六等星は強い光の下で輝く   作:大仏の暇つぶし

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第二話 帝国が来た

「なあ豪炎寺!!昨日のシュートすごかったなあ」

「・・・・」

「サッカーやってたのか?木戸川清修って名門だもんな!!」

「・・・・」

朝のホームルームが終わった後円堂は豪炎寺を質問攻めにしていた

おいおい・・・そんなにしつこくやったら

そしたら案の定豪炎寺は何も言わずに立ち去った

「円堂、あんましつこくすると嫌われるぜ」

「いいや!俺はあきらめない。あいつはうちのストライカーだ!!」

「・・・勝手に決めるなよ・・・」

俺があきれていると扉からサッカー部員の一人である半田真一が入ってきて息を切らしながら

「おい!円堂、天野大変だ」

半田が言うにはサッカー部に練習試合の申込みがあったらしい

俺たちは急いで部室に向かうとそこには

「あら、遅かったわね」

そいつはこの学校の理事長の娘で2年生ながら生徒会長を務める雷門夏未だ。ウェーブのかかった赤い髪が特徴の美人で学校にファンクラブがあるらしい・・・ってそんなことはどうでもいい

「集まった所であなたたちに朗報よ。今度練習試合を組んだわ。相手はあの帝国学園よ」

「て、帝国う!?」

帝国学園・・・去年のフットボールフロンティアの覇者で40年もの間無敗の最強校だ

そんな名門校が何でうちなんかと・・・

「ええ、そうよ。そしてこの試合にもし負けた時は廃部にすることに決定しました」

「はあ!?ふざけた事言ってんなよ!!そんなことが許されると」

円堂が声を荒らげながら雷門に近づくのを俺が静止する。しかし、許されるのだ。この学校の理事長の権限は強い。しかもこの娘にはその権限のほとんどが渡されているのだ

「そっちの彼は分かっているようね。理事長が決めた事です。こんな弱小の部活がこれ以上うちの看板に傷をつけることは許さないと・・・分かりましたね」

「・・・・・ああああ!!分かったよ!!やってやる。絶対に帝国を倒してやるからなあ!!!」

 

 

 

「なあ、円堂」

「ん?」

「実際どうするつもりだ?」

帝国との練習試合は一週間後に決まったが如何せん時間が足りない

俺も帝国の試合は見たことがあるがえげつないの一言につきる

今の俺たちでは勝てる可能性は皆無に等しいだろう

しかし円堂は

「まあ、練習あるのみだろ。メンバーは何とかする。後3人だからな。まずは風丸あたりに聞いてみるか」

「風丸か。それはありかもな」

風丸とは陸上部に所属する風丸一郎太のこと。円堂や俺とは古い付き合いでサッカーも一緒にやったこともある。下手に未経験者を集めるよりは効果的か

俺たちはこうして部員集めに奔走することになる

 

 

 

 

「なあ、円堂」

「なんだ?」

「部員集めって難しいな」

「まあ、まだ初日さ。本番までには絶対に集めてやるぜ」

俺と円堂は鉄塔にある広場でパス練をしながら話していた

初日は風丸からはいい返事がもらえそうなものの他は全くダメ

そもそも雷門中は部活動が盛んでどの生徒も何らかの部活で活躍している

引き抜くのは難しかった

豪炎寺に至っては話を聞いてすらくれない。先ほどもここに豪炎寺がいた為捕まえて話をしたがサッカーはやめたと悲しそうな表情で言う為止めることができなかった

「よし、じゃあ今日も特訓するぞ!」

「おおー-!!」

とまあ反省はこのあたりにして特訓を始める

しかしまあ、この特訓というのが独特なものでダンプ用の大きなタイヤを使って行うのだ。円堂はキーパーの為木にタイヤをつるして振り子のようにしてそれを止める

俺は振り子のように動くタイヤの間をシュートで通すものでシュートのコントロールとスピードの強化にいいのだそうだ

ちなみにこれらの特訓は円堂の祖父によって考案されたものらしい

 

