りばーす・ざ・ろっく!   作:灰虎

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はい、宣言通りに土日に更新しましたよ!
えっ、一週間経ってる?……なんの事やら(すっとぼけ)

先週のことですけど8話のライブ凄かったですね、ぼっちちゃんマジヒーロー。


#5 教室ライブとミーティング

 

 ライブの演奏を終えた翌日、俺は昼休みに教室で昼食を食べていた。付け加えると俺は四組、ひとりは二組である。

 

 ちなみに俺とひとりは学校では一緒にいることは少ない。というのも前にも言ったが、小学一年から高校一年の現在に至るまで俺らは一度も同じクラスになったことがない。

 

 まあ、ある意味助かっている部分ではある。四六時中あいつの面倒を見るなんて大変だし、それでは彼女が成長しない。

 最悪養うことも想定に入れてはいるが、助けると甘やかすは違うのだ。あいつのためを思って、俺はあいつを千尋の谷に蹴落とす。荒波に揉まれて成長しろ、ひとり。

 

 俺が黙々と弁当に箸を進めていると一人のクラスメイトが声をかけてきた。

 

「よお、獅子堂。一緒に飯食おうぜ」

 

 そう言って購買のパンや飲み物を片手に俺の前の席に座る友人へ言葉を返す。

 

「モブか、別にいいけど他の奴らはいいのか」

「モブって言うんじゃねえぇぇ!」

 

 何やら急に叫び出したが、周りに迷惑だからやめろ。

 

「じゃあなんて呼べばいいんだよ?」

「木部だよ! も・く・べ! 断じて顔も名前もないその他大勢とは違うんだからな!」

「モブとも呼べるしいいじゃねぇか。さっきの体育のバスケでもパッとしなかったし」

「そりゃあ俺はサッカー部だからな! というかダンクをポンポンかますような奴と比べんじゃねぇよ! あと周りの奴らも笑ってんじゃねぇ!」

 

 叫びすぎたのか荒く息切れしているこいつは木部隼人(もくべはやと)。愛称はモブで、いわゆるクラスのムードメイカーみたいな奴だ。基本こんな感じにいじられているが。

 

 仲良くなった経緯はありふれたものだ。もともと社交的なこいつとは何かと関わる機会が多く、自然とつるむようになっただけの話である。

 

 ようやく息が整ったのか彼は先程とは違い、落ち着いた様子で話しかけてきた。

 

「他の奴らは彼女と食ってくるってよ。抜けがけしやがって」

「そんなこと言ってるから彼女できないんじゃないか?」

「んだと、この野郎」

 

 唾でも吐きそうな勢いで先に彼女ができた友人たちへ呪詛を送るこいつだが、容姿自体は悪くない。

 それにサッカー部の中でも期待の新人と言われるほど運動センスは良く、社交性も高い。勉強は苦手なようだが、それより壊滅的な幼馴染を知っている身としては許容範囲だ。

 

 十分モテる素養は持っているのだが、三枚目な性格のせいで浮いた話がないらしい。そこも含めて好きになってくれる奴が現れることを祈ろう。

 

 そんなことを思っていると彼は俺の机に立てかけられたギターケースを指さした。

 

「そういや昨日も持ってきてたけど、そのギターケースどうしたんだよ?」

「俺のだよ。空き時間に練習しようと思って持ってきただけだ」

「えっ、お前ギター弾けんの? じゃあこの曲とか弾けるか?」

 

 彼はそう言ってスマホの画面をこちらに見せてきた。そこには最近話題になってるアニメのOP動画が流れている。SNSのトレンドにも載っていて、俺もよく聞いていたので譜面がなくても弾けるのだが……こいつの顔を見た感じ、次に来るであろう言葉を予想できた。

 

「……これくらいなら弾けるけど」

「マジか、結構難しいらしいのにスゲーな。じゃあさ、悪いんだけど軽く弾いてみてくんない?」

 

 案の定、楽器やってるやつがよく言われる言葉ランキング第一位(日本音楽協会調べ)である「じゃあなんか演奏してみてよ」を言われてしまった。

 

 周囲に声が漏れていたのか他の奴らも期待に満ちた目をしている。それに普段は自己主張の少ない大人しい奴らも、自身に縁の深い(ヲタク)話とあってか目を輝かせてこちらを見ていた。

 

 ……まあ一曲くらいならいいか。別に硬派を気取っている訳でもないし、仲のいい友人とクラスメイトへのサービスくらいにはちょうどいいだろう。

 

「いいけど、代わりにジュース一本奢れ」

「無料じゃねぇのかよ……いや別にいいけどな」

 

