尾刈斗中との練習試合当日
会場はこっちに合わせてくれたようで雷門中のグラウンドとなる
帝国戦の効果か。前よりも多くの生徒たちが観戦に来ている
その中には
「センパーイ!今日もかっこいい写真いっぱい撮りますからね!!」
新聞部の音無春奈だ。しかしさすがにサッカー部じゃないのにベンチまで来ているはいただけないな
「おいおい・・・やりたいのはわかるけど、さすがに部外者は・・・」
「部外者じゃないよ」
「木野・・・なんでだ?」
「音無さんは今日からマネージャーになってくれるの」
「は?なんて?」
嘘だろ・・・俺からしたら近くにおきたくなかったんだが・・・
「というわけでよろしくお願いします!!」
なんでこんなことに・・・・とか思ってたんだがその考えはすぐに吹き飛ぶこととなる
というのもこの音無春奈。マネージャーとしてかなり優秀だったのだ。
相手チームの戦術や選手個人の能力を調べ、俺たちに伝えてくれる。てか、これは新聞部の実力を超えてるだろ・・・・。そんなわけで俺は音無への評価を改めていた。
「というわけで今回の相手の情報なんですけど、尾刈斗中は今の監督に代わってからメキメキと力をつけてきたチームのようです。そしてあくまで噂なんですけど尾刈斗中と対戦したチームは足が動かなくなったりシュートが定まらなくなったりとある種の呪いを受けるそうなんです」
「の、呪い!?」
「ヒイイイ!!怖いッスー---!!!」
おい、壁山・・・その図体で怖がって暴れるんじゃない・・・あっ、栗松がつぶされた・・・
「どくでやんす壁山ー!!重いでやんす!!」
しかし、呪いとは信じがたいな。でも、その後に音無から見せてもらった映像には確かに動きが急に止まる尾刈斗中の相手チームの姿があった
「確かに・・・止まってるな・・・」
「でも、なんでかは分からないんですよね・・・」
「いや、これで十分さ!後は試合の中で確かめる」
呪いの事は心配だけど正直対策が練れないな。よし!
「円堂・・・今日の試合の事なんだけど」
「なんだ?」
「俺と豪炎寺と染岡で序盤からガンガン点を取っていこうと思う。そこで点差を作って逃げ切ろう。呪いのの事も分かりきってないからな」
「そうか。なら頼んだぜ!」
こうしている間に尾刈斗中が雷門のグラウンドに到着する
どの選手もどこか不気味な雰囲気があり帝国とは違った意味で圧力を感じる
「あいつらが・・・尾刈斗中・・・」
「不気味でやんすね」
「・・・得体がしれない・・・」
「お前が言うな・・・」
影野よ・・・・まあ、そんなことは置いといて
「ようこそ!雷門中へ!!」
円堂が相手の監督に声をかける
「あなたが円堂君ですか!噂になってますよ。なんでも帝国のシュートを止めたんだとか・・・後は天野君と豪炎寺君!君たちと試合がしたくてねえ!」
なんだ・・・監督の方は普通じゃないか。至って紳士的で不気味さは感じない。
しかし
「おい!俺たちは雷門中だ!そいつらだけじゃねえぞ!!」
あの監督、俺らしか見てなかったからな・・・なるほど。俺らの敵情視察なわけね。でも、染岡は面白くねえだろうよ
「いいや、私たちはその3人だけを見に来たんです。あなた方には興味はありませんよ」
おー・・・言うねえこの監督。
相手の監督はそのまま選手たちの方に戻っていく。染岡はずっとにらんでいたが
「染岡!そうかっかするなよ。見せてやろうぜ!お前のサッカーを」
「おう。そうだな円堂。見てろよ・・・今にほえ面かかせてやる!!」
お互いに練習が終了し、両校が整列する
そしてそれぞれのポジションについた
雷門中
FW 豪炎寺 染岡 天野
MF 松野 半田 少林寺
DF 風丸 壁山 影野 栗松
GK 円堂
雷門は豪炎寺を入れた3トップ。攻撃力重視のフォーメーション
尾刈斗中
FW 幽谷
MF 月村 武羅渡
八墓 霊幻 木乃伊
DF 不乱 三途 柳田 屍
GK 鉈
尾刈斗中は上から見るとピラミットのようになっている陣形だ。守備型のフォーメーション、どんなプレーをしてくるのだろうか
「さて、雷門のフットボールフロンティア参加がかかった大事な一戦。相手は奇妙な術を使うと噂の尾刈斗中!!帝国を破った雷門がその勢いのままに突き進むのか!!実況はわたくし将棋部の角馬桂太がお送りします!!」
あれ?なんか勝手に実況始めちゃってる奴がいるんだけど・・・
なぜか円堂たちも突っ込む様子がないし・・・・俺がおかしいのだろうか
そんなこんなで整列となる
不気味な雰囲気が嫌でも伝わってくるな・・・でも、そんなことは試合が始まれば関係のないことだ
やってやるぞ
「さあ!雷門ボールで試合開始です。どんな戦いをみせてくれるのでしょうか!!」
染岡が蹴りだしたボールを一度後ろに下げサイドを走って上がった俺にパスが通る
正直帝国の動きと比べれば遅く、何なら俺たちよりも動きは悪い
MFを抜き相手DFが2人掛かりで止めに来る
逆サイドでは豪炎寺に2人掛かり・・・・ということは?
