雷門中が帝国学園に勝利したことは瞬く間に知れ渡り
俺たちサッカー部は学校でも注目されていた。どうやら新聞部がこの前の試合を大々的に取り上げたらしい・・・・しかし
「これは・・・・どういうことだ?」
松葉づえ姿で学校に登校した俺は女子生徒たちにもみくちゃにされていた
「あ、この人よ!あの帝国からゴールを奪った人は!」
「うわあ・・・写真で見るよりもイケメン!」
「松葉づえで大丈夫ですか?」
いや、心配するのならもみくちゃにしないでいただきたい。うぐっ・・・傷に触る
てかどういうことだ。こんなに女子人気が高いわけがない。去年のバレンタインだって義理チョコを複数もらった程度だぞ。なぜ突然・・・
こんな状態が始業まで続き俺はへとへとになって授業もまともに受けれなかった
おのれ・・・なんで俺が・・・・
しかしその理由はすぐに知ることになる
授業が終わり部室に向かうと円堂と木野が校内新聞を眺めていて
「おつかれー・・・」
「あ、天野君・・・大丈夫だった?」
「大丈夫じゃないよー・・・もうへとへとだよお・・・」
「・・・多分これが原因だと思う・・・」
そう言って木野が見せてきたのは校内新聞の一面。
そこには
雷門中サッカー部。帝国学園に劇的勝利
切り開いたのは雷門のイケメンストライカー、天野星矢
そんな見出しと共に俺をいろんな角度から撮影した写真が乗せられている。円堂や豪炎寺もだいぶ目立つように取り上げられているが俺のはその比ではない。
「なぜ・・・こんな・・・・」
「女子の方でもだいぶ話題になってるよ。一部ではファンクラブもできてるみたい」
「ファンクラブか!それはすげえな!!」
「うれしくねえよ・・・まったく」
能天気な円堂にあきれながら俺は答えていた。そもそも俺はそこまで目立つのが好きなわけではない。学校の行事や体育の授業でも目立たない様にそこそこを貫いてきた。なのにまさかこんなところで目立つのは予定外だった。しかしまあ帝国を下すというのは注目度が高いことだからこうなったってことか・・・盲点だった・・・
「どうすればいいんだ・・・・」
俺が頭を悩ませていると突然部室の扉が開く。そこに立っていたのは青いボブカットの髪型で頭に眼鏡を乗せているのが特徴の女の子だった
「あ、天野センパイ!探しましたよ」
「えっ?天野君の知り合い?」
「いや・・・俺は知らないぞ」
「あ、そうですよね。申し遅れました。私新聞部の音無春奈って言います」
新・・・・聞・・・・・部?・・・・そうか・・・
「今回の記事も私が書いたんですよ!この前の試合でサッカー部のファンになっちゃいました!!」
ほう・・・当事者か・・・・
「なんで俺の記事だけ・・・大きいのかな?」
「だってあの帝国から一点をもぎ取ったんですよ!?」
「そ、それなら豪炎寺だって」
「豪炎寺センパイはあくまで助っ人です。でも、天野センパイはもともと雷門の選手。よって天野センパイのシュートこそが帝国に勝利したことの象徴となるわけです」
うーん、なるほど分からん・・・つまりはもともと評判の高い豪炎寺よりも評判の低かった俺がゴールを決めたことに驚きがあったということだろうが・・・
まあ、考えたってしょうがない。とりあえずこの記事のせいで俺は被害を被ってるんだ。一言言ってやらんと気が済まない!
「なあ、音無だっけ?俺の記事のことなんだけど・・・」
「え、もしかして・・・なんかダメなところありましたか?天野センパイの魅力を出すために頑張ったんですけど・・・」
グオッ・・・・そんなウルウルした瞳で俺を見つめるんじゃあない!なんだよ・・・そんなに残念そうにしやがって・・・・・あああああ!もう!
「いや、とても・・・よかった・・・よ」
「そうですか!?やったー!!頑張った甲斐がありました。じゃあ、次の取材があるので私はこれで」
そう言って音無は去っていく。その場でうなだれる俺の肩には木野と円堂の手が置かれていた
その数日後
俺の怪我は完治し久々の練習に参加する
帝国戦以降、サッカー部の評価はうなぎのぼりで学校のグラウンドも週3回は使える様になりそれ以外は河川敷のグラウンドで練習を行っていた
ちなみに豪炎寺はというと、帝国戦の後今回きりだとユニフォームを脱いでしまったらしい
正直残念だったが、無理強いもできないためこの体制で進めて行くしかない。
それに
「うおらあああああああ!!」
「ナイスシュートだ。染岡!」
染岡を筆頭にモチベーションが上がってきている。まあ、染岡は上がりすぎなくらいだが・・・
ちなみに俺はというと
「いいですか?天野君・・・必殺技というものは必ず技名がついているのです。」
「それで?」
「天野君の必殺技の名前を僕が考えましたので」
「はあ・・・」
俺にこんな提案をしていたのは目金欠流
敵前逃亡を決めたこいつだが以外にもサッカー部には残っていた。何やら名付けに自信があるらしくさっきから技名の大事さを永遠と語っているのだ。
「天野君のシュートは直線的なジャイロ回転のシュート。ボクから見れば回転して突き進む槍のようにも見えました。それに纏うオーラはさしずめ天の川のような美しさもある。
僕はこの技をスターダストランスと名付けたいのですがいかがでしょうか?」
おお・・・・なんか思ってたよりもずっといい名前じゃないか。正直信用できない奴だと思っていたから驚きが隠せない。うん・・・今後は技名をこいつに任せよう。
「いい名前じゃないか・・・気に入ったよ」
「ふふふ・・僕にかかれば朝飯前ですよ!!」
とりあえず俺の技の名前も決まり練習に戻る
しかしどうも雰囲気が悪い
どうやら染岡のラフプレーのせいで険悪になっているようだった
いったいどうしたんだろう・・・
と思っていたら円堂が染岡の事を土手の方に連れて行った。まあ、円堂に任せておけば安心だな。あいつは励ますの天才だから
円堂と染岡は土手に並んで座り話している
染岡は浮かない表情で沈んでおり円堂から話し始めた
「なんかあったのか?今日のプレーはお前らしくなかったぜ」
「なんでもねえよ・・・」
「そんなわけあるか!ただ乱暴にするのが染岡のプレーだなんて俺は認めないぞ!」
「円堂・・・・俺、焦ったんだよ」
円堂がまっすぐに染岡に向き合うと染岡もあきらめたように話し始める
「豪炎寺のシュートはすごかった。俺にもあんなシュートが打てたらって思ったよ。それに天野だって先に行っちまった。俺もあいつらみたいになりてえんだよ」
「うーん・・・別に豪炎寺や天野みたいになる必要はないんじゃないか?」
「え?」
「だってお前はお前だろ?豪炎寺や天野にだってそれぞれの良さがあるんだ。染岡にだって自分のサッカーがあるだろ?お前は豪炎寺でも天野でもない、染岡竜吾だ。もっと自分に自信を持てよ!」
「俺の・・・・サッカー・・・・・そうだな!」
「それじゃあ頑張ろうぜ!自分自身の必殺技を完成させるんだ!」
「よっしゃあ!やってやるぜ!」
お、あの様子を見るに染岡は立ち直ったようだな
さて、俺も練習を再開するかね
もたもたしてると染岡も追いついてきそうだからな!
俺だってエースストライカーの座を譲るつもりはないさ!