りばーす・ざ・ろっく!   作:灰虎

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お久しぶりです。
ぼざろ最終話のショックに耐えきれず数日寝込んでました。
さらに13話が幻想だと知り、さらに寝込みました。

そんなことは置いておいて……
アニメ3話が始まるのが週明けの月曜から。
そしてそれまでぼっちちゃんが風邪で寝込むのでその間は空白期間。
やるしかないっしょ……オリ展開!


#8 新宿FOLTの愉快なメンバー

 

「なあ、週末の予定って空いてる?」

 

 俺とひとりによる初めてのバイトの翌日、教室で昼飯をモブ(木部)と食べていると彼からそんな質問を投げかけられた。

 俺は口に含んでいた唐揚げをよく噛み、飲み込んでから言葉を返す。

 

「とりあえず日時と理由を教えろ。それによって変わるからな」

「ん〜、そりゃそうか。じゃあ土日のどちらか一日、時間はできれば昼頃からがいい。……んで目的なんだけど、先週教室でギター弾いてくれたじゃん?」

「おう、あそこまで大騒ぎになるとは思わなかったけどな」

「いや、悪かったって。……それでさ、お前のギター弾いてる姿見て俺も興味が湧いてな。楽器屋見て回ったりライブハウスも見てみたいな〜って思ったわけ。できれば詳しい奴がいると助かるから声かけた」

「ふ〜ん、なるほどねぇ」

 

 とりあえず事情はわかった。

 要するに一人だと不安だから詳しいやつに案内して貰おうってことね。

 別にそれぐらいなら構わないんだが、土曜はふたりちゃんと遊ぶ約束があるし、日曜はなぁ……

 

「そういえば部活大丈夫なのか? 一応サッカー部だろお前」

「安心しろ、部活休んで行くから」

「なにも安心できねぇよ」

 

 なに堂々とサボる発言してんだ。

 

「大丈夫、うちは強豪校でもなんでもない普通の部活だから厳しくないし。何より顧問があの担任だぜ?」

「あ〜……」

 

 そういやそうだった。

 あの先週の演奏を生徒と一緒に、というか生徒以上にはしゃいで見てたせいで授業開始に間に合わないような人だからな。すげぇ納得した。

 

「……それで、案内欲しいってことは行きたい所とか決まってないよな?」

「おう、オススメの所があれば教えて貰おうと思ってたからな。特に決めてないぞ」

「それじゃあ――」

 

 俺は机の横に掛けてある鞄からとあるものを取り出す。

 本当は直樹さん(ひとり父)に渡すように取っておいたんだが別に構わないだろう。

 

「誰にも言わないと誓えるなら、特別にこいつをくれてやろう」

 

 この()()()()()()()()()()ライブハウスのチケットをな。

 

◇◆◇

 

 というわけでやってきましたよ、新宿。

 いやぁ、下北沢とか金沢八景と比べると恐ろしいくらいの人混み。ひとりなんて来た瞬間死にそうだな。

 

 そしてそんな人混みをかき分け目的地に向かう華のない男二人組、つまり俺とモブだ。

 ただモブは自分に彼女がいないことを気にしている。そんな輩がこのカップルひしめく都会に来たせいで……闇堕ちした。

 

「カップル……イチャイチャ……バクハツシサンシロリアジュウドモガッ!!」

「落ち着け馬鹿野郎」

「ガッ……!」

 

 俺は周りのカップルへ呪詛を垂れ流す馬鹿の頭を正気に戻した(引っ叩いた。)。こんな都会のど真ん中で正気を失うのはやめて欲しい。

 

「すっすまん、我を失ってた」

「だろうな、というか何かあったか? なんかいつもよりカップルへの怨みが激しい気がするんだが」

「……実は最近、別の高校に行った友達たちから次々と彼女が出来たって報告がな」

「OK、わかった。もう何も言うな」

「俺だって……俺だって可愛い女の子と付き合ってキャッキャウフフでイチャラブチュッチュッなことしたいんだよ!!!」

「言うなって言ったよな!? あと声がでけぇんだよこのタコ!!」

 

