「皆!!」
「おー-!!」
「フットボールフロンティア出場だー-!!」
「おおー---!!」
尾刈斗中との練習試合の数日後、部室では異様な盛り上がりを見せていた
まあ、念願だったフットボールフロンティアへの出場が決まったのだから無理もない
俺だって嬉しいさ・・・ちょっと前まで目指す事すらしていなかったからな
ただあれから毎日このテンションなのはどうかと思うが・・・
「それで円堂・・・初戦の相手は?」
「知らない!!」
「堂々と言うなよ・・・」
そんなこんなで盛り上がっていると珍しく冬海先生が入ってきて
「野生中ですよ・・・フットボールフロンティアの一回戦の相手です」
野生中か・・・・確か去年の地区大会の準優勝校だったな
てか、この人が部活に来るなんて珍しいな・・・いつもならあの雷門夏未が・・・ってそっちが普通じゃないのか・・・
「ああ・・・それと新入部員が一人来ています」
「どうもー!俺、土門飛鳥。ポジションはディフェンダー希望ね!」
冬海先生の横から入ってきたのは細身で背が高い男
そしたら木野がアメリカにいた時の友人らしく親しげに話していた。てか木野って帰国子女だったのか・・・知らなかった
と、そんなところで対戦相手の話題に切り替わったのだが
相手の野生中は身体能力が今大会トップクラス。特に空中戦に至っては帝国をもしのぐらしい。という事で俺たちは相手の高さを上回る為に新必殺技を作ることになった
現状で一番の高さを出せるのは豪炎寺のファイアトルネードだが豪炎寺曰く野生中のジャンプ力はそれよりも高いのだという
「よし!じゃあ、新必殺技を生み出すための作戦会議だ。雷々軒に行こうぜ」
円堂の提案の元俺たちは移動を開始する。俺たちはこうして話し合いをするときは決まって商店街のラーメン屋に行く。雷々軒と言って店主は強面だが味がいいので俺も気に入っている
雷々軒につくと各々が注文をし俺はチャーシュー麵と餃子を注文した。
そして俺たちは新必殺技についてラーメンをすすりながら話し合う
「高さが武器なら地上で勝負すればいいじゃないか!染岡のドラゴンクラッシュや天野のスターダストランスだってあるんだから」
「いや、あいつらは地上においても弱いわけじゃない。GKが飛びぬけて強いわけじゃないが打つ前に止めるサッカーを得意としているんだ。つまりは」
「空中にしても地上にしても奴らのディフェンスを超えないことには点を取れないってことか」
野生中と対戦経験があるのだという土門から話を聞きながら対策を考えていく。しかし話が中々まとまらなずにいると
「イナズマイレブンの秘伝書がある」
雷々軒のおじさんがそういった。イナズマイレブンってなんだ?
すると円堂が
「あの・・・・イナズマイレブンって?」
「40年前の雷門イレブンがそう呼ばれていたんだ・・・奴らが開発した必殺技なんかが書いてある」
「秘伝書って・・・スゴ技特訓ノートとは違うのかな・・・」
「スゴ技特訓ノート?・・・・・お前・・・名前は?」
「え?円堂守」
「円堂?・・そうか・・・・そうか!お前大介さんの孫か!」
そう言うと雷々軒のおじさんは円堂にお玉を突きつけ
「秘伝書はお前らに災いをもたらすものだ。それでも欲しいってんなら教えてやろう」
災い?さっきから分からないことが多すぎる。円堂たちは盛り上がって雷々軒のおじさんの話を聞いてたけど・・・まあ、そのうち分かることかな
俺たちは今雷門中の理事長室の前にいる。どうやらこの部屋の金庫に秘伝書がしまってあるらしい
俺たちは金庫で雷々軒のおじさんから聞いた暗証番号を入力し開く
すると中身は空っぽで
「おい!どういうことだ」
「あなたたちが探してるのってこれでしょ?」
見つかってしまった。そこに立っていたのは雷門夏未であきれた表情で手には一つのノートがあった
「まったく・・・忍び込むにしてもその人数では意味がないじゃない」
「おっしゃる通りです・・・」
「まあ、今回は大目に見てあげるわ。このノートは持って行っていいわよ」
「本当か!?サンキュー!!」
円堂が飛びつくようにノートを取り読み始める。すると雷門夏未はため息をつきながら
「でも、残念だったわね・・・・読めないのよそれ」
あー・・・そういう事ね。俺も理解するのにかかったんだよなあ・・・多分あのノートも円堂のじいさんが書いたものだ。
「すげえ・・・・皆見てみろよ!」
「あなた・・・読めるの?」
「え?なんでだ?」
「円堂・・・これは俺とお前にしか読めないんだよ。」
すると皆がノートを覗く。
「うわ・・・・読めねえ」
「なんでお前らは読めるんだよ」
風丸は頭をかかえ染岡が尋ねてくる。まあ、タネが分かれば至極単純なんだけどな
「これは円堂のじいさんが書いたものだ」
「じゃあ、秘伝書っていうだけあって分かりづらい文字で書いてあるとか」
「いや、字が異常に汚いんだ。俺も最初は全く読めなかったからな」
「円堂のじいさんって・・・・・」
室内には何とも言えない空気が漂っていた
ノートを持って部室に戻った俺たちは円堂が中心となり新必殺技を調べていた
「高さならこれがいいな。イナズマ落とし」
「どんな技なんだ?」
