報われない玉兎男子の話   作:流浪の東方厨

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報われない月の兎の自己紹介

幻想郷から遥か彼方の宇宙にある惑星「月」。ここには、幻想郷より遥かに進んだ文明があり、様々な種族が入り乱れて暮らしている。かくいう僕もその一人だ。僕の種族は「玉兎」。俗にいう月の兎だ。僕たち玉兎は、月ではあまりカーストが高い種族ではなく、大体の個体が上級種族の「月人」のペットとして飼われているのが現状だ。まァ、別に奴隷のようにこき使われる訳じゃないし、ご飯も貰えてるから不満がある訳じゃないけどね。

 自己紹介が遅れたね。僕の名前は「蒼苑(そうえん)」。月面の軍隊に所属する兵士だ。

 月面は一昔前まではしょっちゅう戦いが起きていて治安が悪かったんだ。だから、僕のお兄様はそんな月の現状を変えるために幼なじみの「レイセン」さんと一緒に軍に入隊したんだ。でも、お兄様は七回目の任務の時に戦闘中の被弾が原因で死んでしまったんだ。レイセンさんいわく、「戦士として誇り高い最期」だったんだってさ。かっこよくない?うちのお兄様。その時、レイセンさんはさ、僕にお兄様がいつも巻いていた白いお守り布を僕にくれた。それを受け取った瞬間、僕はお兄様みたいな立派な兵隊になろうって思ったんだ。

 ・・・・

 あれからどのくらい経ったかな。今、僕はお兄様がかつて所属していたエリート偵察部隊「イーグルラヴィ」の隊員になった。隊員は僕含めて三人しか居なくて、隊長の「鈴瑚(りんご)」さんも、副隊長の「清蘭(せいらん)」さんも凄く好い人で、訓練は大変だけど毎日研鑽を欠かさず頑張っているんだ。

 でも、ちょっと気になることがあってさ。この部隊、僕の他は女性しかいないんだよね。まァ、それはこの際どうでもいい。一番気になることはその女性隊員の制服なんだよ。何でめちゃくちゃ動く兵隊の制服なのに下がスカートなんだよ。しかも、それが指定の制服だって言うから驚きだよ。だって、「見える」よ?そりゃあもうガッツリと。

僕は他人に性的感情を抱かないアセクシャルだったから、別にそれには興味ないけどさ、訓練学校時代の同期の男の子はそりゃあもう興味津々よ。模擬戦闘の時とか訓練そっちのけでパンツに夢中だったからみんな女の子にボロ負けしてさ、それが原因で半分以上の男子が入隊試験に落ちちゃったんだ。だから今、うちの兵隊は女の子ばっかりなんだ。因果な話だねェ・・・。

 え?そんな環境だからさぞかしモテモテなんでしょうねだって?いやいや、そんなことはないんだよ・・・・。なんかうちの兵隊女子たちみんな異性に興味が一切なくてさ、みんながみんな何処かしらで百合カップルが成立しているんだ。だから、僕みたいな男はわりかし要らない種族扱いなんだよね。まぁ、別にいいけどさ。でも、昔一回だけ告白されたことがあるんだ。その人は僕のことを「顔が女の子みたいでかわいいから好き」って言ってて、やたら女装させようとしてたもんで、丁重にお断りしたんだ。それっきり女の子から言い寄られることはなかったけど、そのことを鈴瑚隊長に話したらさ、鈴瑚先輩はこう言ったんだ。「確かに、君が女の子だったら顔とか可愛いから凄いタイプだったのに。残念だなァ。」って言われたんだ。僕って隊長からそんな眼で見られてたんだって思うとあんまり悪い気持ちじゃなかったかな。

 まァ、そんなことはどうだっていい。僕は訓練を重ねて強くなって、この手でお兄様を射殺した仇を屠りたい。その一心でこの部隊に入ったんだよ。とにかく邪心を捨てて訓練に打ち込めば自ずと道は拓かれるはず。そう思って訓練を続ければ続けるほど、鈴瑚隊長とか清蘭先輩とかとの実力の差が露呈する。なんか、僕ってなんか色々中途半端なんだよね。お兄様とかレイセンさんみたいに立派な兵士になりたいけど、頑張っていく程自分の不甲斐なさが見えてきて、なんか色々込み上げてくる時がある。でも、そんな時はお兄様の形見の布を頭に巻いて自分を奮い立たせる。そうして僕は、今日も何とか乗り越えていく。いつか、先輩たちみたいな、一人前の兵士になるために。

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