 これ以上醜態を晒すんじゃねえ、俺まで周りから変に思われるだろうが。

 

 閑話休題

 

「それで今日行くライブハウスってどんなところなんだ?」

 

 ライブハウスへの道を二人で歩いているとモブからそんなことを尋ねられた。

 そういえば詳しいことは何も話していなかったなと思い、これから行くライブハウス『新宿FOLT』について彼に説明する。

 

「今向かっているのは新宿FOLTっていうライブハウスなんだけど、そこそこ大きい箱で実力のあるバンドが複数出演している場所だ」

 

 収容人数は約500人とスターリーの二倍のキャパシティを誇る箱である。少し店長や出演するバンドが個性豊かではあるが質の良いライブを聞けるいい場所だ。

 

「んで今日出演するのは『SICK HACK(シク ハック)』っていうバンドのライブだな。そのバンドとは知り合いだからゲストに誘われて俺も出演することになったってわけ」

「なるほど。……ってあれ、ライブって一人でも出演できるのか? それともメンバーとは現地集合だったりする?」

 

 モブはそんな疑問を俺にぶつけてきた。

 まあ集合場所にいたのがギターケースを背負い、機材の入った鞄を手に持った俺だけだったからな。当然の疑問だろう。

 

「いや、俺だけだよ。それで一人でライブできるのかって質問だけどできる。場所とか演者の腕前とかにもよるけどな」

 

 そう、ライブ自体はバンドを組まずとも一人で出演することは可能だ。とはいえこれは場所による。

 あまり良い言い方ではないが大半のライブハウスはノルマが払えれば、つまり金さえあれば誰でも出演できる。厳しい審査のある敷居の高いライブハウスはほんの一部だけだ。

 

 それに出演する演者の力量もピンキリ。

 超絶テクのスーパーバンドもいれば、楽器も演奏できない人もいたりする。

 

「だからライブするだけなら簡単だぞ。気になるならやってみたら?」

「……ちなみにおいくらほど必要になります?」

「ん〜、だいたい一回のライブに3〜4万円くらいだな」

「あっ無理だな。めっちゃ高ぇ」

 

 まあチケット売れなくてノルマ代に苦しむバンドは数多くいるしな。

 それに加えて部活までやるとなると余裕なんてないし懸命な判断だろう。

 

 その後も学校の話題や音楽についての話をしながら歩くこと数分、ようやく目的地のライブハウスにたどり着いた。

 

「ついたぞ、ここが新宿FOLTだ」

「おぉ〜! ……なんかどんよりした空気だな」

「ライブハウスなんてどこもそんなもんだよ」

 

 何せ防音のためにだいたい地下にあるからな。

 暗いし圧迫感もあるのでどんよりした空気になることは避けられない。

 

 ライブハウス特有の暗い空気に少し及び腰なモブを連れていると見覚えのあるシルエットが見えたので挨拶をする。

 

「銀ちゃんさん、お久しぶりです」

「あぁ?」

 

 その声に反応しこちらをギロリと睨みつけてきたのは黒い髪を後ろで束ねた男だった。

 派手な柄の服装に、耳だけでなく口にまで開けたピアス。こちらを睨みつける鋭い眼光は威圧感があり、相手を震えさせるだろう。実際、横にいるモブも固まっているしな。

 

「あら〜! 一心ちゃん久しぶり〜♡‬ 元気にしてた? ってその子が今日連れて来るって言ってた子ね! なかなかのイケメン君じゃない〜!」

 

 まあ恐いのは見た目だけで、中身はこんなオネェ様なんだけど。

 

「ええ、ライブに興味あるって言うので連れてきました。ほら、お前も固まってないで挨拶しろ」

「おっおう。はじめまして、木部隼人っていいます」

「あたしはここの店長をしている吉田銀次郎、37歳よ〜。気軽に銀ちゃんって呼んでね」

「あっはい」

 

 うん、見た目とのギャップに混乱するのはわかるがこっち見んな。じきに慣れるから。

 