「こっちだ!天野」
やっぱり染岡がフリーだったか・・・それじゃあ、その油断が命取りだって見せてやらないとな!
俺はDFを十分にひきつけ染岡にパスを出す。GKと一対一になった。
「見せてやるぜ!特訓の成果を・・・・ドラゴンクラーーッュ!!!!」
染岡の放ったシュートは唸りを上げるドラゴンと共にゴールへと突き進む
キーパーの鉈がキャッチを試みるもはじかれゴールに突き刺さった
「ゴオーーーーール!!染岡の必殺シュートが尾刈斗中のゴールに突き刺さったああああ!!」
「なんですって!?」
相手監督もこれには驚きを隠せないようだな。これが今の雷門中の力だぜ
「ナイス!染岡!!これで相手に一泡ふかせたな」
「ああ!これからガンガンゴールを奪ってやるぜ」
うん。染岡も絶好調だ。いまだに呪いみたいな現象は起きていないがあの映像を見せられた以上油断はできない。今のうちに点差を離しておかないとな
ちなみに染岡のドラゴンクラッシュは目金が命名したものでベンチでは目金が満足そうに頷いていた
尾刈斗中ボールで再開したが早々にマックスがボールを奪取。やっぱりこいつらプレーは大したことないぞ
「天野!!」
よしきた!マークは染岡に向かい、俺の前は完全にフリーになっている。
「スターダストランス!!」
このシュートで2点目が入る
なぜだろうか・・・点が入るたびに胸騒ぎがする。こんなに簡単なはずがない・・・
「うーん・・・」
「どうしたんだ?天野」
「円堂か・・・・なんか嫌な予感がしてな」
「嫌な予感?呪いの事か?」
「ああ、正直実力の方は俺たちの方が上だ。でも、勝ってる気がしねえんだよ」
この不安感が無くなることはなかった。脳裏によぎるのは音無に見せてもらった映像で尾刈斗中と戦ったチームの足が止まる所。
「不安ならもっと点を取ればいいんだよ。今の雷門には豪炎寺、染岡、天野の3トップがあるんだ。この3人でシュートを打ち続ければ破れないものなんてない!」
「ああ、そうだな。すまん、考えすぎてた」
「いいって!それじゃあ、そろそろポジションに戻ろうぜ」
とりあえずポジションに戻る。しかし俺の中の悪い予感が本当のこととなった
「野郎共!!遊びは終わりだあ!!あれを見せてやれ!!!」
監督の号令の下尾刈斗中は攻めてくる・・・てか、あちらさんの監督は二重人格か何かなのか?