俺たちは一通り特訓を終えその場に大の字に倒れこむ

「はあー--!!今日もやり切ったな」

「だな。やっぱ円堂とやるのは楽しいわ」

本心だ。かなりキツイことをしてるが充実していて楽しい。

そこに来たのは長く水色の髪を後ろで結んだ風丸一郎太。俺たちを見ると若干あきれたように

「また無茶な特訓してるんだな・・・」

「風丸じゃないか!!」

「・・・・本気で帝国に勝つつもりなんだな?」

風丸の表情が真剣になる。円堂は

「当たり前だ!帝国には負けない!絶対に勝つんだ」

「そうか・・・」

すると風丸は円堂に手を差し出す

「お前のその気合・・・乗った!!俺もサッカー部に入るぜ!!」

「ホントか?風丸・・・ありがとう!!」

円堂は風丸の手をがっちりとつかみ涙を浮かべ感謝する

すると風丸は後ろを向き

「俺はやるぜ!お前たちはどうするんだ?」

茂みから出てきたのは先ほどの半田に強面で坊主頭の染岡竜吾、そして一年生で文字通り栗みたいな栗松鉄平、前髪と後ろで結んだ髪以外をそっている独特な髪形の少林寺歩、そしてとにかく体格のデカいアフロ壁山塀五郎と同じくアフロ頭で目が隠れている宍戸佐吉だ・・・・てか相変わらずクセの強いメンバーだよな・・・・とまあサッカー部の全員がいたわけで

「円堂・・・俺たち・・・」

「やっぱサッカーやりてえよ・・・」

「その特訓もなんかジーンときたでやんす・・・」

「キャプテン!!俺たちも一緒に特訓させてください!!」

そんなみんなの熱い思いに円堂は号泣し、

「当たり前じゃないか・・・大歓迎だよお!!」

こうして帝国戦に向け俺たちの士気は最高潮となり試合当日まで死に物狂いで特訓を行った

俺はというと

「必殺技?」

「そう。円堂もゴッドハンドとかいう技の特訓してたろ。でも、守るだけじゃだめだ。点を取る必殺シュートが必要だ」

俺が話しているのはマネージャーの木野秋。円堂と共に創部に携わった一人で面倒見がよく何となくオカン的な雰囲気のある女の子だ。どうやら過去にサッカーをしていた様で競技をよく理解したうえで良いサポートをしてくれている

「そうなんだ。頑張ろうね!次の試合」

「おう!」

かわいい女の子の応援はいつだって力になるものだ。さて頑張るとするか!

こうして俺は必殺技習得を試合当日までの目標としたわけだが残念ながら日数が少なく完成には至らなかった。

 

そして帝国学園との試合当日

俺たちは何とか11人そろえ試合に臨む

追加人員は飽きっぽいが器用なマックスこと松野空助と同級生ながら今まで存在すら知らなかった影野仁、運動神経皆無のウンチク眼鏡の目金欠流だ

まあ、最後の目金に関してはいらない気もするがこれで試合ができる

その喜びを切り裂くようにバカでかいエンジン音が雷門中に迫ってくる

そして校門前に戦車や戦艦を思わせるようなごつい車?が停車し扉から白煙を上げる。

そこから帝国の制服を着た生徒たちが道を作るように整列しその間を選手たちが歩いてくる

さすがは帝国だ。一人一人の雰囲気がまるで違う。でも、俺たちだって死に物狂いで特訓してきたんだ!

必殺技が無くてもやってやる!

 

 

「今日は来てもらってありがとうございます」

そう言って相手のキャプテンと思われる。ドレッドヘアにゴーグル、赤いマントとかなり特徴のある男に円堂が握手を求めるが

「・・・初めてのグラウンドなんでね・・・・少しウォーミングアップをさせてもらってもいいだろうか・・・」

「え、ええ。もちろん」

帝国のキャプテンである鬼道有人は円堂の事を無視して練習を始めた。

失礼な態度だが名門校であるがゆえにうちには興味がないのだろう。

・・・それならばなぜうちに来たのか・・・・考えてもしょうがないか。

 

 

帝国の動きは想像をはるかに超えていた。どの選手の動きも速く正確で非の打ち所がない

しかしそんな状況でも円堂は

「すげえ・・・でも、俺たちだって努力してきた!絶対に勝つぞ!!」

「おおおー―――!!」

さすがは円堂だな・・・よし!俺もがんばるとするか!!

 

FW 染岡  天野

 

MF松野 半田 少林寺 宍戸

 

DF風丸 壁山 影野 栗松

 

GK円堂

雷門はベーシックな1-4―4-2のフォーメーション

対して帝国は

 

FW 寺門  佐久間

 

MF道面 鬼道 咲山

 

DF五条 大野 辺見 万丈 成神

 

GK源田

帝国は中心を強化した1-5-3-2のフォーメーション

 

いよいよ帝国との試合が始まる

 

 

雷門ボールで試合開始となる

キックオフと同時に雷門は攻めあがる

俺は染岡とのコンビネーションで次々に相手のディフェンスを抜いていった

「へへっ、俺たちも中々やるじゃねえか」

「油断するな!そのままシュートまでもっていくぞ」

チームの調子はいい。主導権とれる!!