 そう言って彼は財布から200円取り出しこちらに渡してきた。

 

「釣りはいらねぇぜ」

「言いたかっただけだろ」

「まあな。それじゃあ、よろしくお願いしますよ獅子堂先生」

「先生言うな。……あと飯食い終わったらな」

「あっはい」

 

 この様子からして完全に忘れてたっぽいな。

 

 その後、俺は急いで残りの弁当を食べ終えた。その間にモブは先生に教室での演奏許可を取ってきたらしい。ちゃっかりしているというか、こういう抜け目のないところが彼の人気な所以なのだろう。

 

 ただその過程でどんどん話が大きくなったのか、いつの間にか俺は教室前方のホワイトボード前で演奏することになった。しかもクラスの連中だけではなく、教師や他クラスの奴らが数人ほど観客として集まっている。

 

 とりあえず俺はこの事態を引き起こした元凶へ、必ず制裁を加えることを決意した。

 

「おい木部、後でしばくから覚悟しとけ」

「なんで!?」

 

 愛称ではなく苗字で呼ぶ辺りに、こちらが本気だと理解したのかペコペコと謝り倒していた。まあ、今のがウケたのか観客達もクスクス笑っているから許してやろう。

 

 俺は持ってきていた小さいアンプとギターをシールドで繋ぐ。これだけ大人数となると、アンプに繋がないと音が聞こえづらいからな。

 ちなみに俺のアンプはスマホでエフェクターなどの設定ができる最新式のものだ。便利なのだがお値段もそれ相応にする。

 

「何かと大事になってるけど、次の授業とかも考えて一曲だけ弾きます。曲はそこにいる奴のリクエストで――」

 

 ギターのチューニングをしながら軽くMCを進行する。とはいえライブに来る他人ならともかく、割と付き合いの深い生徒や先生たちだ。気楽にやっても簡単にノッてくれる。

 

「じゃあ準備が整ったんで聞いてください」

 

 ――俺はスマホの音源に合わせてギターをかき鳴らした。

 

◇◆◇

 

 そんなことがあった放課後、俺とひとりは下北沢にあるスターリーへ続く道のりを歩いていた。

 

 というのも昨晩、虹夏さんとリョウさんから呼び出しを受けたからに他ならない。特に虹夏さんの勢いが凄かった。

 送られた内容は長かったので要約すると、なぜバンドに入らないのかの説明のため、ひとりと一緒にライブハウスに来てくれという話だ。

 

 ひとりにも連絡が行ってたらしく、下駄箱で合流した瞬間から逃がさんとばかりに袖を掴まれ続けている。それに一人でライブハウスに行くなんて自分には無理という理由もあるみたいだ。

 

 そうして歩くこと数分、ひとりがこちらに話を振ってきた。

 

「そっそういえば昼休みにギターの音がしたんだけど、いっくんはなにか知らない?」

「あぁ、それ俺だよ」

「……へっ?」

「いや、だから俺。クラスの奴にギター弾いてって言われたんだけど想像以上に大事になってな。だからアンプに繋いで一曲だけ演奏したんだよ。多分それで聞こえたんだな」

 

 結局、一曲だけと言ったのにアンコール要求されたし。モブなんて語彙力無くなったみたいに「スゲーッ!」としか言わなかった。

 あとなぜかアンコールと叫ぶ担任教師。次の時間あんたの授業なんだから早く授業の準備しろよ。

 

 なお、案の定というか俺のクラスで授業の開始時間が遅れた。開始時間までに準備が間に合わなかったらしい。

 

「友達……みんなの前で演奏……大盛況で拍手喝采……青春……うっ、あっ……ア゛ぁァぁッ!」

 

 事の経緯をひとりに説明したのだが突然発狂しだした。いや原因は俺なのはわかってるんだけど。

 みんなにちやほやされたいとギターを始めてはや三年。結局みんなの前で演奏などできなかったひとりにとって、自分の憧れたイベントを幼馴染が何気なく成功させたことを聞く苦痛など想像することすらできない。

 

 まあ成り行きというか流れでやったものなので責められてもどうしようもないし、こいつのコミュ力ではロクな演奏もできないと思うがそれはそれ。

 

 青春コンプレックスに幼馴染への嫉妬で発狂する彼女を抱えスターリーへ向かう。こいつに律儀に付き合ってると日が暮れるからな、スルーできるところはスルーしよう。

 

 やがて目的地であるライブハウスへ辿り着き、扉を開けると中で虹夏さんとリョウさんが談笑していた。

 俺は彼女たちへ何事もないように挨拶する。現在、脇に担いでいるひとりの存在などないように自然にだ。

 