すると
「マーレマーレマレトマレ・・・・マーレマーレマレトマレー」
なんの呪文だ?やけに頭に響きやがる
そして相手のキャプテン幽谷が手を前に突き出し
「ゴースト・・・ロック!!」
そう叫んだ瞬間、雷門イレブンの足が止まる
「なんだこれは!?」
「足が動かねえ」
足を動かすことができない以上ディフェンスもくそもない。円堂の足も動かないのであっさりと得点を許してしまった。
試合は雷門ボールで再開となる
FW3人のコンビネーションであがり染岡がドラゴンクラッシュを繰り出そうとするが
「もう点はやらない・・・・」
尾刈斗中のGK鉈が手をゆらゆらと動かし始める
しかしそんなことはお構いなしに染岡がシュートを放った
「ゆがむ空間!!」
するとドラゴンクラッシュの勢いが弱まり鉈の手に収まる
「なんだと!?」
「ゆがむ空間の前ではどんなシュートも無力だ」
そして幽谷にボールが渡り
「ゴーストロック!!」
雷門イレブンの足が再度止まり同点のゴールを許してしまった。
そして前半が終了しハーフタイム。
雷門ベンチの空気は重かった。
「おいおいどうした皆!まだ前半が終わっただけじゃないか!」
「でも、キャプテン・・・足が動かないんじゃ止められないでやんす」
「やっぱり呪いはホントだったっすううう」
特に一年生たちの精神的不安が大きいな・・・しかし参ったな・・
今回に関しては正直訳が分かっていない。しかし勝たなければサッカー部は廃部だ。クソ・・・悪い予感が的中しやがった・・・
「おい天野・・・ちょっといいか?」
「どうした豪炎寺」
俺が頭を抱えていると豪炎寺が話しかけてくる
「あの技・・どう思う?」
「どうって・・・・マジで呪いみたいじゃないか?」
「俺はあの技にはタネがあると思っている。ゴーストロックもゆがむ空間もだ」
「まあ、それが分かれば防げるだろが・・・」
「後半はお前も良く見てくれ!円堂には俺から話しておく」
豪炎寺が前半にあまり動かなかったのはよく見ていたからか・・・豪炎寺ならあのくらいのマークは振り切れるからな。しかしさすがは木戸川清修出身だな。こういう状況になっても冷静なのは経験値がなせることかな
そんなこんなで後半が始まる。
こんなところで終わっていいはずがない。必ず突破口を見つけるんだ
しかし
「ゴーストロック!!」
後半開始早々に尾刈斗中は雷門イレブンの足を止める。
「マーレマーレマレトマレ」
しかしこの技の時に相手の監督は何を言ってるんだ
マーレマーレマレ・・・・止まれ?
そうか!!
「円堂!思い切り叫べ!」
「あ、ああ!ゴロゴロゴロゴロドッカアアアン!!!」
円堂の声が全体に響き渡る。あいつの声はよく通るからな。
そして予想通り!!
「あ、足が動く」
雷門イレブンの足は動くようになっている。そう・・・ゴーストロックとは相手監督が俺たちに止まれって暗示をかけることで発動する催眠術だった
つまりそれを音で遮りさえすれば防ぐことができる
「ファントムシュート!!」
幽谷がシュートを放つ。しかし足が動く以上円堂なら得点は許さない
「熱血パンチ!!」
円堂はシュートを上にはじき落ちてきたボールをキャッチする
よし!後は点を入れればオッケーだ
「いけえええ」
円堂のロングスローでボールは俺にわたって染岡につなぐ
そして豪炎寺と並走してゴールに迫る
すると
「相手の手の動きを見るな。あれも催眠術でシュートが弱くなるぞ!!」
「お前・・・今までそんなとこまで見てたのか・・・・」
染岡は豪炎寺から目をそらし悔しさをかみしめる
そして次の瞬間
「豪炎寺いいい!!!ドラゴンクラッシュ!!」
しかし染岡のシュートはゴールではなく天高く舞い上がった
もしかしてこれは!
豪炎寺はそれに合わせる様に飛び上がり
「ファイアトルネード!!」
染岡のドラゴンクラッシュに炎のエネルギーが加わりドラゴンは赤く姿を変え尾刈斗中ゴールを襲った
空中からのシュートの為ゆがむ空間の影響を受けずその上2つのシュートの威力が合わさって鉈は止めることができずに体ごとゴールに叩き込まれた
これで3-2。試合終了のホイッスルもなり雷門中の勝利となった。
「やったぜ!!豪炎寺と染岡も良くあの場面で合わせたな」
「お互いの動きが分からなければできないよ・・・染岡も練習中ずっと豪炎寺の事見てたからな」
「天野!よしてくれ!豪炎寺に負けたくないからずっと見てただけさ。でも、今回の試合であいつは自分の事だけじゃなくて相手の技までよく見ていた。あれがホントのストライカーなんだって思い知らされたよ。俺ももっと頑張らねえとな!!」
「その意気だ!!」
そして雷門中はフットボールフロンティアに出場することを正式に認められた
しかし
「あの・・・音無さん?なんで校内新聞の一面には俺の2点目が載ってるの?普通、3点目の2人が一面に載るべきじゃ・・・・」
「だって天野センパイのシュートが一番かっこよかったんですもん!!」
「はあ・・・・」
翌日から俺はまたあの地獄を味わうのだった