ボールは半田、風丸と後ろに下がった後、風丸が持ち前のスピードでオーバーラップを仕掛けそのままサイドからセンタリングを上げる。

「染岡!!」

「へへっ!ドンピシャだぜ!!」

そのまま染岡がダイレクトで合わせる。しかし

「ぬるいな」

キーパー源田は余裕でキャッチ。そのボールを鬼道にわたし

「俺の仕事はここまでだ」

「ああ」

その言葉に恐怖を覚える。いったい今から何が始まるのか・・・

「デスゾーン・・・・開始。」

鬼道の合図と共に佐久間、寺門、道面の3人が飛びあがり鬼道がボールを上げる

3人は同じ速度で回りながら3角形を作り出しエネルギーを蓄え

3人で同時に蹴った

「デス・・・ゾーーーン!!!」

紫色のまがまがしいオーラを纏ったボールが円堂に襲い掛かる。一度はキャッチする物の威力を殺すことができずにその体ごとゴールに叩き込まれた

あれが・・・必殺技か。実際に見るとビリビリきやがる・・・

何とか円堂も立ち上がるが帝国との差を改めて感じるものとなった

 

 

そこからは帝国の容赦ない攻撃が始まる。ボールをぶつけたり必殺技で雷門イレブンを一人ずつ倒していった

「サイクロン!!」

「・・う・・・・くう・・・・・うわあああああ」

強烈な風で半田が飛ばされ

「アースクエイク!!」

「うわあああでやんす!!」

栗松たち1年生が地面にたたきつけられる

マックスや影野、風丸、染岡も相手にボールを当てられでノックアウトされた

立っているのは俺と円堂のみとなっている。得点は0-15しかもまだ前半だった

それでも円堂はあきらめていなかった。だからこそ

「あ、あきらめねえ・・・ぞ!!」

「まだ息のある選手がいるようだな・・・キーパーは最後だ。あいつを引きずりだすためにまずはお前からだ!!」

あいつとはいったい誰のことだろうか?いや、考えてる暇はないな

そこから俺は帝国の総攻撃を受けることになる

「サイクロン!!」

「ぐうう・・・・」

「アースクエイク」

「ぐあああああ!!」

「ジャッジスルー」

「グフッ・・・」

強風に耐えても地面に突き上げられ立ち上がった所で腹にボールを蹴りこまれる

しかし運よく最後のジャッジスルーで俺にボールがわたった

「はあ・・・・はあ・・・俺の・・・ボールだ・・・・」

意識がかすむ。気を抜けば意識を失うだろう

円堂が心配そうにこっちを見る。ベンチでは木野がなんか叫んでて目金は恐怖におびえている。そりゃそうだよな・・・でもよ

「諦める訳には・・・いかねえー――んだよ!!!」

「なに!?」

俺は決死の覚悟でゴールに駆け出す

絶対にあきらめない。もうあいつを裏切らない。俺が・・・

「きめるんだあああああ!!!!」

俺の体から力が湧いてくる・・・これなら・・・決められる!!

「いくぞおおおお!!俺の必殺技あああああ!!!」

ボールを浮かしゴールに向けて強烈なジャイロ回転をかける

それは青い光と共にエネルギーを蓄え

「いけえええええええ!!!」

俺はそのボールに回し蹴りを加えた

そのボールは青白い螺旋状の光と共にゴールを襲い反応の遅れた源田の横をボールが通り過ぎゴールに突き刺さる

ピピイー――――

雷門が初得点を挙げた

静まり返っていた校庭は歓声に包まれ、倒れていた選手たちも立ち上がり俺の元に集まってくる。

「すげえぜ!天野!!」

「なんですか今の!!いつの間にそんな技を!!」

「ぶっつけ本番だったんだけどな・・・・決まってよかったよ・・・」

正直今すぐにでもぶっ倒れそうだがな。まだ倒れる訳にはいかない。

「ボールは・・・俺に回してくれ。雷門の反撃開始だ!」

後何発打てるか分からないけどやれるだけやってやる

 

 

 

そのころ帝国サイドでは

「あいつにあんな力があったなんてな・・・」

「クソッ油断した」

「天野・・・星矢か・・・思わぬ収穫だが目的はまだ果たしていない。あいつを引きずりだすまであいつらの最後の希望を壊してやることにしよう」

悔しがる源田をよそに鬼道はにやりと笑っていた

 