「おはようございます」

「あっ、一心くんおはよ……ってぼっちちゃんどうした!?」

 

 チッ、誤魔化せなかったか。

 

「あ〜、気にしないでください。いつものことなんで」

「えっ、それいつものことなの!?」

 

 まだ慣れてない虹夏さんは信じられないだろうが、日常茶飯事である。

 

 そんなこんなでどうにかひとりを正常に戻した後、俺らはライブハウス内にあるテーブルへと腰を下ろした。

 俺らの前にはプラカップに注がれた各種飲料が置かれている。……これって店の商品っぽいけど大丈夫なのだろうか。いや大丈夫だから出してるんだろうけど。

 

「はい、ということで第一回結束バンドのメンバーミーティング開催しま〜す! 拍手!」

 

 虹夏さんの開始の宣言に合わせてみんながやんややんやと手を鳴らす。リョウさんとひとりは控えめにやってるので大部分が虹夏さんと俺だが。というか俺メンバーじゃないし。

 

「それじゃあ、えっと……思えば全然仲良くないから何話せばいいかわかんないや」

「さらっと身も蓋もないことを言いますね」

 

 開始早々の沈黙に何か議題はないのかと考えていると、リョウさんから救いの手が差し伸べられた。

 

「そんな時のためにこんなものを」

「おっ、いいねぇ」

「なんかヤバそうなもの混ざってるけど……」

 

 リョウさんが取り出したのは角が丸められた大きいサイコロだった。カラフルな各面にはいろいろな内容が書かれていて、バラエティ番組とかで使われてそうな代物である。一体いつ用意したのだろう。

 

 ちなみに罰ゲームはバンジージャンプらしい。

 

「リョウさん、罰ゲームのインパクトが足りてません。最適解はこうです!」

 

 俺はリョウさんからサイコロを受け取り、持っていたペンで修正を加えた。

 

「おぉ、流石は一心。最高にロックしてる」

「え〜となになに、"紐なしバンジージャンプ"……って死ぬよ!?」

「人って案外丈夫らしいですしへーきへーき。何とかなりますって……多分」

「多分って言っちゃてるじゃん。危ないからだ〜め」

 

 議論の結果、最終的にはロシアンルーレットになった。昼休みの演奏のおひねりとして貰った専用のお菓子を使用する。正直ロシアンルーレット専用お菓子とか一人で食べたくなかったので、この機会に消費できるのはありがたい。

 

「じゃあサイコロ振るよ〜。ほいっ、何が出るかな〜、何が出るかな〜」

 

 虹夏さんがコールをしながらサイコロを地面へ振る。そのコールに合わせてリョウさんがBGM(口頭)を、俺が手拍子をする。ひとりはついていけずに固まっていた。

 やがてサイコロは勢いを失い、学校の話と書かれたマスで動きを止めた。

 

「学校の話〜、略してガコバナ〜!」

「はい、どうぞ」

「ええっと、あっそういえば二人とも同じ学校……」

 

 ひとりはつっかえながらだが、自分から話を切り出した。ただそれだけなのにひとりの成長を感じて少し感動する。

 

「そう、下高だよ!」

「二人とも家が近いから選んだ。ぼっちと一心は秀華高らしいけど家が遠いんだって?」

「あっはい、県外で片道二時間です」

「横浜のほうですね。正直進学先ミスったなって後悔してます」

「うわ、改めて聞くと二時間って凄いね。なんでこっちに進学してきたの?」

 

 まあ当然聞くよな。

 俺はいいんだがひとりは……なるようになるか。

 

「俺はひとりの世話係みたいなもんですね。正直ほっとけなくて。んで、こいつは……」

「えっと、高校は誰も自分の過去を知らないところに行きたくて……」

「うん、この話やめようか! ガコバナ終了〜!」

 

 虹夏さんは手をTの字にしてタイムとジェスチャーしながらガコバナを打ち切った。

 俺はたった一言で話題を終わらすこいつのコミュ力に戦慄を覚える。ある意味才能ではないだろうか。

 

「すっすいません。高校でも基本一人なものでその、楽しい浮かれたお話ひとつも提供で、できなくて」

「大丈夫大丈夫、リョウもそんな友達いないし」

「うん、虹夏と一心だけ」

 

 それを聞いてひとりはリョウさんへ仲間を見る目で見つめるがやめておけ。お前とは根本的に違うから。

 

「休みの日は一人で廃墟探索したり、古着屋さん回ったりしてる」

「あっ、そっそうなんですね」

 