「えっと・・・・この技は一人がビョーンと飛ぶ。もう一人がそのうえでバーンとなってクルッとなってズバーン・・・これぞイナズマ落としの極意!」
ノートに書いてある意味不明な説明に皆が盛大にずっこける。
これは・・・・手こずりそうだな。しかし豪炎寺だけは真剣に考えていた。
結局イナズマ落としについて分からないまま鉄塔広場で特訓を行う。野生中はフィジカルが高いという事で振り子のように飛んでくるタイヤを受け止める特訓を行った・・・・ホントに役に立つのだろうか
円堂と俺とは別の場所でイナズマ落としについて話し合っている。向こうでは悲鳴が聞こえ一年たちが宙を舞っていた。
「しかしまあ・・・お前のじいさんももうちょっと分かりやすく書いてくれねえのかな」
「ははは・・・・サッカー一筋だったらしいから」
「2人とも・・・ちょっといいか?」
会話中にやってきたのは豪炎寺だった
「イナズマ落としについてだ」
すると豪炎寺は地面に指で図を描いて説明する
「もしかしてこうじゃないか?一人が飛んで踏み台になりもう一人がさらに高く飛びオーバーヘッドキック」
「・・・・多分それだよ!すごいな豪炎寺!」
豪炎寺の推測に目を輝かせる円堂。確かにしっくりくる。
「となると誰がやるかだな」
「撃つのは豪炎寺がいいんじゃないか?」
「俺が?」
「そうだ!FWの中で唯一空中での技を使うからこの技にはうってつけだと思う」
「そうだな円堂。俺も豪炎寺が打つのが適任だと思う」
「そうか。それなら俺が撃とう。後一人はどうする?」
となると土台になる人だ。飛ぶ高さはもちろんだが豪炎寺の足場としての安定感も必要なためある程度の体格が求められる
すると
「うわあああ」
向こうでは壁山が宙を舞っていた
「壁山かあ!」
「まあ、体格という点では申し分ないが、後はジャンプ力だな」
「大丈夫だ。特訓で何とかする!」
てなわけで壁山を連行し現在壁山と円堂が腰にタイヤをつけている
要は重りをつけてジャンプしジャンプの高さを上げようというのだ。円堂もキーパーとしてジャンプ力は必須の為同じ特訓を行うのだそう
豪炎寺に関しては風丸と染岡に足場になってもらい空中でオーバーヘッドを決める練習だ。風丸と染岡が手で足場を作り豪炎寺を高く放り投げる
とりあえず一人一人の完成度を上げてから合わせるってことだ
ちなみに俺はというと
「よいしょッと・・・ん?木野、どうしたんだ?」
「天野君は円堂君たちと一緒にやらないの?」
「まあそれでもいいけど、俺はあいつらが完成させるって信じてできる事をやらないとと思ってさ」
「できる事って?」
「あいつらがフリーでイナズマ落としを撃てるようにする。相手DFを引き付けて突破するドリブル技を作る」
「それでタイヤの振り子をこれだけ作ったのね」
俺の目の前にはタイヤの振り子を5つほど作り木からぶら下げている。これを動かしてスピードで突破する
我ながら良い特訓を思いついたものだと笑みを浮かべると木野が笑いながら
「なんか天野君も円堂君に似てきたね」
「そ、そうか?」
まさか、そんなことを言われるとは思ってなかった。でも、確かに前の俺ならこんな特訓はしていない。あいつが俺を変えてくれたのかな・・・
それから俺たちは特訓を重ねた
豪炎寺は高い所でも体勢を崩さずにオーバーヘッドを決めれるようになり。壁山は円堂が寄り添っていたこともあり及第点ともいえる高さまで飛ぶことができる様になっていた
そしてそれを合わせて行おうとしたのだがそこで新たな問題が発生した
「ひいいいい!!!」
壁山が空中で叫び失敗したのだ
そのまま頭をかかえふるえている
「おい!どうした壁山」
「たたたた高い所・・・・怖いっすううう・・・」
壁山の高所恐怖症が発覚したのだ。そういうことは早めに言ってほしかったな
ちなみに俺はというと
「うおおおおお!!ぐああ!!!」
必殺技の完成まであと少しだった。タイヤ5つのうち4つは突破し最後の一つに当たってしまう。この特訓のおかげでスピードとそれに適応するドリブルスキルも身についてきていた・・・・でも、あっちがあの状態じゃな・・・・俺が決めることも視野に入れなければならないかもしれない
そして試合前日
「うおおおおお!・・・・よし!」
俺はついに5つのタイヤを突破した
それを見ていた目金が
「今の技、月光ドライブって名付けるのはいかがでしょうか」
「月光ドライブか・・・・いい名前だ」
こうして俺の新しい技が完成したわけだけど
「ひいいいい!!!」
壁山は相変わらず高い所が苦手なようだ。今日までみんなで協力し高さに慣れてもらうように努力してきたが難しいらしい。豪炎寺も壁山が体勢を崩すことも視野に入れて不安定な足場でも高く飛べるように特訓していたようだけど今日の練習を見る限り十分な高さを出すことはできないだろう
つまりは
「キャプテン・・・・俺には無理っす・・・・」
「諦めるなよ!どうしたらできる様になるかを考えるんだ」
「でも・・・・」
壁山次第ってことか・・・
でも、もしダメだったらその時は・・・・・・いや、今はあいつらを信じよう。俺は信じてあいつらにボールをまわすだけだ