帝国ボールで試合開始となる。雷門メンバーは全員元気を取り戻し立ち上がっているが帝国の狙いはあくまで俺だった

他の選手はマークがつき動けずヘルプも出せないままシュートに近いキラーパスの嵐が俺を襲う

「ぐああああああ!!!」

ファールにならないぎりぎりのラインで徹底的に俺を痛めつめた

「サイクロン!!」

「アースクエイク」

「ジャッジスルー」

「があああああああ!!!!」

畜生・・・・ここまで・・・・なのか・・・

そして

「デス・・・ゾーン!!」

「うわあああああ!!!!」

俺に向けて放たれたデスゾーンに身体ごとゴールにねじ込まれる

正直もう立てないだろう。それだけのダメージだった

このたった数十秒の惨劇に会場からは悲鳴が上がり一部の女子生徒がもう見れないと逃げ出してしまっている

はは・・ここまで・・・かな・・・

「天野!!天野おおお!!」

「わりい・・・円‥‥堂・・・」

すると危機を悟ったマネージャーの木野秋が

「もう見てられない・・・円堂君!天野君をさげよう・・・目金君!!」

残っているのはベンチの目金だけ。しかし

「も、もうこんなのやだあああ!!!」

目金は泣き叫んで逃げ出し途中で10番のユニフォームを脱ぎ捨てる。敵前逃亡だった。

「そんな・・・」

木野がどうしていいか分からず涙を流す

まったく・・・やっぱ俺がやるしか・・・

「木野・・・俺は・・・大丈夫だ・・」

そう言って立ち上がろうとするが激痛が走り視界がゆがむ

「ガハッ・・・ゲホオ」

血を吐き出していた。でも、やらなきゃ・・・今俺が抜けたらチームが死ぬ

その時だった

会場がざわつく

「おい、あんな奴サッカー部にいたか?」

その方向を見ると10番の背番号を背負った豪炎寺が歩いてきて

「お、お前は・・・!!」

俺は豪炎寺に近づくと俺に限界がきて豪炎寺によりかかってしまう

「おい!大丈夫か」

「き、来てくれるならもう少し早い方がよかったな・・・もう・・・限界だ・・・」

「もういい!マネージャー!こいつを頼む」

俺は木野に肩を借りてベンチに引き上げる

フィールドでは

「豪炎寺・・・遅すぎるぜ!」

それに言葉は出さずとも少しの笑顔を見せる豪炎寺は頼もしく見えた

帝国サイドもどうやら豪炎寺が目的だったらしく

「ようやく出てきたか」

「へえ・・・あいつですか・・・」

そう言ってにやにやと笑っていた

俺はベンチに横たわると木野から応急処置を受ける

「サンキュー・・・木野・・・」

「もう!こんな無茶して!サッカーできなくなったらどうするのよ」

「わりい・・・」

木野の泣きながらの説教に俺はただ謝る事しかできなかった

 

 

ホイッスルで雷門ボールでスタート

しかしすぐに奪われ雷門ゴールに迫る

「見せてもらおう。最強のストライカーの実力を・・・デスゾーン開始」

鬼道が合図を出しデスゾーンが始まる。しかし

「よしっ!」

豪炎寺は円堂のフォローに入らず相手ゴールに駆け出した

それを見て円堂が腰を落とし気合を入れる

「あいつは信じてるんだ・・・俺がこのシュートを止めてボールをつなぐって!」

円堂の周りに黄色いオーラが放出する

「俺を信じた豪炎寺の為に・・・・自分の身を犠牲にしてまで俺たちに希望をくれた天野の為に、そして最後まであきらめないで戦ってるみんなの為に」

オーラはさらに増大し

「絶対に・・・とめるんだああああ!!!!」

「デスゾーン!!!」

強烈なシュートが円堂にせまる。円堂が手を天に突き上げると巨大なオーラの手が出現

「ゴッドハンドおおおおおお!!」

「なんだと!!」

鬼道はもちろん、味方サイドまで唖然とした。ボールは巨大な手の中に収まりしばし拮抗したのち円堂はがっちりとキャッチした

「よっしゃあああ!いけええ!豪炎寺」

円堂のロングスローは豪炎寺まで届くそのまま切り込みゴール前でボールと共に飛びあがり炎を纏って回転しボールをけりこむ

「ファイアトルネード!!」

キーパーの源田は反応できずにゴールに突き刺さった

豪炎寺は華麗に着地し円堂の方を見る。円堂は笑顔でサムズアップし豪炎寺も笑顔で答えるのだった

 

その後試合は帝国側の試合放棄で終了となり雷門の実質勝利となった

俺や円堂、豪炎寺がもみくちゃにされる・・・まあ、俺は寝たままやられたんだけど。ああ・・・痛い

その後救急搬送された俺は治療を受ける。後から聞いたことだが骨などに異常はなく強い打ち身による打撲と捻挫で入院は免れた。まあ、松葉づえは手放せないけどな

まあ、とにかく試合には勝った。これから始まるんだ。俺たちのサッカーは!

 

 

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