたら命を奪うような真似までするんですか!?」
「・・・・」
「俺はこれ以上・・・帝国のやり方について行けません」
土門は絞り出したようにそう言った
バスの件に関しては鬼道も知らなかった事であった
「しかし、総帥の力で帝国は勝ち続けているんだ。今回のことは・・・」
鬼道が話している時だった
「お兄ちゃん!!」
鬼道のことを兄だと読んだのは音無であった
土門も事態が呑み込めていなかった
「春奈・・・」
「一体ここで何をしているの?今度は何を企んでいるの」
そういいながら音無は鬼道の腕をつかむ。すると鬼道は手を払いのけ
「俺たちは・・・・会ってはいけないんだよ」
「っ!!」
音無は悲痛な表情を浮かべ鬼道は振り返ることなく去っていく
その場に膝をつく音無を土門は見ていることしかできなかったがその心には決意がこもっていた
林の方から2人が帰ってくる。土門は心なしか迷いが晴れたような表情をしていたが音無の方が暗い表情をしている。いったい何があったんだろうか・・・・ちょっと声かけてみるか
「音無!」
「・・・・」
「おい!大丈夫か?」
「セン・・・パイ?」
音無の目は揺らいでいた。これはかなり精神的に来てるな・・・
よし!
「ちょっと疲れたからあっちで休憩する。飲み物を持ってきてくれないか?」
「へっ?」
「急ぎで頼むぞ!」
そう言って俺は木陰に向かった
ふふふ・・・我ながら自然に誘導で来たな。これで悩みを聞きやすい環境を整えることができた
それから程なくして音無が俺のスポーツドリンクを片手に現れる
「お、サンキュー!」
「・・・」
しかし音無はジト目で俺のことを見てきた。顔になんかついてるのかな
「センパイってこういう噓って苦手なタイプですよね?」
「は!?」
「私に気を使ってくれたんですよね・・・ごめんなさい」
その瞬間、恥ずかしさが襲ってきて顔が真っ赤になる。まさかバレていたとは
「ははは・・・俺ってそんな分かりやすいかな」
「はい・・・」
「参ったな・・・」
俺は後頭部をかきながら苦笑いする
「まあ、そうだな。なんか暗い表情してたから・・・なんかあったのかと思ってさ」
「別に何も・・・・」
そんなはずはない。普段は底なしに明るいのだからそんな表情をしてる以上何かはある。まったく・・・嘘をつけないのはどっちだよ
「分かりやすいのはどっちだよ。話してみろよ。今まで助けてもらってばかりだから少しでも助けになりたいんだ」
「センパイ・・・」
よし・・・後一押しだ。
この時俺の脳裏にある日の父と会話が浮かぶ
「星矢よ!男には女を守らねばならない時がある!!」
「どうしたんだよ・・・突然」
俺が中学生になったばかりのある日父からそんなことを言われたのだ。別に彼女ができたわけでもなかったのだが
「もし、お前の目の前で悩んでいる女の子がいたらどうする!?」
「え!?えーっと・・・」
「判断が遅い!!」
「マジでなんなんだよ!?」
よく分らないが父がいつにもなくまじめな表情をしていたため俺も真面目に考えた
「うーん・・・親身になって悩みを聞くとか?」
「星矢よ!女とは繊細なんだ!もしも話したくない内容や言葉が出てこなかったら?」
「そうなったらお手上げじゃね?」
「そう思うか?俺は違うと思う。そういう時、心の中では助けてほしいと切に願っているはずだ」
「ならどうすればいいの?」
俺は若干ついて行けないのもあって棒読みで聞いた。すると父は得意げに
「優しく抱きしめてやれ!もし、お前の目の前で悩む子が現れたのならそうやって必ず助けてやるんだぞ!」
「ふーん・・・まあ、そういう状況になったらね」
まさか、ホントにこんな状況になるなんてな。
俺はおもむろに立ち上がり音無を正面から優しく抱きしめる
「セ、センパイ!?」
「大丈夫、俺は音無の味方だ。どんな悩みだって正面から聞いてやるから・・・我慢しなくていいんだぞ」
「セン・・・バイっ!う、ううう・・・・」
音無は俺の胸のあたりに顔を埋め泣き出してしまうがこれでいいのだろう。
泣き止めばちゃんと話してくれるはずだ
しばらくして音無は泣き止むが顔を赤くして
「あ、あの・・・そろそろ大丈夫です」
「そうか・・・」
俺は音無から離れ木陰で並んで座る
「お兄ちゃんと・・・・・会いました」
「そっか」
おお、やっと話してくれた。父さんのいう事もたまには役に立つんだな
「そしたら・・・俺たちは会ってはいけないんだって・・・・拒絶されてしまって」
それなら表情が暗いのも納得する。音無のお兄さんは前に言ってたとおり本当に変わってしまったらしい。心のどこかではまだ大丈夫だと思っていたのだろうから悲しいだろうな
・・・てか、音無って土門のとこに行ったんじゃなかったっけ?
それでなんで音無のお兄さんがでてくるのだろうか
「あれ?音無は土門のとこに行ったんだよね?」
「はい。そういえばお兄ちゃんと土門さんが話してたかも・・・でも、気が動転しちゃってあまり覚えていないんです」
土門が音無のお兄さんと?一体どういう関係なんだろうか。そういえば音無のお兄さんってどこの学校なんだろう。来てるくらいだから同じ地区だとは思うけど・・・話の感じだと音無に会いに来たわけじゃないし・・・もしかして偵察だろうか。でも残っているのはうちと帝国だけだし・・・・帝国?
「音無・・・もしかして君のお兄さんって帝国の人なのか?」
「!!!」
違ってくれと願って聞いたことだが音無の反応を見るに当たりらしい。なんてこった。ということは土門が帝国と繋がっているってことにもなるじゃないか!!
「わ、私のお兄ちゃんの名前は鬼道有人といいます。ご存じのとおり帝国学園のキャプテンです」
「マジかよ」
あの、マントとゴーグルのあいつか!確かに優しかった人がああなったら誰でも困惑するわ
しかし、音無が話してくれたおかげで色々見えてきた。マジで帝国戦前でよかったと思う
「やっぱりお兄ちゃんは変わってしまったのでしょうか・・・もうあの時の優しいお兄ちゃんとは二度と」
おっと・・・まずは音無のケアからだな
「心配すんなよ。約束したろ?」
「えっ?」
「音無のお兄さんに会ったらガツンと言ってやるって。次の試合で目を覚まさせてやるさ」
「・・・はい!」
とりあえずまだ複雑な心境だろうけど最後の返事には力がこもっていたのでもう大丈夫だろう
後は俺が約束を果たすだけだ。
「よし!じゃあもどるぞ。皆に心配かける訳にもいかないしな」
「はい!」
さてと後は土門だな。出てきた時は表情が良くなっていたからプラスに考えるべきなんだろうけど・・・
どうする気だろ・・・あいつ