 そうリョウさんは孤独なんじゃない、孤高なんだ。近所のコンビニに寄るためだけに俺に連絡をするようなお前とは違うんだよ。

 

 何やら勝手にダメージを負っているひとりを虹夏さんが正気に戻し話を戻す。回復もお手の物とか虹夏さんマジ天使。

 

 次にサイコロを振った結果、好きな音楽の話になった。略してオトバナ。

 

「あたしはね、メロコアとかのいわゆるジャパニーズパンクかな〜」

「私はテクノ歌謡とか、最近はサウジアラビアのヒットチャートなんかを聴いてる」

「そこ、嘘つかない」

「ほんとだもん」

 

 まあリョウさんの聴く音楽のチョイス的に嘘と断定されても仕方ないだろう。なんでサウジアラビアなんだろうか。

 

「ぼっちちゃんたちは?」

「特にこれってジャンルはないですけど、ドラマやアニメの主題歌なんかはよく聴きますよ」

 

 その作品のテーマみたいなのが曲の中に散りばめられているから、作品や曲への理解度が深まる度に新たな発見があるのが面白いんだよな。

 

 次はひとりの番なのだが、案の定というかここでも陰キャっぷりを披露した。

 

「わっ私はその、青春コンプレックスを刺激する歌以外ならなんでも……」

「青春コンプレックスってなに?」

「要するに海とか花火みたいな、ひとりには無縁なワードに対する拒絶反応みたいなものです」

 

 逆に青春時代の鬱憤を歌詞に叩きつけているバンドとかは大好物だったりする。

 

 その後、また自分の世界に閉じこもったひとりをなんとかしようと虹夏さんが奮闘するが、今回は苦戦している。というか今日で何度目だ。

 リョウさんは我関せずジュースを飲んでるし、ひとりは自分の世界に閉じこもっている。あまりの結束力の無さに虹夏さんがだんだん涙目になってきた。

 

 流石にそろそろまずいので、ひとりには現実の世界に帰ってきてもらおう。

 

「いい加減戻ってこい、アホンダラ」

「ギッ!」

 

 俺はひとりに思いっきりデコピンを喰らわせた。何やら痛みに呻いているが知らん。

 

「ちょっ、凄い音したけど大丈夫!?」

「このぐらいなら大丈夫ですよ」

「いやでも"バコンッ"って感じに鳴ったよ!?」

 

 でもひとりは現実世界に戻ってきたので。

 それにいくら言っても無駄なんだから仕方ない。一応どうしてもってときならOKとご両親から許可はもらってある。あくまでこれは最終手段なのだ。

 

「そんなことより早く次にいきましょう」

「えぇ……まあ、いいけど」

 

 どこか釈然としない様子でサイコロを振る。出たマスはライブの話だ。

 

「初ライブはインストだったから次はボーカル入れたいんだよね〜。ほんとは逃げたギターの子が歌うはずだったんだけど、あの子どこいったんだろ?」

 

 どうやら逃げたギターがボーカルも担当していたらしい。それにしてもなぜ逃げたのだろうか。

 

「ボーカルまた探さなきゃな〜。あたしは歌下手だし、ぼっちちゃんは……」

 

 無理だな。

 ひとりもそっと視線を逸らした。こいつにそんな度胸はない。

 それより気になったのは虹夏さんが歌が苦手ということ。声がいいので練習次第ではなんとかできそうなのだが。

 

「あっあの、リョウさんは?」

 

 これまで話題に出なかったリョウさんについて気になるのであろう。ひとりは虹夏さんへ彼女はどうなのか質問した。

 

「フロントマンまでしたら私のワンマンになってバンドを潰してしまう」

「その湧き出る自信はなに?」

 

 しくしくと言いながら自信に満ち溢れたことを口にするリョウさんに、虹夏さんが呆れた様子でツッコミを入れる。

 

「あ〜どこかに都合のいいメンバーはいないかな〜、チラッ」

「そんなこっちを見ても入りませんよ」

「そう、それ! 昨日もそんなこと言ってたし!」

「ん、私も気になる」

「あっその、いっくんも入ってくれたら私も助かるんだけど……」

 

 どうやら昨日のことは忘れてなかったらしい。流石にこの状況では逃げられないし素直に言うか。

 

 俺は背筋を伸ばし顔も真面目な表情にする。こちらの空気が変わったのを感じたのか、彼女らも真剣な顔立ちになった。

 