「それでライブに興味があるってことだけど何か気になることとかある? あたしバンバン教えちゃうわよ〜。あっ、興味持ったきっかけとか聞いてもいいかしら?」

「えっえ〜と、獅子堂が教室でギター演奏してるのを見て興味が湧いたといいますか……」

「なにその超面白そうな話!? もっと詳しく聞きたいわ〜!」

「あっはい」

 

 銀ちゃんさんも俺が知り合い連れてきたってことでだいぶテンションが上がってるのか凄まじい勢いでモブに話しかける。

 最初は混乱していた彼も銀ちゃんさんの高いコミュニケーション能力と人柄から緊張が抜けてきていい具合に会話が進んでいる。どこぞのピンクジャージにはできない芸当である。

 

 そうして銀ちゃんさんと学校や音楽の話を興じていると後ろから大きな声と共に衝撃が襲いかかった。

 

「ヘイ、一心! 久しぶりネー!」

 

 このカタコト混じりの口調にフランクな態度で誰か察した俺は、呆れた声で彼女へと返事する。

 

「ああ、久しぶり。びっくりするから急に抱きつくのはやめてくれ」

「オーケイ、今度から声かけてからハグするヨ!」

「そういうことじゃないんだけど……」

 

 彼女の抱擁を解いて振り向くと、ふわりとしたロングヘアーにラフな格好の上から着物を着た金髪碧眼の美人さんがいた。ただし、着方を知らないのか着物ははだけて下の黒いインナーが見えている。

 

 そして彼女がいるということはもう一人もいるだろうと思い、入口のほうを見ると見知った姿が目に映った。

 

「お久しぶりです、志麻さん」

「久しぶり、獅子堂くん。うちのが悪いね」

「いえいえ、慣れました」

 

 入口からこちらへ近づいてくるのは襟首辺りで切り揃えられた黒髪に、青と白のツートンカラーのスカジャンを身に付けた中性的な容姿の女性だった。

 

 彼女たちこそ今日出演するライブの主役、SICK HACKのメンバーである。まだ一人来てないけど。

 

「それであの酒クズはどうしたんですか?」

「ああ、あいつはまた遅刻だよ。まったく、これからリハだってのに……」

「あはは、いつもお疲れ様です」

 

 本当にあの酒クズに振り回される志麻さんが哀れでならない。

 

 それよりモブを放置して話しすぎたな。誘って放置はあんまりだろうし、そろそろ二人のことを紹介しないと。

 

「放っておいて悪かったな。彼女達が今日出演するSICK HACKのメンバーのイライザと志麻さんだ。それぞれギターとドラムを担当している……ってどうした?」

 

 俺はモブへ放置してたことを謝りつつ彼女達を紹介していたのだが、彼が今にも人を呪いそうな顔でこちらを見ていることに気付き首を傾げる。

 

 すると彼はこちらを指さし、このライブハウス中に響き渡るほどの大声でその理由を明かした。

 

「美女と知り合いどころか抱きつかれやがって!! 羨ましいんだよ!! そこ変われや、こんちきしょうめ!!」

「そういうところだぞ、お前がモテないの」

「一心の友達はとってもユニークで面白いネ」

 

 ユニークというより欲望に忠実なだけだけどな。

 そんなんだから「顔はいいのに中身が残念」だとか「残念イケメン」だとか言われるんだよ、自重しろ。

 

「んじゃあ俺らそろそろリハだから座ってリハ見てるか、店長さんと話して待ってな」

「了解。大人しく待ってるわ」

「あと最悪、酒臭い女に絡まれるだろうが遠慮なく殴っていいぞ」

「いや、ダメだろ!?」

 

 いや、だってねぇ……

 俺はチラリとあの酒クズのバンドメンバー達や店長を見ると、彼女らはそれはもういい笑顔で頷いてくれた。

 

「全力でお願いネ!」

「腰の入ったやつをお願いします」

「思いっきりでいいわよ」

「まさかの全員からゴーサイン。どんな人なんだよ」

 

 中坊から酒代借りたり、ライブで遅刻したり機材壊したりするやつだよ。挙句の果てにはライブ中に二日酔いで吐く。

 

 ……本当にどうしようもないなあの人。




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