ある日のサッカー部の部室
そこには部員全員となぜか雷門夏未がいた
「で、なんでここにいるんだ?」
「あら、あなたたちの次の対戦相手を教えに来てあげたのよ」
いや、それは顧問の冬海先生の役目じゃね?
なんでわざわざ理事長の娘が来るんだよ・・・分からん
「次の相手は尾刈斗中。試合は一週間後に組んであげたわ。そして今回も負けたら廃部よ。頑張ってね」
「はあ!?なんでそうなるんだよ。俺たち帝国に勝ったんだぜ!?」
「そうでやんすよ!」
「そうだそうだ!」
部員からも不満の声が上がる。でも、ここで引かないのがこの女のおっかない所で
「あれは豪炎寺君の力が大きかったでしょう?それに試合には勝ったけど点数は圧倒的に負けていた。運が良かったとも言うべきね。そういう事だからちゃんと実力で勝ちなさい。でも・・・そうね。それじゃあこうしましょう。次の試合に勝ったらフットボールフロンティアへの参加を認めてあげるわ。これでいいでしょ?」
いや・・・いいわけ・・・
「ホントか?夏未・・・・よっしゃああああ!!絶対に勝つぞ」
「おおー----!!」
へ?何こいつら・・・俺以外みんなが盛り上がってんじゃん。絶対廃部の事頭から抜けただろ!・・・ああもう・・・どうにでもなれ!
ったくよお・・・・負けたら廃部とか洒落になんねえだろ・・・でもまあ、その覚悟がなけりゃあ勝てないのかもな・・・・とりあえずそう考えとくか
ん?あれは・・・
俺が見つけたのは学校の裏門から出ていく豪炎寺だった。あっちには病院しかなかったはずだ・・・・まさかあいつが怪我とか病気なんじゃ・・・行ってみるか
病院に入ると診察を受ける人でごった返しており豪炎寺を見失う。
どこに行ったんだろうか・・・とりあえず階段を上がり探していると
病室から豪炎寺が出てくるのが見え
「豪炎寺・・・」
「・・・どうしてここにいる?」
「いや、まあ、豪炎寺が病院に入っていくのが見えたからどうしたのかなって」
「つけてたのか?」
「いや・・・そんなんじゃないんだ。ほら、サッカーできないって言ってたからもしかして怪我とか病気かなと思って・・」
「・・・来いよ・・・理由だけなら教えてやるから」
豪炎寺はそういうと病室に戻っていく。俺も病室に入ろうとすると病室の表札に「豪炎寺夕香」と書かれていた
中に入るとベッドには小学生くらいの少女が寝ており
「この子は?」
「・・・俺の妹さ」
「何か病気なのか?」
「事故だ。去年のフットボールフロンティアの決勝の日からこうなんだ。試合当日の朝、俺の応援に来るときにトラックに轢かれて・・・その時から目覚めないんだ。医者も目覚めるかは分からないと言っている。俺がサッカーをやっていたから・・・夕香はこんなことにはならなかった」
豪炎寺は声を震わせながら俺に話してくれた。よほど妹の事を大事に思っているのだろうな。でも・・・
「そうか・・・、豪炎寺がサッカーをやめた理由はよくわかった。でもな・・・それでサッカーを辞めるのは違うんじゃないか?」
「・・・・」
「その子は・・・夕香ちゃんはサッカーをしているお前が好きだったんじゃないか?夕香ちゃんが目覚めたときにお前がサッカーをしていないと知ったらどう思うんだろうな」
勧誘する為ではない。心の底からそう思ったから指摘した。おそらく夕香ちゃんは豪炎寺がサッカーをしているのをとても誇りに思っていたはずだ。何となく嬉しそうに応援に向かうのが目に浮かぶ・・・
「・・・お前に・・・何が分かる!!」
「分からないね・・・でも、少なくとも今のお前は俺が兄弟だったら誇れるものじゃない。妹がこんなことになって悲しいのは分かるがそれでずっと閉じこもっているつもりかよ!!それこそ自己満足でしかない・・・・夕香ちゃんが目覚めたときに誇れる兄貴でいることを薦めるぜ・・・・それじゃあな」
俺は言うだけ言ってその場を後にし豪炎寺の顔は見なかった。なんだかな・・・理由を知ったら放ってはおけなかった。ちょっときつく言ったかもしれないけどな・・・
とりあえず円堂には黙っておこう。これは豪炎寺自身の問題だからな・・・
俺はそのまま病院を後にし練習へと向かってった。
「よっしゃあ!行くぜ円堂!」
「来い!!」
夕暮れ時俺たちは今日も河川敷のグラウンドで練習している
染岡のシュートも大分形になってきていて完成が近づいていた
しかし
「クソッ・・・後一歩なんだがな・・・」
染岡のシュートは強力になっていたが必殺技と呼べるかというと何かが足りない
なんかこう・・・しびれるものがないんだよな・・・
正直尾刈斗中との試合までには完成させておきたいものだ
「染岡!こうなったら気持ちだ。俺もゴッドハンドを出した時からだから湧き出るものを感じたんだ。天野だって気持ちが全面に出てた。だから染岡も自分の気持ち全てをぶつけるんだ!!」
「俺の・・・気持ち全部!」
染岡がボールを置きシュート体勢に入る
「俺は豪炎寺や天野には負けない。俺は雷門のエースストライカー・・・染岡竜吾だ!!」
染岡からビリビリと気迫が伝わってくる。これだよ円堂や豪炎寺からも伝わってきたのは染岡もつかんだみたいだな
「うおおおおお!!」
染岡が放ったシュートはこれまでにない力強さを見せていた。
ボールから迸るオーラが唸るドラゴンを形作りゴールを襲う。あまりの迫力に円堂も思わず見ていることしかできなかった。
そしてふと我に返ると笑顔で染岡に駆け寄る
「やったじゃないか!!すげえシュートだったぜ!ドラゴンがガオオって感じで!」
「やった・・・ついになったぜ!これが俺の必殺シュートだ!!」
そして染岡は俺の方を自信満々な表情で見てくる。やれやれ・・・まるでエースストライカーは俺だって面だな・・・だが
「俺だって負けないぜ!エースストライカーの座は譲りたくねえからな」
「へっ!すぐに追い越してやるぜ!天野!!」
俺と染岡が熱いグータッチを交わしているとグラウンドに一人の男が入ってくる
あいつは!!
その人物にあるものは驚愕し、あるものは喜び、そしてあるものは険しい表情を浮かべる。そこにいたのはつんつん頭で切れ長の目が特徴の雷門の救世主の姿だった
「円堂・・・・俺・・・やるよ」
「え?」
「サッカー部に入部させてくれ!」
「本当か!?歓迎するぜ!!」
豪炎寺の加入に部員全員が喜びの声を上げる。ただ染岡だけは敵を見るような目で険しい表情をしていた
そして豪炎寺は俺の元に来て
「さっきはすまなかったな・・・・それと・・・・ありがとう」
「なんのことだ?」
「お前がああ言ってくれなかったら一生閉じこもっていた。危なく夕香を悲しませるところだった。」
「うーん・・・俺は何もしてねえよ。お前が自分で選んで今ここにいるんだ。」
「ふっ・・・そうか」
そう言って豪炎寺は柔らかい笑みを浮かべる。もう迷いはないみたいだな。
しかしまあ、これで染岡と俺と豪炎寺の3トップ。攻撃力が格段に増したな。後は染岡がどこまで仲良くできるかだな・・・
まあ、ともかくこれで試合の準備は整ったといえる。勝てばフットボールフロンティアに出場。皆のモチベーションも最高に上がっていた。