「俺がバンドに入らない理由は一人のが気楽だからとかいろいろ理由があるんですけど一番は……」

「……一番は?」

「他のメンバーが空気になって俺の独裁バンドになっちゃうからですね。俺のせいでバンドが潰れます」

「リョウもだけど、一心くんのその自信はなに?」

 

 こちらが真面目な顔で話すから深刻な事情でもあると思ったのだろう。あからさまに「それだけ?」って顔をしている。

 いや本当のことなんだけどな、リョウさんの二番煎じになっちゃったけど。あと他に理由を挙げるならもう一つ。

 

「あと今欲しいのはボーカルですよね?」

「えっうん、そうだけど」

「……俺がボーカルやったら女侍らせてるハーレムバンドみたいに見られるので嫌です」

「あ〜、確かに見栄えはちょっと悪いね」

「大丈夫、それもロックだから」

「なにも大丈夫じゃねぇんですよ、リョウさん」

 

 というわけで実力的にも見栄え的にも入るのはNGである。それにもし入るなら先に誘われてるバンドを優先するしな。

 

「じゃあ一心くん以外にボーカルを見つけるとして、もし見つかったら曲も作ってみたいな〜」

「おっオリジナル曲を作るんですか?」

「うん、リョウは作曲できるし、歌詞に禁句が多いならぼっちちゃんが書けばいいよ! どう、名案じゃない?」

 

 ひとりが歌詞担当か。暗い歌詞になりそうだが刺さる人には刺さるだろう。良かったな、小中と図書館通いによって身につけた語彙力を活かすときだ。できるなら勉強でもそれを発揮して欲しい。

 

「じゃあ虹夏はなにするの?」

「……えい、次はノルマの話〜」

「堂々と流された」

「やることないんですね」

「……あたしはバンドの潤滑油という大事な役割があるから」

 

 就活生がよく言いそうなことですね。いや虹夏さんがいないとバンドが崩壊しそうだからあながち間違いではないけど。

 

「あっあのノルマというのは?」

「多分チケットノルマじゃないか?」

「そうだよ。詳しく言うと昨日出たライブはブッキングライブって言うんだけど、バンド側にはライブハウス側から集客を保証するためのチケットノルマが課せられてるの。ノルマ以上売れた分はライブハウスとバンドで分け合うんだ」

「逆にノルマ分集客できない場合は自腹、つまり売れるまで滅茶苦茶お金いる」

「ざっくりまとめた……」

 

 まあチケットは一枚2000円くらいするし、ノルマに必要な人数は20~30人ほど。つまり一回のライブで数万円は必要になる。バンドは売れない限り、ものすごく金食い虫なのだ。

 

 なお、売り上げの大部分がライブハウスに取られるが、場所の提供やら機材やらの関係で仕方ない部分ではある。店の経営も大変なのだ。

 文句があるなら路上でライブするのをオススメする。無許可でやると怒られることもあるが費用は無料だし。

 

「昨日はライブはあたしの友達が結構来てくれたからチケットはけたんだけど……」

「あの出来じゃ二回目は来ない」

「……だよね〜。リョウは友達いないから集客あてにできないし、ぼっちちゃんは……うん、ごめん。大丈夫だから、死んだ魚の目やめて〜」

 

 まあひとりに友達なんて存在しないし。呼べて家族だけだろうな。イマジナリーフレンドならいっぱいいるらしいが。

 

「俺もあのクオリティじゃ呼びませんよ」

「うん、わかってる。……というわけで当分ライブの度に数万円必要だからノルマ代、機材代もろもろ稼ぐためにバイトしよ〜!」

「はい……バイトぉッ!?」

「今日一声出たね」

 

 そりゃあ、ひとりにとっては死刑宣告と変わらないからな。それにしてもバイトと聞いただけでそんな怯えるとは……幼馴染ながら先行きが不安だ。

 




ぼっちちゃんの反転属性、つまり友達がいてクラスでも人気者みたいな描写を入れたくて序盤にオリ展開入れたんですけど少し不安。
ちなみに今回登場したモブくんは動かしやすく、書いてて楽しいので今後も登場するかも。

それと今回高評価を入れてくださった

☆10 : ジャガジャガさん

☆9 : 尻尾の切れたトカゲさん、ID-F85さん、Krescentさん、Kumoraseさん、ねじまきドラゴンさん、恋々時雨さん、暴虐の納豆菌さん

本当にありがとうございます。

それと先週、なんと日間ランキングに載りました!
この勢いのまま更新!……と行きたかったんですけど無理でした、ごめんなさい。

あと第4話にして遂に感想が来たんですよ!
もっと欲しいので遠慮せずバンバン感想送ってください。
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